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マランツ新世代AVアンプ「CINEMA 50」。Hi-Fiと同じHDAM-SA2搭載

CINEMA 50

マランツは、同社AVアンプ全体を刷新。新世代のマランツデザインを採用するほか、機能や音質も現在の最新ニーズを踏まえたものにした「CINEMA」シリーズを展開。その第一弾として「CINEMA 50」を12月上旬に発売する。価格は286,000円。カラーはブラック。

同日には、同じCINEMAシリーズの薄型モデル「CINEMA 70s」も発表されている。こちらは別記事で紹介する。いずれのモデルも、既存AVアンプの後継機種ではなく、新たに企画・開発されたモデルとなる。

「CINEMA」シリーズの位置付けとロードマップ

ピュアオーディオとして2020年に発売した「MODEL 30/SACD 30n」や、2022年の「MODEL 40n」と同様に、新世代マランツを象徴する筐体デザインを採用。シンメトリーやポートホールなど、マランツの伝統的なデザイン要素を継承しつつ、現代的に再構築。様々なスタイルのインテリアに調和しやすいデザインになっている。

CINEMA 50
インテリアとのマッチングも追求したデザイン

また、このタイミングでフロントパネルだけでなく、トップカバーやシャーシを構成する鋼板の形状、各部を固定するネジの太さや本数に至るまで刷新。ビルドクオリティが大きく進化した。側面のネジはM4サイズで、よりしっかりと固定する事で剛性を高めている。

フロントに搭載したディスプレイは従来のFL管から、モノクロの有機ELになり、よりきめ細かな表示が可能になり、視認性は向上。一方で、フロントパネルのすぐ近くにパワーアンプが配置されているため、音への影響を抑えるための処置として、フロントパネルの裏にはシールドを配置した。

フロントパネル背面のシールド

インシュレーターも、肉厚のリブが入った楕円形になり、平行面を無くしたものになっている。

インシュレーターも刷新

オブジェクトオーディオのDolby Atmos、DTS:Xに対応。9chのパワーアンプを搭載しているため、CINEMA 50だけで5.1.4ch、7.1.2chのシステムを構築可能。さらに、2chパワーアンプを追加すると、5.1.6ch、または7.1.4chまで拡張できる。

ソースにハイトスピーカー信号が含まれていない場合でも、Dolby SurroundやNeural:Xを使い、3Dサラウンドへアップミックス再生できる。

さらに、IMAX EnhancedとAuro-3Dにも対応。さらに、360 Reality Audioもサポート。MPEG-4 AACのステレオ、5.1chにも対応しているため、4K/8K放送のサラウンドサウンドも再生できる。

9chのパワーアンプは、パーツ1つ1つの選定や、回路設計の自由度が高いフルディスクリート・パワーアンプを採用。上位機に用いられる高音質パーツを多数投入しており、より高解像度で情報量豊かなHi-Fiサウンドを実現したという。

パワーアンプ基板は、肉厚なアルミ押し出し材を使ったヒートシンクに、2分割して取り付けており、放熱性に優れ、振動にも強い構造とした。最大出力は220W(6Ω/1kHz/THD 10%/1ch駆動)で、低能率なスピーカーも余裕をもってドライブできるという。接続するスピーカーのインピーダンスは4~16Ωに対応。

サラウンドバックやハイトスピーカーを使わない場合は、フロントをバイアンプ駆動する事も可能。2組のフロントスピーカーを切り替えて使うこともできる。

電源回路にも、リスニングテストで厳選した高音質パーツを投入。回路に電源を供給するブロックコンデンサーには、CINEMA 50専用に開発された12,000μF×2のカスタムコンデンサーを採用。電源トランスにも大型のEIコアトランスを使い、大音量再生時でも、余裕を持った電源供給が可能という。電源部の強化とともに、パワーアンプなどの周辺回路の細部まで、音質チューニングを徹底。「きめ細かく表情豊かな音色と透明感がより高くより深い奥行きを感じさせる空間表現力を実現した」という。

プリアンプ部には、マランツ独自の高速アンプモジュールである「HDAM-SA2」を採用。広帯域にわたり、フラットな周波数特性とハイスルーレートを実現しているのが特徴。

また、今までもHDAMを搭載したAVアンプは存在したが、それらのモデルのHDAM回路は、Hi-FiアンプのHDAMと、まったく同じ回路ではなかった。しかし、CINEMA 50ではHi-Fi用と同じHDAM-SA2回路を搭載している。

