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シーズンオフのスキー場を活用、斑尾高原ホテルでドローンを飛ばしてみた

 国内での急速な普及に伴い、墜落などトラブルが話題になりがちなドローン。その飛行に関する規制法案は徐々に固まりつつある。安全な運用のためにも一日も早いルールの制定と施行が望まれる一方で、これまで飛ばしていた公園や河川敷が飛行禁止になり、頭を抱えているドローンユーザーも多いことだろう。

斑尾高原ホテル

 そんな中、広大なスキー場をドローンの飛行練習場所として開放したのが、長野県飯山市にある斑尾高原ホテルだ。東京から北陸新幹線で約2時間半という好立地だけに、今後は多くのドローンユーザーでにぎわうことだろう。

 かくいう筆者も、「DJI Phantom 3 Professional」を購入したものの飛行場所がなかなか見つからずに困っていたユーザーのひとりだ。そこでさっそく斑尾高原ホテルに足を運び、実際にドローンを飛ばしてみた。

Phantom 3 Professional

ホビー用途から団体講習まで、幅広いニーズに対応する斑尾高原ホテル

 「斑尾高原ホテルが宿泊客にドローンの練習場所を提供するらしい」。そんなニュースが耳に入ったのは今年の5月のこと。ドローンに関する規制や取り締まりが厳しくなる中で、このサービスを開始することになったきっかけは何だったのだろうか。まずは発起人である、斑尾高原ホテル営業部の関将司氏にお話をうかがった。

斑尾高原ホテル営業部の関将司氏

関氏(以下敬称略):徐々に規制が厳しくなり、ドローンを飛ばせる場所も限られていく中で、シーズンオフのスキー場を使えば、皆様に気兼ねなく練習してもらえるのでは……と考えたのがこのサービスを始めたきっかけでした。当初はまだ具体的なプランを考えていない段階で、“ドローンを飛ばすなら斑尾高原へどうぞ”とFacebookに投稿してしまったもので、みなさまからの想像以上の反響に戸惑いましたね(笑)。これはもう引き下がれないぞ! と思って、すぐに利用規則を作成しました。

 同ホテルが提供するドローン練習場は完全予約制。斑尾高原エリアにある宿泊施設の宿泊客であり、ラジコン保険(もしくはドローン事業者向け保険)の加入者であることと、技適シールが貼付された2.4GHz帯のプロポを所持していることが利用条件となる。利用料金は斑尾高原ホテルの宿泊客であれば一律1,000円、その他の宿泊施設の利用客は半日2,000円、1日3,000円だ。

 ドローン練習場はホテルから車で5分程度の場所にあり、個人客用の「バンフエリア」(約20万m2)と、団体客用の「ハイジエリア」(約25万m2)の2カ所が用意されている。ホビー用途のドローンユーザーはもちろん、企業などの飛行講習にも対応しているようだ。

関:7月時点でご予約頂いているドローン利用のお客様はまだ4件程度ですが、ホビー用途で練習されに来た個人のお客様や、ドローンの事業利用を検討されている企業様の団体予約など、その用途はさまざまです。当ホテルには最大500名を収容できる研修会場などもございますので、ドローンの練習後に勉強会をしていただくことも可能です。

 冬には多くのスキー客でにぎわう斑尾高原ホテル……。スキーの場合は、初心者向けの講習なども用意されているのが通例だが、今後ホテル側でドローンビギナー向けのスクールなどを開催する可能性はあるのだろうか?

関:現在、私もドローンの操縦を絶賛練習中ですので、ご要望が多ければ初心者のお客様にレクチャーできるような体制作りも検討したいと思っております。とはいえ、実はつい最近ドローンを墜落させて一部を壊していまいまして……まだまだ先は長そうですね(笑)。スクール以外にも、広い敷地を活用したドローンレースなどのイベントは積極的に検討していきたいと思います。

飛行エリアでフライト&空撮を体験!

 個人の一般客向け飛行エリアであるバンフエリアと団体客用のハイジエリアは、ともに8時から17時まで開放されている。どちらのエリアにも充電スポットが用意されているので、心ゆくまでフライトを楽しむことが可能だ。

バンフエリア。ドローンを充電するための電源が完備されている

 実際にバンフエリアでドローンを飛ばしてみると、やはり爽快だった。飛行エリアはなだらかな斜面となっており、木々を被写体に見立ててカメラワークの練習もできる。

 ただし、エリア内にはスキー客用のリフトやワイヤーなどの障害物もあるので、フライト時には十分に高度をとった方がよさそうだ。また、周囲にほかの操縦者がいる場合には、お互いの機体の距離を十分に取り、自分の機体に目印となるシールなどを貼っておく必要があるだろう。

筆者が撮影したバンフエリアでの空撮動画。DJI Phantom 3 Professionalを使い、4K(3,840×2,160/29.97fps)で撮影している。ホワイトバランスはオートだ

 期間中はもっぱらドローン専用飛行場となるバンフエリアに対して、団体客用のハイジエリアは、日によってゴルフ場として利用されている場合やイベントが開催されている場合もある。宿泊時には事前にホテル側に確認を取っておくようにしよう。

団体客用のハイジエリアはバンフエリアよりも約5万m2広い

 斑尾は東京に比べると気温も湿度も低く、夏のフライトには条件もいい。ドローン飛行場は10月ごろまで開放されているので、避暑観光も兼ねて足を運んでみてはいかがだろうか。

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ドローン空撮入門

中筋 義人

編集者/株式会社エディトル代表。出版社で雑誌編集部に勤務。その後、ソフトウェア開発会社勤務を経て独立後、編集プロダクション、エディトルを設立。雑誌や書籍、Web、アプリなど、さまざまな企画に関わる。最近はウェアラブルデバイス、アクションカメラ、ドローンを中心に制作活動を展開している。主な著書に「ドローン空撮入門」「Apple Watchのすべてがわかる本」など。