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JVCヘッドフォンでリアルなスピーカー音場。簡単な測定でマルチch
2019年1月16日 07:45
JVCケンウッドは、ヘッドフォンでもスピーカーで聴いているような自然な音場を実現する技術「EXOFIELD(エクソフィールド)」の新たな展開を「CES 2019」において紹介。ユーザー個人の特性の合わせる測定作業を簡単に行なえる方法の開発を進めており、2019年の提供開始を目指している。
EXOFIELDは、ヘッドフォンで聴いた時に、頭の中ではなく外側の広い音場で聴こえるようにする頭外定位音場処理技術。ユーザーに合った聴こえ方を実現するための個別測定作業をビクタースタジオで行ない、その効果を忠実に再現するヘッドフォン「HA-WM90」、ポータブルアンプなどもセットにした「WiZMUSIC90」としてサービスを提供している。
今回紹介しているのは、このうち測定の部分を、ユーザーが自宅などでも行なえるように簡略化する技術。従来はスピーカーを置いたスタジオ内で測定するHRTF(頭部伝達関数)とヘッドフォン装着時のECTF(外耳道伝達関数)の両方を測定する必要があったが、新たにヘッドフォンでECTFのみを測定し、その結果をもとに、同社が持つこれまでの測定データから適したものをクラウド上のデータベースから適用し、その人に合った聴こえ方を提供できるという。
デモでは、聴診器のような見た目の装置を耳穴に入れた上からヘッドフォンを装着してテスト。スピーカー不要のため、それほど広い部屋でなくても測定でき、テスト音声が聞こえたと思ったらもう終了した。実際の測定時間は3秒ほどだという。
従来はステレオだったが、新たにマルチチャンネルの再生にも対応。今回は7.1ch再生でデモを体験。頭の前方や左右など、広い音場で音が鳴っているのがわかる。実際は外から出ているのではと疑ってヘッドフォンを外してみたが、やはり音は聴こえず、ヘッドフォンだけで自然な音場を再現しているのを確認した。
「クラウド上のデータから適用する」というのは、よく似た他人のデータをそのまま使うのではなく、数多くある特性の“パーツを組み合わせて、その人専用に創り上げる”とのこと。
今回は測定用の機材とヘッドフォンの2つを装着する形だが、製品化の際には、マイクをヘッドフォンに内蔵するなど、自宅で簡単に測れるようにするという。
マルチチャンネルに対応したのも特徴で、ユーザーのターゲット層を拡大。普段はテレビとサウンドバーを使っているが、本当はマルチチャンネルで映画などを楽しみたい人や、夜中はフルボリュームで楽しめない人なども想定している。
当初はコンシューマー向けを想定しているが、専用回路やチップなどの開発により、将来的にはBtoBも想定。飛行機の中のエンタメシステムや、VRのシミュレーターなどでの活用も見込んでおり、既存のノイズキャンセリング技術とも併用可能だという。
音声ソースは、チャンネルベース/オブジェクトベースは問わず、Dolby Atmos音声向けにも開発を進めているとのこと。「市場にある音楽フォーマットの全てに対応できる」としている。
NCヘッドフォンなど新製品披露
今後発売予定のヘッドフォンや、カーナビ/オーディオなども展示。「HA-S65BN」はノイズキャンセリング(NC)対応のBluetoothヘッドフォンで、音声アシスタントの呼び出しにも対応。バスブースト機能も備える。着脱式のケーブルが付属。BluetoothとNC併用で11時間、Bluetoothのみで16時間動作する。
「HA-FX65BN」は、NC対応のネックバンド型Bluetoothイヤフォン。音声アシスタントの呼び出しにも対応する。ドライバは9.1mm径。BluetoothとNC併用で5時間、Bluetoothのみで8時間動作する。IPX4防水対応。絡みにくいフラットケーブルを採用する。ヘッドフォン/イヤフォンともに3月発売予定で価格は99ドル。