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シン・ゴジラも発売! 盛り上がり始めたUltra HD Blu-rayでHDR/4K体験
2017年3月21日 00:00
現在、家庭で体験できる最高画質の映像メディアといえる「Ultra HD Blu-ray」(UHD BD)。4Kブルーレイとして、解像度が上がったことが注目されるが、それだけでなく、HDRによるダイナミックレンジの拡大、色域の拡大などにより、映像品質の向上が図られている。
4Kテレビの普及が進む中、コンテンツが少ないなどとも言われてきたが、UHD BDの登場により、家庭でも映画館に迫るような4K映像体験が可能になりつつある。昨年から徐々にプレーヤーもコンテンツも増えては来ていたが、'17年に入り、プレーヤーもパナソニックだけでなく、OPPO Digitalやシャープの製品が発売開始され、さらにPC用のUHD BDドライブも登場した。
コンテンツにおいてもハリウッド大作だけでなく、「機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY」のようなアニメ作品も登場。邦画においても、昨年大ヒットした「シン・ゴジラ」が3月22日にUHD BD/BDが発売されるなど、コンテンツ側もプレーヤー側も状況が整ってきた。'17年3月時点のUltra HD Blu-ray関連トピックをまとめた。
テレビとプレーヤーのUHD BD対応が必要。HDMIに注意
まずはUltra HD Blu-rayの概要と、必要なものをまとめておこう。
Ultra HD Blu-ray(UHD BD)は、解像度が従来のフルHD(1,920×1,080)の4倍の4K/3,840×2,160ドットとなるほか、ハイダイナミックレンジ(HDR:High Dynamic Range)に対応。HDR対応のコンテンツやテレビ、プレーヤーと組み合わせることで、従来の映像(SDR:Standard Dynamic Range)よりもダイナミックレンジ豊かな映像を楽しめる。広色域のBT.2020をサポートするため、2K BDから大幅に広色域化される。
解像度が2Kから4Kになるだけでなく、HDR対応により、明るさや暗さのダイナミックレンジ(コントラスト)、色表現など、総合的な画質向上が図られている。
映像コーデックはHEVC。大容量を活かして、ピーク時100Mbpsを超えるビットレートで収録できることも、20Mbps程度の4K映像配信サービスとの大きな違い。現在の民生向け映像コンテンツフォーマットとしては、UHD BDが最高画質といえる。
Ultra HD Blu-rayの記録容量は、片面2層ディスクで最大66GB、片面3層で最大100GB。2K BDの最大50GBと比べると2倍だが、映像コーデックに高圧縮/高効率のHEVCを採用するため、4Kの高画質映像を長時間収録できる。なお、現在は、記録型メディアは用意されておらず、パッケージメディア向けのフォーマットとなっている。
UHD BDの再生に必要なものは、著作権保護技術のHDCP 2.2に対応した4Kテレビ・4Kプロジェクタと、UHD BDプレーヤー、HDMIケーブル。そして、UHD BDのディスクだ。なお、UHD BDは4K/HDRだけでなく2K/HDRの規定もあるが、現時点で2KのUHD BDコンテンツは発売されていない。
Ultra HD Blu-ray再生に必要なものは以下の通り。
・4K対応テレビ(HDCP 2.2対応HDMI装備)
・Ultra HD Blu-rayプレーヤー
・HDMIケーブル(18Gbps対応を推奨)
・UHD BDタイトル
テレビのHDR対応は必須ではない(SDRでも4K解像度で視聴できる)が、UHD BDの画質ポテンシャルを発揮する環境はやはりHDR。テレビも4K/HDRがオススメだ。ただ、パナソニックやOPPOのプレーヤーは、HDRからSDRへの変換品質にもかなりこだわっているので、見られる環境があるのであれば、BDではなく、UHD BDを選びたいところだ。
細かなことだが、テレビでチェックしておきたいポイントは、HDMI入力端子の18Gbps対応。UHD BDの4K/60p収録タイトルの場合、HDR信号を伝送するために従来の10.2Gbpsでは足りないのだ。ほとんどのUHD BDは24p/30p収録で、4K/60p収録は「宮古島 癒しのビーチ」など一部タイトルのみだが、18Gbps対応であれば、どんな信号も受けられる安心感がある。また、後述のXbox One SのようにRGB信号出力しかないプレーヤーの場合は、24pタイトルもHDRでの出力には18Gbpsが必要となる。
