レビュー
ハイエンドに肉薄! 全てが進化したB&W「700 S3」を一気に聴く
2022年9月30日 08:00
物欲をそそられるスピーカーは色々あるが、何年も「ああ……欲しい……」と憧れ続けるスピーカーというのは限られている。私の場合はBowers & Wilkins(B&W)のスピーカーがそれにあたる。
オーディオに興味を持った頃に、あの「オリジナルノーチラス」が登場。機能美の極地のようなデザインに感動し、その技術を投入した「ノーチラス801」が夢に出るほど欲しかった。しかし、金銭的にとても買えず、これならなんとかという価格だった「CDM1」を試聴しに秋葉原に何度も通った記憶がある。当時の私にとってB&Wのエントリーやミドルクラスの製品が“ピュアオーディオへの登竜門”だったわけだ。
昔話はこのへんにして、そんなB&Wにおけるミドルクラス「700シリーズ」の最新作「700 S3」が登場した。今回はその進化点と、実際にどんな音になったのかに迫ってみたい。結論から言うと、先程「ミドルクラスの700シリーズ」と書いたが、最上位「800 D4」シリーズから大量の技術を投入した結果、進化し過ぎてもはや音が“ミドルクラス”では無くなっており、「これ700シリーズだけど、もう700シリーズじゃないよね」という世界に突入している。
半分がトゥイーター・オン・トップ仕様に
細かい話の前に、ラインナップを整理しよう。以下のようにフロア型3モデル、ブックシェルフ3モデル、ホームシアター用にセンターが2モデル、合計8モデル展開となる。仕上げによって価格が異なる。
モデル名 | 仕上げと価格 |
フロア型 702 S3(★) | グロス・ブラック 569,800円(1台) サテン・ホワイト 544,500円(1台) モカ 544,500円(1台) ローズナット 544,500円(1台) |
フロア型 703 S3(★) | グロス・ブラック 495,000円(1台) サテン・ホワイト 473,000円(1台) モカ 473,000円(1台) ローズナット 473,000円(1台) |
フロア型 704 S3 | グロス・ブラック 332,200円(1台) サテン・ホワイト 319,000円(1台) モカ 319,000円(1台) ローズナット 319,000円(1台) |
ブックシェルフ 705 S3(★) | グロス・ブラック 563,200円(1組) サテン・ホワイト 539,000円(1組) モカ 539,000円(1組) ローズナット 539,000円(1組) |
ブックシェルフ 706 S3 | グロス・ブラック 368,280円(1組) サテン・ホワイト 352,000円(1組) モカ 352,000円(1組) ローズナット 352,000円(1組) |
ブックシェルフ 707 S3 | グロス・ブラック 293,700円(1組) サテン・ホワイト 281,600円(1組) モカ 281,600円(1組) ローズナット 281,600円(1組) |
センター HTM71 S3(★) | グロス・ブラック 414,700円(1台) サテン・ホワイト 397,100円(1台) モカ 397,100円(1台) ローズナット 397,100円(1台) |
センター HTM72 S3 | グロス・ブラック 253,000円(1台) サテン・ホワイト 242,000円(1台) モカ 242,000円(1台) ローズナット 242,000円(1台) |
あらためてラインナップを見ると、価格がアップしている事がわかる。これは為替の影響もあるが、後述する進化点をチェックすると、800 D4から大量の技術を700 S3に投入したためでもある。そういう意味でも、感覚としては従来の700シリーズよりも少し上のグレードのスピーカーに進化した印象だ。
もう1つ注目して欲しいのが、型番の後ろに(★)をつけたモデル。この4機種には、B&Wの代名詞とも言える“ちょんまげ”こと、エンクロージャーの上にちょこんと乗っかった砲弾型のツイーター「トゥイーター・オン・トップ」を採用しているモデルだ。
