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パナソニック、“究極の4K録画再生”を目指した旗艦ディーガ。約36万円

BDレコーダー「DMR-ZR1」

パナソニックは、4Kチューナー内蔵ディーガの新製品として、高画質・高音質を追求したフラッグシップBDレコーダー「DMR-ZR1」を2022年1月28日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は36万円前後。

同社UHD BDプレーヤー「DP-UB9000」の設計思想を継承・進化させて、“究極の4K録画再生”をコンセプトに開発された4Kディーガ。2015年11月に発表した「DMR-UBZ1」以来のハイエンドで、4KチューナーとUHD BD再生機能を備えたプレミアムモデルと位置付けられている。

2K/4K放送の3番組同時録画やドラマ・アニメの自動録りおきといった最新の録画機能を備えながら、オーディオグレードのパーツや回路、電源、および独自のデジタル信号処理技術を投入することで、最高レベルの録再品質を実現しているのが特徴。

さらに、業界初の22.2ch音声→Dolby Atmos変換出力や、4K放送の24p/30p変換出力、映画放送の字幕輝度低減、コンテンツの詳細情報表示など、AVユーザー向けのマニアックな機能を多数搭載するなど、既存のプレーヤー・レコーダーとは一線を画すモデルとなっている。

“ディーガ史上最高グレード”の筐体および回路設計

ZR1の大きな特徴が、“ディーガ史上最高グレード”と謳う筐体および回路設計。

外形寸法430×300×87mm(幅×奥行き×高さ)、重量約13.6kgという大型・重量級の筐体には、プレーヤーUB9000同様の高剛性、低重心設計を導入。4層構造のベースシャーシを土台に、3層構造ドライブベースとUHD BDドライブをマウント。2層構造のトップパネルで制振性を向上させつつ、アルミ押し出しのフロントおよびサイドパネルをベースシャーシに固定することで筐体の剛性を強化した。

UB9000で採用した筐体構造とベースシャーシを継承

内部は、電源基板、HDD、BDドライブ、デジタル基板の4ブロックに分割し、ノイズの混入を低減。HDDは4mm厚の2種鋼板を直付けすることで、プラッターの回転による振動を抑制している。さらに、デジタル回路用とドライブ用に、各々最適化された新開発の独立電源を搭載。電源の余裕度を高めている。

4ブロックに分割されたZR1内部
4mm厚の2種鋼板を直付けすることでHDDの振動を抑制
新開発のデジタル・ドライブ独立電源

各デジタル回路も、UB9000から大幅に刷新。システムクロック用には超低位相ノイズ水晶発振器を、そしてAVクロック用には超低ジッターPLLを採用するなど、クロック回路では徹底したジッター対策を実施。またUSB、HDMI、LAN、同軸デジタル音声といった各インターフェイスに関しても、専用コンデンサーを使ったノイズ低減や低クロックジッター設計を採用することで、再生品位の向上が行なわれている。

高精度クロック回路
HDMIケーブルで接続されたディスプレイからの回り込みノイズを抑制するチップビーズとコンデンサー

ZR1の筐体・回路設計に関して、同社担当は「“デジタル信号処理”による画質・音質改善は、UB9000でほぼ完成の域に達したという自負があった。そのため、ZR1の開発目標である“究極の4K録画再生”を実現するには、電源や電気回路、筐体を抜本的に見直すアナログ的なアプローチが要求された。主に音質改善を目的に施した各所のノイズ・ジッター対策は、結果的に画質改善にも大きく寄与している」と説明する。

4K画質処理がアップデート。4K24p/30p変換や放送字幕の輝度低減追加

映像面では、高品位な4K&HDRを生み出す独自の信号処理技術「4Kリアルクロマプロセッサplus」を、UB9000に引き続き搭載。高画質BDの研究開発拠点・パナソニックハリウッド研究所(PHL)で培った技術を応用したもので、デコードした4K/4:2:0信号を高精度マルチタップ処理で4K/4:4:4信号に補間することで、「鮮度が高く自然な質感と立体感にあふれた4K映像」を可能にする。同処理は、UHD BDや4K放送、4Kネット動画、HDR映像にも適用できる。

