ミニレビュー
ソニー「Xperia 1 VII」ウォークマンと同じ部材採用のイヤフォンジャックの実力は? 前機種と聴き比べ
2025年6月12日 08:00
Xperiaの特徴の1つに挙げられるのが、イヤフォンジャック。ワイヤレスイヤフォンが主流になり、ほとんどのスマホで非搭載となった今も守り続けられている。しかも、最新のXperia 1 VIIではさらにこのイヤフォンジャック部に、ウォークマンの最上位モデルと同じ高音質部材を使用して、「Powered by WALKMAN」の表記まで追加した。
それまでも、決してスマホのおまけ機能とならないよう音質面で最適な配置にするなど、様々な工夫が施されているのがXperiaのイヤフォンジャック。今回はXperia 1 VIIと、高音質部材は使用されていない前機種Xperia 1 VIでその音を聴き比べてみた。
Xperia 1 VIIのイヤフォンジャックについておさらいすると、ウォークマンの最上位モデル「NW-WM1ZM2/AM2」にも使われている、金を加えた高音質はんだが使われているほか、非磁性の銅メッキを施した高音質抵抗が出力ラインに採用されたことで、磁気干渉による音の歪みを低減した。
前機種のXperia 1 VIでも、DACなどを含むAudio ICが高性能なものに刷新されたほか、左右の干渉が起こりにくくなるよう基板回路の設計も改善し、Xperia 1 V比較でチャンネル間のクロストークを約50%低減するなどの改善が行なわれていた。そこに、高音質部材を投入したことで、いよいよ「Powered by WALKMAN」と記載されるに至ったわけだ。
じっくり聴くと感じる確実な進化
そんなXperia 1 VIとXperia 1 VIIのイヤフォンジャックで音を聴き比べてみる。ヘッドフォンはゼンハイザーの「HD490 PRO」を使ったのだが、結論から先に言うと、確かに違いはある。
だが、曲によって、違いがわかりやすいものと、ほとんど違いがわからないものがあるので、Xperia 1 VIIのメディア向け体験会で、比較が2世代前のXperia 1 Vと行なわれたのもうなずける。例えば、AdoやYOASOBI、米津玄師などの音数が多い楽曲はまず違いがわからない。
一方で、明確に違いが聴き取れるのが、弾き語り系やアコースティックライブの音源だ。アコースティックギターの弦の揺れとボディから音が響く様子や、ピアノの打鍵感と弦の響きがより明確に見えるようになり、音への没入感が増し増しに。
低域の広がりが深く広く感じられるのだが、パワフルにドカーンと広がるのではなく、より繊細にヘッドフォンのドライバーを動かせるようになったような、ふわっと包み込まれるような広がり方になっている。
ボーカルの輪郭も鮮明になり、「キスだけでいいからね/猫又おかゆ」を再生すると、サビに入っていく部分でXperia 1 VIでは若干ぼやけていた部分もきっちり明確に聴こえるようになり、おかゆんの声の魅力を十二分に味わえる。「ばいばい、テディベア(Acoustic Live)/HACHI」でも、息づかいやボーカルが広い空間に響いていく余韻の細かいところまでしっかり耳に届くので、ボーカルメインの楽曲もたっぷり楽しめる。
Xperia 1 VIの時点で、ウォークマンのAシリーズには追いついていそうなクオリティなのだが、Xperia 1 VIIで聴いた後にXperia 1 VIに戻ると、若干の物足りなさを感じてしまう。ただ、この違いは“圧倒的”というわけではないのだが、それでもやはりしばらく聴き比べていると、だんだんXperia 1 VIIの方が聴いている時間が長くなってきて、確実な進化は実感できる。
イヤフォンジャックの音質のみで考えると、じゃあ価格がこなれてきそうなXperia 1 VIにしておこうかな、と思うかもしれないのだが、Xperia 1 VIIには、Bluetooth送信パワー2倍でワイヤレス接続時も安定するという点や、超広角カメラ部のセンサー刷新とAIによる手軽な撮影機能というところに乗っかってくるので、悩ましくなってくる。購入する際には、自分に必要な機能と照らし合わせてじっくり考えたいところだ。