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4K/60p入力対応の堅牢Windowsタブレット「TOUGHPAD 4K」
4Kカメラのフォーカスなど映像制作に。20型で約36万円
(2015/6/23 17:39)
パナソニックは、4K/20型液晶を搭載した法人向けWindowsタブレット「TOUGHPAD(タフパッド) 4K」の新モデル2製品を8月25日に発売する。4K/60p入力にも対応したHDMI 2.0端子を備え、HDCP 2.2もサポートした「FZ-Y1CHBBZBJ(FZ-Y1CH)」と、これらの機能を省いたベーシックモデル「FZ-Y1CAAAZBJ(FZ-Y1CA)」を用意し、価格はオープンプライス。想定価格は、FZ-Y1CHが36万円前後、FZ-Y1CHが33万円前後。OSはWindows 8.1 Pro Update 64bit。
いずれも4K/3,840×2,560ドット(アスペクト比15:10)のIPSα液晶パネルと第5世代Intel CPUのCore i5-5300 U vPro(2.30GHz)を搭載し、バッテリ内蔵で持ち運べる世界最軽量(約2.30kg/Y1CA、約2.33kg/Y1CH)、最薄12.5mmのタブレットPC。製品の特徴であるタフ性能については、76cm/動作時/底面方向と30cm/非動作時/26方向の落下試験をクリアしている。
従来モデルからの変更点として、上位機のFZ-Y1CHには4K/60p対応のHDMI 2.0入力を装備。ディスプレイの表示も4K/60pに対応し、映像制作における4Kカメラのライブビューや撮影後のチェックなどでの利用も訴求。「4Kの高精細高解像度をより身近に、より多岐に活かす新しいワークスタイルを提案する」という。
4K液晶搭載タブレットでのHDMI 2.0対応は世界初としており、映像入力はデジタルシネマ規格の4,096×2,160ドットまでサポート。4Kビデオカメラや4Kデジタルカメラで撮影した映像を非圧縮で4Kのまま入力し、高画質で表示できる。4K/60p映像は、4:2:0/12bitに加え、4:2:2/12bitや、4:4:4/8bit(4:2:2変換)にも対応。
表示には、同社が新TOUGHPADに合わせて提供開始する、ライブビュー専用Windowsアプリ「ビデオ入力ビューアー」を使用し、2本指のピンチイン/アウトで縮小/拡大が行なえ、カメラのフォーカス調整に利用可能。マルチウィンドウ表示も行なえるため、他の素材や文字資料などと見比べるといった従来のモニターには無い特徴もアピールしている。さらに、HDCP 2.2にも対応し、4K放送チューナなど著作権保護された4K映像の表示だけでなく拡大/縮小も行なえる。なお、ライブビューアプリでのカメラからの4K映像取り込みには非対応。
FZ-Y1CHは4K映像出力に対応したMini DisplayPort出力も新たに装備した。ただし、HDMI入力した映像の、Mini DisplayPortからの出力はできない。
このほか、FZ-Y1CHとFZ-Y1CAの主な違いは、ストレージやメインメモリの容量、FZ-Y1CHのみGigabit Ethernetやスマートカードリーダーを搭載する点など。ストレージ/メインメモリはY1CHがSSD 256GB/8GB、FZ-Y1CAがSSD 128GB/4GB。メインメモリの増設はできない。
両機種ともUSB 3.0やSDカードスロットを装備。モノラルスピーカーや、92万画素のフロントカメラも内蔵する。内蔵バッテリの駆動時間は約1.5時間。ディスプレイは静電容量式のタッチパネル対応で、10フィンガーに対応。FZ-Y1CHは、オプションで高精細な電子タッチペンにも対応。手書きによる描画や、編集時の操作などに活用できる。
通信機能は、IEEE 802.11a/b/g/n/ac準拠の無線LANと、Bluetooth 4.0に対応。FZ-Y1CHはEthernetも装備する。センサーは、デジタルコンパス、加速度、照度、ジャイロを搭載する。
外形寸法は共通で、334×475×12.5mm(縦×横×厚さ)。別売クレードルやマウントアダプタを使用し、ビデオカメラなどのバッテリをTOUGHPADの背面に装着することも可能。マウントアダプタはVESA 100mmに対応する。
'18年度までにグローバルで累計200万台販売へ
TOUGHPAD 4Kは、これまでも製造や建設の現場、金融窓口におけるペーパーレス化など特定のBtoB分野に向けた製品として展開しており、今回はHDMI 2.0の4K/60pに対応したことで、新たにプロの4K映像制作や、高精細な映像が求められる医療現場へ提案の幅を広げる。
パナソニックのAVCネットワークス社 常務 ITプロダクツ事業部 原田秀昭事業部長は、様々なBtoB用途での活用例を紹介し、同社の役員会議でも4K TOUGHPADを並べてペーパーレス化を実現していることも説明。映像制作や医療にも活用することで、仕事の効率化が図れる点をアピールした。
なお、3D CADに適した高性能グラフィックスプロセッサを搭載した従来モデルのUT-MA6シリーズも販売を継続し、20型は3製品で展開。小型モデルなども合わせたTOUGHPADシリーズ全体で、'16年度までにグローバルで累計100万台、'18年度までに同200万台の販売を目指す。
映像制作者の声として、高精細なCM映像制作などを手がける博報堂プロダクツ フォトクリエイティブ事業本部 REMBRANDTの西島英二部長をゲストに招いたトークセッションも行なった。実際に制作現場にTOUGHPADを導入した西島氏は「カメラマンからも『ピントを合わせやすい』との声があり、スムーズに拡大/縮小できてデジタルズームのジャギーも出ていないため、ピント合わせに有効」と述べた。AdobeのPremiereやPhotoshopを使った編集や、撮影後のチェックなどにも活用し、高速な内蔵SSDで安定した作業ができたという。
映像表示については「CM制作現場は大人数の場合が多いが、広視野角だから前から見ても横から見ても同じ色で見られる」と述べ、撮影/編集/確認のそれぞれに適している点を紹介。また、ポスター制作で4,000万画素のカメラを使って撮影し、USB 3.0でTOUGHPADに接続するといった使い方も説明。「転送レートが高く、スムーズに撮影できた」と述べた。