小寺信良の週刊 Electric Zooma!

Zooma!:ズームレンズ、ズームすること、ズームする人、ズズーンの造語

Electric Zooma! 2016年総集編、アクションカムにジンバル、映像制作機器が躍進した1年

毎年恒例振り返り

 さて今年もまたこの原稿を書く時期がやってきた。1年間の締めくくり、2016年総集編をお送りする。

 昨今のAV機器業界は、4Kの立ち上がりを受けてテレビ、カメラが牽引してきた。今年も基本的にはその傾向は変わらないように見えるが、各メーカーともに台所事情はかなり異なる。事業の構造改革を迫られるメーカーも多い。

 ソニーは2017年4月を目処にカメラ事業を分社化、2014年のテレビ事業分社化に続いて、大物ジャンルを本社から切り離す。子会社化したテレビ事業は好調なので、カメラ事業もそれに倣ってスピード感がなければ生き残れないとの判断だろう。

 東芝は粉飾決算による余波が続く。テレビ、レコーダといった映像事業は、通期見通しで大幅な下方修正を迫られる結果となった。昨年は数多くの映像系SVOD(定額制配信)事業者が事業を開始し、テレビ局自身もネット配信に踏み切っていく中、レコーダというものがいつまで製品として成立できるのか、その判断が問われる。

 カメラでは、ニコンがカメラ事業も含めて大幅なリストラに踏み切ったのも記憶に新しいところだ。カメラ、レンズ共に評価は高いものの、4K動画機能で他社と同じ土俵に乗れないままとなっている。AV機器業界もメーカーの浮沈が明確になった1年だと言えるだろう。

 さて今年取り上げた製品をジャンル別に分類すると、デジタルカメラ×11、アクションカメラ×11、360度カメラ×3、AV周辺機器×8、映像制作機器×7、レコーダ×4となった。オーディオ機器もAV周辺機器にカウントしている。特集やショーレポートは除いている。

 カメラものはデジカメ、アクションカメラ、360度カメラを合計すると25製品となり、記事全体のおよそ6割を占める。そのうちデジカメWatchにスカウトされそうな勢いだ。

 一方でこれまであまり取り上げてこなかった映像制作機器も、普通にAV機器として認識されるようになってきた。ネット配信が定着し、だれもが関係する機器になってきたわけだ。そんな今年、ジャンル別にトレンドを振り返ってみよう。

デジタルカメラ篇

 動画撮影のニーズはもはやすっかりデジタルカメラに吸収されてしまい、わざわざビデオカメラを買うという流れは、コンシューマではもはや一部のマニアにしか残ってないのかなと言う気がする。

ソニーの「FDR-AX55」

 今年コンシューマ向けのビデオカメラは、ソニーの「FDR-AX55」とパナソニック「HC-WXF990M」の2つを紹介したのみに留まった。AX55は空間光学手ぶれ補正を強化し、もはや異次元とも言える安定した映像が撮れる。「WXF990M」は、同社得意の4K動画を切り出してHD化する際にスタビライズを図るという、4K活用に活路を見出した。

パナソニック「HC-WXF990M」

・走ってもブレない!? もはや完成の域。空間光学手ブレ補正強化のソニー「FDR-AX55」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/745085.html
・ドリーズームまで可能!? 4Kで撮って後から活用。パナソニック「HC-WXF990M」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/740846.html

 どちらも専用機だけあって、動画撮影に関しては安心して投入できる。価格的にも13~14万円と、ハイエンド機の割にはこなれている。昔ならこのクラスは30万円は下らない価格だったので、機能からすれば半分ぐらいの値頃感ではあるのだが、昔はビデオカメラが高かった時代を知らない方も多いだろう。

パナソニック「DMC-FZH1」

 デジタルカメラを動画撮影にググッと寄せたのが、パナソニック「DMC-FZH1」だ。2014年に投入された高倍率ズーム機「DMC-FZ1000」の後継機だが、ガルバノメーター絞り、3段階のNDフィルタを搭載し、内容的にはもうビデオカメラと呼んでもいいだろう。デジカメ世代のビデオカメラとはかくあるべき、という答えを出したのだと思う。

