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NHK、世界初の8Kワイヤレスカメラ。技研公開で8K/120Hz生中継

NHKは、8K映像の無線伝送が可能な「8Kワイヤレスカメラ」を世界で初めて開発。野外伝送実験において、8K映像を安定して無線伝送できたという。NHK放送技術研究所が5月30日〜6月2日に開催する「技研公開2019」で展示する。

8Kワイヤレスカメラ(左)。右はカメラの送信機

開発した8Kワイヤレスカメラは、可搬型の8K映像符号化装置や小型送信機を組み合わせ、42GHzのミリ波帯の電波を使って185Mbpsで、約100m離れた距離まで8K映像の無線伝送が可能。帯域幅は125MHz、伝送遅延は約50ms(8K)。

8Kカメラの送信機には、電力増幅で生じる信号の歪みに強い「SC-FDE方式」(Single-Carrier – Frequency Domain Equalization)を採用。安定した無線伝送と機器の低消費電力化、小型化を実現している。今回開発した送信機の重量は3kg。

アイベックステクノロジーと共同して行なった野外伝送実験では、8K映像を安定して無線伝送できることを確認した。今後、実用化に向けて性能改善をさらに進めるという。

世界初の8K/120Hz生中継。技研公開2019で公開実験

技研公開2019では、世界初となる8K/120Hz映像のライブ制作・衛星伝送の公開実験を実施する。

中継現場で、8K/120Hz対応のカメラと中継車を用いてコンテンツを制作。映像符号化装置で圧縮し、広帯域・大容量伝送が可能な21GHz帯中継器を搭載したBSAT-4a衛星を用いてライブ伝送。衛星アンテナで受信して復号したコンテンツを、技研公開会場で披露する。

8K/120Hz映像のライブ制作伝送実験の概要
8K/120Hz対応のカメラ(左)と中継車(右)

NHKでは、高フレームレートで被写体の動きを鮮明かつ滑らかに表現できる映像制作機器の開発や、伝送・表示技術の研究を進めている。公開実験で使われる映像符号化装置は、フレーム周波数120Hzの8K映像(7,680×4,320ドット)に対応しており、映像符号化方式にはH.265/HEVCを採用。Main10プロファイルに対応する。

公開実験で使われる、8K/120Hz対応の映像符号化装置