レビュー

Ankerイヤフォンの「ウルトラノイズキャンセリング」は“どのくらいウルトラなのか”

Ankerから発売された「ウルトラノイズキャンセリング」搭載完全ワイヤレス2機種

Ankerから発売された“ウルトラノイズキャンセリング”搭載の完全ワイヤレスイヤフォン「Soundcore Liberty Air 2 Pro」と「SoundcoreLife A2 NC」。どちらも1万円前後とリーズナブルな機種だが、なによりも気になるのは、ブランド初のアクティブノイズキャンセリング機能搭載で、さらにそれが“ウルトラノイズキャンセリング”という、なんとも凄そうなネーミングのAnker独自技術になっている事。果たしてそのノイキャン性能はどれくらい“ウルトラ”なのか。2台を使って体感してみた。

ウルトラノイズキャンセリングとは何か

ウルトラノイズキャンセリングとは、イヤフォンの外側と内側にひとつずつマイクを配置したハイブリッド式アクティブノイズキャンセリングと、アプリ上での利用シーン選択を組み合わせて、そのシーンに最適なノイズキャンセリングを設定できる機能を意味している。これにより、音楽への没入感を極限まで高めたというわけだ。

利用シーン選択には専用アプリ「Soundcore」を使用する。アプリの画面から、ノイズキャンセリングのモードを「交通機関」、「屋内」、「屋外」の3つから選択可能。Liberty Air 2 Proのみ、キャンセルレベルを細かく調整できるカスタムモードも利用できる。

外音取り込みについては、両モデルとも、全ての外音を取り込むモードと、会話やアナウンスなどをはっきり取り込む音声フォーカスの2種類が用意されている。

ケースへの収納しやすさはLiberty Air 2 Proに軍配

「Soundcore Liberty Air 2 Pro」

Liberty Air 2 Proは累計20万台超の販売台数を誇る「Soundcore Liberty Air 2」の進化版にして、シリーズ最上位に位置づけられるモデル。10層のナノレイヤーで構成されたPureNoteドライバーを搭載している。価格は12,980円。

イヤフォンは細長い形状で、耳への収まりもいい。製品には複数サイズのイヤーピースがついているほか、アプリにはイヤーピースのサイズが合っているかを確認できる機能も備えられているので、自分の耳にフィットしたものが選べる。

筐体にはタッチパッドも備えており、音楽の再生/停止やノイズキャンセリングモードの切り替えといった操作も可能。タッチした際の挙動は、アプリで好みのものに変えることもできる。

ケースはマット仕上げ

充電ケースは高級感のあるマット仕上げで、手にしっとりと吸い付くような感覚で滑りにくい。フタはスライド式で片手でも簡単に開け閉めできる。イヤフォン収納部にはマグネットが仕込まれているようで、イヤフォンを近づけると吸い付くように固定されるため、出先でも安心して取り扱うことができた。

「Soundcore Life A2 NC」

一方のLife A2 NCは丸みを帯びた形状のイヤフォン。イヤーピースだけでなくイヤーウィングも使って耳に固定されるので、正しいサイズを選べば首を激しく左右に振っても落ちることはなかった。IPX5の防水仕様なので、運動時なども安心して利用できるだろう。価格は9,980円。ただ、このモデルではアプリでのイヤーピース装着テスト機能は使えない。

ケースは丸みを帯びたデザイン

ケースは丸みを帯びたデザイン。梨地仕上げのような手触りだが、上位のLiberty Air 2 Proと比べると滑りやすい。こちらもイヤフォン収納部にはマグネットが内蔵されているのだが、収納するときに、左右を逆にしてしまって入らないことや、イヤフォンを横向きに回転させる必要があり、その際に誤って落としてしまうこともあるなど、慣れるまではスムーズな出し入れが難しく感じられた。

「Soundcore Liberty Air 2 Pro」内容物一式
「Soundcore Life A2 NC」内容物一式

気になる音質は、両モデルともいわゆる“ドンシャリ”傾向の元気なサウンド。聴き比べるとLife A2 NCのほうが、より低音が強めの印象だ。ただ、どちらのモデルも強調はし過ぎず、ベーシックな再生能力は高いため、長時間聴いていても聴き疲れせず、どんなジャンルでもそつなく鳴らしてくれる。

