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「世界陸上」開催中の国立競技場に潜入!! ホークアイなど舞台裏で活躍するソニーの技術
2025年9月16日 19:51
ソニーは、オフィシャルパートナーを務める世界陸上について、報道関係者向け舞台裏ツアーを実施。審判員をサポートするホークアイ(Hawk-Eye)システムや、フォトグラファーらが利用するメディアセンターなど、世界陸上を支える技術や舞台裏で活躍するスタッフが紹介された。
9月13日から21日の9日間で開催されている、東京2025世界陸上競技選手権大会。日本での開催は1991年以来の34年ぶりとなっており、東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなった国立競技場で行なわれている。
ソニーはオフィシャルパートナーとして、グループ会社であるHawk-Eye Innovations(ホークアイ)の審判判定支援サービスを提供。さらに会場では、ソニーのカメラαシリーズやGマスターレンズなどの交換レンズ、高速モバイル通信によるコンテンツの即時伝送を支援するポータブルデータトランスミッター、システムカメラ、放送向けソリューションなども活用されている。
審判をサポートするホークアイシステムの裏側
まず案内されたのが、ホークアイシステムの制御をしているビデオルーム。この部屋では、2つのコーナーの天井にトラックを向いて設置された8台のカメラと、世界陸上の公式ブロードキャスターに登録されている67台の放送用カメラで撮影された映像をリモートで管理しているという。
今回の世界陸上では、トラック競技担当とフィールド競技担当のオペレーター、放送用の映像を制作担当者、監督者の4人態勢で管理している。
競技中は、トラック競技とフィールド競技の審判が、それぞれのオペレーターとペアになって、ホークアイの映像を元に違反などを見定めている。室内の審判が違反を指摘するほか、フィールド側にいる審判からの要請で映像を見直して判定することもできる。また、他のチームからの抗議で行なわれるビデオ判定などもこの部屋で行なわれるそうだ。
メンテナンスからカメラの使い方までサポートするカメラサポートブース
次にフォトグラファー達をサポートするメディアセンター内のカメラサポートブース。大会の撮影を行なうソニー機ユーザーのクリエイターをサポートしており、機材のメンテナンスやクリーニングのほか、機材貸し出しに加え、クリエイターの要望に応じたカメラの設定や、撮影場所、セッティングの提案などまで幅広くサポートを行なっている。
サポートブース内には、200台以上のカメラボディと600本以上のレンズを用意。基本的には、メンテナンスやクリーニング中の代替機となっているそうで、スポーツシーンを撮影するカメラマン達のほとんどはα1 II、α9 IIIユーザーとのことで、貸し出し用のボディもこの2機種をメインとしつつ、幅広く対応できるよう、様々な機種を用意している。
貸し出し用のレンズは、あらかじめ会場を確認した上で需要のある焦点距離をメインに用意。今回の国立競技場の場合は、400mmをメインに、70-200mmや300mmのレンズを多めに用意しているという。やはりレンズは、「想定して持ってきたレンズが使いにくい」という理由で借りる人がほとんどとのことだ。
サポート面で厄介なのが、通信機能のトラブル。今回の世界陸上では、国立競技場のネットワークを利用することがレギュレーションとなっているそうで、持っている機種や機体との相性問題で上手く転送が行なえないというようなトラブルも起きるそう。
機材に問題がある場合はメンテナンスで解決できるほか、サポートブースではポータブルデータトランスミッターの貸し出しも用意しているため、機材面でのサポートが行なえるのが強み。
ちなみに、このサポートブースは大会側からの要請で設置されており、要請の内容も「フォトグラファーのサポート」なのだという。しかしソニー製品では、「FX3」などの小型のCinemaLineもこういった競技大会で幅広く使われている。今回の世界陸上でも、トラックのゴール地点脇でレールに乗りながらの撮影に使われているのもFX3だという。
実は今回一番最初に対応した人がFX3ユーザーだったという。Eマウントレンズがそのまま使えるため、レンズの貸し出しや、メンテナンスなどもそのまま受けることができるが、それでも専門ではないので、できることは限られてくるとのこと。今後こういった場で撮影を行なうビデオグラファー達が大会運営側に動画機のサポートも充実させるよう声を上げれば、動画機のサポートも手厚い態勢がとれるかもしれない。
天井に設置したカメラでリモート撮影も
Bob Martin氏率いるソニー公式撮影チームの一員で、リモート撮影を担当していたNick Didlick氏に話を聞いた。
国立競技場のスタジアム上方にはキャットウォークが設けられており、このキャットウォークの手すり部分に、α1 IIを設置。Didlick氏はメディアセンター内のPCを使ってリモート撮影を行なっている。
Didlick氏が見せてくれたのは、100m走のスタートラインとゴールラインがそれぞれ画角に収まっている2台のカメラの映像。ソニーの「Remote Camera Tool」を使用しており、「1」と「2」のキーでそれぞれのカメラで撮影できる。撮影された静止画はFTPを使って、サーバーにリアルタイムで送信され、編集ソフトで表示できるようになっていた。
一位を取った選手が上に向かってガッツポーズをしている写真を一例として見せてもらったのだが、キャットウォークあたりから望遠で撮影しているような写真は、実はゴールラインを全て収めている写真から、α1 IIの高画素を活かして切り出しているもの。プロの現場では、カメラの性能をフルに活かした撮影が行なわれていた。

















