ニュース

【音展】パナソニックが“テクニクス復活”目指すコンポ

ネットワークオーディオやBA+ダイナミックヘッドフォンなど

会場1FのPCオーディオ関連製品メーカーなどが出展するコーナー

 オーディオ・ビジュアル関連の総合展示会「オーディオ・ホームシアター展 2013」(音展)が18日~20日(日)まで、東京・お台場の「タイム24ビル」で開催されている。入場料は無料だが、一部のイベントは有料となる。出展社の中から、会場1階に展示していたパナソニックやバッファロー、ラトックシステム、ファイナルオーディオデザインなどのブースをレポートする。

パナソニックはハイレゾミニコンポの限定モデルで“テクニクス復活”へ

SC-PMX9の限定モデル

 パナソニックは、6月より発売しているハイレゾ再生対応ミニコンポ「SC-PMX9」に、高音質化アクセサリ4点を付属した「限定販売」のモデルを参考展示。発売時期や価格は検討中としている。

 SC-PMX9(実売6万円前後)は、24bit/192kHz FLACなどハイレゾ音源のUSB/ネットワーク再生にも対応するCDミニコンポのハイエンドモデル。ジッタを抑える「LincsD-Amp」や、PWMの原理的歪みを低減するという「歪み補正PWMモジュレータ」などを搭載し、高音質化を追求している。

 限定販売モデルは、この製品に「USBパワーコンディショナー」と「OFC電源ケーブル」、「インシュレータ(4個)」、「スピーカーケーブル」をセットにしたモデル。いずれのパーツも自社開発によるもので、コストよりも音質を優先したため、数量を絞って販売する予定。「社内で“テクニクス(同社オーディオブランドとして展開され、現在は生産終了)復活”の動きがある。この限定販売モデルはその“走り”という位置付け」とのこと。

【追記】
パナソニック広報によれば、「会社として、テクニクス ブランド復活という計画は特に無い」としています(10月19日15時追記)

 アクセサリのうち「USBパワーコンディショナー」は、11月20日に発売されるブルーレイDIGA最上位モデル「DMR-BZT9600」に付属するものと同じ。BZT9600を高音質化するために開発されたパーツだが、他製品にも展開することになり、CDミニコンポのSC-PMX9に採用された。

4つのアクセサリが付属する
USBパワーコンディショナー
ケーブルなどに高品質パーツを使用

 音展のパナソニックブースでは、そのほかのオーディオ製品として18日に発表されたポータブルBluetoothスピーカー「SC-NA30」や「SC-NA10」、天井取り付け型のBluetoothスピーカー「SC-LT205」なども展示。家じゅうのどこでもワイヤレスで音楽を楽しめるといった提案を行なっている。

 また、映像製品では4K対応VIERAの「TH-L65WT600」や、前述のブルーレイDIGA最上位モデル「DMR-BZT9600」を使った上映デモを行なっている。再生ソフトはMASTER GRADE VIDEO CODINGのアニメ映画「009 RE:CYBORG」で、HDMI 2.0接続による4K/60p/36bit/4:2:2出力で高画質をアピールしている。

 DMR-BZT9600は、最上位モデルとして電源強化や新HDMI低クロックジッタシステムなど、高音質機能を多く搭載していることも特徴。音展では、「Promotion Group of Blu-ray Disc for Audio」ブース(2F)のBDオーディオ試聴デモで、BZT9600をプレーヤーとして楽しむというデモも行なっていた。

ポータブルBluetoothスピーカーの「SC-NA30」(右)と「SC-NA10」(左)
天井に取り付ける「SC-LT205」の設置例
様々なスピーカーの設置提案
4K対応VIERAの「TH-L65WT600」
ブルーレイDIGA最上位モデル「DMR-BZT9600」
BZT9600の背面にUSBパワーコンディショナーを装着したところ

バッファローのネットワークオーディオ、ラトックのDSD対応DDC/DACキット

DSD配信対応のオーディオ専用NAS「LS421D」

 バッファローは、7月より発売しているDSD配信対応のオーディオ専用NAS「LS421D」などを展示。ソニーのAVアンプ「TA-DA5800ES」やパイオニアの「N-50」、マランツ「M-CR610」などと接続してネットワーク再生環境を構築し、活用提案している。会場でヘッドフォンを使って試聴でき、各製品の音の違いなども確認できる。

 参考出品として、「オーディオ向けLANケーブル」も展示。カテゴリ6準拠のLANケーブルで、2重シールドによりノイズ侵入を抑えるほか、金メッキのコネクタ部や、ツメの折れないコネクタカバーを採用する。発売時期や価格は未定。そのほかにも、前述のNAS「LS421D」用に外部電源ユニットも参考出品している。

様々な機器と組み合わせて試聴できる
参考出品のオーディオ向けLANケーブル
NASの外部電源ユニットも参考展示。昨年に比べ小型化された
DSD対応のUSB DDCキット「REX-K24192DSDU」とDACキット「REX-K1792DA1」を搭載したデモ機

 ラトックシステムは、10月中旬より発売するDSD対応のUSB DDCキット「REX-K24192DSDU」(直販29,800円)や、同製品と組み合わせるDACキット「REX-K1792DA1」(同34,800円)を使ったデモ機を展示。ルビジウムクロックジェネレータ組み立てキットの「RAL-RbOSC1K」と組み合わせて試聴可能となっている。

 また、バランス駆動に対応したポータブルヘッドフォンアンプ「REX-KEB01」シリーズを使って、内部のコンデンサを付け替えたものを用意。三洋「OS-CON」や、ニチコン「KZシリーズ」、「FWシリーズ」、ルビコン「Black Gate」の合計4つを用意。製品として販売はしていないものだが、会場で試聴して音の違いを楽しめる。

