レビュー

「これで良いじゃん」と唸る“Anker最高傑作”「Soundcore Liberty 4」

Anker史上最高傑作を謳う完全ワイヤレスイヤフォン「Soundcore Liberty 4」

Ankerからブランド史上最高傑作を謳う完全ワイヤレスイヤフォン「Soundcore Liberty 4」が登場した。進化した音響構造や独自の“ウルトラノイズキャンセリング 2.0”、さらにヘルスモニタリング機能など、“欲しい機能”をすべて盛り込んだモデルを2週間ほど使ってみたところ、AirPods Pro(第2世代)ユーザーの筆者が思わず「これで良いじゃん」と思ってしまうほど、バランスのとれたイヤフォンだった。

今回試用したモデルはミッドナイトブラック

Soundcore Liberty 4は10月27日に発売された「欲しい機能が全て揃ったAnker史上最高傑作」を謳うモデル。2基のダイナミック型ドライバーを1つのモジュールに統合して同軸上に配置する独自の音響構造「A.C.A.A」の最新版となる3.0や、外部環境にあわせてアクティブノイズキャンセリングの強度を自動で調節できる「ウルトラノイズキャンセリング 2.0」のほか、ヘッドトラッキング対応の3Dオーディオ機能、LDAC対応によるハイレゾ再生、さらには心拍モニタリングなどヘルス機能も詰め込んだ、まさに“全部盛り”な1台に仕上げられている。

Anker Power Conference 2022 Fallに展示されたカラバリ。上からクラウドホワイト、スカイブルー、ワインレット

それでいて価格は14,990円と他社のフラッグシップモデルと比べると、かなりリーズナブル。カラーバリエーションはミッドナイトブラック、クラウドホワイト、スカイブルー、ワインレッドの4色で、スカイブルーとワインレッドのみ2023年春に発売予定。

“うどん”が短くなったイヤフォン部。ANC能力はAirPods Proがやや優勢

パッケージを開いたところ

パッケージはフラッグシップモデルらしく高級感のあるデザインで、開くとイヤフォンと充電ケース、イヤーピースが出てくる。その横には音質の調整や3Dオーディオの切り替えなどに使う「Soundcore」アプリの案内文が記載されており、クイックスタートガイドと充電用のUSB Type-C to USB Type-Aケーブルも同梱されている。

付属のイヤーピース。イヤフォンに装着済みも含め、サイズは4種類

付属のイヤーピースは独自の2層構造を採用した「CloudComfortイヤーチップ」で快適な着け心地を実現。イヤフォンを外すときも裏返りにくいとしており、実際に筆者が使っている間、裏返ってしまうことはなかった。

アプリではNCモードの設定、イコライザー設定などができる
「Soundcore」アプリからイヤーピースの装着テストができる

上述のアプリでは装着テストができ、自分の耳にフィットしたイヤーピースを選ぶことができる。なお、このSoundcore Liberty 4では付属のイヤーピース以外は使用できない。

前モデル「Soundcore Liberty Air 2 Pro」(左)とのサイズ比較。ケース、イヤフォンともにコンパクトになった

イヤフォンの装着感は良好で、サイズのあったイヤーピースを使えば、頭を左右に激しく振ったり、走ったりしてもイヤフォンが外れることはなく、ANCを使っていなくても十分な遮音感を得られる。サイズは公式サイトで前モデルとされている「Soundcore Liberty Air 2 Pro」よりもイヤフォン本体が14%、充電ケースが12%小型化されており、耳から飛び出す部分の長さが短くなっている。

操作性についてもSoundcore Liberty 4は良好で、AirPods Pro(第2世代)と遜色ない操作感で扱える。耳から伸びる“うどん”部分に感圧センサーが備えられており、楽曲の再生/停止やANCモードの切替などができる。アプリから左右のイヤフォンそれぞれで1~3回の押し込み回数ごとの動作を変えることも可能。

タッチの感度調整もできるが、筆者が試した限りデフォルトでも誤動作なく、しっかりと操作できた。イヤフォンの着脱に合わせて自動的に再生/停止する着脱検知も利用できる。

AirPods Pro(第2世代)と並べたところ

充電ケースのフタはスライド式。上述したように前モデルからケースも小型化され、梨地のような表面処理も施されているので、片手で簡単に開閉できる。シャツの胸ポケットにも入れやすいサイズ感だが、AirPods Pro(第2世代)のケースと比べると厚みがあるので、ポケットの膨らみは気になるかもしれない。ケースの充電ポートはUSB Type-Cで、ワイヤレス充電にも対応する。

