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サウンドバーの限界を超えた! JBL最上位モデル「BAR 1300MK2」の実力を徹底チェック
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- ハーマンインターナショナル
2025年12月19日 08:00
サウンドバーは今や家庭向けのサラウンドシステムとして受け入れられている。価格帯も10万円以下から、本格的なサラウンド音声を楽しめる20万円クラス、それ以上の価格まで登場するなど、幅広くなった。
だが、20万円を超えるあたりから、「同じ予算でAVアンプと必要な数のスピーカーを揃えた方が良いのでは?」という考えが頭をよぎる。確かに、単品の機器を吟味して、理想的なセッティングを追い込める単品システムの方がポテンシャルは高いだろう。
しかし、部屋の四方に何本ものスピーカーを理想的な位置に配置できる、映画最優先のシアタールームを持てる人はほんの一握りだ。でも、音質面で妥協はしたくない。だからこそ、リビングに現実的に設置しやすく、それでいて、単品システムにも迫れるようなサウンドクオリティのサウンドバーが欲しい。
一方で、薄型テレビの大画面化は今や100インチを超えるサイズにまで拡大しており、サウンドバーもそういう大画面を想定した大型化、高性能化が著しい。サウンドバーに高額なモデルが増えているのもそれが大きな理由のひとつだ。
薄型テレビの大画面というのは、すなわちスケールの拡大であり、こぢんまりとしたお手頃のサウンドバーでは、大画面映像に釣り合うスケールの大きなサウンドを得るのは難しい。結果として、サウンドバーも大型化し、チャンネル数が増えていくわけだ。これは映画館の進化の歴史とよく似ている。
前置きが長くなったが、そんな現在において、大画面にふさわしいスケールの大きなサウンドを提供できるサウンドバーの中で、筆者が実際に「これならば単品システムと比べて後ろ髪を引かれる思いなどすることなく、大画面と組み合わせても満足できる、“サウンドバーを超えた製品だ”」と実感したモデルを紹介したい。それがJBL「BAR 1300MK2」だ。
JBLのサウンドバーラインナップ
年配の方々は、JBLと言えばブルーバッフルの43xx系のラージモニターとか、K2やエベレストといったイメージをお持ちだと思うが、若い人はコンパクトなBluetoothスピーカーやワイヤレスイヤフォンを思い浮かべるだろう。
伝統的なモニタースピーカーやHi-Fiスピーカーでの音作りのイメージはそのままに、ホームシアターやヘッドフォン/イヤフォン、ゲーミングスピーカーなどなど、オーディオの分野のほとんどをカバーしているのが今のJBLだ。
JBLのサウンドバーは、今や国内シェアのNo.1を競うレベルにあるが、近年の大ヒット作といえば「BAR 1000」がある。
サウンドバーの両端にワイヤレススピーカーを“合体”させ、一本バーとしても使えるし、ワイヤレススピーカーを分離して部屋の後ろに置いてサラウンドスピーカーとして使うこともできる。日本の男の子が大好きな”合体メカ”だ。現在はBAR 1000MK2となって、さらに音の実力を高めている。当然こちらも大ヒット中だ。
みんな大好き合体メカの弟モデル「BAR 800MK2」も加わった。BAR 1000MK2が7.1.4chであるのに対し、こちらは7.1ch。
ちなみに今回紹介するBAR 1300MK2は、11.1.4ch。このように合体メカシリーズの大きな違いはサイズとチャンネル数となっている。部屋が大きくなるほどサイズやチャンネル数が有利となるので、より広い部屋、より大きなテレビ画面に合わせて選ぶといいだろう。
さらに、コンパクトなサウンドバーとサブウーファーがセットになった「BAR 500MK2」(5.1ch)、サウンドバーのみの「BAR 300MK2」(5ch)のような、使いやすさと省スペース性に優れたモデルもある。最新モデルには、サウンドバーのみで最小サイズの「CINEMA SB580 ALL-IN-ONE」(3.1ch)もある。
