AV Watchアワード

ミニLEDも有機も本気のレグザ。AIエンジンで最高画質に!?【測定データすべて見せます(6)】

レグザの液晶テレビ「65Z970R」

読者へ本当にオススメしたい製品をセレクトする「AV Watchアワード」。今年も、高画質・高音質なナンバーワンテレビを決めるべく、テレビメーカー7社から全11モデルの液晶テレビ・有機ELテレビを集め、横並びでの比較視聴とデータ測定を行なった。

10月31日公開の「2025年液晶テレビ大賞」「2025年有機ELテレビ大賞」発表に先立ち、比較視聴を実施した11モデルをブランド別に紹介する。

※実際のテスト時は、スタンドにテレビを乗せて視聴しています

今回取り上げるブランドは「レグザ(TVS REGZA)」。

AV Watchアワード2025では、今年5月に発売した4K有機ELテレビの「65X9900R」(63.8万円前後)と、4K液晶テレビ「65Z970R」(49.5万円前後)をテストした。

それぞれの概要・仕様と合わせ、マスターモニターとの比較動画および視聴機の測定データを掲載する。

有機ELラインナップ

65X9900R

レグザは、RGB4スタックパネルの最上位「X9900R」と、高輝度パネル「X8900R」の2シリーズ6機種の4K有機ELを展開している。大きさは、48型から77型まで4サイズ。価格は28.6万円前後から。

有機EL

シリーズと市場想定価格

77655548
X9900R63.848.4
X8900R80.346.235.228.6

最上段の数字は「インチサイズ」、マス目の中の数字は市場想定価格(万円)

シリーズ別比較

エン
ジン
パネル倍速HDRアト
モス
音声
出力
チュ
ーナ
HD
MI
入力
X9900RZRαRGB
OLED
120Hz

144Hz
(VRR)
Dolby
Vision IQ

HDR10+
ADAPTIVE

HDR10

HLG
170W
or
180W
地上:9
(全録)

BS2K:3

BS4K:2
4
X8900ROLEDDolby
Vision IQ

HDR10+

HDR10

HLG
100W
or
60W
2K:3

4K:2

液晶ラインナップ

4K液晶テレビは、地上6チャンネルを丸録りするタイムシフトマシンを搭載した量子ドット×ミニLED「Z990R」「Z970R」「Z875R」のほか、タイムシフトマシンが楽しめる50・43型「Z870R」、ミニLED搭載の「Z770R」、生成AI搭載の「Z670R」「E670R」、手頃な「M550R」「E350R」の9シリーズをラインナップ。

総モデル数は37にも及び、テレビメーカーで最も多くのバリエーションを誇る。また、75型以上を16モデルも用意するなど、近年は積極的に“大画面サイズ”を訴求している。

液晶

シリーズと市場想定価格

110100857565555043
Z990R550
Z970R121886649.5
Z875R6650.638.530.8
Z870R24.223.1
Z770R8849.539.530.825.3
Z670R19.816.5
E670R6637.426.42217.614.313.2
M550R332217.613.212.111
E350R27.519.814.3119.98.8

最上段の数字は「インチサイズ」、マス目の中の数字は市場想定価格(万円)

シリーズ別比較

エンジンミニ
LED
量子ドット倍速HDRアトモス音声出力チューナHDMI入力
Z990RZRα120Hz

144Hz
(VRR)
Dolby
Vision
IQ

HDR10+
ADAP
TIVE

HDR10

HLG
122W地上:9
(全録)

BS2K:3

BS4K:2
4
Z970R130W
or
150W
Z875R70W
Z870RZR50W
or
60W
Z770R60W
or
70W
2K:3

4K:2
Z670R60W
E670R
(グレア)
Dolby
Vision

HDR10+

HDR10

HLG
50~70W
M550R
(グレア)
20W
or
30W
2K:2

4K:2
E350R
(グレア)

有機ELテレビ「65X9900R」について

レグザの有機ELテレビ「65X9900R」

X9900Rは、RGB 4スタック有機ELパネルを国内テレビでいち早く搭載した、有機ELレグザのフラッグシップ。

新パネルの採用で、従来比約1.3倍の輝度向上と約1.1倍の色域拡大を達成。さらに、新開発の低反射ARコートを採用することで、外光の映り込みを'24年モデル(X9900R)から約3割低減。引き締まった黒と色鮮やかな映像を実現した。

液晶テレビ「65Z970R」について

レグザの液晶テレビ「65Z970R」

Z970Rは、広色域量子ドットと高輝度ミニLEDバックライトを搭載した、液晶レグザのフラッグシップ。

新モデルでは、ミニLEDのエリア分割数とピーク輝度を強化。'24モデル「Z970R」と比べ、エリア分割数を約1.4倍、ピーク輝度を1.2倍にまで高めた。パネル表面には、低反射ARコートと広視野角ワイドアングルシート採用。高コントラスト・広視野角・広色域な映像を実現している。

