プレイバック2023
会えた、聴けた、泣いた。ありがとうジョン・ウィリアムズ!! by 編集部 阿部
2023年12月29日 09:00
地銀と35年契約したり、完成したはいいけど照明やカーテンの造作が契約内容と違ったり、秋山真氏のせいで宇多田ヒカルのアルバム「First Love」を70枚も買う羽目になったり、8畳でDolbyAtmosやろうとアンプとスピーカーを集めたはいいけどラックやらボードやら本やらCDやらブラウン管やらモノが多すぎてセッティングが全然進んでなかったり……2023年も色々ありましたが、やっぱり今年最高の出来事は、9月に憧れだった映画音楽作曲家ジョン・ウィリアムズ氏の公演に参加できたことです。
以前存在していた公式ファンクラブ(JWFC)にも在籍し、「生きている間に、彼の姿を生で見たい。そして彼が指揮するコンサートを聴きに行きたい」と長年考えていたわたしにとっては、夢のような時間でした。
『ジュラシック・パーク』からサントラ沼。そして変態へ
もしかしたら「ジョン・ウィリアムズって誰よ」という方がいるかもしれないので、一応お伝えしておくと、ジョン・ウィリアムズは『スター・ウォーズ』『インディ・ジョーンズ』『ハリー・ポッター』『スーパーマン』『E.T.』などの作品で、“映像の背景に流れる音楽”(サントラ、サウンドトラック、スコアとも言う)を作曲した映画音楽界の巨匠です。
1932年生まれの御年92歳で、これまで作曲した映画作品は100作超。アカデミー賞に5度輝き、ノミネート回数は53回。直近でも、スティーブン・スピルバーグ監督の「フェイブルマンズ」や、シリーズ最新作の「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」を手掛けるなど、現役バリバリの、まさに生きるレジェンド。たとえ映画や音楽に詳しくない、または全く興味のない方でも、彼の作品のメロディを、テレビやラジオなどを通して一度は耳にしたことがあるはず。
わたしが彼の音楽に初めて触れたのも、テレビで放送されていた『スター・ウォーズ』か『インディ・ジョーンズ』だったかと思いますが、“ジョン・ウィリアムズ”という作曲家の存在を意識し始めたのは、小6の時に池袋シネマサンシャインで見た『ジュラシック・パーク』でした(劇場で観た洋画2作品目。人生初の劇場洋画は『ロボコップ3』)。Tレックスやラプトルの姿にも驚きましたが、劇場を出た後もテーマ音楽が頭から離れず、ガキンチョながら「ジョン・ウィリアムズって人が作る音楽、かっけー」と感動した記憶があります。
以来、ジョン・ウィリアムズが手掛けた音楽や、ハリウッドのアクション・SF映画の音楽にも興味を持ち始め、徐々にサントラの底なし沼へ。
アルバイトを始めて小銭が入るようになってからは、とりあえず渋谷のタワレコに行って好きな作曲家のサントラCDを爆買い。大学時代には正規盤CDに飽き足らず、ヤフオクやeBay、すみや渋谷店などで“完全版”と称した海賊盤やFYC盤(アカデミー賞協会会員に配布されるプロモーション盤)まで手を出すようになり、気付けば所有枚数2,000を超えるサントラ変態になってしまいました。
ジェリー・ゴールドスミス、エンニオ・モリコーネ、ジェームズ・ホーナー、ベイジル・ポールドゥリス、アラン・シルベストリ、ビル・コンティ、ダニー・エルフマン、ハンス・ジマー、ジョン・パウエル、アラン・メンケン、トレバー・ジョーンズ、ジェームズ・ニュートン・ハワード、デヴィット・アーノルド、ハワード・ショア、マーク・マンシーナ、ブルース・ブロートン、ハリー・G・ウィリアムズなどなど、好きな映画音楽作曲家を挙げればキリがありませんが、コレクションしているCDの枚数が多く、最終的に何度も聞くのは、やっぱりジョン・ウィリアムズの音楽。
きっと多くのサントラ好きと同様、わたしのサントラ人生にとってもジョン・ウィリアムズは無くてはならない存在なわけです。
お布施が効いた? まさかの神席で生ジョン・ウィリアムズ
ジョン・ウィリアムズの来日公演は、1993年6月以来で、実に30年ぶり(4度目)の出来事。しかも公演は、9月2日の「2023セイジ・オザワ松本フェスティバル」と、9月5日の「ドイツ・グラモフォン創立125周年Special Gala Concert」の2回のみで、チケットの争奪戦は必至。
しかし、両親きょうだい、知り合いまで巻き込んでチケット抽選に応募した甲斐もあって、運よく東京・サントリーホールのSpecial Gala Concertに当選ッ!!!!!!! しかも座席の場所は、中央ほぼド真ん中(17列2X番)という、VIP席の中の神席!! サントラの神さまは、学生時代からせくせくと業界にお布施をしてきた姿をきちんと見てくれていたのですね神さまありがとう。
ジョン・ウィリアムズ自ら指揮したのはアンコール曲を含めて計11曲。ステージをひょこひょこと歩く愛らしい様を見せる一方、ひとたびタクトを取ると、力強くかつ繊細に演奏者らに指示する名コンダクターへと変貌。『スーパーマン』や『ハリー・ポッター』、『シンドラーのリスト』、『スター・ウォーズ』、『インディ・ジョーンズ』など、約1時間超に渡って珠玉の名曲を披露してくれました。
彼のそんな姿に、わたしもまわりも号泣。そして1曲1曲演奏し終わる度に客席からは割れんばかりの拍手が起き、鳴りやまない拍手に対して「落ち着いて、落ち着いて(次の曲へ行くよ)」と彼がいさめるほどにボルテージはアゲアゲ。
日本のクラシックコンサートって、厳かに楽しむことが多い印象なので、これだけボルテージ最高潮な雰囲気を見たのは生まれて初めて。あれほどの興奮と熱気にサントリーホールが包まれることって、なかなかないのではないでしょうか(少なくとも後日Eテレで見た松本公演とは会場の雰囲気が別モノでした)。
そんな会場の雰囲気も影響してか、演奏者らの表情からも並々ならぬ気迫が感じられ、「この音もはやオリジナルを超えてるんじゃね?」と思うほど、ダイナミックかつ優雅な演奏を聴かせてくれました。3年ほど前、ジョン・ウィリアムズはウィーン・フィル、そしてベルリン・フィルを指揮し、話題を呼びましたが、サイトウ・キネン・オーケストラもそれら海外の名門楽団らの演奏に全く引けを取っていなかったと思います!
サイトウ・キネン・オーケストラの皆さん、演奏お疲れ様でした。そして、日本に来てくれてありがとうジョン・ウィリアムズ! 一生の思い出に残るコンサートを生で聴くことができて幸せでした。そしてもしできれば、2024年も日本へ遊びにきて下さい!!!