書斎などで使うコンパクトなモデルから、広いリビングで本格的な映画サウンドを楽しめる高級機まで、幅広いラインアップを揃えている。付け加えれば、映画館のドルビーシネマではJBLのプロ用スピーカーを採用する例が多いなど、JBLはプロからコンシューマーまでカバーしているブランドだ。
サイズやチャンネル数は変わっても、JBLならではと言っていい音作りは共通。
音をビーム状にして壁に放射して、豊かなサラウンド感を再現する独自の「MulitiBeam 3.0」があり、人の声の明瞭度を高める「PureVoice 2.0」、その技術を応用して細かなディテールや微妙なニュアンスまで再現する「SmartDetails」といった新技術が現行モデルで採用されている。もちろんすべてのモデルがHDMI eARCで薄型テレビとケーブル1本で接続でき、Dolby Atmosに対応する。
さらに、Bluetoothで手軽にスマホの音楽も再生できるほか、ネットワーク接続で多彩な音楽配信サービスに対応。QobuzやSoptify Losslessにも対応し、なんと最新のファームウェアアップデートでAirPlay経由でのDolby Atmos Musicのマルチチャンネル再生までできるようになった。部屋の音響特性に合わせた最適化を行なうキャリブレーション機能、スマホ用調整・設定アプリ「JBL ONE」も使用できる(以上BAR 300MK以降で対応)。
合体サウンドバーとなるBAR 800MK2以降では、分離したワイヤレススピーカーはサラウンドスピーカーとして機能するほか、隣室などの離れた場所にいても同じサウンドを楽しめるブロードキャスト機能を備える。このように使い勝手の点でもかなり多機能になっている。
全世界でビジネス展開する強みを活かし、高性能でありながら比較的安価でもあることも大きな魅力。こういった細かな機能性や使い勝手の充実では国内メーカーと同等かそれ以上と言えるし、価格まで含めると国内メーカーでは太刀打ちできないのではないかと思ってしまう。その頂点に立つ最上位モデルがBAR 1300MK2なのである。
専用開発のコンパクトサブウーファー、ワイヤレススピーカーとしても使える究極の合体メカ
BAR 1300MK2のチャンネル数は、11.1.4ch。一般的なAVアンプは9.1.4chが多いため、そのチャンネル数をも上回る。内蔵するスピーカー数はサブウーファーも含め合計29個。すべて独立したアンプで個別に駆動され、合計出力は2,470Wに及ぶ。こうした膨大なチャンネル数とスピーカーによって音場空間の緻密な再現を可能にしている。
なかでも特筆したいのは、フロントハイトチャンネルがデュアルウーファー(75mmフルレンジドライバー)になっていること。フロントハイト用スピーカーをサウンドバーに内蔵する場合、スペースに余裕がないので、フルレンジ1個とか、中高域用のツイーター1個という場合が多い。しかしBAR 1300MK2であれば、天井チャンネルもしっかりとパワフルな音で再現できるようになっている。
前述したMultiBeam 3.0やPureVoice 2.0、SmartDetailsといった技術を採用しているのはもちろんとして、Spotify Lossless対応など充実したネットワーク機能も同様。ワイヤレスリアスピーカーはブロードキャスト機能に加えて、それぞれをBluetoothスピーカーとして使うこともできる。一台ずつ単独でワイヤレススピーカーとしても使えるし、2台でステレオ再生することも可能だ。
さらに、ワイヤレスリアスピーカーを“手元スピーカー”のように使う、ナイトリスニング機能もある。家族が寝ていても、近くに設置したワイヤレスリアスピーカーから音が聴ければ、ボリュームを上げなくても満足度が得られるわけだ。
そして、Dolby Atmos、DTS: X対応に加えて、JBLのサウンドバーとしては初めてIMAX Enhanced認証も取得している。
最上位モデルなので”全部入り”は当然だが、それだけでなく、ハイエンドとしのこだわりが感じられる部分もある。その代表例が別体のワイヤレスサブウーファーだ。
