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アイ・オー、音声特化のライブ配信「PlatCast」開発。ゲーミングも強化

アイ・オー・データ機器は29日、今後発売となる新製品や試作品を多数披露。同社のクラウドサービスを用いて、スポーツ実況やイベント会場などで音声に特化した簡易放送局を作れるソリューション「PlatCast」の開発や、ゲーミング分野における取り組みの強化などを発表した。

PlatCastのイメージ

UHD BD再生対応の光学ドライブ2製品のほか、fidataコントロールアプリのAndroid版も参考出展。これらについては別記事で紹介している。

“ローコストで導入しやすい”音声配信「PlatCast」

PlatCast(プラットキャスト)は、アイ・オーのネットワーク(プラットフォーム)事業の一環で開発している「ライブ音声配信サービス」。配信側はマイクミキサーや同社が取り扱うシングルボードコンピューター「Raspberry Pi 3」などを組み合わせ、ライブ音声データをクラウドサーバー上に随時アップロード。聴取側は、あらかじめ作成されたQRコードをスマートフォンで読み取るだけで、ブラウザからストリーミングで音声が聴ける。

具体的なサービスの提供方法やスケジュールは決まっていないが、音声に特化した中小規模向け配信サービスとして、ローコストで導入しやすいモデルの商品化を目指す。

PlatCastのサービス構成

映像データを伴うYouTubeやニコニコ生放送などと比べて、音声に特化しているためデータ量が少なく、LTE回線などで多数の参加者に配信できるという。遅延も数秒程度としている。

PCレスで手持ちの音楽CDをスマホに取り込める「CDレコ」のアプリに搭載している、「歌いまっし」機能(再生楽曲と同期してクラウド上の歌詞データを多人数と共有し、カラオケ風の遊びが楽しめる)の仕組みから着想を得たという。

CDレコアプリの「歌いまっし」機能から着想

これまでに男子バスケの金沢武士団や、女子バレーのPFUブルーキャッツの試合、天皇杯・皇后杯バレーボール決勝戦などで実証実験を重ねてきた。今後、スポーツ会場で来場者向けの解説を配信したり、学会・セミナーでの同時通訳、博物館・美術館の展示案内、防災案内サービスなどでの利用を想定している。

天皇杯・皇后杯バレーボール決勝戦などで実証実験を実施
スポーツ会場で来場者向けの解説配信を行なうなど、小規模な音声配信に対するニーズを掘り起こすという

ゲーミングデバイス分野を強化、プロチーム「父ノ背中」と提携

ゲーミング液晶ディスプレイ「GigaCrysta」シリーズの新製品として、23.6型で144Hz表示対応のフルHDモデル「LCD-GC242HXB」を、2月中旬より発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は39,800円前後。

LCD-GC242HXB

HDMI入力×3とDisplayPort×1を備え、HDMI1系統はHDR10信号入力に対応する。

LCD-GC242HXBの背面

アイ・オーはこれまでにもゲームのプレイ動画を保存・配信できるキャプチャーデバイスと、GigaCrystaシリーズを展開。両者を合わせたゲーミングデバイスの売上は、’16〜17年はおよそ6億円程度で、同社の売上全体に占める割合は約1%程度だったという。それが、eスポーツなどゲーム市場の盛り上がりを受けて’18年には前年比2.5倍の約16億円規模に成長。’19年は約1.6倍増の約26億円まで伸び、同社の売上全体に占める割合は約5%まで拡大すると見込んでいる。

アイ・オーのキャプチャーデバイス・ゲーミング液晶の売上推移

こうした市場の盛り上がりや、既存製品に対するゲームユーザーからの声を受け、アイ・オーはゲーミングデバイス分野の取り組みを強化。既にゲームに特化したラインナップがあるディスプレイやキャプチャーだけでなく、HDD/SSDやネットワークルーターなど豊富な製品カテゴリがあることも強みとし、「2019年にゲーマーの皆さんのInput-Outputを快適にする新しいゲーミングデバイスを市場に投入する」(アイ・オー・データ機器 事業戦略本部 企画開発部の加藤光兼部長)。詳細は後日案内するという。

2019年に新しいゲーミングデバイスを市場投入予定
ゲームメーカー各社との連携施策の事例

また、プロゲームチームとスポンサー契約を結んで活動をサポートする取り組みも拡大。新たに、FPSタイトルを中心に活動するマルチゲーミングチーム「父ノ背中」と契約し、今後1年間、アイ・オー製品の使用やインフルエンサーとしての情報発信、定期的なファンイベントの共同開催などを行なうと発表した。父ノ背中がGigaCrystaシリーズのディスプレイ製品をチーム機材に導入したことが、今回の契約に繋がった。

マルチゲーミングチーム「父ノ背中」とスポンサー契約

父ノ背中のチームリーダー・てるしゃん選手が登場し、新しいユニフォームを披露。「製品の良さを伝えられるよう、がんばります」と意気込みを語った。

「父ノ背中」の新ユニフォームを披露する、同チームリーダー・てるしゃん選手(右)。左はアイ・オー・データ機器の濱田尚則社長

濱田尚則社長は、同社全体の実績と今後の方針を説明。’18年6月期連結決算の売上高は554億4,100万円、経常利益は30億1,100万円で、’17年実績から12.6%成長。’19年6月期は前年同期を上回る売上高575億円を目標とする。

濱田尚則社長
前期実績と今期予想

今期(’19年6月期)も昨年に引き続き、収益カテゴリ全体のうち液晶ディスプレイとストレージが半分を占めるが、濱田社長は「モノが沢山売れている状況は継続しつつ、戦略的展開ビジネスとして『映像入出力分野』『データストレージ分野』『ネットワーク(プラットフォーム)分野』の3つについて、(自社製品を)ソリューション化して顧客に提案していきたい。プラットフォーム分野では、クラウドサービスを用いて簡易放送局を作れるソリューションとしてPlatCastを実証実験中。モノを売るだけでなく、クラウドを使ったサービスを今後の可能性として広げていきたい。売上高575億円という目標に向け、全社一丸となって取り組む」とした。

クリエイティブメディアが、耳をスマホで撮って“自分に最適なサラウンド”を実現する「Super X-Fi」製品を展示
右がSuper X-Fi搭載のUSBヘッドフォンアンプ「SXFI AMP」
筆者も自分の耳をスマホで撮ってもらい、デモを体験した
Super X-Fiについて説明する、クリエイティブメディアの牧野氏