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マランツ、HDMI×6、HDAM-SA2、ネットワーク再生も搭載の2chアンプ「STEREO 70s」

「STEREO 70s」シルバーゴールド

マランツは、HDMI搭載の2chアンプ新モデルとして、HDMI入力を6系統搭載し、プリ部に独自のHDAM-SA2回路も搭載した「STEREO 70s」を10月下旬に発売する。価格は143,000円。カラーはブラックとシルバーゴールド。

HDMI対応の2chアンプ市場を切り開いた2019年10月発売の「NR1200」(116,600円)は併売する。STEREO 70sの位置づけとしてはNR1200の上位モデルであり、「MODEL 40n」(286,000円)の下位モデルとなる。

「STEREO 70s」ブラック

外観的としてはNR1200と異なり、STEREO 70sはマランツの新世代デザインを採用している。機能・音質面では、NR1200が4Kまでの対応だったHDMIが、STEREO 70sでは8Kまでサポート。HDMI入力も5系統から6系統に増加。HDAM-SA2回路も搭載し、HDMI ARCの高音質化技術も投入されている。

「STEREO 70s」と「NR1200」の主な違い

マランツ独自の「HDAM-SA2」を搭載

音質面の最大のトピックは、プリアンプ回路に、マランツ独自の高速アンプモジュール「HDAM-SA2」を用いた電流帰還型回路を採用している事。繊細かつ情報量の豊かなサウンドを実現したという。

プリアンプ回路は独立した専用基板にレイアウトし、入力セレクター、ボリューム、出力セレクターそれぞれの機能に特化した高性能カスタムデバイスを採用する事で、信号経路を最短化。不要な信号経路の引き回しを排除するショートシグナルパスにより、「透明感が高く、瑞々しいサウンドを実現した」という。

プリアンプ回路は独立した専用基板にレイアウト

マランツのサウンドマスター・尾形好宣氏は、HDAM-SA2について「音楽的な表現を強化するために搭載した。マランツの目指すサウンドの実現のために重要な回路であり、ボーカルの実在感や肉付き、ニュアンスやボーカルの余韻などの響きの豊かさ、そういった部分に効いてくる回路です」と説明。

中央の黒い部品が並んでいる部分がHDAM-SA2

筐体は高さ109mmのスリムだが、定格出力75W(8Ω)のフルディスクリート・パワーアンプを搭載。オペアンプを使わないディスクリート構成としたことで、回路設計やパーツ選定の自由度が高く、Hi-Fiアンプと同様に徹底した音質チューニングを行なえたという。

尾形氏は、「使っているシャーシ自体はAVアンプのCinema 70sと同じものだが、AVアンプでは同じパワーアンプが7個ならぶところに、STEREO 70sはLR、2chの専用アンプとして作り直している。歪みを抑えるために回路にも改良を行ない、1kHzでは10dB以上の低歪化を実現した」という。

パワーアンプ回路初段にはデュアルトランジスタを投入。定電流源の追加や、上級機でも用いられる高音質パーツを多数採用することで、より高解像度で情報量の豊かな、Hi-Fiサウンドになったという。

電源部にも、リスニングテストによって厳選された高音質パーツを使用。パワーアンプ回路に電源を供給するブロックコンデンサーには、STEREO 70s専用にサプライヤーと共同開発した6,800μFのカスタムコンデンサーを2基搭載。電源トランスにも大型のカスタムEIコアトランスを採用することで、高品位で安定した電源供給を実現した。

STEREO 70s専用にサプライヤーと共同開発した6,800μFのカスタムコンデンサー

DSPやネットワーク、USBなどのデジタル回路への電源供給には専用のトランスを使用し、アナログ回路との相互干渉を排除。デジタル電源回路の動作周波数を通常の約3倍に高速化してスイッチングノイズを再生音に影響の及ばない可聴帯域外へシフトさせている。

シールドにより回路間のノイズの飛び込みを抑え、電源ラインに流入するノイズはデカップリングコンデンサーを用いて除去。コンデンサーの品種や定数は、尾形氏が試聴を繰り返しSTEREO 70sに合わせて最適なものを選定。特に、デジタルオーディオ回路に使用する小容量コンデンサーには、音質対策用の高性能な導電性高分子コンデンサーを多数投入している。

また、基板やシャーシを固定するビスやワッシャーの、音質に重要な部分には銅製のものを使うなど、様々なノウハウを用いて音質をまとめている。スピーカーターミナルはスクリュータイプで金メッキ仕上げ。2系統の端子を備えており、バイワイヤリング接続や、2組のスピーカーを切り替えての使用が可能。

基板やシャーシを固定するビスやワッシャーの要所には、銅製のものを使っている

2.2chプリアウトも備えているため、外部パワーアンプの追加による音質向上や、サブウーファーの追加も可能。

HDMI ARCの音質にもこだわる

HDMIは6入力、1出力を装備。入力3系統、出力1系統が8K/60Hz、4K/120Hz信号のパススルーに対応。HDR10、Dolby Vision、HLGに加え、HDR10+、Dynamic HDRにも対応する。

HDMI ARCにも対応。192kHz/24bitまでのリニアPCM(2ch)の入力が可能で、テレビ放送や動画配信サービス、Blu-rayの映画などの音声も再生できる。

HDMI ARCの音質にもこだわっており、HDMIケーブルを通して伝送されるオーディオ信号を、HDMIインターフェースデバイスを介さずに、直接デジタルオーディオセレクター(DIR)に入力。デジタルオーディオ回路の電源の強化や低ノイズ化、グラウンドの強化などの音質チューニングにより、「他のデジタル入力同様の高音質を実現した」という。HDMIコントロール機能(CEC)にも対応し、HDMI接続したテレビと電源ON/OFFを連動させたり、テレビのリモコンでSTEREO 70sの音量を調整できる。

HDMI 2.1の新機能であるALLM(Auto Low Latency Mode)、VRR(Variable Refresh Rate)、QFT(Quick Frame Transport)に対応。8Kアップスケーリング出力や、HDMIスタンバイパススルー機能も備えている。

ネットワークオーディオ機能として、最新モジュールのHEOSを搭載。音楽ストリーミングサービスやインターネットラジオ、LAN内のNASなどに保存した音楽ファイル、USBメモリーに保存した音楽ファイルを再生可能。

配信サービスはAmazon Music HD、AWA、Spotify、SoundCloudなどをサポート。音楽ファイルは、DSDが5.6MHzまで、PCM系は192kHz/24bitまで対応。

AirPlay 2、Bluetoothもサポート。Bluetooth送信機能も搭載し、再生中のサウンドを、ユーザーが持っているBluetoothヘッドフォンなどにワイヤレス伝送できる。新たにBluetoothヘッドフォンの音量操作にも対応しているため、Bluetoothヘッドフォン/イヤフォン側に音量調整機能なくても、STEREO 70s側で音量調整できる。

MMカートリッジ対応のPhono入力も装備。フォノイコライザーを内蔵していないレコードプレーヤーを直接接続して手軽に楽しめる。ワイドFM対応のFM/AMラジオチューナーも搭載する。

付属リモコンも新デザインで、バックライト付き。HDMI以外の端子として、音声入力端子はアナログRCA×3、Phono(MM)×1、光デジタル×1、同軸デジタル×1を装備。音声出力は2.2chプリアウト×1、ゾーンプリアウト×1、ヘッドフォン×1。消費電力は210W、外形寸法は442×386.5×109mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は8.4kg。

背面
付属リモコンも新デザイン