JBLのサウンドバーは、BAR 500MK2以降は外観上の変化はほとんどない25cmウーファー内蔵のものを採用している(モデルによりパワーアンプ出力などに違いがある)。
しかし、BAR 1300MK2のサブウーファーだけは別物。
最上位モデルなのにサイズはコンパクト。その理由は20cmウーファー×2の水平対向配置となっているため。一方で、アンプ出力は1,200Wもある。
ウーファーの水平対向配置はHi-Fi用サブウーファーでも採用されることが増えている方式で、対向配置で互いの振動をキャンセルでき、小型なのにパワフル、しかも振動も少ないというもの。
音質については後で詳しく触れるが、これが非常に良く出来ている。BAR 1300MK2用オプションとして、ワイヤレスサブウーファーを追加できるようにしてもらって、11.2.4chで使いたいと思ったほどだ。
このように、男心をくすぐる合体メカ(しかも合体時は充電もされる)というギミックを満載、チャンネル構成や内蔵パワーアンプの出力、最新設計のコンパクトサブウーファーなど、マニア的視点から見ても納得の作りだ。
これにより、もはやサウンドバーとは呼べないような規模の製品として完成。AVアンプを使った単品システムに対して、後ろ髪を引かれるような思いをする必要がなくなっている。
これで音も単品並みなら間違いないオススメだ。そこで、実機をお借りして自室で試聴してみた。
自宅の試聴室にBAR 1300MK2を設置
BAR 1300MK2の取材機が自宅に届いたのでさっそく設置した。50型前後のテレビが乗るサイズのテレビ用ラックは持っているのだが、BAR 1300MK2は横幅が1,404mmもあるため、ラックからはみ出す。ただ、サウンドバー底面の脚部が本体部の比較的内側にあり、設置そのものは可能だ。
薄型テレビの大画面化に合わせて、サウンドバーの横幅も長くなる傾向なので注意したい。BAR 1300MK2の場合、壁掛け用の金具も付属しているので、薄型テレビの壁掛けと合わせて検討してもいいだろう。
今回は、音質をよりシビアにチェックしたいので、ブックシェルフ用スピーカースタンド「TAOC HST-60HB」に設置した。鋳鉄スタンドで、高さは60cmあるので、常設しているパネル式スクリーンの直下に近い位置にサウンドバーを設置できる。サウンドバーとスクリーンの距離が近くなるのもポイントだ。
現代のサウンドバーはバーチャルサラウンド技術が進化し、センター定位が画面と一致するように、高い位置に持ち上げる機能を持つものも多い。得にBAR 1300MK2のような高級機ならば、リアル・トップスピーカーも内蔵するので、センター定位が低いと感じるようなことは少ない。
だが、厳密に言えば音が出る位置は画面の下になるため、画面とサウンドバーは近づけたい。テレビラックなどの手前のスペースに置くことが、画面との距離も最短となり効率が良い。プロジェクターユーザーも、投写画面やスクリーンに合わせてなるべく近い位置にすることがポイントだ。
鋳鉄スタンドをBAR 1300MK2の設置位置に合わせ、間隔を調整。BAR 1300MK2はボディの強度も十分にあるので問題はなかったが、強度不足による変形や不要な共振の増加などが気になる場合は、厚めの木板(反りや変形の少ないMDF材がおすすめ)を希望の寸法通りに切ってもらい、スタンドとサウンドバーの間に設置するといいだろう。
サブウーファーの置き場所は自分の好みでスタンドの間にした。まさに部屋の左右の中心あたりにベースとしてオーディオボードを敷いている。
サブウーファーは低音主体のスピーカーなので、部屋の真ん中付近は定在波の影響が出やすいというのはよく聞く話。薄型テレビの横など、左右を少しずらして置くのがセオリーだ。そのように設置し、目を閉じてサブウーファーの位置がわかるようならば、なるべく部屋の中心に寄せていき、定在波の影響とサブウーファーの位置の偏りが少ない場所を探すといいだろう。
接続は、HDMI eARCは利用せず、パナソニックのDP-UB9000のふたつあるHDMI出力を使い、映像・音声出力はプロジェクターへ、音声出力はサウンドバーへ接続した。AVアンプなどと同じ接続だ。ビクターのプロジェクター「DLA-V90R」はチューナーやネットワーク機能を持たないので、そもそもHDMI eARC機能は必要がない。