左の基板がREX-K24192DSDU、右がREX-K1792DA1
初心者向けというUSB DAC/ヘッドフォンアンプキット「REX-K2496U」(左)と「REX-K1648U」(右)
ポータブルヘッドフォンアンプ「REX-KEB01」のコンデンサを交換したもの

ファイナルオーディオのBA + ダイナミック型ヘッドフォンなど

BA + ダイナミック型ユニット搭載ヘッドフォン「PANDORA VI」

 ファイナルオーディオデザインは、50mm径のダイナミック型ユニットと、バランスド・アーマチュア(BA)型ドライバを組み合わせたヘッドフォン「PANDORA VI」を展示。これまでイベントなどで試作機が展示されてきたが、いよいよ11月上旬ごろに発売になるという。価格は63,000円。

 50mm径のダイナミック型ドライバと、オリジナルのBAドライバを搭載。内部にネットワーク回路を介さず2つのユニットから音を聴ける新機構を採用し、広帯域に渡ってつながりの良い再生を実現したという。ケーブルは着脱式で、端子は3.5mmミニ。付属ケーブルの長さは1.5mで、別売で3.5mのケーブルを用意する。

ハウジング部
発売中のカナル型イヤフォンも展示

 第一通信工業は、McAUDIブランドの小型ステレオパワーアンプ「M602」白モデルなどを展示。黒モデルは既に発売中で価格は73,000円。白モデルは11月発売で76,000円となる。黒モデルは筐体にスチールを使用している一方、白モデルはアルミ筐体で、軽量化している。黒モデルと同様にABLETECのClassDアンプユニットを搭載。ボリュームを搭載し、プリアンプを接続しなくても音量調整できる。

 また、会場にはティアックのDSDファイル再生対応CDプレーヤー「PD-501HR」と上記のM602パワーアンプを組み合わせて1つの筐体にしたというアンプ内蔵ディスクプレーヤー試作機も展示。参考出品で、製品化については未定。試作機の筐体にはスピーカー用の木材を使用している。

下がパワーアンプの「M602」。上は発売中のUSB DAC「MD780」
M602などの黒モデルも発売中
ティアック「PD-501HR」と「M602」を一体化した試作機

 カーオーディオ関連では、パイオニアがカロッツェリアのハイエンドオーディオ製品を展示。新パワーアンプ「RS-A09X」などを搭載した会場外のデモカーで試聴できるほか、2013年夏に発売したカスタムフィットスピーカーの最上機「Vシリーズ」なども展示している。

 また、三菱電機は、高音質カーナビ「DIATONE SOUND.NAVI」の新製品「NR-MZ80PREMI」や、車載用DIATONEスピーカーの「DS-G20」などを展示している。会場の外にあるデモカーで、DIATONE SOUND.NAVI」を試聴できる。

奥にあるのがカロッツェリアXのパワーアンプ「RS-A09X」
三菱電機「NR-MZ80PREMI」
パイオニアと三菱が用意した試聴用デモカー
シャープは、4Kモスアイパネル搭載AQUOS UD1シリーズ70型「LC-70UD1」(左)などの製品を出展。参考出品として、海外で発売されているステレオミニ入力のみの小型サウンドバー「HT-SB20」(右)も展示している
東和電子は、11月下旬に発売する「NANOCOMPO」の小型パワーアンプ「A1」(左)を展示。また、タマゴ型スピーカーのBluetooth対応モデル(右)も参考出品している。大型のパッシブラジエータなどで小型のBluetoothスピーカーとは思えない豊かで広がりのある低域再生を可能としている。発売時期は未定
人間が聴く音に近い立体感で録音できる「バイノーラル録音」のダミーヘッドなどを販売するサザン音響は、“ダミーヘッドのDIY向け”というキット「Type500KYM」(イエロー)と「Type500KBM」(ブラック)を12月1日に発売。耳の形をした「エルゴノミクスイヤーモデル」とマイクをセットにした。三脚穴を備えた底面プレートなども付属し、手持ちのダミーヘッドに装着してバイノーラル録音ができるという。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は38,000円前後
NTTエレクトロニクスは、国際標準のロスレス符号化技術であるMPEG-4 ALSロスレスを使った音楽配信システムの技術を紹介。今回のデモでは会場にサーバーも用意して、実際の配信に近い形で体験できる。MPEG-4 ALSの特徴である映像と組み合わせた配信も可能で、音楽のPVなど映像込みの配信サービスとしての利用も想定。今後は、テレビ放送などで利用できる規格としても提案していくという。
ステレオ再生時に音場が狭くなるのを防ぐNTTエレクトロニクスの技術「HiFiREVERB」を搭載したオーディオボードを提供している日本モレックスは、既存のボードの半分のサイズを実現した最新ボードを開発。遅延時間を従来の17msから10msに短縮したほか、残響帯域も従来の8kHzから12kHzに拡大。小型化したことで、ヘッドフォンなどでの頭内定位改善や、電話会議システムなどへの応用を想定しているという。もともとコネクタメーカーである同社は、ヘッドフォンやスピーカーのユニットも製造。ヘッドフォン試作機(右)も展示していた
様々なヘッドフォンの聴き比べなどができるオーディオ協会ブース
タワーレコードは音楽ソフトの販売を実施。BDオーディオソフトやSACDなど、国内盤/輸入盤を販売。会場限定価格などのソフトも用意されている

(中林暁)