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NHK「新プロジェクトX」今週末。「18年前とやることは基本的に変わらない」
2024年4月1日 16:40
NHKの人気シリーズ「プロジェクトX」が18年ぶりに復活。4月6日19時30分より「新プロジェクトX~挑戦者たち~」として放送開始となる。放送開始を目前に控えた4月1日、東京・渋谷のNHK放送センターで初回試写とMCへの取材会が行なわれた。
取材会には、MCを務めるNHKの有馬嘉男記者と森花子アナウンサー、久保チーフプロデューサーが登壇。新プロジェクトにかける思いを語った。
“旧プロジェクトX”にもディレクターとして参加していた久保チーフプロデューサーは「今の挑戦を発掘してみたら、どんな人たちを掘り起こせるのだろうと楽しみに思いながら、去年の秋ごろから少しずつ、いろいろな話を発掘してきました」と語った。
「昭和の時代に負けない挑戦者がたくさんいるということに、制作陣も励まされながら、『このテーマもやってみよう、あれもやってもみよう』と新しいシリーズの制作を進めています」
有馬記者は「『プロジェクトXを復活させるので帰国してほしい』と言われたのは、今年の1月。ウクライナのキーウで出張取材をしているときでした」と振り返る。
「それ以降、“昭和からの決別”という裏テーマを持てないかと個人的にずっと考えていました。新シリーズで我々が取り上げるのは平成・令和のプロジェクトであり『男たちは滅私奉公、女たちはそんな男たちを内助の功で支える』という時代ではありません」
「その新しい時代のプロジェクトを掘り起こして伝えていくのだから、“昭和からの決別”を裏テーマに、新しい時代のプロジェクトが、どういう価値観で、どんな人たちが実現してきたのかを見てくのは面白いんじゃないかと思っていました」
「ところが帰国して、初回に放送するスカイツリーをはじめ、いくつかの収録もしましたし、取材もし、スタッフたちとも打ち合わせを重ねていくうえで、そんなに簡単じゃないなと思いました」
「結局、大勢の人がかかわる大きなプロジェクトは、人々のすごく単純な感情や思いで支えられていて、それに成否が左右される。上司と部下の信頼関係だったり、自己犠牲を厭わないチームワークだったり、無償の家族愛だったり、友情だったり。そんないつの時代も変わらない人たちの思いがプロジェクトを大きく動かしているんだなと改めて知ったからです」
「なので、18年前のシリーズとやることは基本的に変わりません。『努力は報われる』『きっと夢は叶う』、そう信じて頑張ってきた人たちのドラマを丁寧に掘り起こして、丁寧に伝えていく、そんな新シリーズになります」
同じくMCを務める森アナウンサーは、NHK水戸放送局に所属しながら、新プロジェクトXに出演。また子どもを持つ母としての顔も持ち、「私自身も慣れない中で、いろいろな挑戦をしながら、この番組と向き合っていきたい」と語った。
「いち視聴者として、この番組を通して、みなさんの知恵だったり、工夫だったり、働き方、考え方というのを学ばせていただいて、日々の生活に活かしていきたいなと考えています」
「地上の星」新録は中島みゆきから。「中島みゆきと田口トモロヲは番組とイコール」
今回の新プロジェクトXでは、旧シリーズと同様に俳優・田口トモロヲが語りを、番組主題歌を中島みゆきが担当する。オープニング曲はキーを上げて新録された「新・地上の星」、エンディング曲は「ヘッドライト・テールライト」が引き続き起用されている。
この継続起用について、久保チーフプロデューサーは「プロジェクトXを再開するとなったときに、中島みゆきさんと田口トモロヲさんは、(番組と)イコールな存在。他の曲にするという選択も含めて、頭にはよぎりませんでした」と明かした。
「中島さんも田口さんも『また大変になるわね』といった感じでしたけれども、本当に快く引き受けていただけました。ただ(地上の星については)歌い直されると。そこにどんな意図があったのかは、曲を聴いてみないとわかりませんでした」
「ただ(新録版が届く前に)編集自体はすでに進めていて、そのときは旧バージョンの地上の星を使っていました。旧プロジェクトXでは、だいたい白黒のフィルム映像がオープニングに使われていて、そこに旧バージョンの地上の星がぴったりときていました」
「それが(新プロジェクトXで白黒ではない)映像を使ったとき、『こういう感じになるのか。映像自体がずいぶん新しくなるんだなぁ』と思っていたところに、新録された『新・地上の星』を使ってみたら、やっぱりビタッと来たんですよね。さすがだなと。本当にいい曲をいただきました」
有馬記者も「新シリーズの詳細を聞かされていないときは、『誰が主題歌を歌うんだろう』『誰がトモロヲさんのナレーションをやるんだろう』と思っていたのですが、そこはやっぱりハマるものが、ハマるところに来たなと思います」とコメント。
「テレビ番組の制作は、編集が何度かあって、スタジオ収録があって、音効が入って、そしてナレーションが入ってといった過程を踏みますが、田口さんの語りが入って、中島さんの歌が入ったときに、ドラマの機微、挑戦者たちの言葉を鋭くお届けできます。このふたりはプロジェクトXになくてはならない存在だと思います」
旧シリーズ放送当時は学生だったという森アナウンサーは「剣道まっしぐらの日々だったので、あまりテレビを観る時間はなかったのですが、それでもプロジェクトXや、地上の星は知っていました。実はカラオケで地上の星をよく歌っていました。鼻を摘んでちょっとモノマネ風に歌うのが十八番だったんです(笑)」と、当時のエピソードを明かしつつ「スタジオ収録で新・地上の星を聴いたときは『学生時代に聴いた歌と一緒に番組に出ている』という喜びを噛み締めていました」と明かした。
初回は東京スカイツリー。83分の拡大版
復活する「新プロジェクトX」では、主にバブル崩壊以降の平成・令和で活躍したプロジェクトに光を当てる。初回は2011年に完成した世界一の自立式電波塔・東京スカイツリーを取り上げる。この初回放送は83分の拡大版。
なお、制作統括を務める久保健一チーフプロデューサーによれば、「当時の話を聞ける方、いきいきと語ってくださる方と絞っていくと、必然的に(平成・令和が中心に)なっていきます。昭和の主だったプロジェクトは旧シリーズでも取り上げた」と平成・令和のプロジェクトを中心に取り上げる理由を説明しつつ、新プロジェクトXでも昭和のプロジェクトを取り上げる予定だと明かした。