この場合、サウンドバーからの画面表示が確認できないが、幸いBAR 1300MK2は画面に情報などを表示する機能は持たないので、まったく問題ない。なお、サウンドバーへ入力された信号の確認などは、前面にあるディスプレイで確認するか、スマホアプリ「JBL ONE」で確認する仕組みだ。
サラウンドスピーカーは分離して、部屋の左右に置く。もともと専用スピーカーなのでペアリングなどの設定は不要。自動でワイヤレス接続される。背面のペアリングボタンを操作すればスマホなどのBluetooth機器と手動で接続することも可能だ。
このサラウンドスピーカーが優れもので、50×900mmレーストラックドライバー×2、50mmフルレンジドライバーという構成。これに加えて75mm天井反射用フルレンジドライバーも搭載している。サイズとしては片手で持てるほどの小型軽量だが、帯域も立派なスピーカーを内蔵しているわけだ。
天井反射用フルレンジドライバーは本体のサウンドバーにも内蔵されているので、これでトップフロントとトップリアの4chを実現している。経験的にもトップチャンネルは2chよりも4chが良いと考えるが、これは実際に聴いてみるとわかる。フロント側だけの高さ感が頭上にまで展開する立体的な高さを備えた空間になる。
分離型サブウーファーがセットのモデルで、トップチャンネルを備えているのが、BAR 1000MK2とBAR 1300MK2だけ。どちらもトップが4chだ。BAR 800MK2はトップチャンネルを持たない7.1chで高さ方向の再現はバーチャル再生となるので、機種選びの参考にしてほしい。
これらを部屋の後ろやサイドの適当な場所(本棚など)に置けばいい。取材では、もともとあるサラウンド用スピーカーのスタンド(高さ1mのやや高めのもの)に置いている。位置としては視聴位置の真横よりやや後ろあたりだ。
設置が完了したら部屋の音響を測定してサウンドを最適化する。操作は本体の前面ディスプレイやリモコン、JBL ONEアプリから行なえる。測定用マイクは内蔵しているので接続などは不要。ボタン操作だけで測定できる。測定自体も体感で1分程度の短時間で簡単に済むので、ユーザーはきちんとやっておこう。取材時も最終的にセッティングが決まった状態で測定を済ませている。
サウンドバーを超えたサウンドバー。その実力を「SUPERMAN」で確かめる
さていよいよ視聴だ。今回はジェームズ・ガン監督が手掛けた2025年公開映画「スーパーマン」(UHD BD版)を選んだ。音声はもちろんDolby Atmos。世界でもっとも有名なスーパーヒーローの物語をリブートした作品で、DCユニバースの第1作目でもある。
この作品が最高にイカしているのは、スーパーマンのサイドキックとして活躍する「クリプト」がいること。事実上世界最強のヒーローにサイドキックが必要なのかと誰もが思うところだが、アメコミのヒーローはサイドキックがいてナンボの世界。それでは手の付けられない強さになってしまうところを、躾の半端な犬を相棒にしているのが最高にクールだ。
出自は不明だがどうやらクリプトン星出身のスーパードッグらしく飼い主の言うことをあまりきかず、主人(預かっているだけのようだが)の留守中に暴れ出したら止められる者は誰もいないという猛犬。キュートな「S」マークをつけた首輪に赤いケープも着用しているのが可愛らしい。
冒頭ではスーパーマンの誕生から地球にやってきてヒーローとして活躍するようになるまでが簡潔に語られる。ピンチのスーパーマンが口笛を吹く。どこからが大きな地しぶきが鳴り、まるで嵐が近づいてくるような轟音と雪煙とともに、我らが愛犬「クリプト」がやってくる。
そのやんちゃぶりも楽しいのだが、BAR 1300MK2で聴くと、スーパーマンの元に駆けつけるときの轟音とその移動感、これが見事だ。ピューと吹く口笛やその前の荒い息づかいも生々しいし、轟音とともに現れるその足音も迫力たっぷりだ。その音を聴いただけで、これはまさしく映画館の音だと感じる。
