レビュー

勝手に祝10周年! 外付け全録機の進化を「DBR-M4010」で実感

「DBR-M4010」。合計7チューナー・4TBハードディスクを搭載した“全録”マシン

「巣ごもり消費」「おうち時間」などの言葉に代表されるように、新型コロナウイルス問題が長期化する中、人々の消費スタイルは変わってきている。筆者個人の話をすると、もともと買う方ではなかった衣類関連の消費がさらに減り、スマホの通信契約も小容量のものに見直した。旅行は2021年後半になってから少し増やしたが、新幹線や飛行機を伴ったものは極力避け、車で行ける範囲で……といった具合だ。

一方で、自宅で映像を楽しむ時間はグッと増えた。それを下支えするのが動画サブスク(SVOD)であり、そしてもう1つ、本稿のメインテーマでもある「全録」だ。複数のテレビ放送を24時間体制で録画し続け、数日~数週間分の番組をいつでも観ることができるシステム・概念のことである。

この領域の先駆者はTVS REGZAだ。同社から全録対応のハードウェアがリリースされ始めたのは2000年代後半だが、個人的にそのターニングポイントと考える名機「DBR-M190」の発売は'11年の年の瀬。つまり、ちょうど10周年を迎えた。

筆者はDBR-M190を発売直後に購入し、以来、とにかく全録が大好きになった。ただ10年経って、ハードウェア的に古くなってきたのも事実。そこで'21年8月、シリーズの最新モデルにあたる「DBR-M4010」に買い直したのだが、その進化っぷりと、10年を経ても変わらぬ本質部分に、思わず感じ入ってしまった。

そこで今回は、DBR-M190発売10周年を勝手に祝しつつ、全録の魅力について改めて語りたい。

単体型全録機の原点「DBR-M190」発売から10年、最新モデルの進化ぶり

本稿の主役となる2つのハードウェア「DBR-M190」「DBR-M4010」はどちらとも、レコーダーとして単体動作する、外付け型の全録機。一般的なテレビ録画機と同様、市販のテレビ(メーカー問わず)と組み合わせて使うことができる、極めて汎用的な製品である。

10年前の2011年12月に購入した「DBR-M190」。外付け型全録機の原点と言える名機

わざわざこう書いたのは、かつての東芝が初めてリリースした全録機能が“超高性能テレビの内蔵機能”だったため。'09年末に約100万円で発売された55型テレビ「CELLレグザ 55X1」でしか、全録機能を味わうことはできなかった。そこから約2年後、ついに市販のテレビでも全録機能が使えるという触れ込みでDBR-M190が登場。同機はまさに「単体型全録機の原点」だと言える。

TVS REGZAが発売しているテレビのうち上位モデルについては、現在でも全録機能が統合されている(利用にあたっては外付けハードディスクの接続が必要)。ただそれらと比べて単体型全録機が有利なのは、録画時間の長さだ。設定にもよるが「DBR-M190」「DBR-M4010」では、AVC形式にデータを圧縮して録画できるため、相対的に録画可能時間が増える。

これに対してテレビ統合型の全録は画質調整の概念がなく、放送波そのままのDR形式での保存となる。例えばテレビの「Z740XS」シリーズでは4TBハードディスクを接続しても、6チャンネル・24時間体制での全録となると保存期間は約3日にとどまるが、「DBR-M190」「DBR-M4010」では「AVC高画質」にすれば約1週間近く番組を保存しておける。それくらいしっかり棲み分けできているのもTVS REGZA製全録の特徴と言え、極端な話、全録対応テレビをお持ちの方が単体型全録機を買い増す価値は十分ある。

ちなみに全録とは俗称で、東芝では「タイムシフト(マシン)」という表現をカタログなどで用いている。発売当時の取材内容を総合した限りでは、「厳密には、世にある全ての放送を永遠に録画できる製品ではない」ため、公式には「全録」の表現を用いなかったようだ。ほぼ同一コンセプトの製品はパナソニックからも後に発売されたが、全録機能を「チャンネル録画」「(全)自動録画」と呼称している。

