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Netflix「攻殻 SAC_2045」20年春配信、素子は田中敦子。今後配信のアニメ多数発表
2019年10月23日 12:02
Netflixは23日、今後配信を予定しているアニメのラインナップ発表会を開催。シリーズ初となるフル3DCGアニメ「攻殻機動隊 SAC_2045」の新ビジュアルや映像を公開。同作品が2020年“春”に配信スタートする事が明らかになったほか、公開された映像では素子が一言喋っており、その声は田中敦子さんが演じていた。
攻殻機動隊 SAC_2045以外にも多くの作品が配信される。入江泰浩氏が監督を務めるSFファンタジー「エデン」、小松左京氏のベストセラー小説を湯浅政明監督がアニメ化する「日本沈没2020」、Netflixオリジナルにて新たなシリーズが配信となる「斉木楠雄のΨ難 Ψ始動編」、島﨑信長氏、諏訪部順一氏、櫻井孝宏氏ら豪華声優陣が発表された「Levius」の5作品を中心に、各作品の詳細が発表された。
このように、Netflixのオリジナルアニメが増加しているが、アニメ制作の現場からは「ダイレクトに作品を発信できることは喜ばしいこと」と、好評だという。
Netflixではアニメ作品の増加だけでなく、制作環境の多様化にも取り組んでおり、「エデン」のように監督、プロデューサー、音楽など、スタッフが世界中に散らばっている作品も誕生しつつあり、「新しい環境での作品作りを進めている。これが来年に向けた取り組みの柱になる」(Netflixアニメチーフプロデューサー 櫻井大樹氏)という。
ファンからの反響も拡大。過去12カ月で、日本発のアニメ作品のNetflixユーザー視聴時間が90%以上増加、「ほぼほぼ2倍になっており、手応えを感じている。これを、さらに拡大できると考えている」(櫻井氏)とのこと。
攻殻機動隊 SAC_2045
「攻殻機動隊 SAC_2045」は、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」シリーズを手掛けた神山健治氏と、「APPLESEED」などの荒牧伸志氏、ダブル監督体制で制作されている3DCGアニメ。制作はProduction I.GとSOLA DIGITAL ARTS。
士郎正宗の漫画「攻殻機動隊」を原作とし、押井守監督の劇場版「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」や「イノセンス」、神山監督の「攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX」、黄瀬和哉監督の「攻殻機動隊ARISE」、「攻殻機動隊 新劇場版」に続く最新作となる。キャラクターデザインは、ロシア人イラストレーターのイリヤ・クブシノブが担当する。
Netflixアニメチーフプロデューサー 櫻井大樹氏は、神山健治×荒牧伸志のダブル監督体制について、「ULTRAMANでうまくハマったという手応えがあります。そこで確立したノウハウを、さらにパワーアップできるという見込みや、予測があったのだと思います。お2人は、新シリーズになっても“初めて(攻殻機動隊を)観る人を置いてけぼりにしない”という決意で作ってらっしゃいます。そして、前のシリーズを知っていたり、攻殻機動隊 SAC_2045で興味を持って前の作品に戻って視聴した時には、より面白く、相乗効果が出るものを目指そうと仰っています」とのこと。
日本沈没 2020
小松左京のベストセラー「日本沈没」を、Netflixのオリジナルアニメシリーズ化するのが「日本沈没 2020」となる。「DEVILMAN crybaby」などを手掛けた湯浅政明氏が監督。2020年に全世界独占配信予定。全10話構成。アニメーション制作はサイエンス SARU。
原作小説「日本沈没」は1973年に発表され、累計470万部のベストセラー。同年の実写映画は配給収入28.2億円を記録。2006年には、草彅剛、柴咲コウの出演で再映画化され、こちらも興収53.4億円のヒットを記録した。
