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ゲーム音楽家・岩垂徳行、qdc「SUPERIOR」を聴く。「音楽作りに十分使える音」
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2024年3月14日 08:00
「いい音で聴いてみたい」と意識するキッカケは人それぞれだ。筆者でいえば、「ゲーム音楽をもっと迫力のある音で聴きたい」と思ったことがオーディオをはじめる原点だった。
ファミリーコンピュータが1983年に誕生して今年で40年。スーファミやプレステ、サターンなどを経て、コンシューマーゲームが拡大していくと共に、ゲーム音楽も一大音楽ジャンルに成長した。では、そんなゲーム音楽を手掛けるクリエイターは、どんなこだわりを持って音楽を作り、我々リスナーにはどんな機器で聴いて欲しいと思っているのか?
逆転裁判シリーズをはじめ、LUNAR、グランディアなど、多くの作品を手掛けたベテラン作曲家・岩垂徳行氏にインタビュー。さらに、昨年7月に発売されて以降、“最強エントリーイヤフォン”として人気になっているqdc「SUPERIOR」(14,300円)を使って、自身の音楽も聴いていただき、“SUPERIOR×ゲーム音楽”の魅力も語っていただいた。
ハードと共に進化してきたゲームミュージック
前述の通り岩垂氏は、逆転裁判やLUNAR、グランディアシリーズなどのゲーム音楽を中心に活躍しながら、東京ディズニーリゾートのショー・イベント、舞台や放送関係の音楽も手掛けるなど、多方面で活躍。演奏や指揮者としても精力的に活動しており、近年ではArc-hive Philharmonic Windsで指揮・顧問を務める。
そんな岩垂氏に、音楽との原点から伺ってみた。
「小学校3年生くらいの時に、親戚の叔母の影響で月刊平凡とか明星などの雑誌に載っている“歌詞カード”を見ながら歌っていました。5年生の時、担任の先生が音楽好きで、クラスで合唱コンクールに出たり、授業でトランペットの練習をしていました。その先生の影響で、音楽に親しみを感じたのがはじまりでした」。
「中学生になってギターを習い始めたのですが、平凡や明星を見直すと、コード譜があることに気付いたんです。弾いて歌って曲を覚えて……そこから自然と“自分で曲を作ってみよう”と思いました。音楽の授業で、ハバードおばさんといぬ(作:マザー・グース)という絵本に音楽をつけるという課題があり、それが初めての作曲ですね。そこからフォークギターのブームもあり、ギターをやりながら色々なコードを覚え、弾き語りの曲をいろいろ作るようになりました」(岩垂氏)。
だが、本格的に作曲に取り組んだのは、意外にも“仕事”が初めてだという。
「高校は吹奏楽をやりつつ、大学は音大の音響科に進みました。作曲については、専門的な知識が無くて習ったこともなかったのですが、授業で作曲したら意外と好評だったんです。かといって将来、作曲家になるつもりはなくて、音楽に関われるならレコードショップの店員でも……なんて思いながら、特に就職活動もしませんでした」。
「卒業間際に友達から『バンドのトラ(エキストラ=代わりの演奏者)をやらないか』と誘われて、キーボード奏者としてそのバンドに入りました。オリジナル曲も作ってはいたんですが、専ら演奏ばっかりしてましたね。そんなとき、大学の友人から声を掛けてもらったのがゲーム音楽の仕事です」。
当時はファミリーコンピュータが絶頂期を過ぎたあたり。岩垂氏とゲームの関わりとしては、親戚の家のインベーターゲームは遊んだ事はあるものの、熱中するほどではなく、“ゲーム音楽”という世界がある事も意識していなかったそうだ。
ゲーム音楽作りに誘われた時も、「FM音源使えるし、音楽であればいいかな」くらいの気持ちだったという。
この時に手掛けたタイトルはメガドライブ版「アフターバーナーII」(1990年)。いわゆる“内蔵音源”の頃からゲーム音楽を作ってきた岩垂氏。作曲や音作りは本当に大変だったそうだ。