4Kリアルクロマプロセッサplus

ZR1で新たに搭載されたのが、4K放送を24pもしくは30pに変換して出力する機能。4K放送は60コマだが、「放送されている4K映画は本来24コマ。また4Kドラマも30コマ収録のものがほとんど」(同社担当)とのこと。同機能はメニューから手動で選択する必要があるものの、24p/30pに変換することでオリジナルのフレームレートで楽しめるほか、コマ数を削減することで4K/4:4:4出力できるのが利点(HDMI2.0伝送の都合上、4K60pは最大4:2:2 12bitまでで、上述の4:4:4高精度マルチタップ処理がフル活用できない)。

4K放送の映画やドラマを、24p/30pに変換
変換は設定から手動で行なう

本来ディスプレイ側で行なうトーンマップをレコーダー側で処理する「HDRトーンマップ」、HDR映像の明るさを調整する「ダイナミックレンジ調整」、コントラスト感を調整する「システムガンマ調整」といった基本的なHDR処理はUB9000と同等だが、ZR1ではそれらの使いやすさを改善。

具体的には、システムガンマの調整幅が±6段階から±12段階へ倍増し、コントラスト感がより細かく設定できるようになったほか、ダイナミックレンジとシステムガンマが連動する連動調整メニューを追加。難しかったHDR映像のカスタマイズが、より簡単に行なえるになった。

イメージ図
連動を「入」にすると、レンジ調整に併せてシステムガンマ値も変更されるようになった

なお、ZR1では「HDR10」「HLG」「HDR10+」「Dolby Vision」の4つのHDR方式をサポート。BDレコーダーでのDolby Vision対応は、ZR1が初となる。

さらに、UHD BDやBD再生時に定評のあった「字幕輝度調整」が、放送番組にも拡大。映像と一体化して送られる映画放送の字幕を、新開発の独自技術により抽出。字幕以外の箇所への影響を極力抑えながら、字幕の明るさを低減することができるようになった。

対象は、4K放送のHDR/SDR番組と2K放送。輝度低減は、録画(またはBDダビング)した番組に限られるが(リアルタイムの放送視聴はNG)、「4K/HDRの映画を暗い部屋で視聴する際など、字幕の眩しさを抑えるのに有効」としている。

輝度低減「切」
輝度低減「弱」
輝度低減「強」

ほかにも、4K/2K映像の鮮鋭感を向上する「4K超解像/W超解像」、2K映像を高精度にアップコンバーとする「4Kダイレクトクロマアップコンバートplus」、対応のBDビデオを36bitの高階調で出力する「MGVC」などの高画質機能を備える。

業界初の「22.2ch音声→Dolby Atmos変換出力」を搭載

音声機能としては、業界初の「22.2ch音声→Dolby Atmos変換出力」がトピック。

4Kディーガシリーズはレコ-ダーで唯一、NHK BS4Kで稀に放送される22.2ch番組の音声を、22.2chのまま録画・ダビング・ビットストリーム出力できる機能を備える。しかし、22.2chに対応したサウンドシステムが非常に限られる上、家庭で22.2chの再生環境を用意するのは現実的に難しいと言う課題があった。

ZR1では、ドルビーと共同開発した新しい変換技術により、22.2chの音声情報を間引くことなくAtmos信号に変換。AVアンプやサウンドバー、テレビなど、既存のAtmos対応機器を組み合わせることで、オリジナルが持つ立体的な音場を再現することができる。

22.2chのAtmos変換は、リアルタイムの放送視聴ほか、HDD内の録画、BDにダビングした番組でも可能。同社担当は「Atmos変換中も、録画などのマルチタスク性能に影響はない。パッケージや配信など、既存のAtmosコンテンツは映画が中心だが、NHK BS4Kでは音楽ライブやコンサート、ドキュメント、ドラマ、スポーツなどの22.2ch番組があり、立体音場の楽しみが拡がる」とAtmos変換の意義を話す。

Atmos変換は、HDMI出力設定から選択可能

ほかにも、不要な回路ブロックを動作停止させて音質向上を図る「ハイクラリティサウンド」や「シアターモード」、PCM 384kHz/32bit・DSD 11.2MHzまでハイレゾファイル再生、圧縮音源の高音域成分を復元する「リマスター」、真空管アンプを通したような温かみのある音を再現する「真空管サウンド」機能なども搭載する。

