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銀座ソニーパークは、ソニー製品ではなく木が買える公園。ライブやラジオ生放送も
2018年8月8日 18:45
2017年3月末に営業を終了した東京・銀座のソニービルがリニューアルされ、8月9日13時に「Ginza Sony Park(銀座ソニーパーク)」として開園。“変わり続ける公園”として2020年秋まで、様々なイベントなどを実施する。
1966年にオープンした銀座ソニービルは'17年3月31日をもって営業を終了し、7年がかりのリニューアルプロジェクトが進行中。現在はその第1フェーズ(2018年~2020年)で、取り壊したビルの跡地をイベントスペースの「銀座ソニーパーク」として利用。公園のように自然の豊かなスペースとし、イベントを開催するほか、飲食、物販スペースなどに活用。2022年に、新ソニービルを竣工する予定。
銀座ソニーパークは、旧ソニービルの特徴的な構造は残しつつ、地下3層を貫く吹き抜けや、隣接する数寄屋橋交差点、地下鉄コンコース、地下駐車場の都市機能まで内包する「垂直立体公園」となる。2020年秋まで公園内にデザインされた“余白”を使った実験的なイベントや、パートナーとの協力によるプログラムを行なう。
季節限定の食や独自アイテム販売など
住所は中央区銀座五丁目3番1号、約707平米のフラットな地上部と、地下4層の「ローワーパーク(Lower Park)」で構成。全面的に改装するのではなく、壁や天井のタイルなど、所々に以前の銀座ソニービルの名残が見られるのも特徴。
一方で、従来のソニービルとは異なり、製品の展示や体験などの“ショールーム”のコーナーはほとんどない。個々の製品をアピールする場ではなく、「ソニーのブランドとしての独自性」を表す場として、イベントや他社コラボなどで新たな情報を発信することを狙いとしている。
GL(地上フロア)は、「買える公園」がコンセプト。これは、パークに植えられた世界各地から集めた植物が購入できることを指しており、プラントハンターの西畠清順氏(そら植物園代表)がプロデューサーを務める「アヲGINZA TOKYO」で購入できる。植物が購入される度に、別の植物が用意され、パークの表情が変わる。
地上でもう一つの注目は、トレーラーハウス(エアストリーム)を改造したTOKYO FMのサテライトスタジオ「TOKYO FM|Ginza Sony Park Studio」。“東京の今を届けるラジオステーション(Ginza Sony ParkStudio)”として展開する。このサテライトスタジオの詳細は後述する。
季節限定となる「トラヤカフェ・あんスタンド」のポップアップストアでは、パーク地下3階にある店内でつくられた、あんペーストを使った期間限定のかき氷などがは倍される。
地下1階は、コンビニエンスストアをコンセプトにしたショップ「THE CONVENI」をオープン。ディレクターに藤原ヒロシ氏を迎え、ここでしか手に入らないユニークなものを販売するという。
ミシュラン星獲得店による飲茶スタンド「MIMOSA GINZA」は、“路地裏の屋台”をテーマに、中国本土でも親しまれている香港発祥の香港ミルクティーやエッグタルトなどをスタンド形式で販売。パーク内で楽しめる。
地下2階はイベントスペースを設け、様々なテーマに沿った体験型のイベントを開催予定。既報の通り、8月9日~9月24日は、「#001 PARK x MUSIC x ROLLER SKATE(パーク x ミュージック x ローラースケート)」を実施する。同フロアは東京メトロ銀座駅へのコンコースと直結している。
ローラースケートが楽しめる時間は10時~20時で、料金は無料、リンク内定員は最大25名まで。なお一回の体験は30分となる。レンタルシューズを準備しており、銀座でのショッピングや食事のついでに体験可能。プロのインストラクターによるショートレッスンや、音楽と映像が流れるフロアでのスペシャルパフォーマンスも行なう。
