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「制作でも使える音、価格を見て驚いた」ペルソナや女神転生の目黒将司、qdc「SUPERIOR」を聴く

qdc「SUPERIOR」を聴く目黒将司氏

「何かを本当の意味で好きになる」、「幾つになっても新しい挑戦ができる」……言葉にするのは簡単だが、実践するのは難しいもの。しかし、それを地で行くクリエイターがいる。アトラスのメインコンポーザーとして熱狂的な支持を受け、“目黒大明神”の愛称で親しまれる目黒将司氏だ。

目黒氏は、ペルソナ5など歴代ペルソナシリーズの音楽を担当。真・女神転生シリーズやキャサリンなどアトラスのヒット作品を数多く手掛ける作編曲家で、ギタリストでもある。PERSONA5 the Animationなどアニメ版の劇伴も手掛け、多方面に活躍。

2021年に退社するまでアトラスを代表するコンポーザーだったが、現在はフリーの作曲家として活動しつつ、なんとゲームクリエイターとして、個人で「Guns Undarkness」という作品を開発中。人気ゲームミュージッククリエイターが、自身の手でゲームを作る……その挑戦に、多くの注目が集まっている。

そんな目黒氏に、昨年7月に発売されて以降“最強エントリーイヤフォン”として人気のqdc「SUPERIOR」(14,300円)を試していただき、制作にも役立つ驚異のコストパフォーマンスについても伺った。

qdc「SUPERIOR」

キッカケはエレクトーンとの出会い

目黒氏が音楽に興味を持ったのは、エレクトーンとの出会いがきっかけだったという。

「幼稚園の5歳くらいだったと思いますが、個人で音楽教室をやっている先生から、エレクトーンを習うようになりました。30分のレッスンで、15分は教本をやって、後半は好きな曲を耳コピするという内容でした。大胆なアレンジこそ出来ませんでしたが、宇宙戦艦ヤマトとかを弾いていましたね」。

「小学校の4~6年生の頃に、音楽の授業のあと『太陽にほえろ!』をオルガンで弾いたところ、『すげぇな、目黒!』って周囲の見る目が変わったんです。以来、あれ弾いて、これ弾いてって頼まれるようになりました。ただ、ピアノはというと、エレクトーンと鍵盤の重さが違うので思うように弾けないんですよ。ピアノは両手で1曲を表現しますが、エレクトーンは、足のベースと左手のコードと右手のメロディーで表現する、ポピュラー音楽に特化している楽器ですから、概念が違いました。中学に上がってからは、ブラスバンド部でトロンボーンを吹いてました」。

作曲家と“幼少期のエレクトーン”はなんだか相性がよさそうだ。作曲に目覚めるのも小学校高学年だったという。

「その頃は、分かってないけど何となく曲は作ってるという程度でした。中学になるといろんな曲を聴き始めて、メロディとコードがあるポピュラー音楽の作曲をやり始めましたね。聴いていた音楽は、厳しかった親の影響もあって主にクラシックでしたが、中学に入ってからは、いろんな曲を聴いていいのだと分かって(笑) ブラスバンドの曲の他には、FMのエアチェックをしてフュージョンを好んで聴いてました。ザ・スクェア(現T-SQUARE)やカシオペアですね」。

家庭が厳しく、ゲーム機は買ってもらえなかった。しかし、代わりに買ってもらったものが、その後の運命を決定づける。

「英語の勉強だと親を説得して8bitパソコンを買ってもらって、これでゲームが出来る!と思ったら、FM-7に外付けするデータレコーダーを買ってもらえなくて。本体だけじゃゲームが出来ないんです(笑) 仕方がないので、分厚いリファレンスマニュアルを読んで、丸を描いたり線を描いたりして、プログラミングで遊んでました。達成感もあって楽しかったですよ。それが小学校6年生くらいの頃です。データレコーダーは中学2年になってやっと買ってもらえまして、カセットカードを友達から借りて、ゲームをいっぱいやりました」。

「ゲームセンターは、小1の時にインベーダー。3年くらいになるとみんなで集まって駄菓子屋に行ってパックマンやギャラクシアン。中学になってラリーXが8bitパソコンに移植されて喜んだりとか。当時はまだ、ゲーム音楽を意識して聴くまでではなかったですね。流行りの『ベスト10』とかはちょこちょこ観るようになったので、8bitパソコンのPSG音源で打ち込んだりしてました。3音しかないですが、耳コピで作った曲を友達に聴かせたりしました」。

