レビュー

サウンドバーPolk「REACT」をオーディオとして使う。普通のスピーカーとどっちがいい?

いきなりだが、あなたの家にミニコンポやラジカセはあるだろうか?

先日、ショックな事があった。いわゆる“AVファン以外の”普通の人と話をして、「家でどんな風に音楽聴いてる?」と質問したら、「スマホ内蔵スピーカーで聴いてる」とか「ノートパソコンのスピーカーで」という返答ばかり。「昔はミニコンポを持っていた」そうだが「捨てちゃった」「実家に置いてきた」ので、家の中で、まともな音を再生する機器が無いというのだ。

AV Watch読者であれば「ミニコンポは無いけど、ピュアオーディオ環境あるよ」とか「ホームシアター構築してる」という人も多いだろう。「スピーカーは無いけど、こだわりのヘッドフォンで聴いてるぜ」という人も多そうだ。一方で「興味はあるけど、ちゃんとした製品はまだ買っていない」という人も大勢いるはずだ。

「サブスク加入したら、便利過ぎてスマホでしか聴かなくなった」「CDは残ってるけど、CDプレーヤー無いから聴けない」なんて声も耳にする。時代の流れ……という話だが、ミニコンポやラジカセが家から無くなった結果、いきなりスマホ内蔵スピーカーとか、家でもイヤフォン・ヘッドフォン……になるというのも、ちょっと寂しい話だ。

かと言って「もう一度ミニコンポ買おうぜ!」と言っても難しいだろう。オーディオ・ビジュアル専門媒体であるAV Watchとしては、小型スピーカーとアンプを組み合わせて「オーディオ初めてみませんか?」と提案しているわけだが、価格やサイズの面で、かつてのミニコンポやラジカセのような気軽さがあるか? というと、残念ながらそうではない。

これからの時代、家の中で良い音で音楽が楽しめて、身近な製品として有望なのは……と見回してみると、最近、メチャクチャ進化していて、人気も右肩上がりの“横長スピーカー”が目に入った。そう、サウンドバーだ。

Polk Audioのサウンドバー「REACT」

サウンドバーはテレビのオマケではない

「サウンドバーってテレビのオマケでしょ?」と思われるかもしれない。確かに、以前はそうだった。しかし、進化した現在のサウンドバーは、Wi-Fiを内蔵し、音楽配信サービスにも対応。Amazonアレクサのような音声アシスタントもサポートするので、スマホすら触らずに、「アレクサ、米津玄師のKICK BACKをかけて」などと喋りかけるだけで音楽を再生してくれる。

つまり、テレビやDVDレコーダーといったソース機器が無くても、サウンドバー単体で使えるものに進化した結果、“かつてのミニコンポやラジカセ”の役目を担える存在になっている。

別にテレビを見なくていい。というか、テレビの電源をONにする必要すらない。「横長スピーカーだと、なんかオーディオっぽくない」という見た目の話をされるとツライが、リビングや書斎を良い音で満たしてくれれば、サウンドバーでも立派なオーディオと言っていいはずだ。

しかも“超ラク”だ。ミニコンポ時代であれば、CDラックからCDを取り出し、ディスクトレーに置いて……とやらなければならなかったが、音楽配信は、声をかけたり、スマホのアプリに触れるだけで音楽が流れる。

記事を書くにあたり、実生活で1週間ほどサウンドバーをオーディオとして使ってみたのだが、「ヤベェなこれ」と思うほど便利さを実感した瞬間が何度かあった。

例えば金曜日の夜、疲れて会社から帰ってきて椅子に沈み「一歩も歩きたくない」「CD棚に行くのも面倒くさい」という時も「アレクサ」と呼びかければ音楽をかけてくれる。

アレクサ対応のサウンドバーでは、呼びかけるだけで音楽再生が可能

土曜の朝、ベッドから一歩も出たくない時でも、呼びかけるだけで、radikoのFM番組を、良い音で部屋に満たしてくれる。

確かに趣味のオーディオとしては“CDやレコードを取り出して、これから聴くぞという気分を盛り上げながら準備する楽しさ”もある。ただ、日常生活で一度使うと、「なにこれ最高じゃん」と思う便利さがある。