X9900R、Z970Rともに、優れた映像解析能力を備えるハードウェアAIエンジン「レグザエンジンZRα」を搭載。前段のSoCと、後段のレグザ専用チップの2段構成とすることで、最上位機種だけの複雑な信号処理が可能になっている。

目玉の機能が“レグザ インテリジェンス”テクノロジー。AI技術を活用することで、人の声を聞きやすく調整できる快適リスニングや、あいまいな発話でもレグザがユーザーの好みに沿ってコンテンツをピックアップしてくれるボイスナビゲートなどの新機能を搭載している。

地デジ番組を最大6チャンネルまるごと録画する「タイムシフトマシン」機能も搭載。画面の左側に放送番組およびHDMI入力の画面、右側には放送番組やYouTube動画、もしくはAirPlayやミラーリング機能などスマートフォンの画面が表示できる2画面表示にも対応した。

消費電力・年間消費電力は、有機ELの「65X9900R」が約491W・192kWh/年、液晶の「65Z970R」が約357W・172kWh/年。

スタンドを含む外形寸法/重量は、有機EL「65X9900R」が1,442×300×892mm(幅×奥行き×高さ)/30.5kg、液晶「65Z970R」が1,448×292×894mm(同)/33kg。

マスターモニターとの比較動画

有機EL
4KブルーレイのHDR映像(1,000nits/24p)を、レグザの4K有機ELテレビ「65X9900R」(左、映像モードは「映画プロ」)と、ソニーのマスターモニター「BVM-HX3110」(右)に同時に表示し、ミラーレスカメラで4K/HDR収録した映像

※鑑賞時は、HDR対応のテレビ、PC、スマートフォンなどを使用してください。SDR環境では、正しく表示されません。
推奨設定:ガンマ/HDR10、色域/BT.2020、色温度/D65
液晶
4KブルーレイのHDR映像(1,000nits/24p)を、レグザの4K液晶テレビ「65Z970R」(左、映像モードは「映画プロ」)と、ソニーのマスターモニター「BVM-HX3110」(右)に同時に表示し、ミラーレスカメラで4K/HDR収録した映像

※鑑賞時は、HDR対応のテレビ、PC、スマートフォンなどを使用してください。SDR環境では、正しく表示されません。
推奨設定:ガンマ/HDR10、色域/BT.2020、色温度/D65

ディスプレイ性能

有機EL「X9900R」

映像モード「おまかせAI」(HDR)

映像モード「おまかせAI」(デフォルト時)における、Calman Ultimateのプレキャリブレーション結果
キャリブレーションターゲットは「白色点:D93」「カラースペース:BT.2020」「EOTF:SMPTE 2084(PQ)」

映像モード「映画プロ」(HDR)

映像モード「映画」(デフォルト時)における、Calman Ultimateのプレキャリブレーション結果
キャリブレーションターゲットは「白色点:D65」「カラースペース:BT.2020」「EOTF:SMPTE 2084(PQ)」

ディスプレイ性能

液晶「Z970R」

映像モード「おまかせAI」(HDR)

映像モード「おまかせAI」(デフォルト時)における、Calman Ultimateのプレキャリブレーション結果
キャリブレーションターゲットは「白色点:D93」「カラースペース:BT.2020」「EOTF:SMPTE 2084(PQ)」

映像モード「映画プロ」(HDR)

映像モード「映画プロ」(デフォルト時、明るさ90)における、Calman Ultimateのプレキャリブレーション結果
キャリブレーションターゲットは「白色点:D65」「カラースペース:BT.2020」「EOTF:SMPTE 2084(PQ)」
映像モード「映画プロ」(明るさ100)における、Calman Ultimateのプレキャリブレーション結果
キャリブレーションターゲットは「白色点:D65」「カラースペース:BT.2020」「EOTF:SMPTE 2084(PQ)」

輝度

有機EL
映像モード
「おまかせAI」
X9900R
(25年モデル)
X9900N
(24年モデル)
X9900M
(23年モデル)
10%輝度1,246cd/m2925cd/m2591cd/m2
全白輝度341cd/m2196cd/m2153cd/m2
映像モード
「映画プロ」
X9900R
(25年モデル)
X9900N
(24年モデル)
X9900M
(23年モデル)
10%輝度1,082cd/m2895cd/m2608cd/m2
全白輝度315cd/m2218cd/m2153cd/m2
液晶
映像モード
「おまかせAI」
Z970R
(25年モデル)
Z970N
(24年モデル)
Z970M
(23年モデル)
10%輝度2,901cd/m23,105cd/m21,468cd/m2
全白輝度887cd/m2740cd/m2597cd/m2
映像モード
「映画プロ」
Z970R
(25年モデル)
Z970N
(24年モデル)
Z970M
(23年モデル)
10%輝度1,795cd/m2
明るさ100