「高校に入ってすぐに打ち込みのシンセサイザーとドラムマシンを買って、4トラックのカセットMTRに録音し始めました。高校でも続けたブラスバンド部では、打ち込みをやってる友人が出来て、作った曲をお互いに聴かせ合いしましたね。1年生のときにギターも買って、それでメロディーを弾いてインストを作ったりしてました」。

「音楽関係の進路は親に反対され、高校でも大学でも音楽系には進学できませんでした。でも、交流があった高校の友人と、大学生になって3人組のバンドを組みました。僕がギターで、彼はキーボードとマニュピレーター(生演奏以外の音を流す役)、それに女性ボーカルです。たまにドラムやベースも入れていました。当時、Macから打ち込みの音を流すバンドは珍しく、ライブハウスのPAさんには嫌そうな顔をされましたね(苦笑)」。

当時“マニュピレーターがいるアマチュアバンド”は珍しく、時代を先取りしていたといえる。高校時代からの打ち込み友達と先進的なバンド活動なんて、ちょっと羨ましくなってしまうくらい眩しいキャンパスライフだ。

「恥ずかしい話ですが、ライブ活動やってればレコード会社からスカウトが来ると本気で思ってたんです。名刺をもらうのはいつだ? みたいな(笑) 当然、そんな甘い展開はなく。大学2年の時にバブルがはじけて、大学院へ2年行けばそのうち景気もよくなるだろうと思ったら、もっと悪くなってしまって……就職は苦戦しました。時期的には、'94年の末頃にPlayStationとSEGA SATURNが登場し、自分の就職は96年でした。どうやら新しいハードではCD-ROMからCDクオリティの音が出るらしいと。自分が今までバンドとかでやっていることがそのまま出来るかもしれないと思い、ゲーム会社をたくさん受けました」。

「親には、『ちゃんとした企業を受けて落ちた』って報告するんです。もちろん、受かるつもりで挑戦していましたから、デモテープも気合い入れて作って。6割くらいの確率でテープは通って面接に進むんですが、パソコンゲームばっかりやってた自分はコンシューマゲームを知らなさすぎて落ちるという連続でした。なかなか受からなくて困っていたところ、アトラスさんに拾っていただけたんです」。

ゲーム音楽作りでも、プログラミングの経験が活きる

アトラス入社後は、すぐに現場の仕事を任されたという。人手が足りず、新人も活躍の場には事欠かなかったそうだ。

「RPGはPlayStation 2の後半くらいまでは内蔵音源メインで鳴らしていましたね。期待していたストリーミングで流すというのは稀で、容量の小さいサウンドメモリにどうやって詰め込むか、みたいな工夫をしていました。アトラスの代表的なコンポーザーである増子司さんの系譜を研究し、どうやって自分の表現を乗せていくかという探求はしていましたね」。

「『ソウルハッカーズ』の初代は、BGMもSEも僕が作ってました。当時は、BGMを作る人間がSEも兼務していまして『DIGITAL DEVIL SAGA アバタール・チューナー』まで僕もSEを担当してました。大手では1996年あたりから分業を進めていましたが、アトラスは最後まで抗ってました。そこには、ゲームのパッケージとして“BGMと効果音をトータルで考えたサウンド作り”を追求するという方針があったのです。分業しないことによって、場面場面で何を引き立たせるかをトータルでプロデュースしやすいメリットはありました。ただ、2006年あたりになると、さすがに難しいとなりまして」。

映像の進化に伴い、効果音も生っぽい説得力のある音が求められてきたのは、いちゲームプレーヤーとして筆者も実感している。映画のような効果音も珍しくなくなったが、それらはコンポーザーが片手間で作れる範疇のものでは無くなっていく。

「分業するって作曲が優先みたいに思われがちですけど、SEがとてもリアルになったことで、職人として専門性のある方がやらないと追いつかない領域に変わっていったのです。それでもアトラスでは、作曲担当の人にSEに特化してもらったりと、自社で作るように頑張っていましたね」。

現在のゲームでは、場面に合わせてシームレスに曲が移り変わるような作品もあるが、実は、目黒氏は『真・女神転生III-NOCTURNE』の頃からプログラムを工夫して近いことをやっていたという。

「例えば、楽曲の2小節目と4小節目にフラグを付けておきます。文字送りのタイミングはプレーヤーによって異なりますから、イベントシーンで曲を変えたいタイミングになったら、4小節目に次のMIDIを読み込んで曲を繋げるといった試みです。子供の頃にプログラミングをやっていたので、こういう工夫が出来るんじゃないかというひらめきは出てきましたね。サウンドプログラマーに企画書を持っていって相談したりしてました」。

