ニュース
パイオニア、iPadからDSDを無線再生するコンポ「Stellanova」。車載HMDは高輝度レーザーに
(2014/10/6 20:24)
10月7日~11日にかけ、映像、情報、通信の総合展示会「CEATEC JAPAN 2014」が幕張メッセで開催される。前日となる10月6日には、プレス向けの事前公開が行なわれ、大手家電メーカーなどの主要ブースが公開された。ここではパイオニアブースの模様をレポートする。なお、イベントの当日券は、一般1,000円、学生500円。
ブースでは、ワイヤレス対応のハイレゾコンポや車関連の新技術を展示。“自動運転”社会に向けた新しいカーライフの提案が行なわれており、新開発の「AR HUD(ヘッドアップディスプレイ)ユニット」も体験できる。
iOS端末からDSD 5.6MHzデータもワイヤレス再生するStellanova
AV関連の注目展示は、年内の発売を目指して開発が進められている「Stellanova」(ステラノヴァ)と名付られたバイレゾ対応のワイヤレスオーディオシステム。
パイオニアは従来から、高速USB仮想化技術を開発しており、既にPC用のUSB接続光学ドライブをワイヤレス化し、離れた場所のPCから、まるでUSBの有線接続しているようにドライブを扱える製品を販売している。この技術をさらに発展させ、iOSデバイスからハイレゾデータをワイヤレス受信できるコンポに進化させたものが「Stellanova」となる。
ベーシックなシステムとして、iPhone/iPadなどのiOS端末、USB端子を備えたワイヤレスユニット、USB DACを内蔵したプリメインアンプの3つで構成されている。
コンポの鍵となる技術は、iPhone/iPad内の192kHz/24bit PCMや、DSD 5.6MHzといったハイレゾデータを、ワイヤレスでコンポに伝送できる「Air Hi-Res Link Technology」。
iOS端末向けに専用アプリ「Wireless Hi-res Prayer ~Stellanova~」が用意され、iOS端末に保存してあるハイレゾ楽曲をアプリで再生する。このアプリは、有線接続したUSB DACに対して信号を伝送するのではなく、USBプロトコルを、LANで伝送するためのTCP-IPに変換する機能がある。これにより、ハイレゾ楽曲を無線LANを介して、ワイヤレスユニットへと伝送する。
データを受け取ったワイヤレスユニットは、それをUSBプロトコルに変換し、USB端子から出力。ワイヤレスユニットにUSB有線接続した、USB DAC内蔵プリメインアンプがそれを受け取り、スピーカーをドライブするという流れになる。
この伝送時に、ワイヤレスユニットはUSB DAC兼アンプ内のメモリーコントロールを行なっており、ワイヤレスでの伝送でもアシンクロナス(非同期)伝送を世界で初めて実現。ジッタの発生を抑えている。
ワイヤレスユニットには4つのUSB端子を搭載。USB DACアンプだけでなく、光ディスクドライブ、HDD、USBメモリなどのデバイスを接続する事もできる。USBポートの1基は、1Aの高速充電にも対応する。
例えば、USB接続のCDドライブを利用する場合は、CDドライブとワイヤレスユニットを有線のUSBで接続、CDのデータをワイヤレスでiPhone/iPadのアプリに送り、そこで再生制御などを行ない、再びワイヤレスユニットへとデータが戻り、そこからUSBでケーブルで接続したUSBアンプに伝送され、スピーカーを再生するという流れになる。
再生するハイレゾデータの保存場所はiOS端末に限らず、ワイヤレスユニットに接続したHDDに保存した音楽も再生可能。CDからリッピングして保存する事もできる。なお、ワイヤレスユニットはアクセスポイントモードを利用すれば、無線LANルータの無い環境でもiOS端末と直接接続ができる。
USB DAC兼アンプにはバーブラウンのDACチップを搭載。組み合わせるスピーカーはパッシブで、フルレンジユニットにツイータを組み合わせた2ウェイシステムとなる。ニアフィールドリスニングに適したサイズで、これまでのオーディオ開発で培った技術が投入されているという。
