レビュー

HDMI付きで超便利、TVもゲームも高音質で78,000円の新時代2chアンプ、マランツ「NR1200」

突然だが、「HDMI付きの2chアンプが欲しい」と思った事はないだろうか? 私はある。理由は、ゲーム機やFire TVなど、HDMIで接続する機器が部屋の中で増殖中だからだ。「HDMI付きアンプならAVアンプでよくね?」と言われるかもしれないが、巨大なAVアンプを置くスペースは無いし、背後や天井にスピーカーを置く予定もないから“2chで十分”と考えている人も多いハズだ。

今回紹介するマランツの「NR1200」

AVアンプより小さく、薄く、置きやすい。欲を言えば安いといい。ゲーム機は何台もあるから、HDMI入力は沢山欲しい。そんな“イマドキなニーズ”にマッチする「HDMI付き2chピュアオーディオアンプ」が登場し初めている。中でも注目は、ピュアオーディオの老舗メーカー、マランツから10月中旬に登場する「NR1200」だ。価格は78,000円。

型番やフォルムを見て「マランツの薄いAVアンプと似てるな」と思ったあなたは鋭い。実は、同じ筐体を使った薄型7.1ch AVアンプ「NR1710」(90,000円)というモデルが、「薄くて安くて音が良い」と、AVアンプ市場で人気になっている。

「という事は、7.1chの“NR1710”から、5chアンプを抜いて、2chにしたのが“NR1200”なのか」と思ったあなた、残念ながらそうではない。この“そうではない”部分がNR1200最大の特徴だ。あとで詳しく紹介するが、結論から言えば「NR1710の筐体が良く出来ているので流用してコストを浮かせ、中身は浮いたコストを投入して、ガチな2chピュアオーディオアンプを一から作った別物」がNR1200だ。

「NR1200」

それでいて、価格はNR1710の9万円に対し、NR1200は78,000円と安い。HDMIは5入力も搭載。HEOSのネットワークオーディオ再生や、Bluetooth送受信機能、Amazon Alexaによる音声コントロール対応、さらに最近スタートしたばかりの高音質配信「Amazon Music HD」まで対応している。いろいろ情報量が増えてきたが、要するに「HDMI入力付きの2chアンプが欲しいと思ってた人には見逃せない機種が登場した」ということだ。

なぜHDMI入力付き2chアンプを作ったのか?

それにしても、既に薄型AVアンプの人気モデルを発売しているマランツが、わざわざHDMI入力付き2chアンプを作ったのか? 大きく2つ理由がある。

薄型AVアンプ「NR1710」ユーザーにおける、2chアンプとしての使用率はなんと26%。同価格帯大型アンプの7%と比べると、違いは歴然

1つは「ユーザーニーズ」だ。実は、マランツの薄型AVアンプはメチャ売れており、AVアンプの全カテゴリで市場シェアナンバーワンを獲得(GFKデータより)している。音がいいとか安いとかいろいろ理由はあるが、一番のキモは、“巨大なAVアンプより手軽に導入できる”点だ。その証拠とも言えるが、NR1710のユーザーが“スピーカーを何個接続しているか?”というデータを見ると、なんと2ch、つまりステレオスピーカーだけ繋いでいる人が26%にも及ぶ。同価格帯の大型AVアンプでは7%なので、この差は歴然だ。

つまり、「AVアンプだけど、スピーカーは2chで、カジュアルに使っている人が多い」というわけだ。この2chスピーカー利用層に向けてより特化して作られたのが「NR1200」と言える。

薄型AVアンプ「NR1710」

もう1つは「製品が置かれる“売り場”」が理由だ。例えば、「HDMI付きの2chアンプって無いのかな?」と、Hi-Fiオーディオ売り場に足を運んでも、AVアンプはそこに無く、ホームシアター売り場に行かないとNR1710と出会わない。ならばHDMI付きのステレオアンプを作って、Hi-Fiアンプのクオリティと、HDMI機器を沢山繋げる利便性の高さが欲しいという新しいユーザーニーズに応えよう、と考えて⽣まれたのが「NR1200」なのだ。

