「オーディオ&ホームシアター展」は10月21日より開催

-大人向けのアンプ/イヤフォン工作教室など新設


日本オーディオ協会の校條亮治会長

 オーディオ・ビジュアル関連の総合展示会「オーディオ&ホームシアター展 TOKYO」(音展)が10月21日(金)~23日(日)に東京・秋葉原で開催される。入場料は無料だが、一部のイベントは有料となる。主催は日本オーディオ協会。22日に都内で開催概要の記者説明会が行なわれた。

 このイベントは、'09年2月までパシフィコ横浜で行なわれていた「A&Vフェスタ」が、東京・秋葉原に場所を変え、ユーザー、メーカー、販売店、地域が一同に参画する形態へと変わったもの。'09年11月に第1回が行なわれ、今回で3回目となる。

 会場は、JR秋葉原駅前の秋葉原UDX・アキバスクエア(2F)と、富士ソフトのアキバプラザ(5F~7F)をメイン会場とし、それ以外にも近隣の販売店などでも関連イベントを実施予定。

 今回のキャッチコピーは「聴けます・見せます・触れます。いい音、いい画、いい空間。」。出展企業による製品展示や試聴体験だけでなく、多くの参加型イベントを計画。セミナーは30回(デモ・試聴含む)、試聴会は10回を予定し、「多くのセミナーと試聴会の開催で、国内最大の情報発信を目指す」としている。また、これまで行なわれていた親子向けの工作教室に加え、新たに大人向けの工作教室も開催。オーディオアンプやイヤフォンを自作できる。

 出展メーカーは会場内が67社(前回74社)、会場外が4社(同6社)で、昨年3Dプロジェクタを披露したシャープなど一部企業が参加しない予定だが、「可能なところでは協力いただける」(日本オーディオ協会)としている。目標来場者数は3万人(前回実績28,700人)。

開催概要キャッチコピーポスターのデザイン。昨年は東洲斎写楽の浮世絵をモチーフにしていたが、今回は「ガラリと雰囲気を変えた」として喜多川歌麿作品のキャラクターを採用

 秋葉原UDX 2Fの「協会テーマ」ブースでは、6つのテーマで最新オーディオ技術などを紹介。「Bluetoothなどの家庭内ワイヤレスオーディオ通信」、「最新パソコンオーディオ、インターネットや他のネットワークオーディオ機器」、「最新ホームネットワークオーディオ(DLNA)機器」、「最新モバイルオーディオ機器」、「最新音場補正技術」、「ロスレスストリーミングオンデマンド配信技術」の各展示を用意。家庭で楽しんでいるオーディオが大きく影響を受ける、新しい芽生えをさらに強化して情報発信するという。

 前回から行なわれた、音楽を聴きながら著名人のトークなどを楽しめる「音のサロン」は内容を一部変更。前回はアルコールや食事を楽しめて、入場料1,400円となっていたが、「昨年の反省を活かし、充実した形で計画を組み直した」とし、今回は飲食無しで自由に入退場できるようになった。音展の3日間に渡って開催され、詳細なスケジュールは決定次第告知される。場所は富士ソフトの7Fプレゼンルームで、配信音楽やPCオーディオ、アナログレコードなど様々な試聴会を用意。さらに、23日14:10~15;40には、評論家の麻倉怜士氏によるセミナー「価格帯別コンポの魅力を探る」を開催する。

 新たに企画された「大人工作教室」は、第1回が10月22日の「『デジタルオーディオアンプ』を作ろう! 」(参加費は後日発表)。主催は秋葉原駅前商店街振興組合。第2回は23日の「『オリジナルイヤホン』を組み立てよう! ~“Final Audio Design”のイヤホン組み立て教室」(参加費3,000円)で、主催はS'NEXT。なお、昨年と同様に親子工作教室も予定し、今年は「『カラオケマシーン』を作ろう! 」(23日/参加費1,500円)、「『紙コップスピーカー』をつくって、音の勉強をしよう」(23日/無料)も行なう。

「協会テーマ」ブースの内容「音のサロン」の内容大人向けの工作教室も新たに開催


セミナーや試聴会の充実を図る

 ポータブルPCMレコーダを使った生録イベント「体験! ライブレコーディング」は、22日に開催。今年は「Vanilla Mood」のメンバーの2人(Yui & Mariko)に、「code M」のプロデューサーとして活躍するMAKIを加えた女性3人のユニット「朱雀~suzaku~」が演奏。音展の生録イベントとしては初の女性ユニットとなる。クラシックからポピュラー、ジャズなど幅広いレパートリーを持っており、曲目は音展のサイト内で後日案内される。録音参加、リスナーともに有料。