「当時の家庭用ゲーム機にはリバーブもディレイもありません。意外とアンプのノイズも無視できなくて、小さい音を鳴らしたくても、ノイズに埋もれてしまうんです。0~Fまでの16段階の内、0からCまでの13段階で曲を作っていました。メガドライブでは、ひたすら音色作りの試行錯誤でした。それでもラングリッサー(1991年)の頃くらいまで作り貯めてきた音色は、ようやく信頼できるクオリティに到達して、表現の幅も広がり曲作りが楽しくなってきましたね。でも最初は『なんでこんなチープな音で作らないといけないんだ?』って思いはありましたし、内蔵音源じゃなくてストリーミングにしてくれって何度も言ってましたよ(笑)」。
当時は次々に新しいゲームハードが発売され、大変ではあったが、面白かったと振り返る岩垂氏。ドライバーや開発環境の進化により、音がどんどん良くなっていく過程は、時代の最先端をいっている高揚感もあったそうだ。
一方で、現代と比べると、当時のゲームソフトに使えるデータ容量は極めて限られていた。ゲーム制作サイドとサウンドチームの間では『頼むから、もう1バイト減らしてくれ』『これ以上は無理!』といったやりとりもあったそうだ。ちなみに1,024バイトでようやく1KBなので、当時のゲームソフトの容量がどれだけ少なかったかわかるだろう。スーファミやプレイステーションといった内蔵音源によるゲーム音楽を聴きながら少年時代を過ごした筆者にとっては、あの音楽の裏側にそんな苦労があったのかと驚くばかりだ。
内蔵音源ではない“ストリーミング”によるゲーム音楽は、今でこそ当たり前だが、初代プレイステーションでいうとCD-DA方式で盤面からリアルタイムで流すこともあった。筆者もレースゲームなどで体験した記憶がある。1トラック目がゲームデータで再生不可、2トラック目以降が音楽としてCDプレーヤーで再生出来たのだ。
「メガCDの『LUNAR ザ・シルバースター』は、僕が初めてストリーミングを使えたタイトルです。といっても、与えられた領域は合計30分。そこにCDと同じフォーマットの44.1kHz/16bitで音楽を収録したんです。プレイ時間は40時間くらいのRPGって言われて、音楽に使えるのは30分間だけでした(苦笑)。その尺に40~50曲を入れました。1曲30秒とかでいっぱい作って、戦闘曲だけは1分にしましょうみたいな(笑)」。
「次の『LUNAR ETERNAL BLUE』は、CD-DAではなく4時間分の容量が音楽に与えられました。ただし、データはモノラルです。実際には疑似ステレオで鳴らしていました。でも4時間もある方が嬉しいので、そのときは100曲くらい作りましたね」。
ゲームに声が無かったからこそ、音楽で感情を表現してきた
数多のゲームタイトルを手掛けてきた岩垂氏は、“自身の音楽の特徴”について、どう思っているのだろうか。
「実は、暗い曲ってあまり僕は書けないんです。明るめの楽しい曲が好きなので作りやすいですね。コード的にも明るいものを選びます。中学時代はクラシックが好きで、仕事を始めてからはプリンスとかマドンナとか80年代の音楽が好きでしたが、その前はディープ・パープルとかロック系も好きでよく聴いていました。それぞれの良いところ、“音楽の楽しさ”みたいなものが自分の中で一番惹かれた部分だったので、それをゲーム音楽でも届けたいなと思っているんです。実際の曲にもそれが出ているんじゃないかと。もちろん要望によっては、いろんな曲を書きますし、書けますよ」。
曲作りのこだわりポイントも聞いてみた。
「僕はメロディを重視するようにしています。音楽にはリズム・メロディ・ハーモニーという3つの要素が大切だと言われていますが、この中でもメロディがしっかりしているということがとても重要で、後々になっても残っていく曲になると思うのです」。
「ゲームですからシナリオをよく読んで、どのような感情が動く場面であるかを想像し、曲を付けていきます。ファミコンとかメガドライブとかの時代は、声優の音声を使えなかったので、音楽で感情を表現していたんですよ。メロディが重視されたのは、ここが起源と言えると思います」。
