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B&W、音と仕上げが進化した、プレミアムコンパクトスピーカー「707 Prestige Edition」
2025年9月12日 16:30
ディーアンドエムホールディングスは、Bowers & Wilkinsの特別なプレミアムコンパクトスピーカーとして、既存の「707 S3」をベースとしながら、音質や仕上げをグレードアップした限定モデル「707 Prestige Edition」を発売する。サントス・グロス仕上げで、価格はペア33万円。国内向けは1,000組限定の予定となっており、2025年12月までの入荷は約400組を見込んでいる。
日本のオーディオファンには、伝統的にコンパクトで高性能なスピーカーが人気だが、B&Wの700シリーズにおいても、日本国内で最も販売台数が多いスピーカーはシリーズ最小のブックシェルフ・スピーカー「707 S3」(ペア281,600円~)だという。
そこで、日本のオーディオファンの嗜好に合わせて、707 S3をベースとした特別なプレミアム・コンパクト・スピーカーとして707 Prestige Editionが開発された。
最新のSignatureモデルの技術を取り入れているのが特徴。
ドライバーは、25mmのデカップリング・カーボンドーム・ツイーターと、130mmのコンティニュアム・コーン・バス/ミッドレンジを搭載した、2ウェイ2スピーカーであるのはベースモデルと同じ。
進化点として、FEA(有限要素解析)によって最適化された新しいデザインのツイーター・グリルメッシュを導入。「801 D4 Signature/805 D4 Signature」で初めて採用されたこのグリル・メッシュは、開口率と剛性のバランスの最適化をさらに突き詰めたもので、これまで以上に開放的で、解像度と空間表現の両方を向上させるという。
筐体は、木目が美しい突板が貼られた肉厚で高密度なMDF材のエンクロージャーに、12回に及ぶクリアラッカー塗装が施されたラグジュアリーなサントス・グロス仕上げ。
通常の700シリーズのグロス・ブラック仕上げでは、9回のクリアラッカー塗装を行なっているが、707 Prestige Editionでは、それを上回る12回の塗装工程を丁寧に繰り返すことで、より深く美しく輝く光沢を実現。
塗膜の厚みの違いはサウンドにも影響を与え、「その特別な外観にふさわしいクリアネスと深みを有する」という。
スピーカーターミナルも、グレードアップ。スピーカーヘの信号の流れをよりクリーンなものにするため、702 S3 Signature/705 Series Signatureと同じ、高品質の真鍮コアを採用した、新型のスピーカーターミナルを搭載している。
これらの特別な仕上げとパーツの採用により、「高音域のみならず、中低域のサウンドもより洗練され、すべての音域においてクリアネス、明瞭度、音像の厚み、空間表現力など音楽表現の要となる要素が高次元でバランスしたPrestige Editionの名を冠するにふさわしいサウンドを実現した」という。
周波数帯域は45Hz~33kHz、感度は84dB。公称インピーダンスは8Ω。最大外形寸法は、165×284×300mm(幅×奥行き×高さ/端子を含む)。重量は6.4kg。
ベースモデルと聴き比べてみる
発表会において、短時間ではあるが、ベースモデルの「707 S3」(グロス・ブラック/ペア293,700円)と、707 Prestige Editionを聴き比べたので、ファーストインプレッションをお届けする。
音を聴く前に実機の外観だが、MDF材にクリアブラック塗装を9回施したグロス・ブラックに対して、707 Prestige Editionはサントスローズウッドの突板を貼り、その上に12回ものクリアラッカー塗装が施しているため、仕上がりに深みがあり、より高級感がある。見た目だけでなく、剛性を高め、響きも変化しているだろう。
一方で、ベースモデルとの違いは、この仕上げと、新しいデザインのツイーター・グリルメッシュの採用、より純度の高い真鍮のスピーカーターミナルを採用した事くらいであるため、「音にそんなに違いはないのでは?」とも思える。しかし、実際に音を聴き比べると、「なぜこんなにも違いが!?」と驚くほどの違いがある。
色付けの少ない、モニターライクな高解像度サウンドという点では、707 S3と707 Prestige Editionに違いはない。ブックシェルフである事を活かし、両者とも音場は広大だ。
しかし、707 Prestige Editionの方がさらに音場が広く、そして音像がスピーカー筐体の近くにまとわりつかず、音離れが良い。何かから解き放たれたような、より開放的な鳴り方をするようになっている。
さらに印象的なのは、中央に定位するボーカルの音像定位に“高さ”が出る事。707 S3を聴いている時は、正面に定位する音像を見ているのだが、707 Prestige Editionに切り替えると、その音像の顔の位置がより高くなり、無意識に斜め上を見上げながら音楽を聴く体勢になる。
これは、より高さ方向を伸びやかに再生できるツイーター・グリルメッシュの改良による効果なのだろう。
また、ボーカルのブレスや、弦楽器の弦が震える様子など、細かな音が707 Prestige Editionの方がさらに微細に聴き取れる。筐体の剛性が上がっている事と、より純度の高い真鍮削り出し、ニッケルメッキのスピーカーターミナルを採用した事も寄与しているのだろう。