内蔵するスピーカーはなにしろ29個もあるのですべてを詳しくは紹介しないが、フロントやセンターは50×75mmレーストラックドライバー(センターは2発)と25mmツイーターの2ウェイ構成となっている。こちらも十分にパワフルなサウンドだし、アンプもかなりパワフルなのでサウンドバーだけで十分な帯域をカバーしていると思われる。
ここに20cm×2基の水平対向配置のサブウーファーが加わる。横幅こそ広いものの薄型でそれほど大きいとは感じないサウンドバーだが、かなり迫力のある音が出る。
驚くのは、ボリュームは最大値の1/3程度でいつも試聴室で聴いているのとほぼ同じ音量(常時ではなくピークで100dBほど)だったこと。つまりまだまだ音量が出せるわけで、自宅の15畳強どころか、20畳や30畳以上の広いスペースで使うことを想定しているのがわかる。世界規模で発売されているモデルならではの日本の家庭事情を超えたスケール感だ。
Dolby Atmos音声のため、サウンドモードは映画モードに切り替わるが、聴いた印象としては迫力たっぷり。ただ大音量というわけではなく、セリフは埋もれることなくよく聴こえるし、BGMの音楽の広がり感も広大で、ダイアローグやSEときれいに分離して、迫力重視のサウンドどころか、むしろよく調整されたモニタールームのような音響に近いとわかる。
このあたりの感じで言うと、やはりドルビーシネマの映画館で感じるどこかモニターライク、あるいはHi-Fi調の整った音だと言えば感じがわかるだろう。迫力だけでガンガン鳴るやかましい音とは格が違う。
本作、スーパーマンは最後の最後までずっとピンチの連続だ。もちろん彼が強いことは描写でわかるのだが、敵がそれ以上に強く、また狡知によって完全にスーパーマンを攻略しているためだ。それでも人々を守るためにケガを直すとすぐに再出撃するのがスーパーマンなのだ。
超人専用の監獄であるポケット・ユニバースに幽閉されたスーパーマンは、辛くも脱出し、元の地球へ戻ろうとするのだが、ブラックホールに飲み込まれそうになる。
こんな場面なので、濁流に落とされてもみくちゃになるし、濁流から抜け出しても牢獄を守る多数のルーサー側の戦士から攻め立てられ、それでも仲間を守りつつ戦うシーンは大きな見どころ。濁流の押し流されるときも洗濯機の中でぐるぐる回るぬいぐるみのようだし、空を飛べば四方八方から敵に攻撃される。映像的にも音響的にも360度ぐるぐる回るジェットコースター的なシーンだ。
そのぐるぐる回る感覚を、BAR 1300MK2は見事に再現した。後ろにリアルなスピーカーがあるシステムならではの、ドーム状の立体的な音場空間が体感できる。ワイヤレスリアスピーカーはコンパクトながら、バッテリー容量も大きく約10時間使用可能。このあたりは、ワイヤレススピーカーのノウハウが生かされているだろう。小型でも音の迫力は満点と言っていい。
空中に浮かび上がったスーパーマンを前後から敵が攻撃する。目から出る赤い光線が円を描くようにぐるりと回って前後の敵を撃墜する。このときの臨場感たっぷりの音の再現が不満なく楽しめた。やはり、リアルなサラウンドスピーカーを背後に設置できると、音場感はガラリと変わる。
サウンドバーの音も進化していて、前方方向はかなり立体感があるのだが、後ろはせいぜい雰囲気だけで、厳しく言えば後ろから聞こえるはずの音が前から出ているのがわかってしまう。だから包囲感や臨場感に欠け、特に後ろの空間の不足が気になる。これが一般的なサウンドバーの音場の印象だと思うが、ワイヤレスリアスピーカーでそれらのほとんどが解決された。
新機能のPureVoice 2.0とSmartDetailsにも感心した。基本的な音の傾向としては、出音の勢いというか瞬発力のあるパワーとスピードで聴かせるエンタメ性の強いサウンドなのだが、声が埋もれずに力強く鳴り、細かな音や質感も出るので、けっして大味な音にはならない。基本的な音質の出来の良さも含めて見事な出来映えだ。「スーパーマン」のようなアクション映画を存分に楽しめるだけでなく、最新の映画作品をしっかり楽しめる魅力がある。
そして、声を大にして言いたいのがサブウーファーの優秀さだ。
