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「SHARP is Back」4年ぶりCES本格出展。コンシューマ8Kカメラ、dynabook復活

米ラスベガスで開催中の「CES 2019」において、シャープは、報道関係者向けの説明を行ない、コンシューマー向け8Kビデオカメラのプロトタイプや、Dynabook株式会社として初のPCとなる13型ノートPCなどを発表した。また、北米市場におけるテレビ市場への再参入についても意欲をみせた。

「CES 2019」シャープブース

現地時間の8日に行なわれた同社ブースでの説明会の冒頭、登壇したシャープの石田佳久副社長は、「SHARP is Back」のスライドを掲げながら、「シャープは、2015年以来、4年ぶりに、セントラルホールに戻ってきた。シャープは、『8KとAIoTで世界を変える』ことを中期経営計画のビジョンに掲げている。それに則り、シャープブースでは、8Kエコシステムや最先端のディスプレイ、家電製品、AIとIoTを組み合わせたAIoTなどのグローバル製品を展示している」と語った。

「SHARP is Back」のスライドを掲げ、4年ぶりに、セントラルホールに出展したことを説明
シャープの石田佳久副社長

また、「シャープは、8Kにおけるリーダーとして、8Kディスプレイテクノロジーにより、デジタルエクスペリエンスを向上させ、エンターテインメント、放送、教育、ヘルスケア、セキュリティ、製造業などにおいて、8Kの価値を提供することになる。8Kエコシステムを通じて、パートナーとともに、8Kの価値を十分に引き出した提案を行なっていきたい」と述べた。

米シャープ イメージング・アンド・インフォメーションのマイク・マルシックCEO

説明会では、米シャープ イメージング・アンド・インフォメーションのマイク・マルシックCEOが、シャープブース内に展示しているBtoBソリューションについて説明。米シャープ ホームエレクトロニクスのジム・サンダスキ社長が、今後、米国市場に投入する新製品を含む家電製品について説明した。

米シャープ ホームエレクトロニクスのジム・サンダスキ社長

一方、シャープの石田副社長は、「シャープは、北米におけるこれまでの取り組みの経緯から、BtoB向けを主体にビジネスを展開していくように見えるかもしれないが、今後は、BtoCにも力を入れ、白物家電も積極的に投入していく。北米市場向けに、シャープの製品を紹介する機会がなかったが、今回の展示をきっかけに、白物家電やシステムキッチン、ペット向けソリューションなど、BtoC事業に力を注ぎたい」と発言した。

北米市場におけるシャープブランドの薄型テレビの販売については、シャープが鴻海傘下に入る前に、中国ハイセンスにライセンスを供与しており、シャープが自らがAQUOSブランドのテレビを販売することはできない。

石田副社長は、「ホテル向けのBtoB向けのテレビは、継続的に販売している実績がある。コンシューマ向けテレビは、すぐになにかできるというわけではないが、できるだけ早く販売を再開したいと考えている。北米における8Kテレビの市場ポテンシャルがある。いい技術といい製品が出来上がっており、これを米国で販売できないのは残念である」などと述べた。

BtoB向け液晶ディスプレイ製品の展示では「POWERD BY FOXCONN」を訴求
BtoB向けの8Kディスプレイ
8Kと5Gとの組み合わせによるBtoB提案も行なっていた
8Kテレビ向けのイメージプロセッシングSoCも参考展示した
ブースでは、Temazoneの8Kデータマネジメントシステムを展示

また、参考展示したコンシューマ向け8Kカメラについては、「8Kエコシステムを訴求する中で、8Kの映像を手軽に撮影することが重要になる。プロフェッショナル用の8Kカメラに加えて、プロシューマー用のカメラを新たに用意した。将来的には、8K映像もスマホで撮影するようになるだろう。そこまでくれば、8Kが幅広く認知されることになるが、そこに至るまでに、8Kに関する様々なものを用意して行く考えであり、多くの人に使ってもらいたい」と語った。

参考展示をしたコンシューマ向け8Kカメラ
プロフェッショナル向け8Kカムコーダー

有機ELテレビについても言及。「小型の有機ELは利用しているが、テレビやディスプレイへの採用という意味では、いま決まったものはない。有機ELには有機ELなりの良いところがあるが、いま気になっているのは、焼き付きの問題である。これが解決されていない。

また、生産面で印刷技術が使えるようになれば、製造コストが落ちるが、現状ではコストダウン効果が薄い。こうした点での見極めができれば、自分たちでやりたいと考えている」とした。

曲面ディスプレイを採用したビデオウォール
説明会のスライドは、ブースに展示された16枚のディスプレイを組み合わせた280型相当の8Kビデオウォールに表示した
イノラックスのRGB mini LEDバックライト技術を搭載したディスプレイを参考展示
マイクロソフトが推進しているWindows Collaboration Disply対応ディスプレイ。2019年第2四半期に投入予定だ
日本ではBIG PADとして発売されている製品は、米国ではAQUOS BOARDのブランドで販売
32型の4Kタッチモニターを参考展示
自由に曲げられるフレキシブル有機ELディスプレイを展示した

さらに、2019年1月から社名変更したDynabookによるPC事業の取り組みについては、「東芝時代の最盛期には、全世界で年間1,000万台以上のPCを販売していた実績があったが、現在はその8分の1以下になっている。

PC事業は、米国ではBtoB、欧州でも主体はBtoBとなっており、日本ではBtoCもやっているが、BtoBの比重が高いのが現状だ。PCはオープンなプラットフォームであることが特徴であり、サードパーティーを巻き込んで、様々なアイデアを取り込んで、BtoC市場にも再参入したい。AIoTのバリューチェーンのひとつとして、PCを活用したい。“dyanbook as a Service”や“dyanbook as a Computing”といったコンセプトを通じて、PCのハードウェアだけでなく、サービスの販売にも力を注ぎたい。大きな世界観のなかで、PCを位置づけていきたい」と語った。

dynabookによるノートPCの製品群を展示
Dynabook株式会社になって最初の製品となる13型ノートPCを参考展示した
PCには東芝のブランドも、シャープのブランドも一切入っていない
dynaedgeブランドによるスマートグラスの提案も行った
ヘルシオブランドの過熱水蒸気オーブンを展示
シャープの特許技術であるプラズマクラスターイオンを活用した空気清浄機
ルームエアコンも展示。北米市場での展開を視野に入れる
ビルトイン型のシステムキッチンも展示した
首にかけて音楽などを聴くことができるAQUOS SOUND PARTNER
ペット向けソリューションも北米で展開する予定だ