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第446回

新iPhoneを体験。3眼化「Pro」の超広角、「11」は着実進化。Apple Watchも

アップルは米カリフォルニア州クパチーノにある本社内で、9月10日(現地時間)にiPhone 2019年モデルの発表会を開催した。発表会詳報の前に、発表会後に行なわれた新製品ハンズオンで実機を体験した内容をお届けする。

アップル本社のSteve Jobs Theater内にあるハンズオンエリア
iPhone 11やiPhone 11 Pro/Pro Maxなどの新製品が披露された

「超広角カメラ」を新機種に追加

今年のiPhoneは3モデルになった。

もっとも標準的なモデルである「iPhone 11」、そして、カメラを3眼にして強化した「iPhone 11 Pro」と「iPhone 11 Pro Max」だ。2018年モデルは「iPhone XR」「iPhone XS」「iPhone XS Max」だった。そのため、iPhone XSが標準モデル、iPhone XRが廉価版、という印象になってしまったのだが、アップルはそこから学んだのだろう。

iPhone 11 グリーン
iPhone 11 ブラック
iPhone 11 イエロー
iPhone 11 ホワイト
iPhone 11 PRODUCT(RED)
iPhone 11 パープル

iPhone 11は実質的にiPhone XRの後継であり、テイストも非常に近い。ただ、カラーモチーフはトーンを落とした落ち着いたものになった印象だ。

iPhone 11ブラックの実機。カメラは2つになったが、iPhone XRにかなり近い

外観的な変化は、背面のカメラ部が「四角い土台の上に2つのカメラがついている」形になったところが大きい。フラッシュが並んでいるので、2カメラであるiPhone 11も「三つ目」っぽい印象がある。

iPhone 11パープルのカメラ部。薄い台座の上にカメラ部が乗っているようなデザインだ。台座部分の色合いはカラーごとに違う

搭載されているカメラは、超広角用の13mmと26mm。iPhone XSが26mmと望遠の52mmだったので、同じカメラでも扱いが違う点に留意していただきたい。

ディスプレイサイズは6.1インチ。なお、ノッチのサイズなどは今回も変わっていない。各種ボタンの位置も変化がない。

それに対して、「iPhone 11 Pro」シリーズは、13mm/26mm/52mmの3カメラになり、XSシリーズの26mm/52mmに対し、超広角が増えたという構成である。

iPhone 11 Pro ミッドナイトグリーン。手前がMax
iPhone 11 Pro スペースグレイ。手前がMax
iPhone 11 Pro ゴールド。手前がMax
iPhone 11 Pro シルバー。手前がMax

iPhone 11同様、カメラ部が四角い台座の上に乗っているようなイメージだが、こちらはカメラが3眼なのでまさに「三つ目」だ。

iPhone 11 Pro ミッドナイトグリーン
iPhone 11 Pro Max ミッドナイトグリーン
iPhone 11 Pro(右)とiPhone 11 Pro Max(左)。色はどちらもシルバー
カメラ部。13mm/26mm/52mmの3カメラになった

こちらも、ボタンの配置やインターフェースには変化がなく、ノッチサイズも変わらなかった。

iPhone 11 Pro/Pro Maxもボタンやインターフェースの位置はこれまでと変化ない

ただデザインテイストはXSと11 Proではけっこう違う。ガラスの光沢を活かした仕上げだったXSに対し、11 Proはつや消しになった。そのため、iPhone 11ともiPhone XSシリーズとも違う印象になっている。

カメラの進化をチェック。“フレームの外側”を活用、ナイトモードも

見た目の違いにも関わっているが、やはりまず気になる違いは「カメラ」だ。画角切り替え・ズームの操作がけっこう変わっているので、その辺を試してみた。

iPhoneではズームボタンをタップするとカメラが切り替わり、長押ししてスライドするとデジタルズームになっている。その辺の基本は同じなのだが、カメラが3つになった機種もあるため、微妙に操作方法が変わっている。

ズームは操作こそほぼ同じだが、UIが若干変更に

以下の写真に注目していただきたい。写真アプリのUIの裏に、なんとなく透過している部分があるのにお気づきだろうか。これは26mm(アップルの表記に従えば「広角」)での撮影なのだが、透過部は13mm側(「超広角」)のカメラで撮影したデータを合成して表示しているものである。通常、この透過している部分は「あくまで画面の外」なので、撮影後の写真を表示した時には出てこない。しかし、「拡大」や「回転」などで本来撮影した場所の「外」を表示する必要が出た場合に、この「フレームの外側」の映像が出てくるようになっている。

UIのうしろにもなんとなく映像があるところに注目。これが「フレームの外側」の映像で、これも撮影されている

写真にあるメニューの「フレームの外側を含めて撮影」をオンにしておくと、超広角側のカメラを使って同時に撮影したデータを「念のために残しておいて」、編集時などに使えるようになっているのだ。写真だけでなく動画でも設定可能になっている。

「フレームの外側を含めて撮影」するかどうかは設定で選択可能

なお、「フレームの外側」のデータは、使わないと30日後には消去される。なので、写真のデータが「使わない領域」の情報で肥大化するわけではない。

「ナイトモード」も面白い。これは、暗いところで撮影した際に「明るい写真も撮れる」という機能。というと「露光時間を長くするのでは」という風に思うが、そうではなく、写真を複数枚撮影し、それを合成することによって明るい映像を得る、という仕組みになっている。暗い場所で撮影した時は自動でオンになり、合成のために撮影する時間を指定できる。標準では「2秒」の間に撮影した写真を合成するようになっているが、変更が可能だ。

暗いところで有効な「ナイトモード」撮影時はこのような表示に
撮影時間を変更することも可能

iPadはコスパ向上、Apple Watchの表示は「常時点灯」に

その他の新製品についても触れておこう。

iPadはより安価な「10.2インチiPad」が登場した。Apple Pencil(第1世代)やスマートキーボードに対応していつつ、34,800円から、という価格が魅力だ。

ディスプレイが10.2インチになった安価なiPadが登場

Apple Watchは「Series 5」に。ディスプレイを黒基調かつ毎秒1フレーム書き換えにし、ディスプレイの消費電力を劇的に抑える機能が搭載されたことで、時計などの表示を「消さない」で使うことができるようになった。腕を上げて時計を見る動作をしていない、もしくは一定時間同じ姿勢だった場合には、ディスプレイの表示を変え、消費電力を下げることができる。この結果、Apple Watchは「表示を消さずに1日中使える」ようになった。

白い画面が「時計を見ようと腕を上げた」時の表示。それ以外は黒基調の表示になり、節電される

また、新しい素材としてチタンを使ったモデルも追加されている。

Apple Watch Series 5・チタニウム
Apple Watch Series 5・スペースブラックチタニウム

西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、週刊朝日、AERA、週刊東洋経済、GetNavi、デジモノステーションなどに寄稿する他、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。
 近著に、「顧客を売り場へ直送する」「漂流するソニーのDNAプレイステーションで世界と戦った男たち」(講談社)、「電子書籍革命の真実未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「ソニーとアップル」(朝日新聞出版)、「スマートテレビ」(KADOKAWA)などがある。
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