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2018年のLGはAIテレビに注力。新プロセッサ「α9」で高画質化される有機ELテレビ
2018年1月9日 18:56
LG ElectronicsはCES 2018開催に先駆けてラスベガス市内のマンダレイベイ・コンベンションセンターでプレスカンファレンスを行ない、AIプラットフォーム「LG ThinQ」を使った家電連携やα9プロセッサによる高画質化、Googleアシスタント連携などの戦略を発表した。
賢く家電を制御するAIプラットフォーム「LG ThinQ」
LG Electronicsのプレジデント兼CTOのI.P.PARK博士は「2018年のLGが最も注力する技術テーマはAIである」と開口一番に宣言し、LGのAIプラットフォーム「LG ThinQ」を発表した。
LG ThinQはクラウドベースの機械学習型AIフレームワークで、LG製家電を無線LANベースで相互接続し、クラウド側のAIの支援を受けて各家電を有機的に制御して、ユーザーの好みや生活スタイルに合わせた機能を提供するもの。
各家庭における家電の使われ方、各ユーザーの各家電の活用の仕方を学習し、使い込めば使い込むほど各家電の機能の相互連携性が高まっていくと説明した。クラウド側にAIコアは存在するが、AIが学習するデータは各家庭やユーザーのアカウントごとに管理される仕組み。
LG ThinQのクラウド側のAIシステムは「DeepThinQ」と呼ばれ、LG ThinQプラットフォームのバックエンドを務める。
このバックエンドシステム側は、GoogleやAmazonが展開するAIサービスとの相互連携もできるよう設計されており、LG ThinQユーザーは、それぞれを区別することなくシームレスに利用できるという。
LG Electronicsは、AIによる電子機器の相互連携やIoT規格の標準化団体であるOpen Connectivity Foundation(OCF)に加盟している。DeepThinQもOCFと連携し、他社のAIプラットフォームとの相互連携を深めていく。
LG ThinQプラットフォームのフロントエンドを務めるAIエージェントロボット「LG CLOi」(クロイと発音)も発表。LG ThinQはスマートフォンでも活用できるが、「LG CLOi」は対人インターフェースの役割を果たすことになる。こうしたAIエージェントロボットは、世界中の各家電メーカーが関心を示し始めた製品ジャンルで、LGも例外ではない。
LG製テレビにもAIが搭載され、さらに“スマート”なテレビに
続いてテレビ。AI傾倒の戦略は2018年モデルのLGテレビ製品にも波及する。
自然言語による音声コマンドによるテレビの機能の制御だけでなく、「この映画のサントラを探して」「この映画の出演者リストが見たい」「この映画が終わったらテレビを消して」といった、現在、視聴中のテレビ番組のコンテンツメタデータに関連した操作もできることが示された。
また、Googleアシスタントも利用できるようになり、事実上、スマートスピーカーのGoogle Homeシリーズを包括した機能も利用できるようになるとのこと。スマートスピーカーとは違い、テレビ製品には画面があるので地図アプリや写真アプリなども利用できる分、利便性に優れることが強調された。
新型映像エンジン「α9」とは?
話題はLGの新型映像処理プロセッサ(映像エンジン)「α9」へ。α9は、LGの映像技術を結集させた映像エンジンで、特にLG式の白色サブピクセル有機ELパネルの表示特性を最適化する狙いがあるそうだ。
超解像的な処理においては、ヒストグラムに基づく信号処理的なシャープネス強化ではなく、映像中のオブジェクト単位の適応型の処理を行なうと言及。たとえば、ヒマワリの花があれば、そのヒマワリの花に対して、最適な超解像処理を行なうという。
色調補正は、RGB+Wの4色サブピクセルからなるLGの有機ELパネルではとても重要な機能となるのだが、α9ではカラーボリュームに対して先代映像エンジンに対して7倍以上も細かく補正が可能になるという。
補間フレームを生成してフレームレートを引き上げて表示させるハイフレームレート変換機能に対応するだけでなく、ネイティブ120fpsコンテンツへの表示にも対応している。
ハイダイナミックレンジ(HDR)映像表示に際しては最新HDRフォーマットに対応するほか、独自の機能として、HDR映像の明暗分布をリアルタイムに解析して、映像パネル側の表示ポテンシャルに最適化したトーンマッピング(階調補正)を行なう「Dynamic Tone Mapping」機能も搭載。
これまで、LGの映像エンジンは、日本メーカーのものにやや及ばない印象が強かったが、このα9は説明を聞く限りは、拮抗する技術を搭載しているようだ。
日本でも有機ELテレビに関しては、LG製のものは認知度が高まっていることもあるので、日本のユーザーにどう受け止められるか、楽しみである。
また、2018年モデルのLG製有機ELテレビはサウンド機能も改善されたことがアピールされた。仮想音源技術を駆使したバーチャルDolby Atmos再生に対応する。
LG有機ELテレビの2018年モデルのラインナップは、B8/C8/E8/G8/W8の各シリーズで、画面サイズは55インチ、65インチ、77インチにまで展開。どのモデルにもα9プロセッサが搭載される。
液晶テレビは「Nano Cell」モデルを継続
有機ELのイメージが強くなりつつあるLG Electronicsだが、IPS液晶パネルを主軸にした液晶テレビ製品にも力を入れる。
昨年発表されて北米地区等では好評を博した量子ドット系技術からなるバックライト波長変調技術「Nano Cell」技術を2018年モデルに対して継続させる。
今年のNano Cellモデルの液晶テレビに関しては全モデル、バックライトシステムを直下型のエリア駆動に対応させる。
LG製Nano Cell対応液晶テレビの2018年モデルのラインナップは、SK9500、SK8500、SK8000からなり、これらのモデルにはα9ではなく、液晶パネルに最適化した「α7」プロセッサが搭載されるとのことである。
AIへ注力し、AIプラットフォームを幅広い家電製品に展開する方針を強調したLG。この戦略を日本では、どのように展開していくのかは気になるところ。
ブースでは、新テレビ製品群の実機展示やα9映像エンジンのデモも公開される。そのあたりの詳細は、ブースレポートにてフォローしたいと思う。