両モデルともSoundcoreアプリを使えばイコライザーで音の傾向も調整できる。上位モデルのLiberty Air 2 Proについては、特定の周波数帯域における音の聞き取りやすさを測定し、自分だけのプロファイルを自動生成する「HearID」で、さらに自分好みのサウンドに仕上げる事も可能だ。

“ウルトラ”なノイズキャンセリングは上位機種に引けを取らず

Anker2機種とAirPods Proのノイキャン性能を聴き比べてみた

肝心のノイズキャンセリング性能を試してみよう。結論から言うと、どちらも価格以上の実力を備えている。特にLiberty Air 2 Proは、普段愛用しているAirPods Proのノイズキャンセリング性能とも大きく変わらない印象だ。

テレワーク中に「ノイズキャンセリング:屋内」を試したところ、PCやエアコン、空気清浄機、加湿器などから発せられるノイズを気にならないレベルまでカットしてくれた。筆者はキーボードを強く叩いてしまうタイプなのだが、その打鍵音もほとんど気にならない。音楽などを小さい音量でもかけてしまえば、外部ノイズはまったく聞こえなくなる。

10層のナノレイヤーで構成されたPureNoteドライバーを搭載

外出して、幹線道路沿いを歩いた時や踏み切り待ちをしていた時などにもノイズキャンセリングを試してみたが、ここでも効果の高さを実感。騒音がしっかりとカットされ、ストレスなく音楽を楽しめる。

電車内で「ノイズキャンセリング:交通機関」を使うと、当然恩恵は大きく、走行ノイズがかなり小さく抑えられた。音楽を聴いていれば、車内アナウンスはうっすらと聴こえる程度。ただ、曲の合間など無音状態だとはっきり聴こえてくる。

普段使っているAirPods Proは音楽を聴いていても、車内アナウンスがやや大きめに聴こえてくるので、ここはLiberty Air 2 Proのほうが優秀と言える。

一方のLife A2 NCは、同じ「ノイズキャンセリング:屋内」で比較すると、エアコンの作動音や、キーボードの打鍵音が大きめに聴こえてくる。電車内の騒音比較でも、体感的にはLiberty Air 2 Proよりノイズキャンセリング性能がやや落ちる印象で、走行音やアナウンスも、やや大きめに聴こえてくる。ただ、それでも実用上はほぼ問題なし。1万円以下で手に入るイヤフォンであることを考えれば、コストパフォーマンスはかなり高い。

外音取り込みモードも性能は両モデルとも必要十分。AirPods Proと比べてしまうと「マイクで集音しているな」という感覚は拭えないものの、周りの音はしっかり聴き取れる。交通機関を利用中、「外音取り込みモード:音声フォーカス」にすれば、車内アナウンスなどもしっかり聞き取れた。音声フォーカスの性能は高く、近くにいた乗客の話し声もピックアップされるほどだ。

バッテリー持続時間は、イヤフォン単体ではノイズキャンセリングオンの状態で、どちらも最大6時間使用可能。テレワーク中でも食事などのタイミングでケースに閉まっておけば充電が切れてしまうことはなかった。ちなみにケース併用時の再生時間はLiberty Air 2 Proが最大21時間なのに対し、Life A2 NCは最大30時間。接続性については、特にLiberty Air 2 Proは、毎回接続してから1分以内にプツッと一瞬途切れることがあったが、それ以外のシチュエーションで接続が不安定になることはなかった。

2台目やプレゼントにも最適なお手軽ノイズキャンセリングイヤフォン

Anker初のノイズキャンセリング搭載モデルのLiberty Air 2 ProとLife A2 NCだが、ノイズキャンセリングの性能はかなり高く、“ウルトラ”のネーミングに負けない好印象だった。1万円前後で手が届くということを踏まえれば、完全ワイヤレスイヤフォンデビューはもちろん、ノイズキャンセリング搭載モデルへのステップアップ、さらには家族や友人へのプレゼントとしてもピッタリだろう。

ノイズキャンセリング性能や音の傾向にも大きな違いはなく、価格差は3,000円なので、バッテリー持続時間や、防水仕様の有無など、用途に合わせて購入機種を検討してほしい。

酒井隆文