単品で製品化してほしいくらいの出来だし、これまでのサウンドバーとセットになったサブウーファーは案外かなり中音域まで出ているのが多いのだが(だから余計にサブウーファーの位置が気になる)、おそらくはサウンドバー自体でしっかりと中低音まで出せる実力があるため、サブウーファーは本来の役割である低音域だけに集中でき、結果としてかなり質の高い低音再現ができている。
このあたりのスピードのある低音はまさしくJBL伝統の音で、単に低音がたっぷりというのではなく、重量感があってしかも軽快な反応の良さがある。サウンドバーというHi-Fiとは方向性の違う製品でも、キチンと自分たちの目指す音に仕立てることが、JBLへの信頼性であり人気の理由なのだと思う。
BARシリーズはほとんど聴かせてもらっており、BAR 1000MK2まではサブウーファーの設置位置がわかるのだが、BAR 1300MK2になるとあまりサブウーファーの位置が気にならず、低音の質の違いで映画としての迫力や臨場感が格段にアップすると感じていた。
今回、我が家で試しても、低音がブーミーになるとか、逆にある帯域が消えてしまうようなこともなく、迫力があって生き生きと躍動し、映画の音を支えてくれる低音が楽しめた。こんなに小さいのに!! これが単品で製品化されればサブウーファーの複数遣いを実践する人がもっと増えるに違いない。
BAR 1300MK2は音量的な能力は、日本家屋の過剰とも言えるほどのポテンシャルだ。そういう意味では、一般的な家屋ならばBAR 1000MK2でも十分だとは思うが、しかしサブウーファーが違う。サブウーファーが理由で筆者はBAR 1300MK2を推す。
サウンドバーの使いやすさ、高機能を備えつつ、サウンドバーの枠を超える音
QobuzやSpotifyに対応し、前述の通りSpotify Losslessもサポートしているので、ストリーミング音楽を楽しむスピーカーとしても使ってみよう。
家庭内LANのサーバーの曲と配信サービスを聴いてみたが、まずは音の力感と実体感に感心した。音楽モードを選ぶと映画モードに比べてややメリハリを抑えた自然な音調になる。帯域バランス的にもよりフラットな感触のHi-Fi調の音だ。
だから、リアルな感触のボーカル曲が生々しいし、クラシック曲を聴いても、楽器の質感もしっかりと感じられる。映画でも恋愛モノなどあまり迫力過多にならずに聴きたいならば、手動でサウンドモードを音楽モードにするのもいいと思う。あるいはイコライザーで自分好みに調整するのもいいだろう。基本的な素性はしっかりとしているので、好みに合わせて微調整すれば多くの作品やコンテンツを幅広く楽しめるだろう。
音場は十分に広いが、普通のスピーカーによるステレオ再生に比べると、音場が低めに広がる。そうした細かな部分を見れば「BAR 1300MK2があれば音楽用のHi-Fiシステムは不要」とまでは言い切れないが、テレビも映画も音楽も気楽に楽しめるリビング用のシステムとしては上等だと思う。
BAR 1300MK2で不満を感じるのなら、もう覚悟を決めて、専用の部屋(できれば防音室)を用意して単品のシステムを並べる道に行くしかない。どちらを選ぶのもその人の人生だが、BAR 1300MK2はそのくらい、サウンドバーとして1つの到達点にあると思う。
サウンドバーはもともと薄型テレビの音が貧弱だったためにそれを補助してテレビの音をきちんと楽しめることが目的の商品だった。だれも本格的なサラウンド再生のためのシステムとは思っていなかった。
だが、もはやここまで進化すると、立派なサラウンド再生を楽しむためのシステムと断言できる。実際の単品システムでサラウンドシステムを構築している筆者にしてみると、少々複雑な思いもあるが、ここは素直に驚くべき進化とパフォーマンスを賞賛したい。サウンドバーなんかダメだよと、したり顔で言っている人はもう感覚が時代遅れだ。そんな人にこそBAR 1300MK2を聴いて腰を抜かしてほしい。
ちょうど、ヨドバシAkibaに、JBL BARシリーズの体験コーナーも12月19日にオープンしたそうなので、気軽に体験して欲しい。































