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マランツ、HDMI付きでTV連携もできる新時代ピュアアンプ「MODEL 40n」

新時代のアンプ「MODEL 40n」

マランツは、ピュアオーディオ用2chプリメインアンプながら、HDMI入力を備え、HDMI ARC伝送の高音質化にも取り組み、さらにネットワーク音楽配信の再生にも対応した新時代のアンプ「MODEL 40n」を3月に発売する。価格は286,000円で、カラーはブラックとシルバーゴールド。

マランツはこれまで、従来から続くピュアオーディオの製品ラインとは別に、ネットワークCDプレーヤーの「ND8006」(159,500円)とプリメインアンプ「PM8006」(159,500円)や、ネットワーク再生機能搭載のプリメインアンプ「PM7000N」(132,000円)、HDMI入力を備えたステレオアンプ「NR1200」(88,000円)といった、新しい3つのカテゴリーの製品を投入。音楽配信サービスを良い音で楽しみたいユーザーや、HDMIでテレビやゲーム機と連携させたいユーザーなど、新たなスタイルのオーディオ機器として市場でも人気を集めている。

一方で、これらの製品は価格帯としてエントリー~ミドルクラスであり、より音にこだわった、“新しい時代のプリメインアンプ・プレミアムレンジ向けモデル”も求められていた。そこで、PM7000NやNR1200の上位モデルとして開発されたのが今回の「MODEL 40n」となる。

カラーはブラックとシルバーゴールド

伝統的なHi-Fiオーディオ用の2chアンプとして使えるほか、ネットワーク再生機能を活かして、リビングなどに設置して気軽に音楽を楽しむ“プレミアムなリビングオーディオ”としての利用も提案。HDMI入力でテレビと連携させ、映画やテレビ番組、ゲームなどをスペシャルなサウンドで楽しむライフスタイルも提案している。

なお、「MODEL」シリーズとして2020年にSACDプレーヤー「SACD 30n」と、プリメインアンプ「MODEL 30」が発売されており、新機種のMODEL 40nはMODEL 30と同じ筐体を使っているが、前述の通り、MODEL 40nと、SACD 30n & MODEL 30とは、系統が異なっている。デザイン面では、リビングでの利用提案も行なうために、空間と調和し、より引き立てるデザインを採用した。

使用イメージ
テレビと組み合わせた使用イメージ

HDMI ARCのサウンドを磨き上げる

最大の特徴はHDMI入力を備えていることで、対応テレビとHDMIケーブル1本でシンプルに接続できる。さらに、HDMI CECにも対応し、テレビやBlu-rayレコーダー、Apple TVなどのリモコンを操作し、テレビの電源がONになると、MODEL 40nの電源も連動してONになり、入力もトリガーになった機器のものへと切り替わる。また、テレビのリモコンなどからMODEL 40nの音量操作も可能。

大きな特徴として、HDMI ARC音声の高音質化に専用のセクションを立ち上げて、徹底的に音質チューニングを施したという。電源供給の強化、低ノイズ化、接続経路やグラウンドの見直しも実施している。それだけでなく、通常のARC音声データは、音声の信号と、EDIDと呼ばれるコントロール系の信号が両方とも、コンポのHDMIインターフェースに入力され、処理するため、そこで音の劣化が起こる。MODEL 40nではコントロール信号だけをHDMIインターフェースに入力、音声信号(SPDIF)は直接DIR(セレクター)に伝送するようにして、劣化を防止した。

なお、HDMI入力は備えているが、再生可能なのはリニアPCMのみで、ドルビーデジタルやDolby Atmosなどのビットストリーム信号は入力できない。

背面の端子部
HDMI ARC音声の高音質化するため、コントロール信号だけをHDMIインターフェースに入力、音声信号(SPDIF)は直接DIR(セレクター)に伝送するようにして、劣化を防止している

ネットワークプレーヤーとしては、Amazon Music HD、Spotify、AWA、SoundCloud、Tune-Inの再生が可能。ネットワーク経由、もしくはUSB-A経由で、DSD 5.6MHz、WAV、FLAC、Apple Lossless 192kHz/24bitまでのハイレゾデータも再生できる。Works with Alexaに対応し、アレクサと呼びかけて音声でのコントロールも可能。