人気のPolk Audio、一番低価格な「REACT」を用意

REACT

いきなり体験談からスタートしたが、今回使ったサウンドバーはPolk Audio(ポークオーディオ)の「REACT」というモデルだ。Polk Audioは最近、ピュアオーディオのブックシェルフスピーカーでもハイコストパフォーマンスなモデルを続々と発売して、人気になっているが、サウンドバーもコスパに優れたモデルを展開している。REACTは中でも一番低価格で、実売は約22,000円。昔のミニコンポなどと比べても、購入しやすい価格だ。

しかも、サウンドバー単体で完結している製品で、巨大なサブウーファーを別途設置する必要がない。テレビの前とか、広めの机とかに設置すれば、それだけで使える手軽さも魅力だ。

サブウーファーが不要なのは、筐体の中に、96×69mmのオーバルタイプウーファーを2基、さらに低域をパワフルに補う100×110mmのオーバル型パッシブラジエーターも2基内蔵しているためだ。

REACTの内部

ちなみに、ウーファー×2基は上向きに配置。25mm径のアルミニウムツイーター2基は、前向きに配置している。これは、サウンドバーがテレビの“下”に設置する製品なので、指向性の強い高音は前に出しつつ、それ以外の帯域は上に放出する事で、音像の定位を上げ、“テレビ画面から音がしている”感じにするための工夫だ。

外からは見えないが、ウーファー×2基は上向きに配置

テレビとの連携としては、HDMI ARCに対応しているので、HDMI ARCに対応しているので、対応するテレビとHDMIケーブル1本で繋ぐだけ。あとは電源ケーブルを挿して終わりだ。HDMI CECにも対応しているので、テレビのリモコンでサウンドバーの音量調整もできる。古いテレビとの組み合わせも想定して、光デジタル音声入力も備えている。

接続端子部

ドルビーデジタル、DTS、リニアPCMに対応。AACには非対応なので、テレビ側のPCM変換出力機能をONにして接続すると良い。サウンドモードとして「ムービー」、「ミュージック」、「スポーツ」、「ナイトモード」を用意している。面白いのは独自技術「Voice Adjust」機能。映画やドラマのセリフ、スポーツ中継でのアナウンサーの声などを鮮明に再生するための機能で、効果の量はユーザーが調整できるのだが、これはオーディオ再生でも活用できるので後述する。低域の量感の調整も可能だ。

オーディオ機器として見た場合の機能として、Bluetooth受信が可能。コーデックはSBC/AACに対応する。

さらに前述の通り、Alexaにも対応。「Amazon Frustration Free setup認証」を取得していて、セットアップもAlexaアプリを使って手軽にできるのが特徴。要するに、Amazonのスマートスピーカーである「Echo」のような感覚で使えるサウンドバーでもあるわけだ。

天面中央部分にある丸いボタンは、Echoの天面にあるボタンと同じ配置だ

オーディオ用スピーカーの方が音が良いのでは?

さっそくREACTで音楽を聴いてみようと思うのだが、気になるのは“ピュアオーディオの入門的なシステムと比べて音がどう違うのか?”だろう。

そこで、比較相手として、オーディオスピーカーとして人気のあるB&Wから、低価格なブックシェルフ「607S2 Anniversary Edition」(ペア10万円)と、マランツの小型コンポながら、超パワフルなアンプと、ネットワーク再生機能も内蔵した「M-CR612」(99,000円)を用意した。

B&W「607S2 Anniversary Edition」
マランツの「M-CR612」

音を出す前にわかる大きな違いとして、価格がある。REACTは実売22,000円、ピュアオーディオの組み合わせである「607S2 Anniversary Edition」と「M-CR612」を合計すると199,000円と、約10倍も違う。さらに言えば、ブックシェルフの607S2はスタンドに設置する必要があるので、実際は20万円前半になるだろう。

スタンドまで含めると価格差は大きい

607S2 + M-CR612は、“ピュアオーディオ入門セット”としては低価格だ。ただ、誰もが気軽に買える値段かというと、そうではない。その点では、安いものなら2万円台、高価でも10万円程度のサウンドバーは、導入までの金銭的なハードルは低い。

では、REACTから聴いていこう。

アレクサに呼びかけてもいいが、今回はスマホの「Amazon Music」アプリで「藤田恵美/camomile Best Audio」の「Best OF My Love」を再生。その出力先として、REACTを選択すると、REACTから音が出た。