身体に染みついているフュージョン

目黒氏の関わった最近のサントラなどを聴いてみると、ジャズやファンクロック、フュージョンなど、ハイセンスな楽曲が目立つ。その音楽的源泉はどこにあるのか。

「やっぱりザ・スクェアが根底にありますね。アレンジメントとかは参考にしているつもりはないのですが、身体に染みついているので影響は受けていると思います。自分の子供がピアノをやっていて、僕も一緒に弾くことがあるんです。フュージョンは、楽譜にはない装飾がメロディーに付くことが普通なのですが、それをそのままやると、子供に不思議がられます(笑)」。

演奏といえば、目黒氏は自身が関わった作品の音楽ライブでギタリストとして舞台に立っている。ゲーム音楽のコンポーザー本人がライブに出るというのは、あまりない事だ。

「ペルソナ3のサントラを非常に多くの方に聴いていただけたことで、レーベルの担当さんから『ライブやったら盛り上がるし、作曲者がギターを弾いてたら面白いよね』ってお話をいただいたのです。実際にゲームで流れている曲のギターは自分が弾いてましたから、ライブで演奏することに違和感はないし、お客さんもビックリしてくれるかなって。最初はウケ狙いで立たせてもらったというのがはじまりでした」。

「実際にやってみたら、プロの演奏家に混じって演奏するのはキツかったですね(笑) メインのギタリストはもう1人いて、互いにシェアして弾いていました。僕は端っこで弾くつもりだったのですが、音響監督から『目黒さんにもインストで何曲かソロを弾いてもらいたい』って言われて、もう必死でしたよ」。

意外にも緊張はせず、ライブは大成功。幼少期のエレクトーンと、学生時代のバンド活動の経験が活きたそう。「逆に回数を重ねて5~6年経った頃、もう失敗できないんだぞって重圧を感じ始めたときから緊張するようになりました」と笑う目黒氏。

ゲーム開発への愛

そんな目黒氏の中には、音楽だけでなく“ゲーム作り全体”への想いがある。

「小学校からプログラミングで簡単なゲームを作り始め、大学生になってもポケットコンピューター(ポケコン)でゲームを作っていましたので、プレイするより作りたいタイプでした。アトラスでも年に2~3本、通りもしない企画書を出していましたね(笑) 音楽部署から企画書を出す人は、もちろん僕だけです。僕は“やってみないとわからない”の精神で何度も懲りずに出していたら、ある時に『面白いじゃん』って評価されまして。それが今作っている“戦略JRPG”『Guns Undarkness』の元になったゲームです」。

「最初の企画書はブラッシュアップして再提出したものの、なかなか開発にはゴーが出ませんでした。なんとか外堀を埋めていって、実際に小規模ながらアルバイトや外注も入れてα版くらいまでは作ったのですが、様々な事情で開発は中止になってしまいました。当時、Unreal Engineが無料で使えるようになっていたので、自分1人でも開発を続けたいと申し出たのですが許可が下りず、他に方法がないか交渉しました。結果、会社のアセットなど資産を使わなければ、作り続けることにOKをしてもらえて、ここから個人制作がスタートしたんです。1個のダンジョンを遊べるシーケンスを完成させて、ゲーム配信サイトのふりーむ!で公開したところ、β版的なものでありながら、ある程度ユーザーさんから評価をいただけました」。

目黒氏は、何度壁が立ちはだかっても、自分が作りたいゲームへの熱を保ち続けた。しかも、アトラスのメインコンポーザーとしての仕事をこなしながらである。最終的に1人になろうとも続けようとしたゲーム作りへの情熱に驚く。

「ちょうどその頃、講談社の『ゲームクリエイターズラボ』があったので応募してみました。そしたら最終選考まで残りました」。

講談社ゲームクリエイターズラボは「年間最大1000万円差し上げますから、好きなゲームを作りませんか?」というコンセプトで始まったインディゲーム支援プロジェクト。最終選考まで残った事は喜ばしい事だが、逆に話が大きくなってしまった事で、アトラスで作り続ける事が難しくなってしまった。「このままゲーム作りを続ける」か「アトラスに残るか」という岐路に立ち、目黒氏はアトラスを離れる選択をする。

「ただ、アトラスさんとはこれからも仲良くやっていきましょうというケンカ別れとは無縁の決着です。やっぱりペルソナをはじめとしたファンの方を大切にしたいですから。なので、今のところは、他社からゲーム音楽の依頼があっても受けないつもりです。退職時にアトラスさんにも僕の意向は伝えました」。

独立後、アトラスとの音楽の仕事は継続しつつ、ゲーム制作に本格的に舵を切った目黒氏。制作費を募るクラウドファンディングは、国内外から総勢2,000人、なんと1,900万円以上の支援を集めることに成功。今はゲーム作りが楽しくてしょうがないと少年のような目で語ってくれた。