2016年後半発売の4K/HDR対応テレビであれば、ほとんどの製品が18Gbps対応のHDMIを備えているはず。それ以前のテレビの場合は、プレーヤー選びの際に注意してほしい。具体的に言えば、Xbox One Sを使う場合は、18Gbps対応のテレビでないと、HDRでのUHD BD再生ができないのだ。また、ケーブルも18Gbps伝送のものを用意しておきたい。
各社のUltra HD Blu-ray再生機器
パナソニックは、BDレコーダ「DIGA」の「DMR-UBZ2020」、「DMR-UBZ1020」、「DMR-UBZ1」と、プレーヤーの「DMP-UB900」、「DMP-UB90」がUltra HD Blu-ray対応。
プレーヤーのDMP-UB90は5万円台から、レコーダも8万円台から用意され、ラインナップも豊富。いずれもHDMI出力を2系統装備するほか、ネットワークオーディオプレーヤーとしても利用できる。
上位機種となるレコーダ「DMR-UBZ1」とプレーヤー「DMP-UB900」は、高精度なクロマ処理を行ない色表現を高める「4Kリアルクロマプロセッサ plus」を搭載するほか、UBZ1ではXLRのバランス出力、UB900は7.1chマルチ出力を装備している。
シャープは、BDレコーダ「AQUOSブルーレイ」の「BD-UT3100」、「BD-UT2100」、「BD-UT1100」3機種がUltra HD Blu-ray再生に対応。実売価格も9万~12万円と、従来のトリプルチューナ搭載BDレコーダとほぼ同価格帯に抑えている。
UHD BD“にも”対応したBDレコーダとして、レコーダとしての使いやすさや番組表の4K化による見やすさなどにこだわっている。UHD BDプレーヤーとしての注目されるのは、新開発のUHD BDドライブの採用により、ディスクのローディング時間や動作レスポンスを高速化していること。HDMI出力端子は1系統のみとなる。
OPPO Digitalは、Ultra HD Blu-rayプレーヤー「UDP-203」を発売中。直販価格は85,000円。UHD BD/BD/DVDのほか、DVDオーディオやSACD、CDなどの音楽ディスク再生にも対応。DACには、旭化成エレクトロニクス製の「AK4458VN」を搭載し、ネットワークオーディオプレーヤーとしても動作など、オーディオ系の機能も充実している。
また、Dolbyが提案するHDR方式「Dolby Vision」への対応も予定している。日本で発売中のUHD BDプレーヤーで、Dolby Vision対応を予告しているのはUDP-203のみ。HDMI出力は2系統。また、OPPO Digitalでは、音質を重視した“オーディオファイルグレード”の上位モデル「UDP-205」の発売も予告している。
ゲーム機のXbox Oneも、Ultra HD Blu-ray対応。価格は34,980円で、最安のUHD BDプレーヤーとなる。HDMI出力は1系統のみ。
安価にUHD BDプレーヤーが欲しい場合は、有力な選択肢だ。ただし、注意点もある。まず1つはゲームコントローラでの操作になるため、一般的なリモコンとは操作方法がやや異なること。もう1つは、4K/HDR出力のためには、18Gbps HDMI入力を備えたテレビが必要になるという点だ。
詳しくは、Xbox One Sのレビュー記事で触れているが、Xbox One SのHDMI出力はRGB出力のみで、YUV(YCbCr)出力に対応していない。そのため4K/24pの映画でも、HDR出力時には18Gbpsの帯域が必要になるのだ。2016年後半発売の4Kテレビであれば、ほとんどの製品がHDMI 18Gbps対応であるが、UHD BD再生のためにXbox One Sの購入する場合は、この点に注意してほしい。
もう一つ。先日、パイオニアからUltra HD Blu-rayドライブ「BDR-S11J-BK」、「BDR-S11J-X」を発売したことで、Windows PCでもUHD BD再生も可能になった。実売価格も22,000円からとリーズナブルだ。
だが、必須要件を見てみると、途端にそのハードルがあがる。
【PCでのUltra HD Blu-ray再生の必須条件】
・Windows 10
・メモリ6GB以上
・HDCP 2.2に対応するGPU(ノートPCの内蔵ディスプレイの場合を除く)
・HDCP 2.2に対応する4Kディスプレイ(HDR対応のものが推奨)
・Intel SGXに対応するCPU
・Intel SGXに対応するマザーボード
これらの条件を満たす完成品のパソコンは存在しないので、自作パソコンが対象となる。
自作PCでも、問題なのはGPUと、Intel SGXというIntelが開発したセキュリティ技術。詳しくは、PC Watchの「4K修行僧」を見てほしいが、特にIntel SGX対応のCPU、マザーボードの選択肢がほとんどなく、高価なのだ。単純に、Ultra HD Blu-rayを見るだけであれば、上記のプレーヤーを購入したほうが簡単かつ安価となる。
