トピック

キヤノンから本格Vlogミラーレス「EOS R50 V」。使いやすいキットレンズと軽さも魅力

EOS R50 V

キヤノンから発表された、動画クリエイター向けの新ミラーレスカメラ「EOS R50 V」。発表会会場で短時間ではあるが、実機に触れることができたので、そのレポートをお届けする。

2月に発表されたレンズ一体型の「PowerShot V1」も動画性能に注力したモデルとなっていたが、R50 VはEOS R SYSTEMの強みを生かした本格Vlogミラーレスとして登場。価格はレンズキットで直販140,800円と、V1と近い価格帯となっており、スタイルに合わせて選択できる幅が広がったような印象だ。

写真左がミラーレスカメラ「EOS R50 V」、右がレンズ一体型の「PowerShot V1」

2024年に登場したV10と、V1、そして今回のR50 Vは、「EOS/PowerShot V series」として動画市場のニーズに対応していくシリーズになるとのこと。

最大の特徴は、動画撮影に重点を置いたデザイン。本体上部に加えて、前面にも動画撮影ボタンを装備しているほか、モードダイヤルも動画重視、押すだけで配信設定画面が開くライブ配信ボタン、底面だけでなくグリップ部にも三脚用ネジ穴を装備、ケージやリグを装着しやすいフラットボディとなっており、「ゼロベースでエルゴノミクスから新しくデザインした」とのことだ。

グリップ側に縦位置用の三脚ネジ穴。ここにネジ穴があっても手持ちしたときに違和感はない
三脚に固定して縦位置動画を手軽に
縦持ちするとUIも縦仕様に
キヤノン 戸倉剛副社長

センサーは約2,420万画素のAPS-CサイズCMOSセンサーと、映像エンジンDIGIC Xを搭載。6Kオーバーサンプリングの4K30p動画撮影と、4K60p(crop)、フルHD 120pの動画撮影に対応。4:2:2 10bitでの記録にも対応し、ディテールにこだわるクリエイターニーズにも応えるという。

HDR PQ/HLGやCanon Log3にもプリセットで対応。Cinema EOSに採用されている、プロの映像製作者向けの画作り機能Custom Pictureを搭載した。好みのLUT(.Cube)をインストールできるLook File設定も備えており、狙った色味の動画をそのまま撮って出しでSNSに投稿したり、そのままライブ配信することもできる。

また、難しい設定をすることなく、狙った雰囲気の色味で撮影するための機能として、14種類のColor Filterも用意。手軽にクリエイティブな撮影体験ができる。被写体やシーンに応じた自然な色合いの画作りをするPicture Style機能も備えており、これらのモードはカラーモードボタンから簡単に設定できるようになっている。

Color Filter
カラーモードメニューもワンボタンで開ける

スロー&ファスト機能も装備。4Kでは60倍ファストから2.5倍スロー、フルHDでは60倍ファストから5倍スローまでを設定して撮影できる。

シネマライクな2.35:1の画角とフレームレートで撮影できるシネマビューも搭載。カラーフィルターやスロー&ファストモードと組み合わせ可能で、映画やドラマ、MVなどで使用される雰囲気の映像表現を手軽に撮影できる。

ライブ配信メニューにダイレクトにアクセスできる、ライブ配信ボタンも装備。PCとの有線接続による配信だけでなく、スマホアプリとの連携で無線によるライブ配信も行なえる。

PCとのUSB接続で行なう場合、PCへのデータ転送とカメラへの給電が同時に行なえるため、長時間の使用が可能。また、カメラに近い物を優先してピントを合わせるレビュー用AFや、美肌モードを使えるほか、4K60p(Crop)での高画質配信もできる。

V1に内蔵していた冷却ファンは非搭載ながら、放熱性の高いマグネシウムダイキャストをボディ内部のシャーシに採用し、熱拡散を考慮。アイコンとインジケーターによる温度上昇警告や、動画撮影待機中に一時的に表示フレームレートと画質を変更して、バッテリー消費も抑える「温度上昇緩和」機能なども搭載している。

動画撮影可能時間の上限は、59.94fps以下の場合120分で、100fps以上の場合は60分。23度環境下でバッテリー使用時の動作可能時間は、4K29.97fpsで約1時間10分。フルHD29.97fpsでは合計約2時間20分の撮影が行なえるようになっている。

なお、バッテリ—パックはLP-E17。SDカードスロットはバッテリー横に備えられている。

キットレンズは「RF-S 14-35mm F4-6.3 IS STM PZ」で、RFシリーズ初のパワーズームレンズ。R50 Vのために開発したベストマッチレンズとしており、15段階のズームスピードの設定が可能で、R50 Vのズームレバー、レンズのズームリング、対応のリモコンを使って一定速度で滑らかにズームイン/アウトできる。

レンズ内ISを搭載しており、R50 Vの動画電子ISとの協調制御が可能。歩き録りのような大きな揺れもジンバルなどの機材なしで強力に補正して撮影できる。

焦点距離は35mm換算で約22.4〜48mmとなっており、この広角側は、手ブレ補正を有効にして画角が少し狭くなった状態でも手持ちでの自撮り撮影がしやすい画角。R50 Vに装着時の重量も約551gと軽いのも特徴で、持ち出しやすそうだ。

カメラで動画撮影を始めたい人が、ステップアップする中で活かせる機能がしっかり備わっているほか、縦位置撮影のしやすい構造と、アプリとの連携など、今の動画撮影需要にしっかり向き合った機能を装備したカメラに仕上がっている印象だ。

野澤佳悟