さて、東芝・TVS REGZAの全録機はこの10年で本当にスペックが激変した。その違いを実感できる部分を下の表にまとめた。

モデル名DBR-M190DBR-M4010
発売時期2011年12月2021年3月
実売価格(発売直後)20万円10万円
総録画容量5TB4TB
タイムシフト
録画容量の最大値
4TB3.5TB(本体設定による可変式)
タイムシフト
録画チャンネル数
6(地デジのみ)4(地デジ×1、地デジ/BS/110度CS×3)
+3(通常録画・タイムシフト録画兼用
チューナ×3占有時)
通常録画
チャンネル数
2最大3(タイムシフト録画チャンネルを
最大4チャンネルまでとした場合)
録画用HDD増設通常録画分のみ可能通常録画・全録どちらも可能
無線LANIEEE 802.11a/b/g/nIEEE802.11 a/ac/b/g/n
ネットワーク連携専用モバイルデバイス
によるリモート視聴対応
iOS/Android向け無料アプリ
でのリモート視聴に対応
再生対応メディアBD(UHD BD非対応)BD(UHD BD非対応)
外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
430×323×80mm430×209×59㎜
重量8.3kg3.0kg
動作時消費電力85W41W

番組を録画するという面だけに注目すると、実は10年前に発売されたDBR-M190でもそれほど見劣りしない。全録と、それ以外の通常録画用のハードディスクの総容量を比較すると、むしろDBR-M190の方が優勢。内蔵チューナー数も、BS/CSの対応度に違いがあるとはいえ、合計ではDBR-M190の方が1つ多いほどだ。

ただし、それ以外の要素はことごとくDBR-M4010が上。表中の目安価格は発表時の記事をもとに記載したもので、筆者が実際に購入した価格はDBR-M190が16万7,200円(ポイント11%還元)、DBR-M4010が9万5,750円(5%ポイント還元)。半値とまではいかなかったが、それでも明らかに買いやすくなった。

筐体の小型化は10年かけながらドンドン進み、「DBR-M4010」では奥行きが209mmに
対して「DBR-M190」は奥行き323mm。今となっては大きすぎると感じる
実際に並べてみるとこれだけ違う。重量に至っては「DBR-M4010」のほうが半分以下
ちなみに横幅はほぼ同じ

また、実際にモノとして見てみると、本体サイズのうち奥行きが圧倒的に短くなり、重量に至っては6割減と、圧倒的にコンパクトになったのは本当に嬉しい。全録機は24時間体制で稼働させるため、掃除時以外そうそう動かす機会はないが、ラックに設置されている様をみると、なぜか落ち着く。もちろん、壁寄せ系のテレビスタンドに据え付ける以上は、DBR-M4010のサイズ感がいまやマストなのだろう。

正面カバーを開けたところ
背面部
DBR-M4010のリモコン

全録の対象となるチャンネルが、BS/110度CSデジタル放送に拡張されたのもトピックだ。DBR-M190では地デジ放送のみを最大6チャンネル録画するという割り切った仕様。ただ個人的にはこれでも十分満足だった。

確かにBSも全録できればよいだろうが、関東圏に在住している以上は、NHK・日本テレビ・テレビ朝日・TBS・テレビ東京・フジテレビがコンテンツ的にも充実度・総合性が高く、この6チャンネルだけで相当満足できるというのが全録生活10年の結論である。

とはいえ、地方によっては放送局が少なくて6チャンネル分も要らないとか、全録機を2台同時に使うから1台はBSチャンネルを全録したいとか、ユーザーの要望は色々違うだろう。DBR-M4010で使い勝手の幅が広がったことはユーザーとして嬉しいところだ。

全録された番組は、この「過去番組表」から選んで再生できる

DBR-M4010で明確に不満なのは、6チャンネル全録を設定した場合に、空きチューナーが1つになってしまうこと。これだと全録対象外のチャンネル・番組を録画したい時、別番組をリアルタイム視聴しながらの裏番組録画ができない(録画中は録画チャンネルにチューナー固定される)。