アコースティックギターのソロからスタートし、ボーカルが入り、そのあと楽器の数が増えていくという展開。序盤のギターとボーカルの時点で驚くのは、音場の広さだ。横長のサウンドバーなので、どうしてもその“長さ”が音場の広さになるイメージだが、実際に音が出ると、まったく違う。サウンドバーの筐体を遥かに超えて音が広がっていく。横方向だけでなく、奥行方向にもギターの響きが広がる。さすがは、映画などのサラウンド・サウンドを再生するためのサウンドバーだ。

特筆すべきは、ボーカルやギターの音像が、サウンドバーの位置に留まらない事。サウンドバーを、壁寄せテレビスタンドの棚に設置しているが、その位置から、音が上に向かって放出されるので、キッチリと“ボーカルの背の高さ”も伝わってくる。これはオーディオ・スピーカーとしてなかなか良い。

REACT

さらに良いのが低音だ。1分過ぎから、アコースティックベースが入ってくるのだが、この低音が「ズズーン」と深く沈む。この薄い、横長スピーカーのどこからこんな低音が出ているんだと驚くほど迫力のある音が出る。

肉厚な中低域が、押し寄せてくるこの感覚。ピュアオーディオではフロア型スピーカーを用意しなければなかなか味わえないものだが、サウンドバーではそれが手軽に楽しめる。

というか、ちょっと中低域が豊富すぎるのでもう少し減らしても良い。リモコンのBASS調整ボタンを押して、少しタイトにすると、よりオーディオライクなバランスとなる。膨らんだ中低域で見えにくくなっていた、ベースのラインも明瞭に聴こえるようになった。

607S2

では同じ曲を607S2 + M-CR612で再生したらどうだろうか。M-CR612のネットワーク再生機能の「HEOS」を使い、Amazon MusicからBest OF My Loveを再生してみる。

音が出た瞬間に感じるのは、「あれ? ずいぶんサッパリしているな」という事。情報量や音の広がりなど、違いはいろいろあるのだが、それよりも先に、先程までREACTで楽しんでいた「ズズーン」という迫力の中低域が無くなってしまった事に意識が向いてしまう。

607S2 + M-CR612のサウンドは、非常にピュアだ。M-CR612はもともと、ミニコンポ的なサイズの製品だが、音作りはガチなピュアオーディオとして作り込まれているし、ご存知の通りB&Wも、色付けの少ない、ニュートラルな音を得意とするスピーカーブランドだ。

その組み合わせが奏でる音は、シャープで高解像度。音像も生々しく、ボーカルの口の開閉する様子が目に見えそうなくらいリアルだ。ブックシェルフスピーカーらしく、音像の定位や、その背後に広がる音場のサイズも大きい。確かにこれはこれで素晴らしい音で、“まさにピュアオーディオ”というサウンドだ。

607S2

REACTに切り替えると、中低域が一気に豊富になり、その迫力あるサウンドにゆったりと身を任せる気持ち良さがある。確かにソースの音をありのままに出すという面では607S2 + M-CR612の方が上手なのだが、低域のドッシリとした安定感、豊かな中域がグッと押し寄せる迫力などが、演奏を熱気溢れるものに聴かせてくれるため、音楽の楽しさがよりわかりやすく、ストレートに伝わってくる。

細部を比較しても、REACTは健闘している。比較する前は、「ブックシェルフスピーカーの方が音場は広がるだろうな」と思っていたのだが、REACTもかなり横に広く音が展開するので、空間の広さとしては肉薄している。「サウンドバーってこんなに音が広がるんだ」と改めて関心する。

また、前述の通りREACTには映画やテレビの“声”を明瞭にする「Voice Adjust」機能が備わっているのだが、これは音楽再生でも使える。聴きながらVoice Adjustを効かせていくと、藤田恵美の声の明瞭度がグングン上がっていくのだ。

607S2 + M-CR612の強みとして感じる、声のクリアさ、楽器とボーカルの音像の分離の良さなどに、さすがに並ぶまではいかないのだが、REACT + Voice Adjust機能を使うと、かなり“いい線”まで追いつける。これは嬉しい発見だ。