当然、AVアンプであっても、Hi-Fiアンプであっても「マランツブランドとして、製品に対する“音のポリシー”は変わらない」という。しかし現実的にはやはり、Hi-FiアンプとAVアンプでは、「開発時にやることも、アプローチもまったく違う」という。つまり、“最初からHi-Fiアンプとして作られている”事が、NR1200の特徴と言える。

では、どんなところが“Hi-Fiアンプらしい”のか、筐体は前述の通り高さ105mmと薄型で、NR1710のものを流用している。内部には巨大なヒートシンクが左右に横断しており、これは放熱・冷却と同時に、筐体の剛性を高める役目も果たしている。

AVアンプであれば、このヒートシンクに小さなアンプのブロックが、5個、7個と沢山並んで取り付けられる。だが、NR1200は2chアンプ。スペースの余裕はいっぱいあるので、フルディスクリートパワーアンプのL/Rチャンネルを、ヒートシンクの中央から、左右対称にリッチに配置。

こうした“シンメトリカル・レイアウト”は、Hi-Fiアンプならではの設計だ。こう配置する事で、電源ラインや信号ラインが左右で“等長”となり、チャンネル間の音質差を減らせるわけだ。

パワーアンプのL/Rチャンネルを、ヒートシンクの中央から、左右対称にリッチに配置

電源部も豪華だ。2chアンプだが、電源トランスのサイズは7.2chのNR1710と同じ大きさのEIコアトランスを採用。巻線はNR1200専用に変更されており、回路ごとに独立させ、繊細なアナログオーディオ回路やパワーアンプ回路へのノイズの回り込みを排除している。

また、AVアンプではコストが高くてハイエンドモデルなどでしか使えないという、専用設計の新しいブロックコンデンサー(6,800μF×2)も開発。高音質フィルムコンデンサーも使うなど、ピュアオーディオアンプらしい、高音質なパーツが採用されている。このあたりもAVアンプとまるで違う部分だ。

こうした工夫の結果、NR1710の出力は50W×7chだが、NR1200は75W×8Ωと、よりパワフルなものになっている。対応するスピーカーインピーダンスは4~16Ω。

スピーカーターミナルはスクリュータイプの金メッキ仕上げ。2系統あり、バイワイヤリング接続や、2組のスピーカー切り替えに対応している。また、2.2chプリアウトも備えており、外部パワーアンプを追加する事で、フロントスピーカーの音質向上や、サブウーファーを2台追加して低音を補強する事も可能。このあたりの拡張性は、AVアンプの良いところをもらってきた感じだ。

また、MMカートリッジ対応のPhono入力や、AM/FMチューナーも備えているのもポイントが高い。レコードプレーヤーを気軽に繋いで楽しみたいというニーズは、今のオーディオファンに多いからだ。

2chアンプなのに8ch DACを搭載!?

ここまでの話は、簡単にまとめると「7.2ch→2chアンプなので、浮いたコストを高音質化に活用できる」という話だ。だが、NR1200では、あえてコストを浮かさず、7.2chアンプ用のパーツをそのままNR1200にも採用したものがある。それが、旭化成エレクトロニクス製の8ch DAC「AK4458VN」だ。

「2chアンプなのに、なんで8ch DACを?」と、思うところだが、実はL/Rそれぞれに2ch、合計4chのDACを2ch再生にダブル・ディファレンシャル(差動)構成で使っている。これにより、ノイズの低減、高SN比、透明感の高いサウンド表現が可能になる。残りのDACは、2.2chプリアウトに使っているというわけだ。

HDMI入力は、NR1710から技術的なものを流用しており、最新技術にも対応。なお、受けられるのはPCMの2chデータのみ。Blu-rayプレーヤーなどと接続する場合は、プレーヤー側がドルビーデジタルなどのサラウンドサウンドをPCMに変換して出力し、NR1200に入力する形となる。NR1200にサラウンドのデコーダーや、バーチャルサラウンド化して再生する機能は無い。このあたりはHi-Fiアンプらしい割り切りだ。

AVアンプから便利な機能を“いいとこどり”