・これもうビデオカメラじゃん。光学20倍“究極のオールインワン”、パナソニック「DMC-FZH1」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/1026682.html

 コンシューマ機ではないが、このコンセプトはすでに2015年発売のキヤノン「XC10」で実現している。見た目はデジカメだが、内容的にはビデオカメラそのものだ。新しいビデオカメラのカタチを、各社とも模索している。

キヤノン「XC10」

・約20万円で買える“小さな業務用4Kカメラ”キヤノン「XC10」を試す
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/1006464.html

 デジタル一眼カメラという点では、今年はキヤノン「EOS 5D Mark IV」という大物が投入された。写真の世界でも大注目の1台だが、動画でも一眼動画というトレンドを作った5D Mark IIの後継機ということで注目が集まった。

キヤノン「EOS 5D Mark IV」

・遂に登場“4Kが撮れる5D”キヤノン「EOS 5D Mark IV」。AF性能大幅強化
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/1021050.html

 ただMark IIの時代とは違い、今は4Kの時代である。フルサイズのセンサー領域全部を使って4K撮影はできず切り出しとなる点では、他社のフルサイズカメラと変わらない。スチルカメラとしては一定の評価を得られるカメラではあるが、4Kが主流の動画カメラとしては、もう一声欲しかった。

 デジカメジャンルに入れるべきか迷うところだが、スマートフォンのカメラ性能はもはやきちんと検証すべきレベルに達している。これまであまりスマートフォンのレビューはしていないが、今年は特にHUAWEIのカメラ評価が高まった年だった。特にセルフィーでの写りに関して、女性からの注目度が高まっており、今後は新しい評価軸となりそうだ。

左からiPhone 7/7 Plus

 今年発売されたiPhone7 Plusのカメラ性能は、インカメラのセルフィーについてはあまり評価が芳しくないようだ。一方でアウトカメラのできばえは、もはや一種のカメラとして扱っても十分なレベルに達している。

・デュアルカメラに強力手ブレ補正、iPhone7/7 Plusの動画性能を試す
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/1022006.html

 特にiPhone7 Plusの場合、光学2倍のレンズとのデュアルカメラ使用になり、画角のバリエーションが増えた。後日アップデートされた被写界深度エフェクトも、デュアルカメラならではの機能だ。

 筆者も後日iPhone 7 Plusを購入したが、カメラは静止画も動画も取材でよく使っている。以前は取材のプロなのにiPhoneで写真撮るってどうなのと思っていたのだが、実際自分で使ってみたらAFの失敗もなく明るい写真が撮れるので、考えを改めたところだ。

 今後はカメラ性能が話題のスマホも、Zooma!的視点で検証していきたいと思っている。

アクションカメラ篇

 2015年はアクションカメラのレビューは4製品しか行なっていないが、今年は11と、デジタルカメラに匹敵する数のレビューを行なった。今年はそれだけ多くのメーカーが参入し、古参メーカーも新モデルが登場したという事である。米国では今年初頭にGoProの失速が伝えられてきたところではあるが、日本市場にはまだまだ普及の余地がある。

ソニーの「FDR-X3000」

 個人的に今年もっとも驚いた製品が、ソニーの「FDR-X3000」だ。4Kカメラは画素数の多さから、現時点でのプロセッサパワーでは電子手ぶれ補正が使えない。しかしアクションカメラで手ぶれ補正が効かないというのは致命的だ。この問題をソニーは、極小のメカトロニクスで解決してみせた。ハンディカム向けに開発した空間光学手ぶれ補正を、アクションカム向けに改良、超小型化して実装してきたのだ。

・ソニーにしかできない、空間光学ブレ補正アクションカムがすごい
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/1008762.html

