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LUMIX、秒間70コマ連写で6K/30p対応「S1II」と、約35万円のスタンダード「S1IIE」
2025年5月14日 09:40
パナソニックは、フルサイズセンサーを搭載したLUMIXの新モデルとして、「S1II」と「S1IIE」の2モデルを6月中旬に発売する。価格はオープンプライスで、ボディのみの市場想定価格は「S1II」が455,400円前後、「S1IIE」が356,400円前後。
「LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S」が付属するズームレンズキット(Mキット)の市場想定価格は、「S1M2M」が574,200円、「S1IIEM」が475,200円。
既発売の「S1RII」と同じハイエンドシリーズに属する2モデル。ボディのサイズやデザインはシリーズの3機種で共通している。主な違いはセンサーとダイナミックレンジ、静止画の連写性能、そして動画性能。
S1RIIは約4,430万画素の裏面照射型センサーを搭載し、8K/30pの動画撮影が可能。ダイナミックレンジは14ストップ、静止画の連写は秒間40コマ。広告写真など、高精細な撮影が求められるクリエイター向けのMODELで、撮影後のトリミングや編集に備えて編集耐性の高い撮影を可能にしている。
新モデルの「S1II」は約2,410万画素の部分積層型センサーを採用。ダイナミックレンジは15ストップ。連写は秒間70コマ。動画は6K/30pまでとなるが、5.1K/60p/10bitの撮影も可能。動きの速い被写体の撮影や、逆光や低照度等の条件での撮影、広いダイナミックレンジとスロー表現を取り入れて映像制作の幅を広げたいクリエイターなどに向けたモデルとなる。
S1の信頼性・操作性を受け継ぎつつ、価格を抑えたスタンダードモデルとなるのが「S1IIE」。作品作りを本格的に行ないたいハイアマチュアからクリエイターに向けたモデルで、センサーは約2,420万画素の裏面照射型。ダイナミックレンジは14+ストップ。連写は秒間30コマ秒。動画は6K/30p/10bitまでの対応となる。
S1IIの特徴
LUMIX Sシリーズで初となる、「ダイナミックレンジブースト」を搭載。イメージセンサーの「低ISO回路」から生成する飽和優先の画像と、「高ISO回路」から生成する低ノイズ優先の画像の2つを1画素ごとに光量に応じた合成比で合成することで、低ノイズと高飽和の特性を持った階調豊かでなめらかなHDR動画を記録できる。
ダイナミックレンジブーストON時、ダイナミックレンジは15ストップを実現。OFF時は14+ストップとなる。これにより、屋内の間接光と屋外の太陽光が映り込む明暗差の大きなシーンなどでも、白トビや黒つぶれを抑えた階調の広い動画を記録できるという。
連写機能に優れており、AFC/AFSでの70fpsブラックアウトフリー連写が可能。シャッターボタンを半押ししてから全押しするまでの間も、設定した時間分画像を記録できる「SHプリ連写」機能も備える。設定は0.5秒、1.0秒、1.5秒から選択可能。
新しい「H+モード」では、AFC設定を有効にすると連写撮影速度を優先。H+モードまたはSHモードではポストビューを表示し、ブラックアウトフリーでフレーミングの確認が可能。
センサー全域での記録により、3:2、16:9、1:1、9:16のアスペクトに対応。6K/30p、5.1K/60p/10bitの撮影も可能。
S1IIEの特徴
高解像性能と高速性能を両立した、約2,420万画素裏面照射型CMOSイメージセンサーを搭載。ダイナミックレンジは14+ストップを実現している。
L2テクノロジー搭載エンジンを搭載。高速処理により高解像度センサーの性能を最大化している。常用ISO 100-51200/拡張ISO 50-102400を実現。
AFC/AFS利用で30fpsのブラックアウトフリー連写が可能。SHプリ連写機能も備えている。新しいH+モードでは、AFC設定を有効にすると連写撮影速度を優先。H+モード、またはSHモードではポストビューを表示し、ブラックアウトフリーでフレーミングの確認ができる。
共通する特徴
強力な手ブレ補正機能を搭載。静止画撮影では、スローシャッターでも強力にブレを補正できるという「5軸8.0段 B.I.S.」と、望遠域でも強力にブレを補正する「5軸7.0段 Dual I.S. 2」が利用可能。
動画では「アクティブI.S. テクノロジー」として、「B.I.S.& Dual I.S.」と「手ブレ補正ブースト」、「アクティブ I.S.」、「電子手ブレ補正」を組み合わせる事で、大きな揺れ、不安定な歩き撮り、広角レンズ、アナモフィックレンズなど様々なシーンでの補正が可能。