HDMIまわりは、NR1710の仕様が最先端なので、そのままNR1200に使われている。系統は5入力、1出力。ARCに対応しているので、対応テレビとHDMIケーブル1本で接続して、NR1200からテレビの音を再生できる。

「5系統もいるのか?」と思う人もいるかと思うが、ぶっちゃけ、多いに越したことはない。例えば、BDプレーヤー兼レコーダー、Fire TV Stick、PlayStation 4、Nintendo Switchを繋いだだけで、もう4系統だ。身の回りにあるHDMI機器は、意外に多い。

背面
HDMI入力は5系統

HDMI CECもサポートしているので、テレビのリモコンからNR1200の音量調整、電源連動も可能だ。これも地味だが大切なポイント。家族がAV機器の操作に詳しくなくても、テレビのリモコンだけでNR1200の電源ON/OFF、ボリューム操作ができるので、NR1200がある事を意識させずに使うことができるわけだ。「お父さんがアンプ買ってきたけど、操作がわからないので他の家族は誰も使えない」だと、もったいない。皆で毎日使い倒してこそ、コストパフォーマンスが光るというものだ。

4K対応チューナーなどからの映像もパススルーでき、4K/60p/4:4:4/24bitや、4K/60p/4:2:0/30bit、4K/60p/4:2:2/36bitなどもサポート。HDR10、HLGにも対応。HDMI 2.1の新機能ALLMにも対応するなど、仕様面は文句なしだ。

さらに、HEOSテクノロジーによるネットワークオーディオ機能も搭載。Amazon Music HDを含む音楽ストリーミングサービスや、インターネットラジオ、LAN内にあるNASなどに保存したハイレゾファイルの再生も可能。USBメモリーに保存した音楽ファイルも再生できる。つまり、アンプでもあり、プレーヤーでもあるわけだ。ハイレゾファイルは、PCMが192kHz/24bitまで、DSDは5.6MHzまでの再生が可能。

Amazon Music HDも再生できてしまう

Bluetoothにも対応し、スマートフォンやタブレットから手軽にワイヤレスで音楽再生も可能。同一ネットワークに接続した、他のHEOSデバイスに、NR1200で再生中の音楽を配信する事もできる。AirPlay 2にも対応する。

将来的にはファームウェアのアップデートで、Bluetooth送信機能も搭載予定だ。どう使うのかというと、NR1200で再生している音楽を、Bluetoothで飛ばして、Bluetoothヘッドフォンなどで受信できるようになる。夜でスピーカーから音が出せないので、Bluetoothヘッドフォンでワイヤレスでテレビを見るとか、そういう使い方ができるわけだ。

Bluetooth送信機能も搭載予定

実際に使ってみる

外形寸法は440×378×105mm(幅×奥行き×高さ)と薄型、重量も7.9kgと、AVアンプと比べると薄くて軽いため、設置は楽だ。ダンボールから持ち上げる時も、深呼吸しながらフルパワーを出す必要はない。さらに2chなので、スピーカーケーブルの接続もすぐに終了する。

HDMIでテレビに接続した状態でセットアップすると、スピーカーの設定やネットワーク設定などを、テレビ画面のナビゲーションを見ながら行なえる。AVアンプであれば当たり前の機能だが、2chのHi-Fiアンプでは珍しい。

ナビの中で、スピーカーケーブルの“剥き方”までイラスト入りで教えてくれる親切さは、マランツのAVアンプと同じだ。AV機器の設定が初めてという人も安心できるだろう。一方で、AVアンプのセットアップによくある「マイクを使って音場の最適化」をする機能は無い。このあたりは、Hi-Fiアンプらしいところだ。

セットアップのメニュー
スピーカーケーブルの“剥き方”までイラスト入りで教えてくれる新設なセットアップ機能

なお、テレビに接続しない人もいるため、本体ディスプレイで「Setup on TV:NO」を選ぶと、本体のディスプレイだけで設定ができるモードも用意されている。

入力と端子の割当変更も可能だ

組み合わせたスピーカーは、デンマークDALIの人気ブックシェルフスピーカー「OBERON1」(ペア57,000円)。NR1200の78,000円と合わせて、135,000円とかなりリーズナブルな組み合わせだ。なお、「OBERON1」は小型スピーカーの定番モデル「ZENSOR(センソール)1」の後継機だ。

