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ソニー、220型で約1.2億円の「CLEDIS」ディスプレイ。4K/HDRやIP活用が充実

 ソニーは、幕張メッセで16日~18日まで開催されている「Inter BEE 2016」において、4K/8K製品や、IPファイルベースのソリューションなどを出展。その中で注目されているのは、微細なLED素子を使った技術「CLEDIS(クレディス)」を用いた独自方式のディスプレイシステム。発売時期は'17年1~3月で、価格は220型の4K×2Kシステムで約1.2億円の見込み(価格は設置方法、システム構成により異なる)。

「CLEDIS」を用いた220型4Kのディスプレイシステム
ソニーブース

自発光のCLEDISで220型4Kを展示

 CLEDISは、「Crystal LED Display」の技術をベースに開発したディスプレイシステムで、ディスプレイユニット「ZRD-1」とコントローラ「ZRCT-100」で構成。6月に発表されており、発売が近づいたことで、詳細な仕様などが公開されている。

CLEDISの特徴と、今回のディスプレイシステムの概要

 画面表面にRGBの微細なLED素子を配置した画素を、画素ごとに駆動させる自発光のディスプレイ方式。光源サイズが0.003mm2と微細なため、画面表面の黒点が占める割合を99%以上に高められ、一般的なLEDディスプレイなどと比べて高コントラスト、広視野角、広色域の映像表現が行なえるのが特徴。

 320×360ドットの画素を持つディスプレイユニット「ZRD-1」を、表示したいコンテンツなどに応じて組み合わせることで、サイズや解像度が決定。今回のInter BEE展示では、6×12個(縦×横)の構成で220型の4K2Kを表示していた。

 今回上映していたコンテンツは4K/HDRだが、現時点でディスプレイシステム側はHDRをサポートしていない。しかし、ディスプレイユニットの輝度は1,000cd/m3のスペックを持っているため、今後、ディスプレイコントローラの次期モデルなどでHDRの対応を検討しているという。

 入力信号はDisplayPortのシングル入力で最大3,840×2,160ドット、60/30p、8/10bit、RGB 4:4:4。DisplayPortのデュアル入力では120pまで対応する。DVIはシングル入力で1,920×1,080ドット、60/30p、8bit、RGB 4:4:4に対応。DVI 4入力で3,840×2,160ドットまで対応する。

 高額な製品となるため、一般的なLEDディスプレイに比べてターゲットを絞った形で販売。「締まった本当の黒が出る」という高い画質を活かして、自動車メーカーのデザインシミュレーションといった用途を主に想定している。

ライブ映像やアニメーションなどのコンテンツを上映していた

電子可変NDフィルタ採用や、スーパースロー対応などの4Kカメラ

 '17年1月に発売予定のXAVC 4K対応の業務用メモリーカムコーダー「FS7 II(マークツー)」を展示。スーパー35mmのCMOSセンサーを備え、独自の電子式可変NDフィルターにより、明るさを変えることなくアイリスでボケ感を出せる点や、新開発したレバーロックタイプのEマウントでレンズを回転させずに着脱できるのが特徴。ボディ単体「PXW-FS7M2」が120万円、ズームレンズ「SELP28135G」(FE PZ 28-135mm F4 G OSS)付きのキット「PXW-FS7M2K」が158万円。

FS7 II

 この他にも、4Kの8倍速や、HDの16倍速スローに対応したポータブルカメラ「HDC-4800」や、既に32社で採用されている4KカメラのHDC-4300の機能をコンパクトなボディに収めたマルチパーパスカメラ「HDC-P43」など、12月以降に発売される新モデルが展示されている。

HDC-4800
HDC-P43

 有機ELモニタは、7月に発売した「PVM-X550」(380万円)を展示しているほか、30型4K「BVM-X300」のファームウェアVer.2.0アップデート情報も案内。アップデータを適用することで、ST.2084/HLG/S-Log3などのEOTFに加え、S-Log3(Live HDR)にも新たに対応する。また、インターフェイスも有償でHDMI(HDCP 2.2)とSDI(BNC×4)が各1系統追加できる。

PVM-X550
BVM-X300はVer.2.0にアップデート

4K/HDRやIPワークフローが充実。HDR/SDR同時のライブ伝送デモも

 4K/HDR制作のソリューションとしては、1システムで4K HDRとHD SDR同時制作を可能にするHDRプロダクションコンバーターユニット「HDRC-4000」を展示。スカパーJSATとの協力で、4K/HDRとHD/SDR同時のライブ伝送をブース内で実施している。

4K/HDRとHD/SDR同時のライブ伝送デモ

 映像伝送にIPを用いて制作システムをネットワーク上で一元管理するIP Live Production Systemとコア技術のAV伝送インターフェース「ネットワーク・メディア・インターフェース」対応映像制作の拡充も進めている。

 マルチチャンネルオーディオのIP伝送方式の規格「Dante」に対応するIPオーディオ マルチプレクサ/デマルチプレクサボード「NXLK-IP45F」や、従来の放送業務用モニターに外付けできるSDI-IPコンバータユニット「NXL-IP4F」を展示。ネットワーク・メディア・インターフェース技術に賛同するパートナーには、アストロデザインや東芝、朋栄などが新たに加わり、11月現在で60社まで増加している。

IP Liveのプロダクションシステム。SDI-IPコンバータユニットや、IPオーディオマルチプレクサボードなどで構成
SDI-IPコンバータユニットNXL-IP4F(中央)など