『Guns Undarkness』STEAMのページ

「ゲーム作りは本当に楽しいです。もう全ての工程が楽しいです。3カ月くらい同じ作業して飽きてくると、イベント作ってたから今度はモーション作るか、みたいなローテーションを組んでるんですよ(笑) Kickstarterで資金が得られたことで、自分だけでは難しい部分は外注にも頼るようになりました。キャラクターデザインのイリヤ・クブシノブさんの他は、UIのグラフィックを有馬トモユキさんにお願いしていて、その2人がメインの外注先です。あとは1人でゴリゴリ作ってます。Unreal Engineには無料のアセットがありますし、Epic Gamesのマーケットプレイスに有料のアセットがいっぱい在るので、背景とか買って組み合わせて。形が合わないときは3Dモデルのソフトで修正して使うようにしています」。

アトラス在籍中は企画書を何度も出していた目黒氏。Guns Undarknessの他にも作りたいゲームはあるのだろうか?

「Guns Undarknessは、先ほど説明したような経緯もあり、このままじゃ終われないという想いがあって、ある種のリベンジの要素も含まれているのです。もちろん、面白いものを作ろうという前提は守った上で、です。なので、もし次回作があるとしたら、動機がだいぶ異なるでしょう。在籍当時、Guns Undarknessがうまくいったら次はこういうジャンルを作りたいという計画は立てていたので、それがアトラスじゃないバージョンになっていくのかなと。会社ではずっとRPGを作ってきましたから、次回作もきっとRPGにはなると思います」。

Guns Undarknessの音楽は、目黒氏自らが手掛けている。ゲーム部分もそうだが、音楽にも期待が膨らむところだ。アトラスとの音楽制作は、同社の最新作『メタファー:リファンタジオ』で進行中となりこちらも見逃せない。

『メタファー:リファンタジオ』サードトレーラー「The King's Trial」

作曲は、自宅で行なうという目黒氏。普段はどのような機材を使っているのだろう。

「会社で使っていたのは、ヤマハのモニタースピーカーMSP5とNS-10M、ヘッドフォンはソニーのMDR-900STでした。自宅にもアトラス時代から作曲機材はあって、同じくMSP5と900STですね。去年、フォステクスのアクティブスピーカーPM0.3Hを買ってテレビサイドに置いたら、リビングのテレビで音楽番組をリピートするくらいちゃんと観るようになりました。ちょっと前まではゴルフボールくらいの5.1chスピーカーセットを映画用に使っていましたが、音楽を聴くのには厳しかったので、PM0.3Hを導入してよかったです」。

ヘッドフォンはソニーの定番「MDR-900ST」を愛用中。ヤマハのTWSやFitEarのカスタムIEMも愛用中

そんな目黒氏にユニバーサルIEMとなるSUPERIORを試した感想を尋ねた。

「すごい良かったです。全体のバランスがいいですね。広がりも僕の聴いている環境にすごく近いです。これまでイヤフォンはヤマハの完全ワイヤレスや、ライブ用のイヤモニとしてFitEarを使ってきましたが、完全ワイヤレスだとローがとても出てるので、出過ぎじゃないかのチェックで使ったりしてました。SUPERIORはオープンエアーで聴いてるのと近くて使いやすいです」。

「ちょうど今、メタファー:リファンタジオのサントラ用のプリマスタリングをしているのですが、MSP5で聴きつつ、小さいイヤフォンとしてSUPERIORを使って作業させていただきました。制作でも全然使えるモデルだと思いますね」。

「送られてきたとき、たぶん4~5万円なんだろうなと思いました。見た目もいいし、装着感とかもよくて、音を聴いてみてやっぱり5万円くらいかなって。価格を見たら14,300円じゃないですか。驚きましたよ。最近は完全ワイヤレスが人気で、有線イヤフォンを使う人は減っていると思いますが、SUPERIORみたいな良質な有線イヤフォンが増えてくれるといいなと思います。オーディオ初心者どころか、中級者の方にもお勧め出来るんじゃないでしょうか」。

SUPERIORはデザイン性も高く、高級感があるが、それだけでなく、互換性の高いカスタムIEM 2pinコネクター(0.78mm)を採用しバランス接続へのリケーブルも可能。オリジナルのキャリングケースが付属し、負担軽減に配慮したシングルフランジのソフトフィットイヤーピースと外れにくさを重視したダブルフランジイヤーピースが同梱されるなど、目黒氏が「5万円くらい?」と思ってしまうほど付属品も充実。それでいて14,300円というコストパフォーマンスの高さも魅力だ。

