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「ホロライブ」カバー初の海外拠点「COVER USA」設立。’25年以降は他文化圏にも

YAGOOことカバー代表取締役 谷郷元昭氏

VTuber事務所「ホロライブプロダクション」を運営するカバーは、初の海外拠点となる新会社「COVER USA」を北米に設立。会社自体は昨年4月に設立されており、営業は2024年7月より開始する。代表取締役は日本拠点同様に谷郷元昭氏が務める。

ホロライブプロダクションでは、日本だけでなく、英語圏やインドネシアにてタレントグループを展開しており、所属タレントは全86名中、ホロライブEnglish、ホロライブインドネシア、ホロスターズEnglishに所属する33名は海外タレント(海外IP)となっている。

今回の新拠点は、日本で成長したVTuberカルチャーのグローバル展開に向けて、従来の体制においての課題となっている、各地域でのローカライズされたコンテンツ提供や営業活動などの事業環境を整備していくことを目指したもの。

具体的には、現在は日本拠点が中心となって海外に展開しているオフラインイベントや、グッズ販売、企業コラボレーションなどについて、現地拠点がに最適な形で企画、提供し、日本と同程度の頻度、規模での展開を目標としているとのこと。

なお、コンテンツ提供についてはクオリティ維持のため、これまで通り人員や設備が整う日本が基点となるため、通常の配信ライブなどにおいて大きな影響はないとのこと。

目標については、「コンテンツの現地化」「UGCの現地化」「ビジネスの現地化」と3つのテーマを掲げている。

コンテンツの現地化については、例えばコラボレーション展開において、日本ではコンビニとのコラボ展開をすることで、リスナーからVTuberをより身近に感じてもらえやすいというが、文化も国土の規模も異なる海外において、日本と同じ方法で同じ効果が得られるとは限らない。より現地のリスナーが身近に感じられる施策をとれるよう、コラボレーションやライブ開催、イベント展開など、現地でのパートナーリレーションを強化していくという。

UGC(二次創作)の現地化は、日本において活発に行なわれている、切り抜き動画のほか、ファンによるゲーム開発などについて、海外リスナーによる二次創作作品を活発化できるように、環境構築を推進。イベント出展や各種二次創作に求められるファンコミュニティをや環境整備も推進していくとのこと。

ビジネスの現地化については、現地企業によるVTuber活用の促進のために、現地での営業拠点を通じて、ネットワークを拡大。現地で受け入れられるデザインなどのグッズ独自開発や、現地販売網の確立も推進していく。

とくにグッズ展開については、現在日本拠点から越境ECでの販売がメインとなっており、地域によっては購入側の送料の負担が大きくなってしまい、なかなか購入しにくい状況が続いていることから、北米エリアにおいても日本と同等の規模での販売環境を目指したいとした。

初の海外拠点に北米が選ばれた理由についても説明。世界のIPビジネス市場において、2019年段階で、TOP10のうち9つは日本とアメリカ発のIPでそのほとんどがアニメルックであることから、VTuberが受け入れられやすい基盤ができているという。

また、グローバルIPを展開する上で重要となってくる、収益の中心となるマーチャンダイジングを展開できるような、MDやライセンスタイアップといったコマース領域で収益を作れるビジネス環境が揃っている必要がある。北米においては、すでにアニメ・マンガ・ゲームなどにおいて、日本のキャラクターIPがメディアを通して人気と熱狂を作っており、コマース領域での収益を作ってきた実績もあるため、まずは北米エリアから徹底したローカライズを展開していくとした。

2025年以降は他文化圏への拡大も目指しており、北米拠点やグローバル展開で培ったノウハウをもとに、アジア・ヨーロッパ等も含めたグローバル体制を構築し、コンテンツの多文化圏での展開を加速させていくとしている。