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真空管サウンドも楽しめるAKデスクトップオーディオ。超小型フルバランスDAP

Astell&Kernの「ACRO CA1000T」

フジヤエービック主催の「冬のヘッドフォン祭mini 2023」が2月11日に中野サンプラザで開催。ここではアユートやMUSINなどのブースをレポートする。

アユート

アユートブースでは、Astell&Kern、Maestraudio、qdcの新モデルを一挙に展示している。

Astell&Kernの「ACRO CA1000T」

Astell&Kernの「ACRO CA1000T」(2月18日発売/369,980円)は、ヘッドフォンアンプとDAP機能を一体化した製品で、2022年1月に発売した「ACRO CA1000」の後継機。

ESSの最新フラッグシップ8ch DACで、ステレオハードウェアMQAレンダラーを内蔵した「ES9039MPRO」を世界初採用。さらにLR独立したデュアルDAC構成で搭載している。内蔵バッテリーを使った独立駆動も可能で、好きな場所に設置できる”キャリアブル”なスタイルも特徴。

768KHz/32bitまでのPCM、DSD 512(22.4MHz/1bit)、MQA 16Xフルデコーダーに対応。光デジタルでのMQA音源の入出力も行なえる。

ヘッドフォンアンプ部は、高感度イヤフォンから駆動の難しいヘッドフォンまで幅広くドライブできる4段階のゲイン調整を搭載し、最大15Vrmsの高出力を実現した。推奨ヘッドフォンインピーダンスは32~600Ω。

さらに、デュアルトライオード真空管「KORGNutube」を2基使用したデュアルTubeによるフルバランス回路と、OP-AMPモード、TUBE-AMPモード、その両方を使用したHYBRID-AMPモードを選択できる「トリプルアンプシステム」を搭載。音の違いが楽しめる。

Astell&KernのHi-FiポータブルUSB DACシリーズ第3弾「AK HC3」(2月10日発売/30,980円)
Astell&Kernのハイレゾ対応ポータブルUSB-DAC「AK HC2」の限定カラーモデル「AK HC2 Midnight Blue」(2月10日発売/29,700円)。「音楽の疾走感をイメージした」というカラーで、AKのシンボルロゴをマーキングしたオリジナルデザイン

Maestraudioからは、グラフェンコートダイナミックドライバーに、セラミックオーディオテクノロジーによる新発想のパッシブ型ツイーター「RST」、音響補正デバイス「HDSS」を搭載した人気イヤフォン「MA910S」の派生モデルとして、4.4mmバランス接続対応モデルを参考出品している。

イヤフォンのカラーは既存のMA910Sとは変わる予定。価格は15,000円を切る予定で、バランス対応イヤフォンとしてリーズナブルなモデルになる見込みだ。

さらに、リケーブル対応モデルも参考出品されている。

「MA910S」の4.4mmバランス対応モデル
「MA910S」のりケーブル対応モデル

qdcから「Folk」(フォーク)というイヤフォンが参考出展。ダイナミック型×1、BA×1、平面駆動型×1の構成で、モデル名は「フォークソング」に由来。温かみのあるサウンドチューニングになっているという。価格は未定だが、6万円強になる見込み。

qdc「Folk」

SHANLING & iBasso Audio

MUSINのブースでは、SHANLINGとiBasso Audioの最新モデルを紹介。

SHANLING「EC3」

SHANLINGからは、CDプレーヤーでありながらBluetoothレシーバー、デジタル・オーディオプレーヤーにもなる「EC3」という製品を参考出品。CDプレーヤーとしてはトップローディングタイプで、卓上にも置けるコンパクトな筐体になっているのが特徴。

前面にディスプレイを備え、Bluetoothレシーバーとしてスマホなどからの音楽を受信・出力可能。USBメモリー内の音楽ファイルを再生する機能も備え、アクティブスピーカーと組み合わせたり、SHANLINGのポータブルヘッドフォンアンプなどとの組み合わせも訴求している。

SHANLING「M0Pro」

小型DAP「M0」から、USBトランスポート機能や、2ウェイBluetoothなどの仕組みを継承しつつ、フルバランスオーディオ回路を搭載したのが「M0Pro」。

サイズ感はコンパクトなまま、ESSの「ES9219C」DAC/AMPをデュアルで搭載し、音質や出力を向上させている。また、Bluetoothが5.0へアップデートし、最新のBluetoothヘッドフォンとの互換性を確保し、接続性も高めている。

別売の変換アダプタケーブル

オリジナルの3.5mmで5極の端子を採用しており、別売の変換アダプタケーブルを使うことで、4.4mmのバランス出力にも対応する。「M0Pro」自体は2万円台を想定、変換アダプタケーブルは2,000円程度で同時期にリリース予定。

「H7」

「H7」は、ハイエンドDACアンプで、USB DACやBluetoothレシーバーとしても使用可能。SDカードスロットも装備し、ローカルファイルも再生できる。1月31日に発売したばかりで、価格はオープンプライスで、実売は110,000円前後。

第3世代ヘッドフォン「SR3」

iBassoからは、2月17日に発売する新製品が一挙に登場。テスラ磁気回路を搭載した開放型ヘッドフォン・SRシリーズの第3世代モデル「SR3」オープン(店頭予想価格90,000円前後)、新作のダイナミック型イヤフォン「IT05」オープン(同50,000円前後)、DX300/DX320用アンプカード「AMP14」オープン(同40,000円前後)というラインナップ。