従来の「700 S2」シリーズでは、トゥイーター・オン・トップのモデルは、フロア型の最上位「702 S2」と、ブックシェルフ最上位「705 S2」の2機種のみだった。それが、今回の700 S3では、フロア型の1つ下のモデル「703 S」と、センターの上位モデル「HTM71 S3」もトゥイーター・オン・トップになった。8モデル中、半分の4モデルがトゥイーター・オン・トップになっており、全体としてグレードがアップした証拠でもある。
また、センタースピーカーにもトゥイーター・オン・トップのモデルが登場した事で、700 S3のスピーカーだけでホームシアターを構築する際に、トゥイーター・オン・トップのスピーカーだけで揃える事も可能になったわけだ。
音場の再現性を高める、新エンクロージャー
700 S3のフロア型、ブックシェルフの正面から見ていると、全てのモデルが「スッキリした」と感じる。その理由は、ユニットが取り付けられているバッフル面にある。普通のスピーカーでは、取り付けたユニットとバッフルの端にはかなりのサイズの“縁”がある。しかし、700 S3はこの縁が約1cmも狭くなった。
そのため、正面から見ると縁がほとんど意識に入らず“ほぼユニット”しか目に入らないような感覚を受ける。バッフルは、ユニットから放射された音が当たって反射してしまうため、その面積は少ない方が良い。それを究極まで追求したのが、先程のオリジナルノーチラスなのだが、そのB&Wならではの思想を700シリーズでも追求したのが、700 S3の“縁の狭さ”というわけだ。
なお、縁が狭くなると、エンクロージャーの容積としては減る事になるが、700 S3ではバスレフのチューニング周波数を変える事で、低域を補っているそうだ。
バッフルの進化はもう1つ、上から見ると一目瞭然なのだが、700 S2がフラットだったのに対し、700 S3は中央が出っ張った“R”を描いている。これは音が回り込む“回折”により周波数特性が乱れないようにするためだ。その効果だけでなく、カーブを描く事でエンクロージャーとしての強度もアップしている。
かなり手間のかかる進化点だが、これらは800シリーズの技術でもあり、それをフロア/ブックシェルフのグレードを問わずに取り入れたのが、700 S3というわけだ。
トゥイーター・オン・トップ仕様になったセンターの上位モデル「HTM71 S3」は、横が長くなっている一方で、縦の高さをユニットギリギリ抑えて、テレビラックなどに設置しやすくしている。
中央にツイーターとミッドレンジがあり、ミッドレンジを挟むようにウーファーを配置した仮想同軸レイアウトだ。この配置では横の指向性は狭く、逆に縦の指向性が広くなる。テレビやスクリーンの下に配置するセンターとしては、縦の指向性が広い事が需要なので、この配置が合理的というわけだ。
ユニットも“ほぼ800 D4”
箱だけでなく、搭載しているユニットも大きく進化した。
まずわかりやすいのが、トゥイーター・オン・トップで外に露出しているツイーター。先端にツイーターユニットを取り付け、その背後にノーチラスチューブが伸びている構造なのだが、この筐体はアルミニウムのブロックから削り出しで作られている非常にコストのかかる部分だ。
このノーチラスチューブが700 S2よりも、S3ではかなり長くなった。内容積がアップし、低域特性を改善させる効果があるそうだ。また、このツイーターは、下にあるエンクロージャーと相互に干渉しないように、ガッチリ固定されておらず、あえてフローティングしている。そのため、ツイーターに触ると“フルフル”とちょっと動く。このデカップリング構造も、700 S3では、800 D4と同じ2点式に進化している。
先端のツイーターユニットも、800 D4に似たものになった。さすがにコスト的にダイヤモンド・ドームの振動板を700 S3に使うことはできず、カーボン・ドームになるが、それ以外の部分はほぼ800 D4と同じ。磁気回路のショートリングの素材は銅から銀に変更。銀は銅よりも電気抵抗が低いため、電流歪みを抑え、超高域の特性を向上することができる。
カーボンドームにくっついているボビンの部分に空いている“空気抜きの穴”も増えた。700 S2は6箇所だったが、S3では数十カ所に増加。これも800 D4と同じで、渦電流の低減に効果がある。穴が増えて“肉抜き”されているので、軽量化にもなっている。