DALIの人気ブックシェルフスピーカー「OBERON1」

まず、テレビの音を聴いてみた。ちょうどラグビーワールドカップで、日本が強豪アイルランドを下した歴史的試合をやっていたのだが、テレビ内蔵スピーカーと、NR1200+OBERON1を聴き比べると、爆笑してしまうくらい音が違う。「音質が向上した」とかいうレベルを超えて「まるで違う世界」だ。

最も違うのがスタジアムの空間表現。歓声の広がりが、テレビ画面横幅程度で精一杯の内蔵スピーカーに対し、NR1200+OBERON1では左右にブワッと広がり、テレビ前のユーザーを左右から包み込む。上下にも広く、まるでサラウンド音声を聴いているかのようだ。

奥行きもまったく違う。テレビ内蔵スピーカーは奥行きがまったく出ず、“カキワリ”のような音だが、NR1200+OBERON1では画面の奥からの声援が聞こえる。奥の観客席と視聴者までの“空間の距離”が、音を通して感じられるので、スタジアムの巨大さがリアルに伝わってくる。

「ウォオオ」という歓声の低音もまるで厚みが違う。薄く、ペラペラした音像が、NR1200+OBERON1では一気に肉厚になり、迫力がアップする。ニュース番組の男性アナウンサーの声も、厚みのある人間の体から声が出ているのがしっかりとわかる。

テレビ東京の「開運!なんでも鑑定団」も観てみたが、“お宝”を鑑定中のBGMも、ベースの低音がゴリゴリ効いて、まったく違う曲に聴こえる。生茶やユニクロなど、普段はあまり意識していないCMであっても、BGMの音がメチャクチャ良いため「お、なんだ!?」と見入ってしまう。芸人が大勢でしゃべるトーク番組も、声の質感が1人1人リアルに描写されるので、一斉に喋っている場面でも、誰が何を喋っているのかわかりやすい。

(C)2017 Nintendo

Nintendo Switchのゲーム「スプラトゥーン2」もプレイしてみたが、バトルする前の音楽が超高音質で、思わず聴き入って、なかなかゲームがスタートできない。バトルが始まっても、インクに潜って隠れている敵の「コポコポ」という音が分離感良く描写されるので索敵が楽だ。決定ボタンを押しだだけの「ピュキーン」みたいなサウンド1つとってもクリアで感動してしまう。

映画は2chだと足りないのでは? と思われるかもしれないが、実際に聴いてみると十分凄い。Fire TV Stickを使って、Netflixで「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」を視聴したが、砂嵐のシーンで、無数の砂粒が自分の体を取り巻く様子がキチンと再現できている。もちろん真後ろからのサウンドなどは、マルチチャンネルスピーカーには勝てないが、低域から高域までワイドレンジなサウンドが左右から自分を包み込むので、“映画の世界の中に入り込んだ感じ”はたっぷり堪能できる。「映画もこれで十分じゃん」と思う人も多いはずだ。

Fire TV Stickを使っての動画視聴もグッと楽しくなる

2chの音楽はどうだろうか? スタートしたばかりの高音質音楽配信「Amazon Music HD」を使い、ハイレゾ楽曲も聴いてみた。そう、デノン/マランツの機器に搭載されているネットワーク再生機能「HEOS」は、ほぼ全ての機種でAmazon Music HDに対応している。それはこのNR1200も同じだ。

「森山直太朗/夏の終り」や「宇多田ヒカル/花束を君に」など、オーディオチェックでお馴染みの曲もハイレゾで配信されている。

NR1200には、入力信号に一切加工しないでそのまま増幅する「ダイレクトモード」、さらに、ノイズの発生源となるディスプレイ回路を停止する「ピュアダイレクトモード」が搭載されている。せっかくなので「ピュアダイレクトモード」で聴いてみると、低域の沈み込みが増し、その中の描写もより微細になる。

SN比も良くなるため、ハイレゾ楽曲の特徴でもある、ボーカルなどの音の響きが消える描写の細かさが、NR1200ではよくわかる。ボーカルとその左右にある楽器の分離、音像の定位感も明瞭で、奥行きが深い音場に立体的に音楽が展開する様子が良く見える。色付けは少なく、クリアでバランスの良いサウンドだ。

薄型AVアンプのNR1710と、2chで聴き比べたらどのくらい違うのか?