 セミナーは、協会主催の他に、オーディオ専門誌や、出展社が開催。その他にも、「AKIBAジャンク市」や、会場と協賛店を結ぶ「回遊型イベント」、会場での申し込みやハガキで応募できるオープン懸賞の「BIGプレゼント企画」などを予定。

 来場者へのプレゼントも用意。初日の10月21日には、先着300名にエコトートバッグ(不織布)が1人1個手渡されるほか、22日と23日には、カップル来場者100組にドーナツタオルがプレゼント(1組1個)される。


真空管オーディオ協議会との連携も決定。音展に、真空管オーディオ協議会主催のセミナーを行なう生録イベントの内容来場者へのプレゼント

会場の案内図


■ オーディオ業界は5年ぶりに回復へ。前回の来場者数は20代が60代を上回る

校條亮治会長

 日本オーディオ協会の校條亮治会長は、国内オーディオ市場について「震災と地デジ移行後の影響があるものの、依然として好調なスピーカーと、2年連続で増加しているCDプレーヤーなどにより、通期では期待できる」と前向きな考えを示す。

 2010年(1~12月)のJEITA統計によればCDプレーヤーやアンプ、スピーカーなどの好調で、音声機器全体で1,841億円と5年ぶりに前年を上回った。JEITAの数値にオーディオ協会の統計(会員以外も含む)を加えると、2011年はさらに前年比107.4%の2,214億円、2013年は2,500億円まで拡大すると予測している。

 校條氏は「大きな要因は、2,500万台もの大画面テレビが売れたことにより、ホームシアターに使われるスピーカーなどが伸びた。それだけでなく、台数としては大きくないが、CDプレーヤーが続伸して、ソフトとは正反対の動きを見せている」との認識を示し、「2013年に2,500億円へ拡大できる、しなければならない」とした。

 また、「音は音、画は画という今までの発想は通用しない。スマートフォンの時代は、ハイクオリティな画と音が、いつでもどこでも楽しめるようになる。一方で、対局にあるピュアオーディオも根強く、高級機だけでなく汎用機も多く出ている」と述べ、従来のピュアオーディオ市場とホームシアター市場、そして“第3世代”と呼ぶPCオーディオ/ネット対応オーディオという3つの柱がそれぞれ成長することの重要性を説いた。前述の2,500億円という市場予測の内訳は、ピュアオーディオが400億円、ホームシアターが700億円、第3世代が1,400億円と見ている。

国内オーディオ市場の動向JEITAと日本オーディオ協会の統計による、国内オーディオ市場の現状と予測展示の狙いとポイント

 業界が抱える課題としては「ずっと言い続けていることだが、ただ単品で価値を追求するだけでなく、生活上の価値観を認識する“感性価値”に力点を置かないと、同じ発想では発展性が無く、次世代にバトンタッチできない。販売店においても、商品同士、コンテンツとの組み合わせでどのように生活が変わるかという提案が無いと、欧米に負けるだろう。デジタルだろうとアナログだろうと日進月歩で変わっているということを訴求できているかもポイント」と指摘した。

 新しい流れとしては、前回の来場者数で20代が初めて60台を上回り、40代以下が60%になったという。校條氏は「それがいい、悪いということではないが、若年層市場の開発は重要。若い人にも機会を提供して、感性を磨いてもらい、さらに比率を上げたい」と述べた。

 東日本大震災に対しては「今も苦しんでいる方々が多くいる中だが、おととい経済産業省を訪ねたところ『こういう時だからこそやってほしい』との話で開催に至った。展示会も“復興支援”と位置付ける。『遅い』との意見もあるが、そうではなく、忘れることなく伝え続け、発言し続けることが大事」とした。

秋葉原電気街振興会の小野一志会長。「震災以降、外出を控えている人たちに、新しい製品などの情報を発信する場として活用していただき、売上にも結び付けたい」実行委員会の西國晴氏。「女性の来場者も10%に近づいてきた。また、“初めて”や“2回目”という人も7割近い。ファン拡大は今後もテーマ」


(2011年 7月 22日)

[AV Watch編集部 中林暁]