なお、ZR1では「アナログ出力に投じる分の物量を、デジタル/ドライブ系に集中投下」(同社担当)しているため、アナログ音声出力を廃止。DMR-UBZ1にあったRCA/XLR出力や、UB9000にあったアナログマルチch出力は搭載していない。

アナログ音声出力を廃止

内蔵6TB HDDに4K3番組同録。4K長時間に1.3倍録を新設

内蔵チューナーは、BS4K/110度CS4K×3、地上/BS/110度CS×3。全自動モデルを除く4Kディーガとしては最大容量となる6TB HDDを内蔵し、4K/2K放送の最大3番組同時録画を可能とした。

4K放送の録画においては、非圧縮のDRモードと、データ容量を抑えながら4K解像度のまま録画する長時間モード(HEVC再圧縮)を用意。内蔵する6TB HDDに、4K DR時で最大約390時間、4K 8~12倍録時で最大約4,680時間の4K番組を録り貯めることができる。

ZR1では、4K長時間モードに「1.3倍録」を追加。これは、25GBのBD-Rに、“4K番組を2時間ピッタリダビングする”ことを狙ったモード。担当は「DRでは実測1時間54分しかダビングできず、1.5倍録にすると2時間15分になって、ディスクに空きができる。番組カットなどの編集をする必要もないし、ディスクの空きも最小限にできる1.3倍録は使い勝手のいいモード」と説明する。

そのほかの主な録画機能は、'21年秋に発売された4Kディーガシリーズ(DMR-4T402など)に準じる。

新機能「ドラマ・アニメお録りおき」は、ジャンル(ドラマ/アニメ)と時間帯(朝/午後/ゴールデンタイム/深夜)を指定することで、好きなジャンル、時間帯の番組を自動録画してくれるもの。同機能で録画をした番組は、レコーダー内の専用領域に最大約90日間録りおかれるため、ドラマ1クール分をイッキ見することもできる。

また、録りおき番組の再生履歴からユーザーの嗜好をAIが分析し、好みに合わせた番組を表示してくれるため、録りおかれた番組の中からでも好みの番組が見つけやすいという。

ドラマ・アニメお録りおき

スマホ・タブレット連携機能も引き続き搭載。無料アプリ「どこでもディーガ」では、録画番組のスマホ視聴や、帰宅中のリアルタイム視聴が可能。番組だけでなく、ディーガに保存した写真や音楽をスマホに入れて持ち出すこともできる。

ネット動画機能にも対応。視聴できる動画サービスは、Netflix、Amazon Prime Video、hulu、U-NEXT、ABEMA、dTV、DAZN、Paravi、DMM.com、TSUTAYA TV、デジタル・コンサートホールなど。ラジオ番組を配信する「radiko」も楽しめる。Amazon Prime Videoに関しては、24p出力にも対応する(従来は60p出力)。なお、YouTubeは'21年モデルの4Kディーガ同様に非対応。

リモコン
バックライトを付けた状態

暗い部屋でも操作できるバックライト付きリモコンを採用。音声や字幕の選択、画質設定など、細かい設定が操作しやすいようボタン配置を最適化した。さらにUHD BD/BD再生中、番組編集中には、再生・編集作業に直接関係しない一部ボタン(番組表やホームなど)を無効にすることで、鑑賞や編集を中断させないように配慮している。

再生・視聴中にリモコンの「iボタン(画面表示)」を押すと、コンテンツやHDMI出力に関する情報が確認可能。トグル動作で、簡易表示から、映像や音声の各種フォーマットや映像・音声ビットレート、HDR10メタデータなどの詳細情報までGUI上に表示してくれる。UHD BD/BDに加え、4K/2K放送にも対応した。

再生中のGUI画面
簡易表示
詳細表示
詳細表示/メタデータ

入出力端子は、HDMI出力×2(映像・音声/音声)、同軸デジタル音声出力×1、光デジタル音声出力×1ほか、USB2.0(前面)、USB3.0(背面)、LAN端子を1系統用意する。

消費電力は約30W。待機時消費電力は、標準モードで約11W、省エネモードで約9W。