「振り返ってみると、昔のゲーム音楽はバックグランドミュージック(BGM)ではなかったなと。映画やドラマと違って、時間制限のないゲームは、BGMよりも音楽的な主張が無いと成立しなかったのです。メロディに主張が無いとゲーム中で合いませんし、どのタイミングで使われるかも分かりませんから」。
“昔のゲームは声が入れられなかったからこそ、音楽で感情を表現してきた”というのは非常に興味深い。驚くべきことに、町や村・ダンジョンの音楽を作曲する時でも、感情の表現は重要だと岩垂氏は語る。
「街や村であれば、そこに住んでいる人の気持ちやテンポ感、賑わいなどを想像して作ります。住人の気持ちを想像してメロディを考えていきますね」。
岩垂氏の印象的なメロディの楽曲たちは、このようなこだわりによって生み出されているのだろう。改めて、聴き直してみたくなる。
長野を拠点に選んだ理由
複数の音楽制作会社を経て、今はフリーランスとして活躍中の岩垂氏。ゲーム会社に所属して経験を積み、その後独立する作曲家が多い中で、異色の経歴と言ってもいいだろう。
「ゲーム音楽の作曲家になりたい人は、ゲームメーカーに入れるなら入った方がいいとは思います。ゲーム制作の中身を知ることが出来ますから。僕は何も知らないまま業界に入ったので、ゲームがどうやって作られるのか、ゲーム制作における共通の事柄を覚えるのが大変でした。ゲームを作っている現場の人たちと、いきなり対等に話さないといけませんから。分からないことはたくさん質問して教えてもらいましたが、今ではそれも難しいかもしれませんね」。
「私が業界に入った当時、ゲーム音楽を作る人は、ゲーム制作過程の中で“後ろの時期にだけ仕事がある暇な人”というイメージを持たれていました。『暇ならプログラムやグラフィックをやれるか?』なんて聞かれて、出来ないと返答したら解雇されてしまうような……、80年代後半くらいは、そうして職を失ったゲーム音楽作曲家が増えた時代でした。だから自然とゲーム音楽専門の制作会社が立ち上がっていったのです」。
岩垂氏のような経歴で、今も活躍しているコンポーザーは非常に少ないそうだ。
「時代的に、先駆的なタイミングでした。その最初の頃にいられたのが大きかったと思います。セガ系、タイトー系などコンバートの仕事も含め、メーカーとガッツリ組んで仕事ができました。制作会社の中の人たちとも友人になれて 次の仕事にも繋がっていきましたね。当時は、趣味で音楽をやってるような人がゲーム会社のサウンド部門にいて、ちょっとギターやってるから作曲を任される……みたいな時代でした。そこで僕らは専門的な音楽の勉強をしていることを売りにしていましたから、アドバンテージはありましたね」。
岩垂氏は現在、長野県・松本市に住みながら、東京と行き来して仕事をしているそうだ。東京以外に拠点を置くコンポーザーは今では珍しくなくなったが、長野と東京、2つの拠点を持つ理由を聞いてみた。
「インターネットの発達でどこにもいても音楽の仕事は出来ます。スタジオミュージシャンなどは別ですが、作曲について言えば、世界のどこでもやれる仕事ですね。自分は、松本と東京の2拠点を行き来する生活を20年以上やってます。地方と東京ではテンポ感も全然違いますし、環境によって音楽的な考え方って変わりますよ。昔は松本から東京に行くのに、機材を車にいっぱい詰んで移動してましたが、今は大きなシステムを持っていく必要がありませんから楽になりました。プラグインは充実して、音源も良くなってきて、HDDを1個持って行ければ事足りますね。東京にも拠点を設けて、作曲できる環境は整えています」。
地方だからこそ、創作活動にポジティブに働く側面もありそうだ。
「山を見ながら育ったので、山を見られるのはいいですね。空気も美味しいので、子どもの健康にも良いですね。LUNAR ザ・シルバースターに「TSU・BA・SA」という曲があるんですが、近所で散歩中に思い浮かんだフレーズを使っています。田んぼの稲が風になびく風景をみて、オープニングムービーの最初のところ、水面を飛び立つドラゴンのシーンが頭に浮かび、曲に反映させることが出来ました」。