……となると、“進化したのは外に出てるツイーターだけ?”と思いがちだが、実はツイーターがエンクロージャーの中に入ったモデルも、見えないだけで、進化している。ツイーターだけを取り外して見比べると一目瞭然、こちらも背後のチューブが長くなっている。空気室のサイズとしては、トゥイーター・オン・トップの空気室に近いサイズだそうだ。
3ウェイのモデルに搭載されているミッドレンジユニットの進化幅も大きい。
Continuumコーンの振動板に、FST(フィクスド・サスペンション・トランスデューサー)と呼ばれる、ほとんどエッジレスな構造を採用しているのは従来と同じなのだが、ユニットの裏側にあるダンパー部分が“バイオミメティック・サスペンション”に進化した。
一般的なコルゲーションダンパーは、面積が大きく、当然ながら動くと音を出してしまう。一方で、バイオミメティック・サスペンションは“スカスカ”と言ってもいい構造をしており、動いてもほとんど音を出さない。
このバイオミメティック・サスペンションは、古くからあるバタフライダンパーの一種と言えるが、バタフライダンパーはそもそもローリングさせずに動作させたり、経年劣化で動きが悪くならないようにするのが難しく、多くのメーカーが挑戦し、途中で断念した技術でもあった。
B&Wはこれを解決するため、超低温から高温の環境下でも、素材の動作が変化しない特殊な樹脂を開発。スーパーエンジニアリングプラスチックの一種で、これを使うことで、実用的で経年劣化に強いバイオミメティック・サスペンションを実現した。
磁気回路にも手を入れている。磁気回路の中央にショートリングを配置し、銅のキャップをかぶせ、ボイスコイルのインダクタンスをキャンセルさせる機構になっているのだが、その効果を高めるため、内側だけでなく、外側にも配置した“ダブル・カッパー・ショートリング”になった。
もちろん、これらの技術も800 D4で開発されたもの。700 S3は、最新ハイエンドの技術を、ほぼ惜しみなく投入されているのがわかる。
なお、ウーファーは700 S2のものとほぼ同じだが、フレームにマウントするリングの厚さを倍増させており、取り付け強度をアップさせている。
他にも、ネットワーク部分に音質調整の小容量コンデンサーを倍増させたり、背面のスピーカーターミナルが、800 D4のレイアウトと同じ、横並びになるなど、細かな部分も進化している。
全モデルを聴いてみる
では音を聴いてみよう。ジャズボーカルの「SINNE EEG/Comes love」や、スウェーデンのザ・リアル・グループによるアカペラ、ピアノのマリア・ジョアン・ピリスによるショパンノクターン第1番などを全モデルで聴いてみた。
各モデルの細かな違いの前に、全モデル共通で気が付いた事がある。それは“音場の広さ”と“定位のシャープさ”だ。
そもそもB&Wのスピーカーは、音場の再現や定位に優れているのだが、当然ながらグレードによって違いがある。700 S2シリーズの時は、上位の800と比べると、音場の広さと、その空間に定位する音像の輪郭のシャープさ、立体感の面で少し劣る印象があった。
しかし、700 S3はどのモデルを聴いても、広がる音場のスケールがブワッとアップ。そこに定位する女性ボーカルや、ベースなどの楽器の実在感や、口を開閉する様子が見えるようなシャープさに磨きがかかっており、良い意味で「700シリーズっぽさ」が無く、かなり800 D4に近付いていると感じる。
これはやはり、カーブしたフロントバッフルや、バッフルの“縁”をギリギリまで細くした効果だろう。
ブックシェルフ 707 S3 ペア281,600円~
707 S2と707 S3を聴き比べて感じた進化は、まさに前述の“広くなった音場”と“シャープになった定位”そして“立体感が増した音像”だ。これらが進化すると、音楽が展開するステージの見通しが良くなり、どの楽器がどこで、どんな音を出しているか、わかりやすくなる。それらの音が重なって“1つの音楽”になる事が実感できるので、聴いていて非常に楽しくなる。
また、音楽を構成している音自体の解像度もアップしており、例えばベースの弦が「ブルン」と震える様子や、ボーカルの口が開閉する時の動きのリアルさなどが、より聴き取れるようになった。情報量が多くなっただけでなく、トランジェントも良くなり、増えた情報を聴き取りやすくなった印象だ。
- 25mm デカップリング・カーボンドーム・トゥイーター×1