もちろんテレビ側のチューナーでリアルタイム視聴をすればコトは足りるのだが、DBR-M4010がとにかく便利なので、テレビ側の入力をいちいち切り替えるのすら面倒になってくる。しかし、この不満、もはや贅沢病の域に達しているような……。

こちらは通常の番組表。今後放送予定の番組をチェックできる
通常の番組表から録画予約した番組の一覧。全録番組とは区別されている

TVS REGZA製全録を語る上で、録画仕様についても少し触れておきたい。まず、一般的にイメージされる番組録画および予約(番組表から選んで録画番組を指定し、半永久的に保存しておく)にはもちろん対応しており、これは「通常録画」として扱われる。

この通常録画とは全く別の録画機構として「全録(正式にはタイムシフトマシン録画)」が“同居”していると考えてほしい。録画の指定方法が全く異なるため、それぞれが独立しているイメージだ。ただし、全録した番組が自動削除される前であれば、通常録画の領域にコピーできるが、これは「保存」と呼ばれる。

予約の手間が経る全録機能の素晴らしさ

さて比較はこれくらいにして、ここからはDBR-M4010の使い勝手に迫っていきたい。本機は4TB分の録画用HDDが内蔵されていて、全録用としてどれだけ割り当てるかを0%・25%・50%・75%・87.5%の5段階から選択できる。逆に言うと、4TB全てを全録にすることはできず、最高でも87.5%の3.5TB分が全録の限界になる。この領域に対して、何チャンネル録画するのか、画質はどうするのか、どの時間帯に録画するかで保存期間がが決まってくる格好だ。

全録対象チャンネルの設定画面
全録の時間帯を設定

画質の選択はかなり複雑なので詳しくは説明書を読んでほしいが、おおざっぱに言えばAVC高画質・AVC中画質・スマホ高画質・スマホ長時間画質の4択。放送そのままの画質に相当するDRは全録用チューナーでは選べず、通常録画・全録兼用チューナーでのみ選択できるという、入り組んだ仕様になっている。

ただDR画質は高画質な分、容量も食ってしまう。そこで筆者は地上波6チャンネル分を全録対象とし、画質は全チューナー共通で選べる設定の中で最も高品質な「AVC高画質」に統一。そして朝3時~4時を除いた23時間分を全録して運用している。ただし仕様上、DBR-M4010では1日のうち1時間分をシステムメンテナンス時間に指定しなければならない。DBR-M190ではこの「絶対に全録できない時間」が1日あたり10分程度だったため、制限がやや増えた側面はある。

全録の画質設定は意外と複雑。7つあるチューナーのうち、全録専用となる第1~第4チューナーは選択肢が4つだけ
対して第5~第7にあたる通常録画兼用チューナーは、より高画質なDRにも対応
AVC高画質設定で全録が6チャンネルなら、ハードディスクのうち87.5%を全録に割り当てれば、およそ7日分を常時保存しておける

とはいえ、この設定だとちょうど7日間+7~8時間分の番組が保存できているので、例えば金曜夜20時の番組をリアルタイムで見ている時、気になったらその前週分を見ることができる。

全録の対象時間設定はかなり柔軟なので、例えばゴールデンタイムにだけ全録を実行すれば、1カ月前の番組を見返すことも可能だ。とはいえ、これだと「あらゆる番組を1週間以内だったら全て視聴できる」という安心感がスポイルされてしまい、個人的にはもったいなさを感じる。

つい先日、漫才コンテスト「M-1グランプリ2021」が生放送された。チャンピオンになると途端に番組出演が増えるというが、やはり今回も優勝コンビの錦鯉は、翌朝から情報バラエティ番組に出ずっぱり。遅くとも6時35分頃にはフジテレビ系「めざましテレビ」に出演して、生で漫才を披露し、“めざましじゃんけん”(7時直前)にも参加していた。

