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ソニー、色域拡張するRGB LED搭載の次世代ディスプレイ。25年中に量産開始へ

新開発「RGB LEDバックライトシステム」のイメージ

ソニーは、高密度LEDバックライトをR・G・Bの色ごとに個別制御できるRGB独立駆動パネルを採用し、大画面化にも適したディスプレイシステムを開発した。従来のディスプレイよりも、明るく、色鮮やかな映像が可能になる。同システムは2025年中に量産を開始し、家庭用テレビやコンテンツ制作用ディスプレイへの搭載拡大をめざすという。

【追記】情報を追記しました(3月14日10時25分)

今回ソニーが開発した新パネルは、光の三原色であるRGB各色が独立発光するバックライトと、独自の最新バックライト制御システムを組み合わせているのが特徴。

ソニー開発のRGB LEDディスプレイのイメージ
ミニLED(青色)×量子ドット搭載の液晶ディスプレイ

近年人気を集めるミニLED液晶テレビは、バックライトに青色のミニLEDが使われており、緑色や赤色は量子ドットシートによる波長変換で生み出している。一方ソニーの新パネルでは、赤色・緑色・青色のミニLEDが個別に発光する構造になっているため、色の純度が大幅に向上。DCI-P3色域で99%以上、ITU-R BT.2020色域で約90%の広色域をカバーするという。

現在市場に展開するディスプレイシステムと比較しても、RGB LEDは色域が広く、低輝度でも高輝度でも豊かな色表現が行なえるという。

ミニLEDとRGB LEDのスペクトラム比較

RGB各色が独立して発光する際に、シーンに応じた最適な電力を各色に割り当てる機能を搭載。

従来の高輝度テレビでは、夜景などの暗いシーンで星や月などの明るい部分に光りを集中させ、ピーク輝度を高めるといった、明暗に合わせた輝度調整を行なってる。これに対し、新開発のディスプレイシステムでは、色の濃淡にも応じた輝度調整を行なうことで、真っ青な空や真っ赤な紅葉など単色のシーンでも、明るく鮮やかな映像を再現。

業務用マスターモニターで実現している4,000cd/m2以上のピーク輝度を出すことができ、ソニーのディスプレイ機器史上最高のカラーボリュームを実現するという。

96ビットの高ビットレートで駆動させているのも特徴。これにより、漆黒とまばゆい白を同時に表現できるだけでなく、中間色の多いシーンでもその明暗の違いを繊細に表現。「既存の有機ELパネルでは技術的に難しい、明るさや彩度が控えめな色調を表現可能」とする。

また、高ビットレートでの信号処理により、細部まで精密に階調を制御できるため、大画面においても斜めから見た際の色や明るさの変化が抑えられ、広い視野角も実現できる。

各方式のカラーボリューム比較(イメージ)
RGB LED
ミニLED
QD-OLED
WOLED

専用の制御用プロセッサーを搭載。高密度に敷き詰めたLEDの、RGB各色の明るさを個別に制御することで、明るい部分は白飛びせず色鮮やかに、暗い部分は黒つぶれせずに光の濃淡を繊細に描き出すことが可能。

また、従来のローカルディミング処理に比べて、約2倍の処理能力やピクセル補正技術などを備えており、微細な色の違い、色ずれのない正確な色を再現可能にした。

これらシステムの実現にあたっては、ソニーが目指す次世代ディスプレイの方向性に賛同を得た各社と協業したとのこと。

具体的には、制御用プロセッサーは、Smart TVのSoC(Pentonic)開発供給に実績があるMediaTekと共同開発を実施。またLED部はSanan Optoelectronics、LED駆動ICはロームと共同開発したという。

ソニーは「これらの要素を高めることでクリエイターの意図を忠実に反映でき、映画制作および家庭での映画視聴にも適した画質を提供する」としている。

ミニLEDとRGB LEDの比較
ミニLED
RGB LED

なおCES 2025では、ハイセンスが116型のRGB LEDディスプレイ「TriChroma LED TV 116UX」を発表している。