「イヤーピース交換も試してみましたよ。体温で柔らかくなるAZLAのSednaEarfit XELASTEC IIが好きで使いました。耳にピッチリはまって外の音はシャットアウト出来ますから、聴きこみたい方は適していると思います」。

体温で変形するTPE素材を採用したイヤーピース「AZLA SednaEarfit XELASTEC II」

「プリマスタリングのときは、MSP5で聴いて~SUPERIORで聴いて~って1曲ずつ試すのですが、付け直すたびにL/Rが分かりにくかったのは気になりました。老眼なので、コネクタ差し込み口の赤と青の丸はほとんど見えなくて(笑)。赤や青のラインは無いので、その分おしゃれ感はありますよね」。

制作にも利用できるというバランスのいいサウンド。qdcは、中国のプロフェッショナルオーディオ市場において、ステージ用イヤモニのシェア70%超を誇る。プロ機で培ったノウハウがエントリーラインにも反映されている。開発にも関わった国内輸入販売元のアユートによると、スティックDACなどの小型ヘッドフォンアンプでもきちんと鳴るように、いわゆる“鳴らしやすいイヤフォン”を目指して開発されたそうだ。

SUPERIORで聴いたら映える目黒氏の楽曲をズバリ伺った。

「メタファー:リファンタジオのサントラは、SUPERIORで作業したのでもちろん聴いてみてほしいですね。他はペルソナ5のTVアニメ版の前期・後期のOP/EDの歌モノとかもよかったです」。

「新しく買ったイヤフォンを聴いた時に、自分が曲を作った時に聴いていたバランスと違って聴こえると、『やってしまった!』って申し訳ない気持ちになるんです。でも、SUPERIORですと、想定通りって思えます。自分が作った曲ですから、コードのトップの音や、中割とかをよく分かっているので、そのコード感がちゃんと伝わるのがいいですね。音楽ファンの方って、エンジニアや作曲者と同じ音で聴けるのが理想とされている側面があると思っていて、SUPERIORはそこに近づけるところが魅力だと感じます」。

好きこそ最大のエネルギー

音楽活動の今後についても語っていただいた。

「ゲーム音楽は、アトラスさんと一緒にやらせていただいているのですが、アニメの劇伴とか他のジャンルもやってみたいですね。ペルソナのアニメも劇伴は自分が担当しましたし、実績はありますので。例えば、学校の校歌も作ってみたいですね」。

目黒氏のサントラを聴くと、映像に付ける音楽でありながら、“アルバム単体で音楽作品として楽しめる”クオリティであると感じる。独立した今、ソロ活動などは考えていないのか聞いてみると、まさかの答えが返ってきた。

「実は、大学時代バンドやってたメンツとまた何かやってみたいね、という話はしているんです。連絡が取れる人とまだ取れない人がいて、それぞれの家庭の事情などで先延ばしになってますが、いつかは何かしら動いてみたいと思ってます。キーボードの友人、これ見てたら僕に連絡して下さい(笑)」。

音楽とゲーム作りをこよなく愛する目黒氏の軌跡。そこから見えてくるのは“好きこそ最大のエネルギー”。至極当然のことのようで、大人になるとなかなか自分の気持ちに素直になれず、行動に移すことが難しくなる。だからこそ、目黒氏の新たな挑戦と、これからも紡ぎ出される楽曲たちから目と耳が離せない。そんな作品達を楽しむイヤフォンとしてSUPERIORは、選択肢に加えたいモデルだ。

目黒氏の“名前ハンコ”入り「SUPERIOR」を1名様にプレゼント!

本記事の公開を記念して、目黒氏の“名前ハンコ”入り「SUPERIOR」を1名にプレゼントする。

応募方法は、アユート Audio事業部とAV WatchのXアカウント「@aiuto_audio」「@avwatch」の両方をフォローして、AV Watchの、この記事のポストをリポストするだけ。応募期間は記事公開から2週間の6月17日23時59分まで。奮って参加して欲しい。

橋爪 徹

オーディオライター。音響エンジニア。2014年頃から雑誌やWEBで執筆活動を開始。実際の使用シーンをイメージできる臨場感のある記事を得意とする。エンジニアとしては、WEBラジオやネットテレビのほか、公開録音、ボイスサンプル制作なども担当。音楽制作ユニットBeagle Kickでは、総合Pとしてユニークで珍しいハイレゾ音源を発表してきた。 自宅に6.1.2chの防音シアター兼音声録音スタジオ「Studio 0.x」を構え、聴き手と作り手、その両方の立場からオーディオを見つめ世に発信している。ホームスタジオStudio 0.x WEB Site