ただ、こうした問題は時間が解決すること。「BDR-S11J-BK」自体は手に取りやすい価格になっているので、今後対応CPUやマザーボードなどの普及が進めば、PCでのUHD BD再生のハードルも下がっていくだろう。
続々と注目タイトルが登場
3月22日発売の「シン・ゴジラ」をはじめ、注目タイトルも続々と発売予定。Blu-ray発売日一覧のUltra HD Blu-rayで検索してみてほしい。
シン・ゴジラ
東京湾・羽田沖―。突如、東京湾アクアトンネルが巨大な轟音とともに大量の浸水に巻き込まれ、崩落する原因不明の事故が発生した。首相官邸では総理大臣以下、閣僚が招集されて緊急会議が開かれ、「原因は地震や海底火山」という意見が大勢を占める中、内閣官房副長官・矢口蘭堂(長谷川博己)だけが、海中に棲む巨大生物による可能性を指摘。内閣総理大臣補佐官の赤坂(竹野内豊)をはじめ、周囲は矢口の意見を一笑に付すものの、その直後、海上に水しぶきとともに長く巨大な尻尾が姿を現すと、その可能性はたちまち現実のものとなった。
慌てふためく政府関係者が情報収集に追われる中、謎の巨大不明生物は海から東京都内に上陸。普段通り生活を送っていた人々の前にそれは突如現れ、次々と街を破壊し、止まることなく進んでいく。政府は緊急対策本部を設置し、自衛隊に防衛出動命令を発動。さらに米国国務省からは、女性エージェントのカヨコ・アン・パタースン(石原さとみ)が派遣される。“ゴジラ”と名付けられたその巨大不明生物に対し、人間はいかに立ち向かうのか!?
バイオハザード:ザ・ファイナル
人工知能レッドクイーンとの戦いに敗れ、瓦礫の中で独り目を覚ましたアリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)。そんな彼女の前に廃墟のコンピューターを通じてレッドクイーンが現れ、48時間以内に人類は滅びること、そしてそれを食い止める方法を告げる。
敵からの思いがけない言葉に半信半疑のまま、アリスはラクーンシティへと向かう。滅亡へのタイムリミットが刻一刻と迫る中、命を捨てて最後の戦いに身を投じるアリス。やがて明らかになる、彼女にまつわる重大な秘密とは? 想像を絶するファイナル・ファイトの果てに見えるのは、希望か、それとも絶望か……!?
レヴェナント:蘇えりし者
発売後半年経過したタイトルだが、テレビの開発現場などでもリファレンスとして用いられている1枚。
1823年、毛皮ハンターの一団はアメリカ西部の未開拓地を進んでいた。隊長のヘンリーを先頭に、ガイド役のヒュー・グラスと息子のホーク、そしてグラスに対して敵意を抱いているフィッツジェラルド。先住民の襲撃を受けて砦に戻る中、グラスは巨大な熊に襲われて瀕死の重傷を負ってしまい……。実在した奇跡の生還者、ヒュー・グラスの伝説を映画化。レオナルド・ディカプリオが5度目のノミネートで、悲願のアカデミー賞主演男優賞を受賞している。
ハドソン川の奇跡
2009年1月15日、極寒のニューヨーク上空850mで155名を乗せた航空機を突如襲った全エンジン停止事故。160万人が住む大都会の真上で、制御不能の70トンの機体は高速で墜落していく。
近くの空港に着陸するよう管制室から指示がある中、機長サリーはそれを不可能と判断し、ハドソン川への不時着を決断。事故発生からわずか208秒の事だった。航空史上誰も予想しえない絶望的な状況の中、技術的に難易度の高い水面への不時着を見事に成功させ、“全員生存”の偉業を成し遂げる。その偉業は「ハドソン川の奇跡」と呼ばれ、サリーは一躍英雄として称賛される……はずだった。
だが、機長の“究極の決断”に思わぬ疑惑が掛けられてしまう。本当に不時着以外の選択肢はなかったのか? それは乗客たちを命の危機に晒す無謀な判断ではなかったのか? 徹底追及する事故調査委員会、揺れる世論。そこに重なる様々な思惑の中、英雄となったサリーは、一夜にして殺人未遂の罪に問われることに……。
「救ったのに、なぜ?」待ち受ける試練。突然孤立した彼を支えてくれるのは、数少ない仲間と、心から愛する家族だけだった。誰が“奇跡”を裁くのか。 世界を震わせる真実のドラマが幕を開ける。
ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
魔法使いのニュート・スキャマンダーは、優秀だけどおっちょこちょい。そして魔法動物をこよなく愛する変わり者。世界中を旅しては魔法動物を研究し、不思議なトランクで保護している。
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