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ソニー、小型/高コントラスト化した4Kシネマプロジェクタ

中小劇場など「シネコン以外」の導入へ

 ソニーは、4Kデジタルシネマプロジェクタの新製品「SRX-R515P」を2月より発売する。価格はオープンプライスで、市場想定価格は700万円前後。新光学エンジンと高圧水銀ランプの採用で、コントラスト比8,000:1を実現するとともにランニングコストを抑制している。

 SRX-R515Pは、4Kプロジェクタのほか、4K 2DレンズやIMB(インテグレートメディアブロック)、Digital Cinemaサーバー、タッチパネルモニターなど、デジタルシネマ上映に必要な機材をシステム化したもの。従来機SRX-R320より低価格化するとともに、新光源システムの採用や再利用可能なフィルタなどで、ランニングコストを抑制。投写サイズは従来のSRX-R320のスクリーン幅約16mよりやや小さく約12mまでとなる。シネコンのほか、中小型の劇場やホール、独立系劇場へのデジタル映画上映に向けてビジネス展開を図る。

SRX-R515P
3Dにもオプションで対応
SRX-R515Pのシステム構成

 デバイスは4K SXRDで、解像度は4,096×2,160ドット。コントラストは8,000:1。輝度は15,000ルーメン。特殊低分散ガラスで構成されたF2.5の大口径レンズを採用したほか、漏れ光を最小限に抑えた新光学エンジンを搭載。階調表現を拡げ、映像のリアリティを高めたとする。「夜景のシーンなど黒レベルの低い場所の再現性を高めた。映画業界では、撮影監督やキャメラマンがコントラストを重視する。街場の映画館でいかに意図通りに見ていただけるかが重視される。その要求に応えるべくコントラストを向上した」とする。

 オプションのレンズで3D上映にも対応。左右の映像を同時に投写するため、目に優しい3Dが実現できるという。また、新規格の3D HFR(High Frame Rate)にも対応する。

 光源も一新。従来はキセノンランプを一本搭載していたが、SRX-R515Pでは高圧水銀ランプ×6本に変更した。キセノンランプでは、交換時の破裂の危険性を回避するため防具の着用や専門知識が必要だったが、高圧水銀ランプ化により誰でも簡単に交換できるようにした。また、6本のランプによる多灯方式のため、1つのランプが切れてもそのまま投写を継続できるという。

 背面には15型/1,024×768ドットの液晶モニターを装備。タッチパネルで操作可能で、シングルUと呼ばれる独自のインターフェイスを採用。プロジェクションシステムのセットアップや上映プログラミングなどが行なえる。また、AndroidタブレットやiPadからの操作にも対応予定としている。

 ランプを高圧水銀としたことで、ランニングコストは約10%削減できるという。また、エアフィルターも従来の使い捨てタイプから洗浄可能なタイプに変更している。

側面
Digital Cinemaサーバー
XGAモニターも装備
SRX-R515Pの新規開発項目
4K SXRDの高画質
イージーオペレーション

 サーバーのHDDは4TB(8GBオプション拡張対応)のModified RAID 6で、再生可能画像はJPEG2000の4K 2D(24P)と、2K 2D/3D。MPEG-2にも対応する。プロジェクタ部にはHDMIの外部入力も装備。外形寸法は548×1,119×634mm(幅×奥行き×高さ)。

国内シネコンシェア

 日本のシネコンにおけるソニーデジタルシネマプロジェクタのシェアは約45%とトップになっている。ただし、「シネコンのデジタル化は終盤」とのことで、デジタルシネマ化が進んでいない中小の劇場やホール、公共施設などをターゲットとし、SRX-R515Pを開発。初期コストやランニングコストの低減も、そうした施設からの要望を受けて取り組んだ結果としている。また、ODS(Other Digital Stuff)と呼ばれる劇場における映画以外の音楽ライブやスポーツ中継の上映に対応するための外部入力へのニーズも高く、SRX-R515Pで強化したとする。国外でも新興国、特に中国を中心に世界展開を図る方針。

(臼田勤哉)