この原作の初アニメ化に挑戦するのは、「夜は短し歩けよ乙女」、「夜明け告げるルーのうた」、「きみと、波にのれたら」、などで世界的な評価を受ける湯浅政明監督。「DEVILMAN crybaby」以来2度目となるNetflixオリジナルアニメシリーズとして、再びアニメ作品ならではのダイナミズム溢れる映像表現で、実写では描くことのできなかった未曽有の天変地異を描くという。
2020年の東京オリンピック直後の日本が舞台となるアニメ版では、これまでの映像作品では描かれることの少なかった“ごく普通の家族の物語”を通じて、“いま描かれるべき日本沈没”がリアルに迫ってくるという。
櫻井氏は「日本沈没 2020」に限らず、Netflixアニメの特徴として「ちょうどいい長さでまとめられる」という。従来のTVアニメは、本編の尺が約23分などと長さが決まっており、話数も13話が必要というパターンが多いが、配信であるNetflixはその枠にとらわれない。「無駄に13話を作らなきゃいけないという事もなく、作っている途中に話数を減らしたり、増やしたりという事もあります。本編の長さも、この話数はどうしても削れないので少し長くするといった事も、しょっちゅうあります」とコメント。クリエイターの“作りやすさ”に併せた柔軟性がある事も、特徴として説明した。
エデン
「エデン」は、「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」を手掛けた入江泰浩監督や、「カウボーイビバップ」のキャラクターデザイン・作画監督を務めた川元利浩ら、豪華スタッフによるオリジナルアニメシリーズ。配信は2020年秋の予定だ。
何千年もの未来を描いたSFファンタジーシリーズで、「エデン 3」として知られる街には、ずいぶん前に姿を消した主人が所有していたロボットたちだけが住んでいる。日常的な業務の中、2体の農業用ロボットは人間の女の子の赤ちゃんを起こしてしまう。
2体のロボットは、「人間は禁じられた古代神話以上の何者でもない」と信じるように教えられてきたことに疑問を持ち始め、エデンの外にある安全な場所でその女の子を密かに育てていく……。
監督は入江泰浩、ジャスティン・リーチがプロデュースを担当。キャラクターデザインは川元利浩。コンセプトデザインはクリストフ・フェレイラ。脚本は、「王室教師ハイネ」や「クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃」など様々なジャンルのアニメを幅広く手がける、うえのきみこが担当。クローバー・シェが背景美術監督を務める。音楽を担当するのは「メイドインアビス」のケビン・ペンキン。4エピソード構成で、アニメ制作をQubic PicturesとCGCGが手がける。
日本、中国、フランス、オーストラリア、台湾など、多くの国のスタッフやスタジオが参加して作られているのが特徴。櫻井氏は「(プロデュース担当の)ジャスティンに、“絶対に苦労する”と言ったのですが、結果的に各国のクリエイターが集まり、“面白い作品になっている”そうです。我々としても、彼の要望を実現できるようにサポートしています」と語る。
虫籠のカガステル
21世紀末、人が巨大な虫になる奇病「カガステル」が発症。“虫(カガステル)”は理性を失い、人を襲う。だが世界的に“虫”の“駆除”が認められたのは、世界人口の三分の二が喰い殺された後だった……。
カガステル発生から30年後の西暦2125年。人殺しと言われる無情な“駆除屋”の青年キドウは、“虫”の巣窟である“虫籠”に近い黄砂の地で絶命寸前の男を発見し、彼の娘を託された。その娘の名は、イリ。父の死の悲しみに打ちひしがれ動こうとしないイリの頬を叩くキドウ。この出会いが二人を、世界を変える。
原作は橋本花鳥の同名コミック。監督は千明孝一。アニメーションスタジオはGONZO。
「オルタード・カーボン」
NetflixオリジナルSFシリーズの実写作品(シーズン2が制作中)のスピンオフアニメ。同一の世界観で展開するが、その世界を拡張し、「誰もみたことのないまた新たな物語を生み出す」という。
脚本は、「カウボーイビバップ」「サムライチャンプルー」の佐藤大、近藤司が担当。アニメーションスタジオはアニマ。
Levius
「Levius(レビウス)」の配信開始日が、11月28日に決定した。緻密なタッチで、孤独な少年の繊細な心情と、人間と機械の融合バトルを描く中田春彌原作の人気コミックが原作。製作をポリゴン・ピクチュアズが手掛け、Netflixオリジナルアニメシリーズとして全世界独占配信される。総監督は瀬下寛之、監督は井手恵介が務める。