岩垂氏はSUPERIORをどう聴いたのか
そんな松本の拠点では、DALIの「ZENSOR PICO」とフォステクスのエンクロージャーに音工房のユニットを入れた自作スピーカーの2台体制。東京では、Rogersの「GS-1」を使っているという。ヘッドフォンはAKGを愛用。現在は「K240」をリケーブルし、イヤーパッドも変えたものを常用。サウンドの確認には「K701」も使っているそうだ。
あえて高価過ぎないヘッドフォンやスピーカーを使う事で、様々な機器で再生した時でも、大きなギャップを感じにくい音楽になるよう心がけているとのこと。今の時代のスタンダードイヤフォンとして、AirPods Proでも確認するという。
ミックスの際、重視するのは音がいいことよりも聴きやすいこと、定位や奥行きの表現力を大事にしているという。
そんな岩垂氏は、SUPERIORをどう感じたのか。
「最初に聴いたとき、音が良すぎてマズイなと思いました(笑)」と、やや興奮気味に語る。
「あんまりよくないミックスでもよく聴こえちゃうから、どうしようって(笑)。遮音性が高くて、周りの音が遮断されるので音楽に没頭できます。低音は出過ぎているくらいちゃんと出てましたね。エージングすると、個別の音がもっと聴こえてくるようになりました」。
「定位だけじゃなく、奥行きや空間表現もちゃんと出来ます。実は、このイヤフォンで5月に発売するサントラのミックス作業もやってみたのですが、上下感などを調整する時もまったく支障ありませんでした。リバーブの質感だけは若干分かりにくくて、別のヘッドフォンを使いましたが、SUPERIORは十分業務で使えるくらいの音だと思いますね」。
SUPERIORのダイアフラムには真空成膜技術を使用した複合膜を使われており、正確な再生をするために、過渡特性(トランジェント)を重視した設計になっている。qdc独自の同軸デュアル磁気回路とデュアルキャビティ構造も、トランジェントと低歪みを追求したもので、こうした特徴が、楽曲制作にも使える正確性に繋がっているようだ。
「イヤーピースを変えるだけで音が大きく変わるのは面白かったですね。付属品は全種類試しましたよ。僕の場合は、中サイズと大サイズが低音の締まりが最適でした。ただ、密閉感は素晴らしのですが、3時間くらい付けていると僕の耳には少し痛く感じたので、他のタイプのイヤーピースも試してみたいなと思っています。ケーブルのタッチノイズはちょっと気になりました。表面の材質を変えられたら嬉しいかなと」。
イヤーピースは、シングルフランジが3サイズ_(S/M/L)、外れにくさを重視したダブルフランジが3サイズ(S/M/L)付属する。
付属ケーブルは、高純度無酸素銅(OFC)の4芯線を黒のPVC被膜で覆ったもの。イヤフォン側のコネクターはカスタムIEM 2pin(0.78mm)なので、他のケーブルに交換する事も可能。別売だが、SUPERIOR向けのバランス接続用ケーブル「SUPERIOR Cable 4.4」_(5,500円)も用意されている。
「デザインは最高です。このカッコよさはズルいですよ(笑)。表面の質感も良く、この値段では作れるのはすごいと思いました。今回、Azure Blueを使わせてもらいましたが、色味が深くてとても1万円台に見えません。形もカッコいいですよね。キャリングケースはしっかりしてるし、イヤーピースはいっぱい付いているし。全体的にコスパは高いと思います」。
SUPERIORで、ファンに聴いてほしい自身の曲も聞いてみた。
「SUPERIORを使ってミックスもやってみたゲームが5月30日に発売されます。『ふたごうさぎのご近所ツーリズモ』いうNintendo Switchのタイトルで音楽を担当してまして、限定特装版にはサウンドトラックCDが付属します。ミックスも自分でやったのですが、奥行き感を出した音作りにしています。SUPERIORでそこを聞いてもらえたら嬉しいです」。
