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FOCAL、ペア120万円の新スピーカー「KANTA N゜2」披露。ベリリウムツイータ搭載

 ラックスマンは、仏FOCALブランドの新製品としてフロア型スピーカー「KANTA N゜2」(カンタ ナンバー2)を3月末に発売する。価格はペアで120万円。概要は既に発表されているが、FOCALのアジア/アフリカHome Sales ManagerであるQuentin Morieux氏が来日し、特徴をマスコミや関係者向けに紹介した。

KANTA N゜2

 モデル名「KANTA N゜2」は、「歌う」、「楽器を演奏する」などの“カンターレ(Cantare)”からとられたもの。頭文字を「C」ではなく「K」としたのは、「横から見た時のスタイルが、Kに見えるため」だという。カラーバリエーションは、カララホワイト・ラッカー、アイボリー・マット、ゴロワーズブルー・ラッカー、ウォームトープ・マット、ソーラーイエロー・ラッカー、ダークグレイ・マット、ブラックラッカー・ラッカー、ゴロワーズブルー・マットを用意する。

豊富なカラーを揃えている
横から見たところ

 3ウェイバスレフのフロア型スピーカー。サイズはツイータが27mm、ミッドレンジが16.5cm、ウーファも16.5cmで、ウーファは2基搭載。3ウェイ4スピーカーシステムとなっている。

ダブルウーファ仕様

 27mmのツイータはベリリウム・インバーテッド・ドーム・ツイータで、もともとGRANDE UTOPIAの2世代目向けに開発されたものを採用。軽量で高剛性であり、ダンピング性能にも優れている事から、素材としてベリリウムが選ばれた。形状は逆ドームで、ボイスコイルが小さくでき、ドームの角度も小さくでき、歪みを抑えられるという特徴がある。

ベリリウム・インバーテッド・ドーム・ツイータ

 この振動板を使ったツイータは「IAL 3」(インフィニット・アコースティカル・ローディング・3)と呼ばれ、ユニット内の空気流れを最適化し、歪みを低減している。さらに、ツイータユニットのキャビネット内に吸音材を入れて、背圧をコントロールしている。高調波歪測定でも、歪の低減効果は現れており、大音量でも透明度の高い滑らかな音質を実現したという。

 ミッドレンジとウーファの振動板には、フラックス・サンドイッチ・コーンを採用。高品質なフランス製の亜麻(フラックス)を使った三層構造で、フラックスを中央に、その上下をグラスファイバーでサンドイッチしている。これにより、軽量、高剛性、ダンピング性能に優れたユニットになるという。

左端がフランス製の亜麻。中央はそれをグラスファイバーでサンドイッチした状態、右端が振動板の形に切り出したもの
完成した振動板

 ミッドレンジユニットのエッジには2本の円形リブを設けて、不要な振動を吸収。TMD(チューンド・マス・ダンパー)と名付けられている。

 磁気回路にも工夫があり、ボイスコイルの近接部分に銅でできた「ファラデーリング」を配置。磁界をコントロールし、磁界を安定させ、歪を低減している。この磁気回路は「NIC(ニュートラル・インダクタンス・サーキット)」と呼ばれている。

 エンクロージャーには、高密度ポリマーを採用。MDFと比べ、密度で70%、剛性で15%、ダンピングで25%優れる。これにより、SOPRAより35%薄くなりつつも、剛性は同等になったという。さらに低振動で、定位が向上にも寄与している。

 複雑な形状も作りやすい素材で、フロントバッフルの形状を変えて、ユニットの取り付け位置を微妙に変えるといった際にも有効。フロントバッフルは異なる弧を重ね合わせたデザインで、フロントのバスレフポートとバッフルが一体化しており、ポートノイズを低減。ポートは背面にも備えており、背後は豊かな低域を、前面はタイトな低域を担当。ポートを前後の2つに分ける事で、エアスピードを低減し、ノイズ低減も実現している。

フロントのバスレフポート
リアにもポートがある
スピーカーターミナル

 フット部分はアルミダイキャスト製で、スパイクはSOPRAと同様の構造を採用。マグネットの着脱式グリルを採用している。

 再生周波数帯域は35Hz~40kHz。クロスオーバー周波数は260Hz/2,700Hz。定格インピーダンスは8Ω、最小インピーダンスは3.1Ω。出力音圧レベルは91dB。推奨アンプ出力は40~300W。外形寸法は321×477×1,118mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は35kg。

「買いやすい値段のところまで展開し、もう一度FOCALを日本一のブランドに」

 「KANTA N゜2」についてQuentin Morieux氏は、価格帯としてはARIAとSOPRAの中間に位置するが、「その中間として開発したものではなく、まったく新しいDNAで生み出された製品」と説明。価格帯やラインナップに縛られないサウンドを実現したモデルである事をアピールした。

FOCALのアジア/アフリカHome Sales ManagerであるQuentin Morieux氏

 ラックスマンの川上晃義社長は、FOCAL製品について「時代を先取りしているなと感じる。特に他のスピーカーメーカーと違うのは、音質を追求するだけでなく、スピーカーで音を聴く日々の生活、リビングで活用するライフスタイルまで考え、外装についても色々なカラーを出している事」と、カラバリの豊富さも紹介。さらに、「KANTA N゜2の本国での売れ行きについてMorieux氏に聞いたところ、在庫が足りなくなるくらい人気」になっているという。

ラックスマンの川上晃義社長

 末吉達哉副社長は、ペアで120万円というKANTA N゜2の価格について、「これまではハイエンドの専門店に注力して、FOCALというブランドをご理解いただこうと展開してきたが、KANTA N゜2を武器に、もう少し下の方の買いやすい値段のところまで展開し、もう一度FOCALを日本一のブランドにしていきたいと思ってる」と意気込みを語った。

末吉達哉副社長