主人公レビウスを演じるのは、「Free!」シリーズの七瀬遙や、「バキ」範馬刃牙役といった幅広い主人公を演じてきた島﨑信長。超美男子であり暗い過去を持ちながらも、右腕に改造した義手をまとい、強敵に挑む少年・レビウスを、クールに熱く演じる。
心を閉ざしたレビウスを幼少期から支え、セコンドを務める伯父、ザックス役には諏訪部順一。ザックスの親友で、レビウスの義手をサポートする冷静な天才技師・ビル役は櫻井孝宏。ザックスとは対照的に、静かにレビウスを支える存在として描かれる。
そのほかにも、ザックスジムに居候し、レビウスをライバル視する機関拳闘士・ナタリア役に佐倉綾音、レビウスと戦うことになるベテラン機関拳闘士・マルコム役に大塚芳忠、巨大ジムの御曹司で機関拳闘のエリート・ヒューゴ役に小野大輔、レビウスの前に現れる謎の美少女役に早見沙織が決定。そして、超巨大企業アメジストの最高幹部で、謎の仮面の男・Dr.クラウン役を宮野真守が務めるといった、超豪華キャストが集結している。
発表会には、レビウス役の島﨑信長氏も参加。「非常にカッコいい作品。あらすじだけを読むと、レビウスに“孤高の戦士”のようなイメージを持たれるかもしれないが、天涯孤独の悲壮感より、彼を支えてくれる周りの人たちのあたたかさを感じる作品。父親代わりのザックスを含め、皆レビウスが大好きで、家族のように支えてくれます。“過保護”なアニメでもあります」と笑う。
一方で、バトル部分では「カメラが観客席の近くまで引いた映像でも、常に間合いをはかったり、キャラクターがメチャクチャ動いてる。ジャブの応酬、スピーディーに動き回るシーンなど、まるで本物の試合を見ているような気持ちになる。戦いにも魅せられるし、ドラマににも魅せられる。映像は常に最大限のクオリティです」と見どころを説明。
豪華なキャスト陣については、「まわりのキャストを聞いて正直ビビリました」と笑う。「この作品はプレスコで、先に声優の皆でラジオドラマのように芝居をして、そこにあとから絵を当てはめていくので、声優同士の掛け合いがより大事になります。お互いの想像力を駆使しながら、作り上げていく。“芝居している感じ”がとても強かった作品です」と振り返った。
斉木楠雄のΨ難 Ψ始動編
生まれつき超能力を持つ高校生・斉木楠雄の日常を描く、超能力(サイキック)コメディ。その新たなシリーズとして、「斉木楠雄のΨ難 Ψ始動編」が、Netflixオリジナルアニメとして2019年12月30日に全世界独占配信される。
高校生・斉木楠雄は超能力者である。テレパシー、サイコキネシス、透視、予知、瞬間移動、千里眼など、何でもかんでも自由自在。誰もがうらやむ最強の能力は、実は本人にとっては災難を呼ぶ不幸の元凶。それ故、人前では超能力を封印し、目立たず人と関わらずをモットーにひっそり暮らしていた。
しかし何故だか彼の周りには、いつも不思議な人間(生き物)が集まって、次から次へと嵐のように災難が降りかかるのであった!
発表会には斉木楠雄役・神谷浩史氏が登壇。監督が原作をリスペクトするあまり、原作のセリフを全部詰め込もう、セリフを全て尺内に入れようとするため、神谷さんは毎回高速で喋り続ける必要があり「非常にしんどい作品です(笑)。続編が決まり、またあのしんどいアフレコブースに戻らなきゃならないと思ったのですが、待ち望んでくれている皆さんの声援が大きくて、頑張ろうと思っています」と意気込みを語る。
しかし、シリーズを通してスピードのインフレが起こっているそうで、「先日、作品の第1話と、新シリーズの第1話を見比べたのですが、スピードがまったく違って、別のアニメかと思ってビックリしました。監督に騙されてると思いました」と笑う。
「とにかく、騙されたと思って観てください。ギャグアニメですが、真剣に作っているので、大人が観ても面白いと感じられると思います。そして信じられないくらいのスピードで1話、1話が消費され、“もっと観たい”という気持ちになるはずです。その感覚を楽しんでいただければ。そして第1話に戻って“なんでこいつらこんな遅く喋ってんの?”と思ってください」と、この作品ならではのユニークな楽しみ方をアピールした。