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総務省、NHK収支の赤字削減と受信料見直しを要求。4K8K放送の早期普及も

総務省は5日、NHKの令和2年度収支予算と事業計画、資金計画について総務大臣の意見を公表。事業収支差金について赤字を見込むことに対し、赤字幅の抑制と早期の黒字化を求めた。また、4K8K放送の普及に向けた取り組みの強化が必要との意向も示した。

NHKの事業収支差金(事業収入-事業支出の額)は、受信料の引下げや4つの負担軽減策の実施、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に関する放送・サービスの実施により赤字を見込んでいる。

この点について総務省は「やむを得ない面があるものの、今後も受信料の公平負担の徹底に向けた取組を進め、増収を確保するとともに、徹底的に支出の内容及び額を精査し支出の削減に取り組むことにより、赤字額をできる限り減少させるよう努めることを強く求める。さらに、事業の中で大きなウエイトを占める国内放送を含め業務全体を聖域なく抜本的に見直すことや予算編成の在り方も見直すこと等により、早期に事業収支差金の黒字を確保できるよう努めることを強く求める」としている。

特に受信料について踏み込んだ見直しを求めており、「繰越金の現状や、事業収支差金が年度当初の計画を大幅に上回る状況が続いていること等を踏まえると、『NHK経営計画2018-2020年度』に盛り込んだ平成30年度の受信料収入見込みの6%相当の還元にとどまらず、受信料額の適正な水準を含めた受信料の在り方について、既存業務の見直しの徹底とともに不断に検討していく必要がある」との見方を示した。また「未契約者及び未払者対策を着実に実施すること」など公平負担の徹底についても触れている。

4K8K放送については「早期かつ円滑な普及に向けて、引き続き、4K・8Kならではのコンテンツの制作や受信環境整備に資する取組を積極的に行なう」ことや、「東京2020大会に向けて、他の放送事業者、受信機メーカー等の関連団体・事業者との緊密な連携の下、視聴方法やサービス内容に関する国民・視聴者への情報提供を適切に行うことにより、公共放送の担い手としての先導的役割を果たすこと」を求めており、医療や教育など放送以外の分野での活用や海外展開の必要性についても言及している。

放送と同時の配信など「インターネット活用業務」に関しては、放送法第20条第10項第4号「業務の実施に過大な費用を要するものでないこと」を遵守しながら、1月に認可した実施基準に従い「適正な規模の下、節度をもって事業を運営するとともに、会計上の透明性を確保すること」や、民放との連携、災害時のインターネット同時配信の充実を求めている。

また、「NHKオンデマンド」を含む有料インターネット活用業務勘定の繰越欠損金が平成30年度末で約70億円となっているため、収支改善が必要との点にも言及している。