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TVだけじゃない、シャープ「8Kワールド」。映像配信や“触れる8K”も

シャープは、10月16日~19日に開催される「CEATEC JAPAN 2018」において、“8K+AIoT”を軸にしたブースを展開。開幕前日の15日に、ブースの内容を報道関係者向けに事前公開した。

CEATEC 2018のシャープブース

既報の通り、同社はテレビの「AQUOS 8K」や、8Kチューナー非搭載で60型/実売50万円の「8T-C60AW1」、サウンドバー型で22.2ch音声対応の「AQUOSオーディオ 8A-C31AX1」と、8K放送録画対応のUSB HDD「8R-C80A1」、外付けの8Kチューナー「8S-C00AW1」を発表。これらの新製品がCEATECのシャープブースに展示される。テレビとチューナー、HDDは11月17日に、AQUOSオーディオは2019年2月に発売。各モデルの詳細は別記事で掲載している。

AQUOS 8Kの80型
外付け8Kチューナ―
22.2ch音声対応のAQUOSオーディオ

テレビ以外にも8K映像制作や、チューナーモジュールなどの対応デバイス、教育、医療など、様々な分野で8K対応が進むことを見越した「8Kワールド」をテーマに、ブースを展開している。

映像制作では、他社製品との組み合わせて、8K撮影や記録、編集まで簡易な制作環境ができているということを紹介。世界初となる1台で8K映像の撮影、収録、再生、ライン出力が可能なシャープの8Kカムコーダー「8C-B60A」を中心に、シネマレンズや、SSDパック、ビューファインダーなどの周辺機器と組み合わせて、リアルタイムで8K映像を出力するデモを行なっている。

シャープの8Kカムコーダー「8C-B60A」などを使った撮影システム

さらに、同カメラで撮影した映像の編集には、グラスバレーの8K編集ワークステーション「HDWS 8K」や編集ソフトを使用することで8K 60pのHQX映像をストレスなく高速レスポンスで編集でき、8Kモニターに出力できることをデモしていた。

グラスバレーの編集機「HDWS 8K」など

テレビなどの8K機器を構成するデバイスとして、8Kテレビ用チューナーのフロントエンドや、8Kカメラ用のCMOSイメージセンサー、8Kテレビ映像処理用SoCなども紹介。チューナーのフロントエンドは、衛星用で量産中の「ダブルチューナー「BS2S7HZ0F01」のほか、地上/衛星両対応のトリプルコンボチューナー「VA4C7J2443」も展示している。

8Kテレビ用チューナーのフロントエンド

8Kテレビ用SoCは8K/120fpsやHDR対応で、広視野角補正機能なども含めて1チップに集積。9月より量産しており、テレビのAQUOS 8Kにも搭載されている。また、参考展示されたCMOSセンサーは4/3型で、8K/30fpsや4K/60fpsに対応する。

8Kテレビ用SoC
8Kカメラ用CMOSセンサー

新たなビジネス領域として映像配信ソリューションも紹介。撮影されたコンテンツをシャープのクラウドにアップロードして、オンデマンド配信できるというもので、現在は大阪の堺データセンターに映像を蓄積して試験を実施。映像は8K/60p映像の100Mbpsを配信可能で、映像だけでなく、定期的に更新するデジタルサイネージ向けコンテンツ配信などのBtoB向けへの活用も見込んでいる。

8K VOD配信のデモ
タブレットからコンテンツを選んで再生
5G通信を活用して8K映像3面を同期して配信する技術も紹介。

新たな活用提案としては、リアルな8K CG画像を手元の操作で様々な角度から見られる「リアルタイムレンダリング」を紹介。車のデザインなど、表面の細かい質感も映像を拡大して確認でき、手元のスマホを傾けることで任意の方向から見られる。

スマホを傾けてCG画像を様々な角度から眺める

「触れる8K」として、教育現場での活用も紹介。昆虫や植物などを、より近くから見られるという体験型学習を提案している。表面の細かい毛や、わずかな凹凸など、肉眼ではほとんどわからない実物の細かな質感も、8Kで確認可能。ハッセルブラッドの4億画素デジタルカメラで撮影し、多重合成により全体にフォーカスを合わせた画像を作成。画面をタッチして拡大/縮小するなど、見たい部分をより細かく見ることで、子供の好奇心を刺激して効果的な学習につながるという。これを絵画に応用することで、絵の細かいタッチなどを確認したり、解説文をオーバーレイで表示することなども可能。

昆虫の細かい部分まで映像で分かる
絵画の解説文などをオーバーレイで表示

そのほか、「簡単に作れる8Kコンテンツ」として、身近な布や葉っぱ、紙などをプリンターや複合機などにスキャンして拡大することで、見慣れたものから新たな発見をするといった例を紹介している。

コピー機を使って8Kコンテンツを作る

医療分野への活用も紹介。目的に応じた圧縮技術や伝送技術が必要とされており、低遅延/視覚上無損失(Visually Lossless)の圧縮技術により、手術補助などへの活用を見込む。伝送は8Gbpsとしており、光伝送設備の設置が難しい場所でも5Gで伝送可能だという。

8Kの医療用途へ提案

小型ディスプレイでは、新しい取り組みとして、“国内生産有機EL”のスマートフォン「AQUOS zero」を出展。さらに、自由に曲がるフレキシブル有機ELディスプレイのS字型、アーチ形も参考展示している。

AQUOS zero
フレキシブル有機ELディスプレイ
4K45型×4枚で90型8Kを実現するディスプレイの参考展示
音声対話型のサイネージ

テレビが予定を通知する「ココロカレンダー」などAIoT展示

同社ブースのもう一つの柱が「AIoTワールド」。液晶テレビAQUOSや、洗濯機、エアコンなどの家電のほか、電動シャッターなど住宅設備や、電気錠など家にある様々なものが連携し、AIを活用して連携するソリューションを紹介している。

テレビを軸にした新サービスとしては、11月17日よりスタートする「COCORO CALENDAR」を紹介。スマホ向けカレンダーアプリ「ジョルテ」と連携し、個人や家族のスケジュール管理に活用可能。AQUOSのリモコンから音声でスケジュールを登録でき、スマホアプリで外出先からのスケジュール確認や登録も行なえる。利用は無料。

「COCORO CALENDAR」のデモ。カレンダーに予定を表示

地域のイベント情報や自治体からの通知など、ジョルテが収集した全国約17,000団体から、住んでいる場所に合わせた情報をカレンダー形式でテレビに表示可能。イベントの前日や当日などに音声で通知することも可能で、テレビの前に立つと陣かんセンサーでテレビが起動。予定を読み上げてくれる。

新モデルのAQUOS 8Kだけでなく、Android TV搭載のAQUOSであればアップデートで対応可能になる予定。

テレビに近づくと自動で予定が表示され、音声で読み上げ
リモコンに「COCORO CALENDAR」ボタンも

「AIoTワールド」では、クラウド蓄電池やソーラー充電スタンド、電動シャッターなどのホームエネルギーソリューションや、機器のIoT化/音声対応を可能にするAIoTモジュールなどを展示している。

スマートホーム向けAIoTモジュールなどの展示