8時スタートのTBS系「ラヴィット!」には冒頭から登場。特集コーナーに飛び入り参加するなど、約27分に渡って場を盛り上げた。これでもまだ終わらず、日本テレビ系「スッキリ」には9時12分から22分まで約10分間、そして再びフジテレビ系「ノンストップ!」に10時20分から出演するという強行軍だった。

「ラヴィット!」から「スッキリ」まで約45分間しか間隔がなく、テレビ局間の移動はさぞや大変だったろう。こうした早朝からの“トンデモっぷり”をフルタイム全録なら余すことなく味わえた格好だ。ゴールデンタイム限定の全録では、こうはいかない。

M-1グランプリに優勝すると、その翌朝から大忙しと聞いてはいたが、まさか朝6時台に生で漫才を披露するとは……

こうした“お祭りコンテンツ”を味わうには、フルタイム全録が最も威力を発揮する。他にもパッと思いつくところでは、海外スポーツの注目試合が該当する。特にヨーロッパ開催大会は時差の都合で日本の早朝にゲームセットとなる機会が少なくない。

またフルタイムで全録するということは、対象チャンネルの番組をその都度予約する手間が省けることにも繋がる。最近は録画機のネットワーク機能が高度化しているので、外出先からの予約はそれほど面倒ではないが、それでも予約を忘れる時がある。だが全録があれば、予約の手間、予約を忘れた時の憔悴感、その両方が軽減される。この快感は、実際に全録を使ってみないと分からないかもしれない。

全録もチャプタースキップ対応

DBR-M4010に買い替えてから非常によく使うようになったのが、時短再生関連の機能のうち「らく見」と呼ばれる再生モードだ。突き詰めるとDBR-M4010では、番組を1.3倍速再生しながら見られる「らく早見」という再生モードがあるのだが、対して「らく見」はチャプタースキップ(有り体にいえばCMスキップ)のみを自動実行してくれる。DBR-M190でのチャプター自動付与は通常録画番組限定で、全録番組は対象外だったのだ。

全録した番組を再生しているところ。右下のプログレスバーを見ると、チャプター情報が付与されている

この説明だけ聞くと地味な違いに感じるかもしれないが、使い勝手の変化は絶大。これだけでもDBR-M4010を導入した価値があったと言えるくらいだ。再生モードの切り換えも、番組再生中にリモコンの緑ボタンを押すだけでトグルできる。なお、放送中の番組を追っかけ再生している間は「らく見」モードが機能しない。しかしチャプター自動付与は常時行なわれているので、手動でスキップすることは可能だ。

リモコンの緑ボタンを押していくと「らく見」に切り替えられる
このプログレスバーのうち、白い部分がスキップの対象

全録番組の“保存”もOK。容量不足は外付けHDD増設で解消

10年前に全録生活をはじめた当初の想定を越えて、後になって頻繁に行なうようになったのは「全録番組の保存」だ。全録された番組は、保存期間を超えると自動で削除されていく訳だが、数カ月に1本くらいは、保存して何度も繰り返して観たい番組が出てくる。

本来なら数日~1週間程度で自動削除される全録番組だが、後から手動で“保存”すれば、期限に関係なくずっと視聴できる$$

ここ数年で最もそうした思いを抱いたのが、'20年6月21日にテレビ東京で放送された特番「英国⇒日本25000km!超巨大コンテナ船に乗せてもらいました!~世界最大級の船で世界の海を大航海SP!~」だった。知っていそうで知らない、海上輸送の実態を楽しく紹介するという番組の第3弾で、スタッフは1カ月を超える長期ロケを敢行したという。

しかもオチが凄まじく、折しも発生したコロナ問題で船員が交代不可に。撮影スタッフも当初予定していた港で下船できなくなってしまう。しかし、それでも物流を支えるための航海は続くという、船員へのリスペクトがこの上なく高まる超・良質番組で、いつかは第4弾を撮影してほしいと切に願っている(ちなみにこのシリーズの第1弾・第2弾が'20年末の早朝時間帯に再放送されたのだが、それも全録のおかげで視聴できた)。