広角撮影用には「クロップレスモード」を備え、画角を変えることなく、広角側の焦点距離撮影時に目立ちやすい周辺歪みを補正。アナモフィックレンズ使用時でも、電子手ブレ補正「強」モードが使える。
AFは、AI技術を用いて人間の瞳や、顔の認識精度を向上。被写体が傾いていたり、顔の一部が隠れている難しいシーンでも、より正確に目や顔にピントを合わせられるという。
追尾AFモードも性能向上を果たしている。AIが被写体の特徴をすぐに算出し、被写体個人を識別。複数人が交差するシーンでも、目的に人物をAFで粘り強く追尾してくれる。
リアルタイム認識AFには「アーバンスポーツ」を追加。例えば、逆立ちした体勢で踊るダンサーを撮影する場合、頭の位置と足の位置が逆転しており、通常の人物認識では人間と判断しにくい。アーバンスポーツを選ぶと、そうした体勢の人も人物と認識して、AFが追尾。背後にいる観客の顔にAFが飛ぶ事も抑え、ダンスをする人にピントを合わせ続けられる。
手持ちでも9,600万画素のハイレゾモード撮影が可能(S1RIIは1億7,700万画素)。三脚が持ち込めない場所でも高精細な作品が撮影できる。
従来のJPEG、RAW形式に加え、HEIF方式(4:2:0 10 bit)の記録も可能になった。なお、上述のリアルタイム認識AFのアーバンスポーツと、このHEIF方式での記録は、ファームウェアアップデートにより、S1RIIでも対応する。
「AI-AWB」は、カメラ本体でのRAW現像時に、AIによるホワイトバランス調整をするもの。AI技術を用いて光源を推定し、被写体ごとのホワイトバランスゲインを算出、最適化。光源が混在するシチュエーションで撮影した画像でも、最適な結果が得られるとする。
LUTを適用することで自分好みの色表現が可能。カメラのみで、 LUTの重ね掛け、最大39個のLUT保持が可能。「VLT」および「CUBE」に対応する。
アプリの「LUMIX Lab」を使うと、自分好みのLUTを作成したり、クリエイターのLUTをダウンロードし、カメラに転送することもできる。スマホでLUTの編集も可能。
動画のRAW記録にも対応した。ProRes RAW HQの内部記録が可能で、CFexpressとUSB-SSDに記録できる。
シナリオ作成から編集まで、ビデオ制作ワークフローをスムーズにサポートする「LUMIX Flow」や、クラウドベースの共有と共同作業を実現する「Frame.io Camera to Cloud」にも対応する。
カメラにUSB-SSDを接続し、高ビットレートの映像をSSDに直接録画することも可能。内部記録より耐熱性に優れるほか、撮影後にSSDとパソコンをUSBで直接接続してデータを転送できるメリットもある。
S1II/S1IIEは、外部SSDからCFexpress Type B、またはSDカードへの直接転送もサポート。ワークフローの選択肢が広がるようになっている。
背面には3インチ、約184万ドットのチルトフリーアングルモニターを搭載。ビューファインダーはOLED(有機EL)で、約10000:1以上の高コントラスト性能を実現。約576万ドットとなる。
電源OFF時のシャッター閉幕機能で、センサーへのほこりの付着を防止。録画や録画待機状態を被写体や撮影者に知らせるタリーランプも、フロントとリアに備えている。
Bluetooth経由のタイムコード同期に、LUMIXとして初めて対応。タイムコードジェネレーターを経由して、複数のカメラのタイムコード初期値を同期させると、ノンリニア編集時に動画をタイムライン上で揃えられ、編集効率が向上する。なお、S1RIIはファームウェアアップデート対応となる。
ボディは耐低温背設計で、-10度以下の温度で動作。40度までの高温環境で動作テストをしている。防塵/防滴も配慮し、接合部、ダイヤル部、ボタン部にはシール構造を採用。 端子キャップと接点カバーは独立している。筐体にはマグネシウム合金フレームを使っている。
F2.8の大口径ながら小型・軽量の新レンズレンズ
「LUMIXS 24-60mm F2.8」も発売する。市場想定価格は143,000円前後。
広角24mmから標準域60mmまでの焦点距離をカバー。全域開放F2.8の明るさながら、小型軽量になっているのが特徴。持ち運びやすい全長約99.9mm、質量約544g。
最短撮影距離は0.19m、最大撮影倍率は0.3倍。フォーカスリングのコントロールリング化(※AF時)や、リングの回転方向の選択もできる。フォーカスボタンも備えており、撮影スタイルに合わせた柔軟な操作ができる。