REACTのリモコン。BASSやVoice Adjustの効き具合も調整できる
調整具合はLEDのインジケーターで確認できる

もちろんサウンドバーとしてTVやゲームでも活躍

2chの音楽以外も聴いてみよう。

実は、M-CR612は光デジタル音声入力を備えているので、テレビの光デジタル音声出力と接続すると、テレビのサウンドを、607S2 + M-CR612のシステムで聴けるようになる。

まず、テレビ朝日で放送しているクラシック系音楽番組「題名のない音楽会」を視聴。

クラシックのような、音の広がりや、多数の楽器が奏でる音色の描き分けが重要なソースでは、607S2 + M-CR612の再生能力の高さがマッチする。ストリングスのしなやかな響きや、ピアノの左手の鋭さなど、情報量豊かなサウンドが楽しめる。まるで自分の耳がレベルアップして、細かな音を聴き取る能力が高まったようにも聴こえる。

逆に、“音の支配力”が強い。どんな風に聴こえたのかというメモをとりながら聴いているのだが、607S2 + M-CR612のサウンドは、様々な音がむき出しで、リアルに、ストレートに飛んでくる印象なので、音のインパクトが強く、思考が音に持っていかれてしまい、聴きながらメモをとるのが難しい。しばらく聴いて、ミュートボタンを押して無音になってからメモを書いて、またしばらく聴いて……というやり方になる。

これがREACTに変更すると、まったく違う。

中低域が豊富に出るので、大太鼓やチューバなど、低音が気持ちよく押し寄せるクラシックならではのスペクタクル感がグッと高まる。音もかなり広がるので、コンサートホールの臨場感も伝わってくる。ぶっちゃけ聴く前は「サウンドバーでクラシックなんて……」と思っていたが、これは大いにアリだ。

REACTのサウンドを「ガッツリと旨味が溶け出した豚骨醤油スープ」だとすると、607S2 + M-CR612のサウンドはピュアなので、「キレの良い端麗な醤油スープ」のような感じ。607S2 + M-CR612を聴いている時は「このキレとシンプルな塩味が良いよね」と、ラーメン通な顔をして頷くのだが、しばらくすると、やっぱり濃くて旨味が強い豚骨醤油スープが飲みたくなる。

また、REACTのサウンドには“キツさ”が少ないので、メモもとりやすい。メモを書くことに意識を集中すると、REACTのサウンドを“聞き流す”ことができるからだ。つまり、ガッツリと向き合って聴き込む事もできるし、BGM的になんとなく流しながら生活する事もできる。

607S2 + M-CR612のサウンドは、情報量が多く高解像度なので「ながら聴きしよう」と思っても、ついスピーカーの前で足が止まったり、顔がスピーカーの方を向いてしまったり、考え事ができなくなったりする。体験してみるとわかるが、これは結構大きな違いだ。

番組を変更して、「ぶらり途中下車の旅」も見てみたが、これも違いが面白い。

旅人が、美味しいそうなハンバーグ屋を紹介していたのだが、607S2 + M-CR612では、店内で喋っている旅人や店員さんの声の背後に薄く流れている「サーッ」というホワイトノイズが耳に入って気が散ってしまう。

映像はハンバーグの作り方に切り替わり、小日向文世がナレーションで「パン粉をまぶして、焼き窯で焼く事で……」と説明しているのだが、607S2 + M-CR612のサウンドでは、本来聞き取らなければいけないナレーションの内容よりも、その背後に流れるABBAの音楽ばかり意識に入ってしまい、ハンバーグの作り方が頭に入ってこない。

画面がCMに切り替わったので、メモ書きに集中しようと思ったのだが、「今ならこの掃除機がこの価格!!」みたいなCMのナレーションと共に流れる、「シャラーン!!」というSEが高解像度過ぎて「うわこのCMってこんな音だったんだ」と、CMに意識が引っ張られてメモがまったく書けない。

REACTに切り替えると、小日向文世の声の、低い部分がしっかり出る事で“落ち着いた男性の声”に聴こえるようになる。旅人や店員さんの背後のホワイトノイズは、少し聴こえはするのだが、気にならず、彼らの会話内容がスッと耳に入ってくる。女性の旅人の声も、中低域がしっかり出るため、落ち着いた聞きやすい声になる。

かといってもボワボワした、不明瞭で“眠い”音ではない。このへんに、REACTの、サウンドバーとしての実力の高さがうかがえる。REACTの音で毎日テレビを見たら楽しいだろうなと思う。