「音楽以外にも、映画『マトリックス レザレクションズ』を観ましたが、音の広がり感がしっかりと出ていました。SUPERIORならゲームをやってもリアリティのある音が楽しめると思います。ゲームの世界って広い場所が多いので、空間を感じさせる楽曲やサウンドメイクが求められるんです」。
感情や空間など、様々なこだわりを注ぎ込んで生み出されるゲーム音楽。その魅力を余すところなく聴くなら、再生能力の高いイヤフォンを選びたい。SUPERIORで聴けば、お気に入りのゲームで遊ぶ時間が、もっと幸せになるだろう。
ゲーム音楽を文化として根付かせたい
岩垂氏は現在、逆転裁判のライブ活動や、オーケストラコンサートの指揮など、演奏活動にも積極的に取り組んでいる。
「僕ら作曲家の使命として、曲を作って録音して、それを演奏するってことをしないと音楽が回っていかないと思うんです。演奏してもらうために譜面を作って出版し、その譜面でいろんな人が演奏することで、音楽は循環していきます」。
「海外のイベントでは、ゲーム音楽が自分たちの想像を遙かに超えて熱狂的に歓迎されました。パリに行っても、アメリカに行っても、普通のアーティストと同列にゲーム音楽が受入れてもらえていて、演奏活動をもっとやっていいんだ、むしろ積極的にやっていきたいと思うキッカケになりました」。
岩垂氏を突き動かすのは、「ゲーム音楽を文化として根付かせたい」という想いだ。
ゲーム音楽を演奏する楽団は、プロアマ問わず、いくつもあるが、それが一大ムーブメントとして世間に認知されるまでには至っていない。演奏会を開いても、収益を伴なわせる事は難しい。
岩垂氏が関わっているArc-hive Philharmonic Windも、アマチュアの吹奏楽団だ。楽団員一人一人がお金を出し合って、観客には無料あるいは格安で観賞してもらういわゆるアマオケのスタイルである。設立にあたり募集人数をどうするかという協議が行なわれ、通常吹奏楽では50人で「大編成」と呼ばれるのだが、もっと大人数で演奏したい、という岩垂氏の希望が叶ったのか、当初予定してた60人を大幅に超え、第2回では合唱を含む110人の奏者が応募してくれ、ゲーム音楽を愛する奏者、演奏したいと思う人たちがとても多いということを実感したという。
「こういう世界が広がっていくと、ゲーム音楽を愛してくれる人がもっともっと増えていくだろうと思うんです。“何でも100年以上の歴史があれば、それは文化になる”と言われますが、映画がそうですよね。ゲームと違って今では何の偏見もなく、映画は教養・文化として受入れられています。その点、まだゲームは誕生してから100年経っていません。『ゲームなんて……』というネガティブな見方も未だに残っています。でも、ゲームだってこのまま続いていけば、いずれは映画のような文化になるはずなんです。だからこそ、ゲーム音楽も演奏活動を続けていることが、重要だと思っています」。
そして、制約が多かったゲームミュージック黎明期から活躍してきた岩垂氏の歩みは、それを打破する挑戦の繰り返しでもある。その姿勢は今も変わっていない。
「来年くらいには、ゲームでもオブジェクトベースのサラウンドが標準になってくると思います(編注:PS5では2023年9月の本体アップデートによって、ゲームにおけるDolby Atmos出力が可能になった)。音楽も、広がる音場だけでなく、オブジェクトベースのサラウンドに合ったミックスもしてみたいですね」。
「将来的には、現実世界のように“状況に応じて聞こえてくる音や音楽が方向も含めて変わる”というのをやってみたいですね。現実では、路地を曲がると新しい曲が聞こえてきたりするじゃないですか。あれをゲームでやりたいんです。実際やるのはとても大変だけど、リアリティは上がりますよ」。
感情を表現し、臨場感を高めるゲームミュージック。そして、演奏され、文化として愛されるゲームミュージックへ。岩垂氏の活躍から、今後も目が離せない。
岩垂氏のサイン入り「SUPERIOR」を1名様にプレゼント!
本記事の公開を記念して、岩垂氏サイン入りの「SUPERIOR」を1名にプレゼントする。
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