1,577cd/m2
明るさ90
(デフォルト)
943cd/m2705cd/m2
全白輝度972cd/m2
明るさ100

871cd/m2
明るさ90
(デフォルト)
668cd/m2719cd/m2

カラースペクトラム

有機EL「X9900R」
映像モード「映画プロ」時のカラースペクトラム
液晶「Z970R」
映像モード「映画プロ」時のカラースペクトラム

色域

有機EL「X9900R」
映像モード「映画プロ」時の色域
映像モード
「映画プロ」
X9900R
(25年モデル)
X9900N
(24年モデル)
X9900M
(23年モデル)
BT.2020
1931カバー率
77.74%72.06%71.38%
BT.2020
1976カバー率
81.66%74.39%75.72%
液晶「Z970R」
映像モード「映画プロ」時の色域
映像モード
「映画プロ」
Z970R
(25年モデル)
Z970N
(24年モデル)
Z970M
(23年モデル)
BT.2020
1931カバー率
76.22%80.84%80.62%
BT.2020
1976カバー率
83.43%82.43%82.46%

画素構造

有機EL「X9900R」
液晶「Z970R」

映り込み

有機EL「X9900R」
液晶「Z970R」

入力遅延

有機EL
映像モード
「ゲーム」
X9900R
(25年モデル)
X9900N
(24年モデル)
X9900M
(23年モデル)
スタンダード
シューティング
4K60p:1.8ms
2K120p:1.4ms
4K60p:1.8ms
2K120p:1.4ms
4K60p:3.0ms
2K120p:3.1ms
ロールプレイング4K60p:51.6ms
2K120p:1.4ms
レトロゲーム4K60p:1.8ms
2K120p:1.4ms
モード無
液晶
映像モード
「ゲーム」
Z970R
(25年モデル)
Z970N
(24年モデル)
Z970M
(23年モデル)
スタンダード4K60p:11.3ms
2K120p:2.0ms
4K60p:11.3ms
2K120p:2.1ms
4k60p:12.6ms
2K120p:3.7ms
ロールプレイング4K60p:11.5ms
2K120p:2.1ms
4K60p:54ms
2K120p:2.1ms
シューティング4K60p:11.3ms
2K120p:2.0ms
4K60p:11.3ms
2K120p:2.1ms
4K60p:12.3ms
2K120p:3.7ms
レトロゲーム4K60p:11.4ms
2K120p:2.1ms
モード無

HDMI仕様

有機EL
HDMI入力信号X9900R
(25年モデル)
X9900N
(24年モデル)
X9900M
(23年モデル)
4K120fps
4K144fps
ゲーム用HDR10
ゲーム用Dolby Vision60Hzまで
4K50Hz
1440p60Hzまで60Hzまで60Hzまで
非圧縮ステレオ
非圧縮5.1ch
非圧縮7.1ch
ドルビーデジタル
DTS
Dolby Atmos
DTS:X
その他X9900R
(25年モデル)
X9900N
(24年モデル)
X9900M
(23年モデル)
電源ケーブル着脱
スイーベルスタンド
液晶
HDMI入力信号Z970R
(25年モデル)
Z970N
(24年モデル)
Z970M
(23年モデル)
4K120fps
4K144fps
ゲーム用HDR10
ゲーム用Dolby Vision60Hzまで
4K50Hz
1440p60Hzまで60Hzまで60Hzまで
非圧縮ステレオ
非圧縮5.1ch
非圧縮7.1ch
ドルビーデジタル
DTS
Dolby Atmos
DTS:X
その他Z970R
(25年モデル)
Z970N
(24年モデル)
Z970M
(23年モデル)
電源ケーブル着脱
スイーベルスタンド
測定について

・パネル性能の測定には、キャリブレーションサービスを行なっている株式会社エディピットに協力を依頼した
・「シネマ系」「おまかせ系(無い場合は標準)」の2つのモードで測定(プレキャリブレーション)を実施した
・パターンジェネレータから、色温度D93/D65のHDR信号をテレビに入力。カラースペース(BT.2020)、EOTF、RGBバランス、色精度(デルタE)、10% Window(ピーク輝度)、100% Window(全白輝度)を、ソフトウェア「Calman Ultimate」で測定した
・測定環境は全暗。テレビは全モデル、工場出荷時にするため初期化し、センサー系の機能は全てオフとした
・「シネマ系」「おまかせ系」のモードは、デフォルト状態で測定した。ただし、デフォルトで明るさが低く抑えられている機種については、明るさを調整し、輝度が最大になる状態でも測定を行なった
・測定は何度か実施し、最も良い数値をセレクトした
・測定値で異常が見られた場合は、機器の状態や設定、接続などを見直し、テレビやPC、ジェネレータの再起動などを実施した。それでも変化が見られない場合は、メーカーに問い合わせを行なった

阿部邦弘