さて、こうした番組を発見したら、「保存」操作の実行だ。一度行なえば後は任意に消さない限り、半永久的に視聴できる。操作そのものは難しくなく、全録番組のリストにあたる「過去番組表」から簡単に実行可能。ダビングにかかる時間は実番組時間程度、つまり2時間番組ならダビングに2時間かかるとみておけば間違いない。タビング中でも別の全録番組を視聴できるので、それほど不便さは感じない。

保存中でも全録番組を再生できるので、実用性も高い

もう1つの注意点としては、画質は全録設定に依存する。AVCの圧縮画質で全録したものを、通常録画に変換する際にDRに戻すことはできない。これを踏まえても、全録画質は品質を落としすぎないほうが良い、というのが経験者からのアドバイスだ。

ちなみに筆者の場合、DBR-M4010の総録画容量4TBのうち3.5TBを全録に割り当てているため、通常録画領域は0.5TBしかない。そこで、Amazonで11月行なわれたブラックフライデーセールに合わせて、4TBの外付けUSBハードディスク「HD-TPA4U3-B/N」を購入し、増設した。バスパワー駆動も問題なく、これでもう通常録画の容量不足で悩む心配は、少なくとも1~2年はないはずだ。

4TB中、3.5TBを全録に割り当ててしまうと、通常録画の領域が不足気味なので、外付けHDDを増設した

DBR-M4010では、全録用の保存領域を外付けHDDで拡張できるようになったのも特徴だが、現状では内蔵の保存容量にそれほど不便を感じておらず、試していない。ただ、説明書を読んでみた限り、いろいろと制限もあるようで、例えば本体背面の「タイムシフト録画用USB端子」に接続したハードディスクに全録できるのは、全7系統のチューナーのうちの第1~第4系統に限定されるとのこと。

第5~第7系統チューナーを全録したい場合は、通常録画用のUSBハードディスク増設を諦めざるを得ない。スペック表だけ見て「全録用の領域をいくらでも増やせる!」と勘違いしないよう、ご注意を。

10年の進化をもっとも実感できる「スマホ連携」

そしてDBR-M4010では、スマホによるリモート視聴周りの体験が大幅に改善された。基本的な考えとして、自宅でDBR-M4010をネットワークに接続しておけば、自宅内でスマホや別室のテレビから通常録画・全録どちらの番組とも視聴できる。また外出先でスマホから4G/5G回線経由で自宅ネットワークにアクセスして番組を観ることもできる。DBR-M190では、このあたりのサポートが(今となっては)貧弱で、それこそ外出先から録画予約するのも大変だった。

リモート視聴などのネットワーク機能を利用する場合は、この設定をオンにする

ただ一応言っておくと、筆者は「全録があるなら自宅で番組を見ればいいじゃん」というスタンス。24時間体制で録画した番組が1週間保存される環境が構築されていると、観る時間に縛りがないためとにかく自由だし、よほどの話題作やネタバレが怖いドラマでもない限り、慌てて観る必要もない。下手にスマホの小さな画面で見るより、家に帰って夜食でも食べながら大画面のテレビで楽しんだ方が良いと考えている。

とはいえ、旅行などで家を離れてホテルに泊まっている時に、見逃した番組をチェックしたいなど、そういったピンポイントな需要は個人的にもあるので、もちろんスマホ連携機能があったほうがいいのは確か。特にDBR-M4010では、専用アプリ「スマホdeレグザ」が無料で用意されているので、複数台のスマホを使い分けたりしている場合には重宝するはずだ。

設定は、自宅などの同一ネットワーク内でスマホとDBR-M4010を同時に接続し、スマホdeレグザアプリからペアリング操作をする。一度この作業を済ませておけば、宅外リモート視聴が約90日間、許可されるかたち。期限の更新もできる。