“餅は餅屋”で、映画もREACTの方が良い。

Netflixのオリジナル映画「オールドガード」で、主人公達が地下室で襲われる銃撃シーン。

REACTで再生すると、これから何かが起こりそうな緊迫感のあるBGMの盛り上がりから、「ズドドド!!!」と銃弾が乱れ飛ぶアクションシーンまで、低域がしっかりパワフルに再生されるため、迫力ある映像と、キッチリ釣り合うサウンドになる。

607S2 + M-CR612で聴くと、確かに銃撃音の鋭さや、「キンキン」と床に落ちる薬莢の響きは細かく、鋭く描写される。しかし、肝心の「ズドドド」という銃撃音の迫力は乏しく、音がサッパリしてしまう。REACTはライフルの音に聴こえるが、ピュアな607S2 + M-CR612は拳銃の音のような“軽さ”だ。

PS5で、FPSゲームの「Apex Legends」もプレイしてみたが、これもREACTの方が良い。

607S2 + M-CR612のサウンドでは、「うわ、Apexで武器をリロードする時に、こんなにカチャカチャ音がしてたんだ」とか「防具を回復させるシールドバッテリーって、使用したあとにこんなシャキーン!! ってSEが鳴ってたんだ」という、細かな音に気が付く驚きはある。

だが、銃器を連射した時の地鳴りのような迫力や、近くで手榴弾が爆発した時のインパクトなど、ゲームをプレイして心拍数が上昇するのはREACTの方だ。

試しに、書斎のPCデスクの上にも設置してみた。ディスプレイ付属のスタンドを使わず、可動式のアームで固定しているため、デスク上にある程度のスペースを確保できたのでREACTを置く事ができた。音を出してみると、デスク自体に音が反射するため、かなり低域が増強されて聴こえる。リモコンでBASSのレベルを少し下げると、良いバランスになった。

PCと連携する時は、HDMI ARCが使えないのでPCとREACTは光デジタルで接続するのが良いだろう。音楽再生がメインで、動画再生時の映像と音の遅延が許容できるのであれば、PCからBluetoothでREACTへワイヤレス接続するというのもアリだろう。

まとめ

一週間ほどREACTを“音楽再生スピーカー”、“仕事中のBGMラジオ”、“テレビを見る時のサウンドバー”として使ってみた。結論として「こんなに活用できるとは思わなかった」というのが正直なところだ。こんなに活用シーンが多いスピーカーが、2万円ちょっとで買えるというのは破格と言っていい。テレビを見る時も大活躍する事を考えれば、ぶっちゃけ昔のミニコンポよりも活用シーンは多いだろう。

音についても発見があった。比較する前は「さすがに607S2 + M-CR612の方が音が良いから、REACTが可愛そうかな」と思っていた。確かに、607S2 + M-CR612の情報量の多さ、クリアなサウンドは“ザ・ピュアオーディオ”という感じで、素晴らしい。

ただ、それゆえ聴く時に“音楽との真剣勝負”をしなければならない感覚がある。休日ならば、それも良い。しかし、疲れた平日の夜や、眠気が抜けない朝には、REACTのゆったりとした、ホッとする音に身をまかせた方が心地良かった。意外だったのは、一週間の中で、ゴリゴリのピュアサウンドよりも、ホッとする音を求める瞬間の方が多かった事だ。“サウンドバー VS オーディオスピーカー”という先入観を抜きにして聴き比べてみると「REACTの音の方が好きだ」と感じる人も、かなりいるかもしれない。

比較した意味がないが、ぶっちゃけるとREACTと、607S2 + M-CR612システム、両方欲しい。予算的にまずは片方というのであれば、活用シーンが多いREACTから入手したい。2万円ちょっとで買えるので財布へのダメージも少ないからだ。

「そういや、まともな音が出るスピーカーが家にないな」というのであれば、とりあえずREACTを買っておけば、テレビや映画やゲームの音がリッチになるし、いつもはスマホで聴いていた音楽配信が、ピュアオーディオ気分でじっくり楽しめるようになる。きっと“テレビのオマケ”というサウンドバーのイメージも、変わるはずだ。

(協力:ディーアンドエムホールディングス)

山崎健太郎