中央の小さなパーツが大量に取り付けられているのが「HDAM-SA2」部分

11.4chのプリアウトも装備。ハイトスピーカーの追加や、パワーアンプの強化などが柔軟に行なえる。

また、使用しないパワーアンプを信号ラインから切り離し、高品位なプリアンプとして使う「プリアンプモード」も搭載。従来は9chのアンプを全て使うか、使わないかしか選ぶことができなかったが、CINEMA 50ではチャンネル毎に、個別にON/OFFが設定できるようになった。

独立した4系統のサブウーファープリアウトを備えているのも特徴。それぞれのサブウーファーに、音量レベルとリスニングポイントまでの距離を個別に設定できる。マニュアル設定に加え、Audyssey Sub EQ HTを使った自動設定も可能。

4系統のサブウーファー全てから同じ音を再生する「スタンダード」と、各サブウーファーの近くにある「小」に設定されたスピーカーの低音を再生する「指向性モード」から、動作を選べる。なお、指向性に設定した場合は、Audyssey Sub EQ HTは機能しない。

デジタル部では、DSPやネットワーク、USBなどのデジタル回路への電源供給に、専用のトランスを使用。アナログ回路との相互干渉を排除している。また、デジタル電源回路の動作周波数を通常の約3倍に高速化することで、スイッチングノイズを可聴帯域外へとシフトさせている。

スピーカーターミナルはスクリュー式で、全チャンネル同一のものを採用。バナナプラグにも対応。全ての端子を水平に配置する事で、簡単にケーブル接続ができるという。

専用マイクを使い、部屋の音響特性を測定し、ルームアコースティックを最適化する「Audyssey MultEQ XT32」を用意。Audyssey MultEQ XTと比べ、32倍のフィルター解像度で補正する。有料のアプリを用いて、より詳細な調整も可能。

また、有償でのアップデートとなるが、Dirac Liveにも今後対応予定。周波数特性だけでなく、部屋の反射やスピーカーの位置ずれに起因する音の遅延についても測定・補正するもので、2023年にファームウェア提供が予定されている。

複数のリスニングポイントに対して、マイクによる測定データから最適な補正結果を導き出したり、広いエリアのスイートスポットを実現できるという。

HDMI入力は6系統、出力は2系統。8K/60Hz、4K/120Hz映像のパススルーにも対応する。また、全てのHDMI端子がHDCP 2.3に対応する。HDR映像は、HDR10、ドルビービジョン、HLGに加え、HDR10+とDynamic HDRにも対応する。

さらに、eARCにも対応。HDMI 2.1の新機能であるALLM、VRR、QFTもサポートする。8Kや4Kへのアップスケール出力も可能。

HEOSのネットワークオーディオ再生も可能。NASやUSBメモリーに保存したDSDファイルやハイレゾファイルも再生でき、DSD 5.6MHz、PCM 192kHz/24bitまでサポート。Amazonアレクサにも対応。Bluetooth受信や、AirPlay 2にも対応。Bluetooth送信も可能で、夜間に映画の音をBluetoothヘッドフォンで聴く事もできる。

ワイドバンドFM対応のFM/AMチューナーも内蔵。MMカートリッジ対応のPhono入力も備えている。

Marantz AVR Remoteアプリをスマホやタブレットにインストールし、操作や設定が可能。

イラストなどをふんだんに使ったセットアップアシスタントを搭載。セットアップメニューも進化しており、テキストや画像の解像度がアップ。視認性を高めたほか、デザインもより洗練されたものになった。

リモコンには4つのスマートセレクトボタンを備え、入力ソースや音量レベル、サウンドモードの設定を登録可能。ボタンを押すだけで、登録した複数の設定を切り替えられる。付属リモコンは自照式になった。

付属リモコンは自照式

HDMI以外の端子は、音声入力がアナログ×5、Phono×1、光デジタル×2、同軸デジタル×2。音声出力が11.4chプリアウト×1、ゾーンプリアウト×1、ヘッドフォン×1。他にも、LAN端子やマランツリモートバス、フラッシャー入力、DCトリガー出力などを備えている。

消費電力は680W。外形寸法はアンテナを寝かせた状態で、442×404×165mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は13.5kg。