 これには競合他社も驚いただろう。来年再来年あたりにはプロセッサパワーも上がって、4Kでも電子手ぶれ補正が使える時代が来るかもしれないが、そうなったとしてもこの機能の価値は揺るがない。

左から「HERO5 Black」、「HERO5 Session」

 一方でアクションカメラの元祖とも言われるGoProも、今年は2年ぶりの新モデルが出た。これまでのようなエディション違いを廃止し、フル機能モデル「GoPro HERO5」に集約され、小型ラインとして「HERO5 Session」と「HERO Session」が残るという形に整理された。

・元祖アクションカムの逆襲!? 「GoPro HERO5」は再び天下を取れるか
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/1025445.html

 本体防水、タッチ液晶、ボイスコマンド、リニアPCM音声収録機能を搭載するなど、前モデルとはかなり違う。これまでGoPro本体は、機能的には他社に劣るものの、ブランド力とプロモーション力で圧倒してきたところがある。しかしそのあたりの優位性が薄れ始め、いよいよカメラ本体での実力が問われる事となったわけだ。

DJI Osmo

 アクションカメラという文脈で語るべきなのか悩ましいところだが、安定した映像が撮影できるという意味では、ジンバル一体型カメラもこのカテゴリに入れている。発売は昨年だが、今年DJI Osmoと、DJI Osmo RAWを取り上げた。

・スタビライザー付きカメラで新しい動画表現!? DJI Osmoに見る可能性
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/739710.html
・マイクロフォーサーズ+4Kで揺れないRAW撮影! DJI Osmo RAW
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/1007573.html

 この2つの製品は、いわゆる「ゲームチェンジャー」だったと思う。これまで低価格のジンバルは、ほとんどがGoPro用に作られていた。サイズと重量が固定化されたカメラが大量に出回ったことで、バランス調整が不要なジンバルを製品化することができたわけだ。だがジンバルとカメラを同じメーカーが作る事で、調整不要ながらレベルの高い製品が出来上がった。その後、スマホを固定する「Osmo Mobile」も登場し、注目を集めている。

・スマホ動画撮影の必需品!? 手ブレ補正+アプリ連携のDJI「Osmo Mobile」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/1024087.html

GoProのドローン「Karma」。ジンバルを取り外してハンディスタビライザーとして使うこともできる

 逆にGoProは自社でドローン「Karma」を製品化し、DJIとは逆方向からのアプローチを見せたが、全数リコールという失態を演じた。ジンバルを取り外してハンディスタビライザーとして使うこともできるという製品だが、安全性へのハードルが高いドローンではなく、まずはジンバルのみで参入すべきだった。

オリンパスとしては初となるアクションカム、「TG-Tracker」

 意外に読者からの注目が高かったのが、オリンパスとしては初となるアクションカム、「TG-Tracker」だ。

・へ、変態だー! ログもとれるオリンパスの超個性派アクションカメラ「TG-Tracker」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/1003811.html

 単なるカメラに留まらず、ログ収集機としての側面を強化し、新規参入した。以前この手のトラッカーは、山登り系の人が好んで使ったが、最近はロードバイクに乗る人の間で人気が出ている。

 ただ、アクションカメラとしては動画の連続録画時間が29分というのが致命的だった。ログ記録は続けられるので、トラッカーにカメラが付いたという位置づけなのだろう。

360度カメラ

 周りの風景をぐるりと撮影し、スマートフォンを使ってVR的に鑑賞できるカメラは、以前からKodakのSP360やリコーTHETAはレビューしてきたが、今年は他社も参入し、賑やかになってきた。

 今年1月のCESで発表されたニコンの「Keymission 360」は、発表から製品化までおよそ11カ月かかった労作だ。

ニコンの「Keymission 360」

・ニコン初のアクションカム! ようやく登場「Keymission 360」。用途違いの170と80も
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/1030144.html

 今年は新シリーズとして同時に違うタイプのカメラが3つ登場し、市場を賑わせた。ただ、いっぺんに3モデルも出ると、どうしても1つ1つの注目度がにじんでしまう。ニコンは今後のカメラ事業の行く末も心配される中、シリーズの継続性も気になるところだ。