気になるのは、「薄型AVアンプのNR1710と、Hi-FiアンプのNR1200、2chで聴き比べたらどのくらい違うのか?」。本格的なフロア型スピーカーを使い、まずはアナログ入力を使って、純粋なアンプの能力を聴き比べてみた。

佐藤俊介指揮のクラシック、ヴィヴァルディの「四季」から第3楽章「夏」を再生すると、想像していたよりも音質差が大きい。まず、音場の奥行きの深さがNR1200の方が深く、音場が立体的に描写される。低音の深さ、量感、押し出してくる音圧の豊かさもNR1200のほうが上手だ。弦楽器の艷やかな響きも、NR1200の方が描写が細やかだ。

Hi-FiアンプとAVアンプを2chで比べるのは酷と言えるが、やはり純粋なアンプとしてのグレードが“格上“という印象だ。

次に、光デジタル入力を使い、DACも含めて違いを聴いてみると、さらに違いが広がる。今までは“一枚上手”だったが、“1.5枚上手”な印象。情報量が増え、SNがさらに良くなり、アンプで増幅する信号自体のクオリティが上がっているのがわかる。スピーカー周辺に音がまとわりつかず、音離れが向上。音場の見通しも良くなる。

NR1200

まとめ

製品の価格としては7.1ch AVアンプ「NR1710」(9万円)の方が高価だが、2chで比べると「NR1200」(78,000円)の方が音が良いというのは面白い結果だ。ただ、NR1710には3倍以上の数のアンプが入っているので、コストの面でも、当たり前の結果とも言える。

ただ、この結果はあくまでNR1710とNR1200を比べた場合に「そういう違いがある」という話で、NR1710自体は十分に音の良いアンプだ。むしろ同じサイズにこれだけのアンプを入れて、よくこの差に抑えていると感心するくらいだ。クオリティとしては、TV内蔵スピーカーからのステップアップには十分過ぎるし、ホームシアターとしても高い実力を備えている。周囲に設置したスピーカーから再生するリアルなサラウンドは、NR1200では味わえない良さだ。将来的に、マルチチャンネルへのステップアップを少しでも考えている場合はNR1710がオススメだ。

一方で、2chスピーカーしか置く予定は無いし、映画のサラウンド再生よりも、テレビ番組やTVアニメ、ゲーム、YouTubeの動画などを楽しむ時間が多いという人は、NR1200がピッタリだ。HDMIまわりの使い勝手の良さや、アンプとしての確かなクオリティは“さすがHi-Fiアンプ”と唸る実力だ。

そろそろHDMI入力が足りなくて……という人は、“HDMIセレクターと高音質2chアンプがセットになった製品”みたいなノリで買うのもアリだろう。

個人的には、音楽配信サービスのAmazon Music HDに既に対応している点も評価したい。6,500万曲以上がCD音質で、そのうち数百万曲は最大192kHz/24bitのハイレゾで楽しめ、Amazonプライム会員なら月額1,780円(税込)、Amazonのユーザーは月額1,980円(税込)と、価格面でも魅力のサービスで、既に使っている人も多いだろう。

78,000円のアンプを買って、月にアルバム1枚買うより安いサービスに入るだけで、CDプレーヤーも何も追加せず、スマホを操作するだけでこのハイクオリティな音楽が大量に聴けるというのは非常に魅力的で「いい時代になったなぁ」と思う。これだけでもオーディオ機器として使う価値があるが、さらにテレビ番組もゲームもアレもコレもハイクオリティで再生できるという、“利用頻度の高さ”もコストパフォーマンス面では見逃せない。間違いなく「これからのHi-Fiアンプのカタチはこれだな」と感じさせる注目機だ。

(協力:ディーアンドエムホールディングス/マランツ)

山崎健太郎