Soundcore Liberty 4のANC能力は、静かな屋内や幹線道路沿いなどでは、AirPods Pro(第2世代)と変わらない強さで、両モデルともノイズが気にならないレベルまで抑えてくれる。

それに対して電車内、特に騒音の大きい地下鉄では、同じボリュームで音楽を聴いていると、Soundcore Liberty 4では音楽がノイズに負けてしまい、ボリュームを1~2ステップほど上げたくなることが多かった。こういったシチュエーションではAirPods Pro(第2世代)のANCのほうが強力に感じられた。

Soundcore Liberty 4の外音取り込みモードは、音質・音量ともに大きな違和感はなく、駅構内の音声案内もしっかり聞き取れ、会話も問題なくできる。ちなみにアプリから外音取り込みモードを「全ての外音」と「音声フォーカス」の2種類から選択することができ、「全ての外音」ではサーッというホワイトノイズが少し気になった。

迫力ある低域でジャンルを問わず楽しめるサウンド

iPhone 13 ProとペアリングしてApple Musicで音楽を聴いてみた

音質については、独自音響構造「A.C.A.A」を進化させ、「高音は繊細ながらもマイルドに、低音は力強くてリッチながら明瞭に、あらゆる音域でバランスの取れた音質を実現した」という。

まずはAirPods Pro(第2世代)を使って、手持ちのiPhone 13 ProでApple Musicの「Shivers/エド・シーラン」や「真夏の夜の夢(2022 mix)/松任谷由実」、「摩擦係数/櫻坂46」などを聴いてみると、低域は抑えめな一方で、中域から高域は繊細なサウンドを楽しめる。「Shivers/エド・シーラン」ではクラップ音やエド・シーランのボーカルなどがバランスよく響く。「真夏の夜の夢」や「摩擦係数」などの女性ボーカルも、高域が刺さるような印象もない。

それに対して、Soundcore Liberty 4ではAirPods Pro(第2世代)を大きく上回る迫力の低域がしっかりと感じられる。「Shivers」や「真夏の夜の夢」ではイントロからベースがズシンと響き渡って聴き応えがある。女性ボーカル、特にアイドルソングでは時おりトゲトゲしさを感じることもあるが、アプリのイコライザーで調整すれば気にならないレベルに抑えられる。

音の傾向を端的に表現すると“ドンシャリ”な音なのだが、低域の迫力に中高域が負けておらず、バランスも整っているので、悪い印象はない。ジャンルを問わず、どんな楽曲でも楽しめるサウンドだった。

アプリのイコライザー画面(左)。高域が刺さる印象の楽曲では、イコライザーを活用した(右)

ちなみにSoundcore Liberty 4の3Dオーディオ機能は、独自のアルゴリズムで処理する仕組みなので、Dolby Atmosや360 Reality Audio非対応の音楽やYouTubeなどの動画にも適応でき、ヘッドトラッキングにも対応しているが、AirPods Pro+Apple Musicで楽しめるDolby Atmos楽曲と聴き比べると、“バーチャル”感は否めず、個人的には少なくとも音楽鑑賞時に常用したいとは思えなかった。

思わず「これで良いじゃん」と唸るトータルバランス

Soundcore Liberty 4とAirPods Pro(第2世代)を使い比べてみると、地下鉄など、特定の条件下ではANCの性能が気になるものの、それ以外の場面ではSoundcore Liberty 4のANCに不満はなく、操作感も問題はない。音質も、AirPods Pro(第2世代)よりも低域がしっかりと出ている分、より音楽を聴く楽しさを味わえる。

それでいて価格はAirPods Pro(第2世代)の39,800円の半額以下。AirPods系製品では、同じApple IDを使っているアップル端末にiCloud経由でペアリング情報が共有される、複数機器の接続切り替えも操作不要でスムーズといった利点もあるが、アップル製品を愛用する筆者もSoundcore Liberty 4のトータルバランスの良さに思わず「これで良いじゃん」と唸ってしまった。

初代AirPods Proや同じAnker製品からの買い替えはもちろん、これからの季節、家族や友人へのちょっといいプレゼントとしても最適な1台と言えるだろう。

“作り込まれたドンシャリ”の「Soundcore Liberty 4」 #shorts
酒井隆文