USB DACアンプはBluetoothの受信にも対応。光デジタル入力、AUXのアナログ入力も備えており、様々な機器と連携できる。
Stellanovaのコンポはいずれも薄型で、独特の形状を採用しているのも特徴。重ねて設置した際も、各機器のフォルムが判別しやすいような形状になっている。
価格は未定だが、ワイヤレスユニット、スピーカー、USB DACアンプの3セットで10万円程度をイメージしているとのこと。なお、iOS向けアプリ「Wireless Hi-res Prayer ~Stellanova~」は、コンポの購入者が無料でダウンロードできるようにする予定。
車載機器も関連もバージョンアップ。HMDは高輝度レーザー表示に
パイオニアは、レーザープロジェクタやDLPプロジェクタの技術を用いて、車の運転手の前に設置した透明スクリーンにナビなどの情報を投写し、現実の視界と重ねて表示するHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を製品化しているが、ブースには、その未来形と言えるレーザー投写タイプの「NewレーザーHUD」を参考展示している。
レーザープロジェクションのシステムと、画像処理などを自社で手掛けているのが特徴で、従来のレーザータイプよりも高輝度化を実現。ドライバーの目の前に透明スクリーンを設置するのではなく、ダッシュボードに埋め込み、フロントガラスに投写する形式となり、より大きな面積に様々な情報を表示できるという。運転手から見て、約5mの距離に表示があるように投写できる。
自社開発であるため、外が明るい場合でも、それに負けないレーザーの高輝度・ハイコントラスト表示ができ、逆に夜のドライブでレーザーが明るすぎないように輝度を極力抑えるといった、細かな調整が可能になったという。また、高輝度表示でも色味の再現性を維持できるような画質回路の開発も自社で取り組んでいる。
製品化は数年先を見据えているが、ダッシュボードに埋め込む形になるため、ナビのようにユーザーが後付で購入するものではなく、車メーカーと共同で開発していく製品になるという。
サイネージ向けのシースループロジェクションでゲームも
プロジェクタと透明スクリーンを用いたサイネージ向け技術「シースループロジェクション」は毎年紹介されているが、今年はさらに技術的に進化したデモ展示が行なわれている。
昨年の展示よりも、投写できる積が拡大し、お店の窓ガラス全体に様々な映像などを表示できるようになった。実用化した場合は、飲食店の窓ガラスにメニューや四季の風景を表示し、道行く人にアピールするといった使い方を想定。
さらに、3D表示にこの技術を活用したデモも設置。遊園地などに設置する据置型のゲーム機をイメージしたもので、内部が空洞の筐体の奥に、ディスプレイを設置し、そこに敵などを表示。プレーヤーとディスプレイの間には、透明のスクリーンが貼られており、そこにプロジェクタで透過映像を投写。タッチパネル技術も取り入れており、透明スクリーンに指を触れると弾丸が発射されれ、奥にあるディスプレイの敵に命中するというもの。擬似的な3D表示ではなく、物理的に距離が離れたディスプレイとスクリーンで表示しているため、自然な3D表示が楽しめるとする。
クラブカルチャーエンターテインメントサービス「KUVO」
6日にパイオニアは、クラブカルチャーエンターテインメントサービス「KUVO(クーヴォ)」を発表。ブースでは、その展示も行なわれている。
KUVOは、アプリ「KUVO app」を使って、世界各国のクラブでかかっている楽曲情報や、プレイしているDJ情報などを入手可能とするほか、各地でプレイされている楽曲やDJの情報をリアルタイムに地図上で確認できる「Club Map」により、好みにあったクラブを探すことができるというもの。
なお、世界中のクラブにパイオニアのDJ機器が利用されていることから、それらの機器をネットワークで接続し、最新情報をクラバーに提供。DJやクラブは、楽曲情報のほか、メッセージやプロフィールを世界中に配信できるため、クラバーだけでなくKUVOでつながっている世界中の人々に対して、プロモーションツールとしてKUVOを活用できるという。