- 130mm コンティニュアム・コーン・バス/ミッドレンジ×1
- 周波数範囲45Hz~33kHz/感度84dB/公称インピーダンス8Ω(最小4.0Ω)
- 推奨アンプ出力30~100W(8Ω)
ブックシェルフ 706 S3ペア352,000円~
707 S3と比べ、706 S3はウーファーが130mmから165mmに大きくなっている。これに伴い、低域の深さと量感がアップ。「SINNE EEG/Comes love」のベースも、ズンとお腹に響く力強さと、低音が吹き付けるような押し出しの強さが増している。
これにより、全体的なスケール感もアップ。ブックシェルフスピーカーは「定位と音場感に優れているけど、低音がちょっと弱いよね」と言われる事が多いが、706 S3ならばその心配はないだろう。音楽はもちろんだが、例えばテレビやプロジェクターと組み合わせて映画やゲームを迫力満点に楽しみたいという場合は、707 S3よりも706 S3を選ぶと良いだろう。
- 25mm デカップリング・カーボンドーム・トゥイーター×1
- 165mm コンティニュアム・コーン・バス / ミッドレンジ×1
- 周波数範囲45Hz~33kHz/感度88dB/公称インピーダンス8Ω(最小3.7Ω)
- 推奨アンプ出力30W~120W(8Ω)
ブックシェルフ 705 S3 ペア539,000円~
706 S3と705 S3の違いは面白い。ツイーターとウーファーの口径は同じで、外観的な大きな違いは705 S3がトゥイーター・オン・トップになっているだけ。逆に言えば、トゥイーター・オン・トップの効果が、706 S3と705 S3の主な違いになるわけだ。
この違いがなかなか凄い。これまでの707 S3、706 S3も十分音場が広大だったのだが、トゥイーター・オン・トップの705 S3はそのステージがさらに広くなり、そこに立ち上る音像の立体感がグッと増す。まるで立体映像を見ているような感覚で、まさに“B&Wのスピーカーを聴いている”という感覚だ。
違いは音場や定位だけではない。表現が難しいのだが、今まで聴いた707 S3、706 S3が「頑張って再生している」感があるのに対して、705 S3は「まだまだイケるよ」という余裕みたいなものを感じる。低域がより深く沈み、音圧の豊かさにも凄みが加わる。
ウーファーの口径は165mmで、706 S3と同じなのだが、低域の表現力がこれだけアップしているのには秘密がある。どちらもリアバスレフなのだが、706 S3は普通のストレートなバスレフダクトを採用しているのに対し、705 S2はダクトが中で折れ曲がっており、長さを伸長させている。さらに、ダクト自体も大口径化。バスレフ・チューニング周波数も従来の53Hzから、43Hzへと変更されている。
この進化した低域が、再生音全体に漂う“余裕”を生む1つだろう。この雰囲気はハイエンドスピーカーのそれであり、800シリーズを聴いている時に感じる匂いと似ている。聴く前は「706 S3で十分なんじゃない?」と思うのだが、一度705 S3を聴いてしまうと「いやぁ~! 値段は上がるけどやっぱ705かな」と頭を抱えてしまう。家に帰っても思い出してしまうのは705 S3の音だ。
- 25mm デカップリング・カーボンドーム・トゥイーター×1
- 165mm コンティニュアム・コーン・バス / ミッドレンジ×1
- 周波数範囲45Hz~33kHz/感度88dB/公称インピーダンス8Ω(最小3.7Ω)
- 推奨アンプ出力30W~120W(8Ω)
フロア型 704 S3 1台319,000円~
フロア型も聴いていこう。
先程の707 S3を、フロア型にしたような立ち位置が704 S3で、ミッドレンジとウーファーは130mm径だ。
フロア型の魅力はなんと言っても低域の豊かさ。707 S3はどちらかというとスッキリとしたサウンドだが、704 S3になると迫力のある低音が加わるため、サウンド全体がリッチになる。
特筆すべきは、その低音の質が高い事。ボワボワと膨らむだけの低音ではなく、輪郭のシャープさやキレの良さを兼ね備えているため、安っぽい音に聴こえない。シャープな音像定位が滲まずに描写されるのは、カーブドバッフルと縁の狭いエンクロージャーの効果だろう。
フロア型は日本の家では持て余してしまう事もあるが、このサイズとサウンドであれば、例えば6畳の部屋でも十分楽しめそうだ。