Bluetooth受信に対応し、AirPlay 2にも対応。Bluetoothの対応コーデックはSBC。プロファイルはA2DP、AVRCPに対応。Wi-Fiを内蔵するほか、LAN端子も装備。入力端子として、USB-A、アナログRCA×3、Phono(MM)×1、光デジタル×1、同軸デジタル×1、パワーアンプダイレクト×1を装備。出力端子は、RECアウト×1、サブウーファープリアウト×1。

新開発アナログアンプを搭載

筐体の強度は、PM8006と比べて大幅に向上している。メインシャーシ、リアパネルはスチール製で1.2mm厚(PM8006は1.0mm)。さらに1.2mm厚のフロントシャーシも追加しているほか、サイドカバーはアルミの5.7mm(PM8006はスチールの0.8mm)、ボトムカバーはスチールの3.0mm(同スチール1.5mm)、トップカバーも1.2mm厚のスチールを採用した(同0.8mmスチール)。

筐体内部
PM8006と比較し、筐体の強度は大幅に向上している

デジタル回路は、他の回路との相互干渉を防ぐためにシールドケースに封入。ネットワークオーディオのHEOS用モジュールと、HDMI基板、DAC基板、Phono基板が内部に入っている。DACチップはESS製のES9016を採用。シールドケース内でも、相互干渉を抑えるために基板ごとに層を変えたり、シールドプレートを追加するなどして空間を分けている。

デジタル回路は、他の回路との相互干渉を防ぐためにシールドケースに封入
シールドケース内でも、相互干渉を抑えるために基板ごとに層を変えたり、シールドプレートを追加するなどして空間を分けている

パワーアンプ部には、新開発のアナログアンプを採用。大きなポイントとして、PM7000NPM8006のようなシングルプッシュプルではなく、倍増したパラレルプッシュプル型のフルディスクリートアンプを採用。マランツがこだわる瞬時電流供給能力を向上させており、スピーカーから求められる電流を、瞬間的に送り出せるようにしている。数値で見ると、瞬時電流供給能力はPM7000Nの32A、PM8006の45Aを大幅に超え、MODEL 40nは68Aを実現した。

パラレルプッシュプル型のフルディスクリートアンプを採用している
瞬時電流供給能力を含めた、従来機種との比較

トランジスタの熱伝導性と電流安定度を高めるための工夫として、アルミ押し出しで作られたヒートシンクに、トランジスタをダイレクトにマウントしているのだが、MODEL 40nではさらに、カッパーのプレートを配置して、そこにトランジスタをダイレクトマウント。アルミを超える銅の熱伝導性を活用し、熱が均一に伝わり、動作がより安定するよう工夫している。出力は70W×2ch(8Ω)、100W×2ch(4Ω)。

プリアンプ部もフルディスクリート。独自のHDAM回路を搭載しているのだが、その回路も進化。歪み率を最大で48%改善している。

プリアンプ部もフルディスクリート。独自のHDAM回路を搭載している

ボリューム回路には、可変ゲイン型ボリュームを採用。日清紡マイクロデバイス(新日本無線とリコー電子デバイスが統合した新会社)が手掛ける、MUSESブランドの最新ボリューム素子「72323V」を使っている。

可変ゲイン型ボリュームの利点は、ボリューム常用領域でのノイズを低減できる事。固定利得のハイゲインアンプの場合、“ボリュームの位置でアンプの動作が変わらない”という利点がある反面、入力抵抗の熱雑音を常用領域でもフルゲインで増幅してしまう欠点もある。

一方で、可変ゲイン型プリアンプは、通常のリスニング状況で使われるボリューム域(0-78)ではゲインをPM8006と比べて45%ダウン(7dB改善)している。超大音量再生をするとゲインが上がるが、そこまで音量を上げない一般的な利用シーンでは、SN感が良くなる効果がある。

アンプで重要な電源部分も強力で、PM8006が直径108mm、重さ2.9kgのトロイダルトランスを採用しているところ、MODEL 40nは129mm、3.4kgのより大型のトロイダルトランスを搭載。非常に強力な電源回路でアンプの駆動を支えている。

外形寸法は443×432×130mm(幅×奥行き×高さ)。重量は16.7kg。消費電力は220W。