ニュース

音質で差別化、Amazon/Googleの“AIを選べる”オンキヨーのスマートスピーカー発売

 オンキヨグループは、11月より発売するスマートスピーカー2モデルの記者向け体験会を開催。Amazon Alexa対応の「P3」(VC-PX30)と、Googleアシスタント対応の「G3」(VC-GX30)を披露し、特徴である音質の聴き比べなどを行なった。G3(オープンプライス/店頭予想価格25,000円前後)は30日ごろから量販店などの店頭に並ぶ。P3は、Amazonにおいて招待制で販売(32,184円/11月30日時点)されるため、招待メールを受け取ると購入可能。年内には届けられる見込みだという。

Alexa対応の「P3」(左)、Googleアシスタント対応の「G3」(右)

 「P3」は、Amazon Alexaに対応し、Amazonプライムミュージックなどの再生や、オーディオブックの読み上げ、リマインダーなどカレンダー設定などが可能。Alexaに対応した各社のスマートホーム製品とも連携する。DTS Play-Fi機能も搭載し、対応するオンキヨー製コンポなどを使って家庭内のスピーカーでマルチルーム再生も可能。

 「G3」は、Googleアシスタント対応を活用し、ユーザーの質問への応答、天気予報やニュースの読み上げ、カレンダー確認などが可能。Chromecast built-inにも対応し、Google Play Musicなどのストリーミングサービスを家の中にある対応AVアンプやコンポなどでも聴ける。

P3(左)とG3(右)

 音声アシスタント機能を使ってできることは、基本的にはGoogle/Amazonそれぞれが提供するものに沿った形だが、オーディオメーカーとして早い段階でスマートスピーカーを手掛けているオンキヨーが差別化として挙げているのは、音質を中心とした音楽再生向けの特徴。スピーカーの音質を高めることで、音声アシスタントからの返答も聞き取りやすいという。

 コンパクトなスマートスピーカーを目指して開発された「G3」は、従来のユニットの1.5倍の振幅量と力強い駆動力のマグネットを持つ新設計のカスタムウーファを強固なフレームで固定。ソフトドームツイータとの2ウェイで、「バランスのとれたダイナミックなサウンド」としている。

G3のカラーはブラックとホワイト
背面
Googleアシスタント関連の特徴
音質面の特徴

 一方の「P3」は、2.5インチのフルレンジユニット2基と10W×2chアンプを備えたステレオ構成で、背面のパッシブラジエータにより低域を強化。「アメリカンサウンドをイメージした」という。アナログ音声入出力も備え、家庭内にあるCD/レコードなどのプレーヤーから入力して他の部屋にあるP3やDTS Play-Fi対応コンポなどで聴くことも可能となっている。P3は天面の操作ボタンも充実。再生/一時停止やボリュームのほかに、4つのプリセットボタンがあり、Spotify利用時に、好みのプレイリストや、ステーションを登録できる。

P3
Alexa関連の特徴
音質面の特徴
アナログ入出力端子などを備える
天面の操作部

 2機種とも、既存のスマートスピーカーに多い円筒形とは異なり、前面を分かりやすくした形状も特徴。「壁際や棚の中に置くなど、従来のオーディオの流れを汲むデザイン」(オンキヨー&パイオニア マーケティングジャパン 荒木健社長)としており、販売店からも、「スマートスピーカーの使用実態として音楽を聴くケースが多いということを知っているユーザーなら、このモデルを選ぶだろう」といった評価を受けたという。

 実際に両機種で音楽を聴いてみると、コンパクトなG3は、低域から高域までつながりがよく、聴きやすいサウンドながら、見た目のサイズよりも量感のある低域が出ていた。ステレオのP3は、元気が良くメリハリのあるサウンドで、テイラー・スウィフト「Shake It Off」のアタック音も明瞭だった。

 多くの人が会話していた体験会場の中で聴いたストリーミング音源だけでは、両機種の音質の違いはそれほど大きくは感じなかったものの、P3にはアナログ入力も備えているほか、DTS Play-Fiを利用すればハイレゾ音源も再生可能。同製品はハイレゾの周波数帯域を完全にはカバーしていないとのことだが、手持ちの音源を含む様々な音楽ソースを楽しめるのはメリット。創業70年を迎えたオーディオメーカーとして、スマートスピーカーに新たな選択肢を提案したといえそうだ。

G3を声で操作してGoogle Play Music音楽再生

スマートスピーカー市場予測は'22年に1.6億台。バスルームなど新たな提案も

 オンキヨーのAI/IoT事業戦略室 宮崎武雄室長は、急速に進化するAIを活用したスマートスピーカーの市場予測について、2017年は1,800万台、2021年に1億台を突破して2022年には1億6,000万台まで達するとの見方を示した。

スマートスピーカー市場予測

 料理やフィットネスの途中など、手が離せない状況でも声で操作できるスマートスピーカーによって、「もっと簡単に、素晴らしい音楽に触れる機会を増やしたい」とした。そのための同社の取り組みとして、Googleアシスタント/Alexa以外にも、アップルのSiri対応イヤフォンRAYZなどを含めた“マルチAI戦略”を推進。「AIを選べる機会も提供する」と述べた。

 オンキヨー&パイオニア マーケティングジャパン 荒木健社長は、国内での販売戦略について、AIを切り口として量販店などのオーディオコーナー以外にも展開することに意欲を見せた。

左がオンキヨー&パイオニア マーケティングジャパン 荒木健社長、右がオンキヨーのAI/IoT事業戦略室 宮崎武雄室長

 さらに、“AIを使った将来のホームオートメーション”として、天井埋め込み型スピーカーや、家の照明などと連携する形も提案。その一例として、バスルームの天井などを響かせて音を出す加振器「Vibtone」を用いたオーディオシステムを、住宅メーカーに向けて発売。天井に穴を空ける必要がなく設置できるのが特徴で、大和ハウス、積水ハウス、住友不動産、旭化成ホームズなどが検討しているという。

AIを使った将来のホームオートメーション
バスルーム向けの、加振器を使ったオーディオシステム
Siri対応のイヤフォンRAYZなどの展示
Androidスマホに届いたLINE/Twitterなどの通知を音声で読み上げる無料アプリ「Notification App」も