- 25mm デカップリング・カーボン・ドームトゥイーター×1
- 130mm コンティニュアム・コーンFSTミッドレンジ×1
- 130mm エアロフォイル・プロファイル・バス×2
- 周波数範囲43Hz~33kHz/感度88dB/公称インピーダンス8Ω(最小3.1Ω)
- 推奨アンプ出力30W~150W(8Ω)
フロア型 703 S3 1台473,000円~
706 S3や705 S3と同じ165mmのウーファーを、2基搭載。さらにトゥイーター・オン・トップになったのが703 S3だ。これが非常に良い。
トゥイーター・オン・トップらしく、空間表現力は非常に高く、音の響きが部屋の壁を超えてはるか遠くまで広がっていくような感覚が味わえる。中央に定位するボーカルもシャープ。それでいて、フロア型ならではの迫力のある低音も楽しめる。かなり満足度の高いサウンドだ。
もしフロア型の中で、コストパフォーマンスの高さだけで選ぶのであればコレだろう。
- 25mm デカップリング・カーボンドーム・トゥイーター×1
- 150mm コンティニュアム・コーンFSTミッドレンジ×1
- 165mm エアロフォイル・プロファイル・バス×2
- 周波数範囲30Hz~33kHz/感度90dB/公称インピーダンス8Ω(最小3.1Ω)
- 推奨アンプ出力30W~200W(8Ω)
フロア型 702 S3 1台544,500円~
さぁて、最後はフロア型最上位の「702 S3」だ。これが文句なしに凄い。
最もインパクトがあるのが低域だ。量感や迫力がアップするという次元ではなく、単純に低音の“深さ”が非常に深い。低重心でドッシリとしたサウンドは、さすがにシリーズの最上位機という風格で、圧倒されるものがある。
それもそのはず、この702 S3は、他の700 S3シリーズフロア型とダクトの作りが違う。他のモデルはストレートなダクトを横向きに搭載しているのだが、702 S3だけ、大口径かつ長さを伸長させるために、筐体内に縦に配置し、バスレフポートは下向きについている。エンクロージャの下に、空間をあけて台座がある構成なのはそのためだ。バスレフ・チューニング周波数は従来の25Hzから20Hzに変わっているそうだ。
非常にパワフルでクオリティの高い低域が出ているので、ホームシアターを構築する場合、アクティブサブウーファーを追加しなくても十分満足感のあるシアター環境を構築できるだろう。10畳、15畳と広い部屋の場合はこのモデルが活かせそうだ。
これだけスケールの大きな音にも関わらず、細かな音も埋もれず、シャープなまま描写されるのも凄い。700 S3シリーズ自体の進化を実感する部分だ。
- 25mm デカップリング・カーボンドーム・トゥイーター×1
- 150mm コンティニュアム・コーンFSTミッドレンジ×1
- 165mm エアロフォイル・プロファイル・バス×3
- 周波数範囲28Hz~33kHz/感度90dB/公称インピーダンス8Ω(最小3.1Ω)
- 推奨アンプ出力30W~300W(8Ω)
中身と音は“750”
製品の進化ポイントについて、AV Watchでお馴染み、D&Mのシニアサウンドマスター澤田龍一氏に教えてもらっている際、澤田氏は「名前は700 S3ですが、800 D4の技術をあらかたを取り入れており、中身としては事実上“750”シリーズと言っていいと思います」と語っていた。
確かに、上位シリーズの技術を取り入れまくった内部や大きく進化したエンクロージャーは「700を超える」感じがするが、実際に音を聴くと、それらの進化が音にも大きく反映されており、「確かに音のグレードはもう“750”だわ」と納得した。そうした面でも700 S3には“ミドルクラス感”があまりなく、“ハイエンドシリーズのちょっと下”という印象だ。
ただ、これらの進化点は、もともと実力のある既存シリーズ「700 S2」と比べた時の違いであって、今までの700 S2も、十分高音質なスピーカーだ。ちょうど9月30日から順次700 S3の店頭試聴もスタートとなる。700 S3は価格がアップしているので、まだ700 S2が店頭に残っているあいだに「700 S2と700 S3の違い」を体験し、どちらを選ぶか吟味して欲しい。
(協力:ディーアンドエムホールディングス)