「スマホdeレグザ」アプリのメイン画面
外出先のベンチからだって、番組を視聴できる

しかし筆者が試した限り、安定性の面で正直不満がある。トラブルなく動作していたのに時間をあけるとなぜかペアリングが切れ(ているように見え)たり、宅内視聴は問題ないのに宅外だと途端に視聴できなくなったり、ひどい時は「スマホdeレグザ」アプリをインストールしたスマホが3台あるうち、配信デバイスリストにDBR-M4010が表示されるのは1台だけなど、不安定な面が多い。こうなるとアプリの再起動程度では改善されず、時間を置いてもう一度操作するとスムーズに動作するなど、かなりハチャメチャである。

自分の無知ゆえなのか、たまたま自宅のネットワーク環境が特殊なのか、問題の切り分けもなかなか難しい。すべてのネットワークで同様かは分からないが、少し気を付けておいてほしい。一旦動作すれば、あとはスムーズなのだが……。

正直なところ、スムーズにいかないケースは多い。この画面が出て延々待たされたり……
画面が変わっても、こうしたメッセージで止まる場合も

新モデルも登場、年末年始を全録でより楽しく!

だいぶ長い原稿となってしまった。ただ全録には本当に愛着があって、あれを語ろう、これについて細かく解説しておきたいとか、いろいろな欲望丸出しで、書きなぐってしまった。もはや冷静に論理を組み立てられていない気もするが……そこはご容赦いただきたい。

とにかく、お伝えしたいのは「全録は便利」、その1点である。もちろん細部をつつき出すと、いろいろ穴はある。ネットワーク機能の安定性はもちろん、ユーザーインターフェイスの反応速度も、もう一声欲しいところ。また、DBR-M190に比べてチューナー数が1つ少ない点は、やはり8系統あったほうがいいと思うし、システムメンテナンスに必要な時間が毎日1時間なのも地味にもったいない。しかし販売価格を目の前にすると、やはり10万円前後に抑えて買いやすさを優先した方が良い気もしてくる。

設定が難しそうと思われるかもしれないが、説明書を読みながらステップバイステップで落ち着いて進めれば問題ないと思う。一度運用が始まれば、あとはもうリモコンの「過去番組表」から目的の番組を探すだけなので、あまり機械が得意ではないというシニア層でも使いこなせるだろう。

もし全録マシンを新たに導入するとしたら、DBR-M4010を即座にチョイスするのも手だが、順次発売予定の新シリーズ「4KZ」にも注目してみるのもいいだろう。2K放送の全録とは別に4Kチューナーを内蔵しており、8番組同時録画ができる。また年明け2022年1月には内蔵ハードディスクが6TBのモデルも予定されており、本稿で述べた不満点をかなりのピンポイントで解消してくれるのではないかと期待している。

年末年始はテレビ局の番組編成に一層力が入る。注目の番組も多く、全録は少しでも多くの番組を見たい時に重宝する。TVerなどの見逃し配信サービスだけでは得がたい体験を、レグザ全録で味わってみては。

DBR-M4010は独立単体で動作する録画機であり、テレビメーカー問わず使える。TVS REGZA製だけに限らず、全録自体が本当に便利だと思うので、機会があれば店頭などで実機に一度触れてみてほしい
森田秀一

1976年埼玉県生まれ。学生時代から趣味でパソコンに親しむ。大学卒業後の1999年に文具メーカーへ就職。営業職を経験した後、インプレスのウェブニュースサイトで記者職に従事した。2003年ごろからフリーランスライターとしての活動を本格化。おもな取材分野は携帯電話、動画配信、デジタルマーケティング。「INTERNET Watch」「ケータイ Watch」「AV Watch」「Web担当者Forum」などで取材レポートを執筆する。近著は「動画配信ビジネス調査報告書 2021」(インプレス総合研究所)、「BtoB-EC市場の現状と販売チャネルEC化の手引2020」(共著、インプレス総合研究所)。