フォーカシング時におけるブリージング現象の抑制、ズーム時のMFでのピント送りにも対応する。
発表記念ライブ配信やタッチアンドトライイベントも
LUMIX S1II/S1IIEの魅力を紹介するライブ配信「CREATORSLIVE WITH LUMIX」も実施される。いち早くLUMIX S1II/S1IIEを試してたクリエイターが登場し、新製品の魅力を紹介するもので、開催日時は5月16日18時から。
また、S1II/S1IIE、交換レンズ「S-E2460」のタッチ&トライイベントも実施。開催日時は5月17日14時~19時、5月18日11時~19時で、場所は東京・南青山「LUMIXBASE TOKYO」。
S1II/S1IIE発売記念キャンペーン
S1II/S1IIEを購入し、応募すると、追加でバッテリーをプレゼントする「LUMIX S1II/S1IIE 発売記念キャンペーン」も実施する。購入期間は2025年6月19日~8月31日、応募期間は2025年6月19日~9月16日消印有効。対象機種はDC-S1M2/S1M2M、DC-S1M2ES/S1M2ESM。
特典はバッテリーパック「DMW-BLK22」×1個、バッテリーチャージャー「DMW-BTC15」×1個。詳細はキャンペーンページを確認のこと。
LUMIX夏のSシリーズレンズ キャッシュバックキャンペーン
対象のLUMIX Sレンズを購入し、応募すると、最大1万円のキャッシュバックが受けられるキャンペーンも実施する。購入期間は2025年5月16日~8月31日。応募期間は2025年5月16日~9月16日消印有効。
対象機種であるS-E2460、S-R28200、S-R70300、S-E100、S-S18、S-S24を購入すると、キャッシュバック額は10,000円。S-R1840、S-S35、S-S50、S-S85では5,000円となる。
ファームウェアアップデートも
LUMIX Sシリーズ、Sシリーズレンズ、アプリにおいて、静止画、動画撮影性能の向上を実現するファームウェアのアップデートも実施される。
- 【Sシリーズ】2025年ファームウェアアップデート予定
DC-S1RM2 :Ver.1.2
DC-S1M2 :Ver.1.1
DC-S1M2ES :Ver.1.1 - 【Sシリーズレンズ】5月14日公開
S-R24105 :Ver.2.0
S-R2060 :Ver.2.0
S-X50 :Ver.2.0 - 【アプリ】5月14日公開
LUMIX Lab :Ver.1.5
LUMIX Flow :Ver.1.1
2025年に実施予定のS1RII/S1II/S1IIEのアップデートでは、フォトスタイルに「ARRI LogC3」が追加される。なお、利用には別売のアップグレードソフトウェアキーを使用する。豊富なARRI Lookを用いた映像制作が可能になるほか、さまざまな視聴デバイスに対応できる制作ワークフローを実現。ARRIのシネマカメラと組み合わせた映像制作が可能になる。
さらに、AF枠の色変え対応(10色)。3妻での、フレーム同時表示機能も追加される。
S1RII向けの2025年のアップデートでは、対応レンズを装着した際に、フォーカスリングのコントロールリング化に対応。フォーカスリングの回転方向も選択できるようになる。
新モデルと同様に、自動認識機能の中に「人物」の部位選択肢として「アーバンスポーツ」を追加。
LUMIX用スマートフォンアプリ「LUMIX Flow」の機能強化にも対応。HEIFの記録への対応、SD/CFexpress Type B記録データのSSDへのダイレクトバックアップや、DJIワイヤレスコントロールへの対応も行なわれる。
Sシリーズレンズでは、S-R2060、S-R24105、S-X50が14日にアップデート。S-E2460と同じ内容だが、フォーカスリングのコントロールリング化に対応。フォーカスリングの回転方向を選択可能になる。
アプリのLUMIX Labも14日にアップデートし、S1II/S1IIEへ対応。HEIFの転送や編集も可能になる。アプリの表示・操作性の改善も実施する。
LUMIX Flowも、S1II/S1IIEに対応。カメラ連携として、スマホとカメラの無線接続、ミラーリングモニター機能、外部モニター機能で表示できる項目の追加、カメラのバッテリー残量確認、撮影補助機能(フォルスカラー等)に対応。
アプリ機能としては、iPad OS(15.4~18)に対応。「LUMIXモード」のミュージックビデオ撮影時、音源再生しながらの動画記録も可能になる。さらに、出力したXMLファイルのFinal Cut Pro対応も行なわれる。