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音声合成時代に、声優の“発声権”。ビジネス広げる“デジタルボイスパレット”
2018年10月31日 15:04
電通と声優プロダクションの81プロデュースは、音声合成技術の活用を促進する一般社団法人・デジタルボイスパレットを共同で設立。11月1日より業務を開始する。音声合成技術の成熟に合わせて、人の声を元にしたデジタルボイスの利用拡大が見込まれる中、声の主(声優)に新しいビジネスの選択肢を与え、その権利を長期的に守り活用していくことなどを目的としている。
AIの急速な発展とディープラーニング手法の浸透により、音声合成分野でも様々な技術革新が起きているが、「そうした技術の発達で、ユーザーにとって便利で楽しい使い方が生まれる一方、コンテンツに欠かせない個性としての声の価値をどう守り、育てていくかが喫緊の課題となっている」という。
そこで、広く一般のユーザーが人の声を元にしたデジタルボイス(人工的に作り出した人間の音声)を活用する未来を想定し、人が自身の声を発することに対して権利を有することを証明する「発声権」の普及・整備と、声優を中心とした声のIP(知的所有権)を有する業界自体による新たな成長市場を支える基盤づくり、音声合成技術の活用を促進する各種サービス開発、持続可能なエコシステムの構築を進めていく必要があるとする。
デジタルボイスパレットでは、音声技術関連業界とともに音声合成技術の活用促進に向けた新しいルールや仕組みづくり、デジタルボイスに対する品質の保証や保護などを進めていくと同時に、声優の言語や物理的な限界を超えた新しい体験価値の創造を推進していくという。
なお、前述の“発声権”とは、「人格権に基づき、人間の声の本人への帰属と声の利用を定義する新しい権利の概念」を意味し、「社団法人設立の際に国内の有識者に対するリサーチ・ディスカッションから生まれた」ものだという。デジタルボイスが自分の声帯から離れて他人に利用される社会では、その権利を明確に定義・管理する必要があることから、今後、デジタルボイスパレットも主体的にルールづくりに参加するという。
デジタルボイスパレットの主な活動は以下の通り。
- デジタルボイスの質と権利を担保する認証の仕組みづくり
- 「発声権」という権利概念の普及と、誤用の防止に向けたルールづくり
- 日本人の声質を生かした多言語デジタルボイスの開発
- 物故者などの生前の声の再現や、デジタルボイスとしての保存への取り組み
- デジタルボイス活用におけるビジネスルールの策定とエコシステム構築のサポート
- 障がい者への音声サポートなど、声のダイバーシティの可能性についての検討