カシオの「EX-FR200」

 カシオのEX-FRシリーズは、アクションカメラというよりはウェアラブルカメラという位置づけだったが、最新モデルEX-FR200」は大きく360度カメラに舵を切った。元々アクセサリ類も充実しており、液晶モニターを取り外せるというコンセプトは、360度カメラの用途にうまくフィットした。

・なるほどそう来たか! 分離型カメラが全天周対応、カシオ「EX-FR200」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/1019944.html

 さらにカメラを2つ用意すれば、背中合わせに配置して全周が撮れるという発想も面白い。独立したカメラなので、色味などがズレる可能性もあるが、それを補正するソフトまできちんと開発するなど、カシオの開発力の高さに舌を巻いた。

Insta360 Nano

 国産品ではないが、「Insta360 Nano」も面白い製品だ。iPhoneにアドオンするタイプの360度カメラだ。細かいところでは詰めの甘さを感じるが、低価格でそこそこの成果を出せてしまうのがスゴい。

・iPhone直結! お手軽360度撮影ができる「Insta360 Nano」。箱がVRビューワーに!?
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/1016265.html

 ただ、この手の360度カメラをVRと言ってしまうのも抵抗がある。PlayStation VRのような専用機と作り込まれたソフトウェアが実現するVRと、カメラで実風景を撮ってスマホで見るだけのものを、同列に語るのはマズいだろう。

 今年はかなり360度撮影をしてみたほうだが、実写を撮影して面白いコンテンツを作るのは大変だ。必ず撮影者が写り込むことになるので、撮影者のキャラクターが立っていないと面白くない。もしくは自走ロボットのようなもので移動ショットを撮るか、という事になる。

 まだ360度カメラは本格的に普及が始まったわけではなく、まだまだ好事家のものではあるが、すでにコンテンツとしては限界が見えてしまった感がある。

映像制作篇

 今年は映像制作用の製品も数多く取り上げた。ニコ生やゲーム実況などが一般人のホビーとして定着していく過程を垣間見たように思う。

TASCAM「MiNiSTUDIO」

・ニコ生などのユーザー放送をもっと面白く! 拍手もボタン1つ。TASCAM「MiNiSTUDIO」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/1014550.html
・プロも納得?! SDI対応でネット配信にも便利な小型スイッチャー、ローランド「V-1SDI」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/1023286.html

 ビデオ編集用のツールや環境も、バリエーションが拡がった。iPadで4K編集ができるというのは画期的ではあるが、Appleが提唱するワークフローから一歩でも外に出るととたんに破綻するのは、プロユーザーには使いづらい。

iPad Pro

・iPad Proは本当に4Kビデオ編集に使えるのか!? ガチ検証
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/741889.html

 iPad Proは高パフォーマンスなマシンなだけに、もっと高機能なビデオ編集アプリの登場が待たれる。ただ、以前ほどiPadに対する期待度が下がってきているため、なかなかツールの参入も進まないのではないかという懸念もある。

 同じくApple製品としては、今年11月に待望のMacBook Proが投入され、新しいTouch Barの使い勝手に注目が集まった。まだ対応アプリは少ないが、対応したアプリはそれなりに便利である。ただ、どの機能をTouch Barに落とし込むかは、ユーザーがどういう作業を中心とするかによって決まる。ユーザーにもカスタマイズの余地を与えることが必要だろう。

新MacBook ProとFinal Cut Pro X

・なにこれチョー捗る! 新MacBookProのTouch Barで生まれ変わったFinal Cut Pro X
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/1032324.html

 まだ製品化されたわけではないが、クラウド上で動くEDIUSは、色々な夢を見させてくれる技術だ。

クラウド上のバーチャルマシンで動作しているEDIUS

・映像編集の未来がここに!? ハイスペックPCいらず! Amazonのクラウド上で動くEDIUSが凄い
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/1034919.html

