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MrSpeakers、高域が伸びる平面駆動ヘッドフォン最上位「ETHER 2」
2018年10月27日 10:00
エミライは、米MrSpeakersの新しい平面駆動ヘッドフォン「ETHER 2」を11月より発売する。価格は20万円台後半を予定。10月27日~28日に開催される「秋のヘッドフォン祭」に出展する。
MrSpeakersの平面駆動ヘッドフォンの新たなフラッグシップと位置付けられており、同社初の静電型ヘッドフォン「VOCE」(ボーチェ)に似た外観だが、VOCEの製造と研究開発で得た知見や技術をフィードバックして開発。ハウジングはオープンバック構造で、内部は完全新規設計となり、新しい素材や加工技術を導入した。
新規開発の71×45mmドライバー(ドライバーモーター)を搭載。既存の平面駆動ヘッドフォン「ETHER Flow」でも採用したTrue Flow技術を投入しているが、ETHER Flowから進化した点は、平面振動板を駆動させるために4列に並んだマグネットが配置された“トレイ”にある。
True Flow技術は、振動板の動きで発生した空気の流れをスムーズにすることで音の解像感の低下を抑えるもの。ETHER Flowでは、沢山穴の開いた“トレイ”に穴の開いた樹脂パーツを追加することで、空気を流れやすくしていた。
MrSpeakersの創立者のDan Clark氏によると、ETHER 2で採用している新しいトレイは、CNC加工で削り出したものを採用。従来の樹脂パーツと同様の形状で穴を開けつつフラットに仕上げ、空気の流れをよりスムーズにした。さらに薄型化も図っている。なお、トレイの素材については「企業秘密」だという。
新たに、特注のPET樹脂のマイラー振動板を搭載し、振動板の重量を60%軽量化。軽くなったことで高域の再生能力を伸ばしているのも特徴だという。実際に聴いてみると、ピアノやハイハットの高域で平面駆動らしい繊細な音が楽しめ、それでいて艶やかな響きも感じられた。一方でバスドラムの量感ある中低域もしっかり沈み込み、キレが良く迫力ある印象を受けた。
快適な装着性を実現するヘッドバンドや、柔らかいイヤーパッドを採用。ヘッドバンドとハウジングを繋ぐヒンジは、ネジのない設計を採用した。重量は290g。
ケーブルは着脱可能で、新しいフラッグシップケーブル「VIVO」が付属する。導体は銀メッキ銅線で、一般的な銀メッキ線は使用しているうちに劣化が進むが、VIVOで採用している導体は約10年間経過しても問題なく使えるものだという。
ETHER FLOW/FLOW Cにチューニングキット付き「1.1」
平面駆動ヘッドフォン「Flow」シリーズ(’16年発売)の音を進化させた2機種を11月に発売する。開放型「ETHER FLOW 1.1」と密閉型「ETHER FLOW C 1.1」を用意し、価格は各20万円前後を予定している。
ドライバーや素材は既存の「ETHER FLOW」や「ETHER FLOW C」と共通だが、アコースティックチューニングを変更したほか、付属ケーブルをフラッグシップケーブルのVIVOとした。ユーザー自身で音の傾向をカスタマイズできるチューニングキットを同梱し、新たにユーザーの好みに合わせて細かくチューニングできる。
チューニングキットは、ドライバを覆うように貼るステッカー状の「アコースティックダンピングペーパー」と、4種類の異なる素材を使ったフェルト状のパッドで構成され、工具無しで簡単にヘッドフォンの音をカスタマイズできる。なお、チューニングしなくてもそのまま使える。
アコースティックダンピングペーパーを同梱した狙いは「音のとげとげしさを整えることと、時間軸特性を良くするのが目的」としている。イヤーパッドとドライバを覆う布を取りはずしてバッフル面のくぼんだ箇所に貼り付ける。
フェルト状のパッドは高域の周波数特性を変化させるもので、素材の違いによって変化の仕方を変えられる。イヤーパッドの開いている箇所と同じ形でカットされており、指で押し込んでドライバを覆う布の上に被せるようにして使用する。
チューニングキットとVIVOケーブルはそれぞれ単品発売を予定しており(価格未定)、既存のFlowシリーズユーザーも購入して使えるという。