「SR3」は「バイオセルロース・ダイヤフラム」「シリコン・サスペンション」「テスラマグネティックデザイン」など、独自技術を踏襲しながらも、従来のSRシリーズから更なる音楽体験の向上を追及した。

強力な磁束によってダイヤフラムをよりパワフルに駆動することができる、テスラ磁気回路を引き続き搭載。ダイヤフラム一体を均一に駆動させることで、共振や歪みの発生を抑え、ノイズレスでクリーンなサウンドを可能にした。

ダイナミック型イヤフォン「IT05」

ダイナミック型イヤフォン「IT05」は、テスラ磁気回路と、11mm径のダイナミックドライバーを組み合わせた有線イヤフォン。

金属の中でもトップクラスの硬度を誇る「クロム」をダイヤフラムに使用。密着強度の強さや高い成膜レートを持つ、マグネトロンスパッタリングという薄膜形成技術でナノダイヤフラムを形成することで、応答性能と駆動性能の向上を実現。透明感のある繊細表現力と煌びやかな高域表現を可能にした。

DX300/DX320用アンプカード「AMP14」も試聴できる

さらに、iBassoからは小型のUSB DACアンプ「DC04PRO」も参考出品。DACチップはCS43131を2基、オペアンプはRT6863×2基を内蔵。USB-C接続で、出力端子は3.5mmのシングルエンドと4.4mmのバランスに対応する。

USB DACアンプ「DC04PRO」

Acoustune/MADOO

HS2000MX SHO -笙- MKII

ピクセルのブースでは、Acoustuneブランドのフラッグシップイヤフォン「HS2000MX SHO -笙-」のバリエーションモデルとして、2月10日から発売している、音響チャンバーユニットやハウジングカラーを変更した「HS2000MX SHO -笙- MKII」を紹介。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は277,780円前後。

ベースモデルのHS2000MX SHO -笙-は、独自のダイナミックドライバー技術を基軸とするAcoustuneが、過去の製品で培った技術と知見を、最新の設計思想をもとに、これまでの量産品では採用をやむを得ず諦めていた新素材、技術を投入して作り上げたフラッグシップモデルとして、2021年11月に発売された。

MK IIは、そんなフラッグシップモデルの開発初期段階を彷彿とさせるレッドとグレイのコンビネーションカラーに加え、OFC(無酸素銅)製のチャンバーボディを採用したACT05を搭載する。

新音響チャンバーユニットのACT05では、振動板に実績のある日本製ベリリウム薄膜加工ドーム採用ミリンクスコンポジットドライバーを採用するとともに、CNC切削OFCを試用した音響チャンバーボディとの組み合わせで、音響チューニングが最適化された。「これまで採用したチューニングの低音域ピークをさらに下げ、音場の横幅だけではなく奥行きの深さも演出し豊潤な音楽を奏でる」という。

MADOO「Typ820(仮称)」

シングルダイナミックドライバーを追求するAcoustuneに対して、それ以外のドライバー構成を追求するMADOOからも新イヤフォンが登場。現在開発されている「Typ820(仮称)」で、ユニット構成などは非公開だが、500、700シリーズで経験重ねたマイクロプラナードライバーを基軸にしつつチューニングを続けているという。

このマイクロプラナーは「HDプラナー」と名付けられたもので、通常のイヤフォン向け平面駆動型ドライバーは、振動板の前にマグネットを備えているが、HDプラナーは前後にマグネットを配置。ヘッドフォン用の平面駆動型ドライバーと同じような構成を、イヤフォンでも実現するものだという。

左にあるのが「HDプラナー」ドライバー

外観デザインも今までと変化。外側のハウジングが四角ではなく、八角形になり、よりメカニカルな見た目になっている。展示品とは異なり、製品版では筐体のベース部分がチタンになる予定。価格は未定だが、18~20万円程度のイメージだという。

LUXURY & PRECISION

LUXURY & PRECISIONの新DAP「E7」

LUXURY & PRECISIONの新DAP「E7」を参考出品している。大きな特徴は、DACモジュールを交換できる事と、艶や余韻などを表現する倍音成分を復元する機能を備えている事。

標準では旭化成エレクトロニクスの「AK4497EQ」を2基搭載したモジュールを内蔵しているが、今後登場する別のモジュールに交換する事で、音のグレードアップなどが楽しめる。

さらに、従来機よりも高性能なMCUを搭載した事で、サクサクとした動作に磨きをかけているほか、高周波帯域の倍音成分を復元し、音楽の艶などを再現する機能も搭載。価格は未定だが、60万円前後のイメージだという。

AROMA Audio

オペアンプが交換可能なBluetoothアンプ「AIR」

デッラルテのブースでは、AROMA Audioの新製品として、オペアンプが交換可能なBluetoothアンプ「AIR」を紹介している。2月末日発売予定で、価格は93,500円を予定。

8モードデジタルフィルター内蔵で、オペアンプの交換できるのが特徴。ユーザーが音のカスタマイズを楽しめる。DACチップは「ES9038Q2M」を搭載。コーデックはSBC、AAC、aptX、aptX LL、aptX HD、LDACをサポート。

裏蓋を開けたところ。オペアンプを交換できる

出力端子は、3.5mm/4.4mm/2.5mmを搭載。サポートインピーダンスは16~600Ω。シングルエンドでの出力は、50mW@32Ω、120mW@300Ω、60mW@600Ω。バランスでの出力は、50mW@32Ω、400mW@300Ω、240mW@600Ω。

連続再生時間は8時間。外形寸法は、69×121×30mm(幅×奥行×高さ)。重量は190g。レザーケース、オペアンプ交換ピンセットが付属する。