 技術的にはかなり難しいことをやっており、記事もちょっと一般の方にはわかりにくいかなと思ったのだが、多くの人がこのメリットに気づき、Twitterでもかなり多く拡散された。技術的にも販売戦略的にも、PC向けハイエンドソフトの一つの可能性を示していると思う。

レコーダ篇

 今年レコーダは4モデルしか取り上げなかった。一応目玉商品は漏らさずおさえたつもりなのだが、やはり玉数としては少なくなってきている。

 個人的には、UHD BDの再生機能まで搭載したパナソニック「DMR-UBZ2020」の登場が、今年のハイライトだったのかなと思う。

パナソニック「DMR-UBZ2020」

・UHD BD入門に最適、CDリッピングもできるパナソニックDIGA「DMR-UBZ2020」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/1027890.html

 ここまでの機能は未だ他社は追従できておらず、UHD BDにかける同社の意気込みを感じさせる。

 一方で印象深かったのは、東芝の「DBR-T2007」だ。時短再生がウリなのだが、実質的なCMスキップ機能まで盛り込んで来たのには少なからず驚いた。

東芝の「DBR-T2007」

・素早く録画を消化、“時短”で攻める東芝新レコーダ「DBR-T2007」。SeeQVault SDも
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/1028756.html

 ただ最近の視聴率調査では、レコーダでの視聴もカウントし始めている。生視聴だけで視聴率を割り出す矛楯にメスが入る格好だ。これまでテレビ局はレコーダを敵視してきたが、録画視聴をカウントすれば確実に視聴率アップに繋がる。お互い歩み寄るチャンスが到来したとも言える。

AV周辺機器篇

 なんともざっくしたくくりだが、要するにここまでのカテゴライズに入らなかったもの全部である。

 今年面白かったのは、今さらながらレコードプレーヤーが“ハイレゾ商品”として登場したり、8mmフィルムのテレシネ機が登場したりと、旧メディアを扱う製品が出てきたことだ。メディアチェンジのためのツールという意味ではなく、昔のコンテンツ資産を楽しもうというムーブメントだ。ある意味コンテンツ社会の成熟を感じさせる流れである。

ソニー「PS-HX500」

・ハイレゾマーク付きレコードプレーヤー? DSD録音できるソニー「PS-HX500」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/750637.html

・父が撮影した8mmフィルムを自分でデジタル化! サンコー「スーパーダビング8」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/zooma/751780.html

サンコー「スーパーダビング8」

 世界でも類を見ない高齢化社会に突入する日本にとって、昔ながらの不便を楽しむ文化というものが、成長領域として見込めると言うことなのかもしれない。この流れで、フィルム時代のカメラを使ってデジタル的に撮影するデバイスが出てこないかなと期待しているのだが、さてどうなることか。

総論

 さて本来ならば今年のトレンドを総括したいところなのだが、今年は4Kがブームから定着期に移った事もあり、市場を牽引する目立ったムーブメントがない年だったのではないかという気がする。昨年ドトウのように押し寄せた音楽・映像配信サービスも定着しはじめ、ゆっくりとではあるが世の中が変わり始めた手応えを感じさせる1年ではなかっただろうか。

 国内メーカーとしても、AV機器事業に関しては明暗がはっきり分かれてしまう結果となった。その一方で、DJIやHUAWEIといった中国企業が一定の評価を得て、足場を固めたのも時代の趨勢というものであろう。これ以上、コンシューマ市場という表舞台から去る日本企業が増えると、我々としても寂しくなる。シャープ、東芝、ニコンにはこれからも頑張っていただきたいものだ。

 というわけで今年のElectric Zooma!もこの辺でお開きである。年明けは例年同様、CESのレポートでお目にかかる。それではよいお年を。

小寺 信良

テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「難しい話を簡単に、簡単な話を難しく」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンテンツのフィールドで幅広く執筆を行なう。メールマガジン「金曜ランチビュッフェ」(http://yakan-hiko.com/kodera.html)も好評配信中。