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ソニー、輝度1500cd・リフレッシュレート7680HzのCrystal LED
2023年9月8日 12:40
ソニーは、微細なLED素子を使った業務用ディスプレイ・Crystal LEDシステムの新製品として、バーチャルプロダクションによる映像制作向けに最適化した「VERONA」(ベローナ)4機種を2024年春より発売する。価格はオープンプライス。
・「ZRD-VP15EB」 画素ピッチ1.56mm、解像度320×320
・「ZRD-VP23EB」 画素ピッチ2.31mm、解像度216×216
(対応コントローラ:Brompton Tessera SX40)
・「ZRD-VP15EM」 画素ピッチ1.56mm、解像度320×320
・「ZRD-VP23EM」 画素ピッチ2.31mm、解像度216×216
(対応コントローラ:Megapixel HELIOS)
Crystal LEDは、自由なサイズと形状で大画面を構築でき、臨場感のある高精細な映像を映し出すことができる高画質LEDディスプレイ。新製品は、大画面LEDディスプレイに映し出した3D背景映像でスタジオ内に仮想空間を創り出し、その中で人物など実在の被写体の撮影と合成を同時に行なう映像制作技術“バーチャルプロダクション”をターゲットに開発された。
最大の特徴は、新開発されたディープブラック&低反射コーティング技術の採用。独自の表面処理を施すことで深く引き締まった黒の映像表現を実現するほか、隣接するLEDディスプレイやスタジオ用照明機材からの光の影響によるコントラスト低下も大幅に低減した。
これらの深い黒の映像表現と低反射性能の二つを同時に実現することで、ディスプレイに映し出される映像とディスプレイの前で演じる俳優や撮影セットとのコントラストの差異を軽減。仮想空間と現実が自然に融合した映像制作ができ、撮影後の調整にかかる時間とコストも大幅に低減できるという。
高い輝度と広色域性能もポイント。内側からのLED素子の光もその特性を損ねることなく透過することで、1,500cd/m2の高輝度を実現しているほか、デジタルシネマ向け規格DCI-P3を97%以上をカバー。臨場感と没入感のある映像でリアルな仮想空間を創り出せるとする。
さらに、高性能ドライバーICの採用により、業界最高水準の7,680Hzのリフレッシュレートを実現。これにより、スキャンライン(水平方向の黒い線)を低減し、高品質なバーチャルプロダクションを撮影することができるようになった。
数多くの撮影現場からの要望に応え、新設計されたディスプレイキャビネットを使用。特別な工具を使わなくてもディスプレイキャビネット同士をロックできるレバー式ロック機構や、正確な位置合わせが容易にできる位置決めピンなどの新しい機構を採用することで、作品や撮影シーンに合わせて、ステージの大きさや構成を変更する際に、簡単、迅速、高精度な組み立てを可能にしている。
LEDモジュールの表面はコーティングにより保護。さらに設置時に隣接するディスプレイキャビネットがぶつかることによる破損を保護するエッジプロテクションやスライドイン機構を搭載しており、一般的なLEDと比較して、設置時のLEDモジュールの破損リスクを大幅に低減しているという。
バーチャルプロダクション用途では、ディスプレイキャビネットを積み上げた際の耐久性やカーブ/オーバル設置、撮影シーンに応じたLED壁の位置を変更できる吊り下げ設置など、高度な設置が必要になる。VERONAでは、最大14台(高さ7m=キャビネット0.5m×14台)までスタッキングできるよう、キャビネットの強度を高めた。また、専用の角度調整ブロックを使用した機構を新たに採用することで、高精度なカーブ設置が行なえる。
これまで培った知見を生かした高度な機構設計により、LEDモジュール間の隙間を最小限に抑制。加えて、新たにZ軸調整機構を搭載しており、LEDモジュール間の段差が気になる部分を簡単に修正可能。高精度に調整されたフラットなディスプレイ表面により、リアルで美しい映像を映し出すという。
ディスプレイを組み上げた状態のまま、全てのLEDモジュールを裏側から交換することが可能。突発的なトラブルにも迅速に対応でき、撮影スケジュールへの影響を最小限に抑える。
映像ソースを受信し複数のディスプレイキャビネットに映像を分配するディスプレイコントローラーには、バーチャルプロダクション業界で広く使われているBrompton Technology製のTessera SX40と、Megapixel製のHELIOS を使用可能。使い慣れた操作性により、追加のトレーニングなども不要なため、作業効率の維持にもつなげられるとする。
低消費電力性能も実現。高効率の超微細LEDチップと独自の電力制御技術を組み合わせることで、低消費電力化が可能に。既発のBシリーズ「ZRD-B15A」とVERONA「ZRD-VP15EB」(キャリブレーション機能オン時)を比較した場合で、それぞれ最大輝度で算出した単位輝度当たりの電力効率を約27%向上させている。