地下3階には「トラヤカフェ・あんスタンド」が出店。製造所を兼ね備えており、そこで作られた限定のオリジナル・ミニサイズ「あんペースト」を販売する。このフロアは西銀座駐車場地下2階と直結する。
地下4階は、代官山・横浜・京都でクラフトビール専門店を展開するSPRING VALLEY BREWERYの新コンセプトデリ「“BEER TO GO” by SPRING VALLEY BREWERY」をオープン。16種類のクラフトビールや季節ごとに変わる12種のデリやグリルなどをパーク内で自由に楽しめる。このフロアにはライブ会場もあり、無料の音楽ライブ(イベントによっては有料の場合もあり)などを楽しみながら食事できる。
TOKYO FMサテライトスタジオに入ってきた
「TOKYO FM|Ginza Sony Park Studio」は、トレーラーハウスを改造したユニークなサテライトスタジオ。このトレーラー内には、かつての渋谷スペイン坂スタジオのように必要な機材が揃っているとのことで、他スタジオを経由することなく、直接生放送などを行なえる。スタジオ内に電話も用意されている。
開園日の9日13時~16時50分には、オープンを記念した特別番組「Tokyo Where?」を放送。パーソナリティは、ラッパーのKEN THE 390と、TOKYO FMの番組「シンクロのシティ」出演の堀内貴之がタッグを組んで生放送を行なう。アシスタントは、ガールズバンドCHAIのミュージックビデオなどを手がけるアート集団「チーム未完成」の砂糖シヲリ。
このサテライトスタジオならではの新たな取り組みが、「音楽のテイクアウト」。公開生放送される新番組「TOKYO SOUNDS GOOD supported by Ginza Sony Park」(毎週金曜14時~16時55分でオンエアされた曲をプレイリストにし、Spotifyを通じて世界へ発信。この公式プレイリストのほか、金曜午後に聴いてほしい東京のCHILL OUT MUSICばかりを集めたプレイリストなど、 さまざまな番組連動プレイリストを展開。毎週の放送に合わせてアップデートする。これらのプレイリストは、スタジオに設置されたボードに掲出されたSpotifyコードをスマホアプリで読み取ることで、誰でも無料で“テイクアウト”可能。この取り組みには大日本印刷(DNP)が協力している。
8月13日からは、午後のワイド番組「シンクロのシティ」の公開生放送を実施。2016 年8月の渋谷スペイン坂スタジオ閉店に伴い、半蔵門のTOKYO FMのスタジオから放送してきたが、約2年ぶりにサテライトスタジオでの放送となる。
ショールームでも、ストアでもない「ソニーらしさ」
かつてのソニービルの場所を公園にする目的について、ソニー企業の永野大輔社長・チーフブランディングオフィサーは「2020年に向けて、東京で色々なビルの建て替えがある中で、みんなが建てるなら“建てないという選択肢”が最もソニーらしいのでは」と説明。
創業者の盛田昭夫氏が当時のソニービルを“開かれた庭”と表現したことに触れ、そのコンセプトを現代風に解釈した結果、公園にすることを決めたという。
立地の特徴として、晴海通りと外堀通りという2つの大通りに加え、エルメスとの間にあるソニー通りも含め3方向に開かれているのは銀座の主要交差点がある場所では珍しく、地下鉄や西銀座駐車場といった都市の交通機能と隣接していることも、公園という開かれた場所にするために重要なポイントだったという。
永野氏は、銀座ソニーパークが、公園として重視している点について“余白”があることを挙げる。「公園で、自由な楽しみ方できるのは、何をしてもいい余白があるから。まずは余白を作って、その周りに店を配置した。余白があるから変わり続けることができる」とした。
イベントなども予定されているが、ライブハウスやクラブなどとの違いとして「当日まで何が開催されるかわからないこと。クラフトビールなどを楽しみながら、周りでライブが始まるような、偶発性を演出する場にする」という。
パーク内に、ソニー製品がほとんど置かれていない点については「中にある商品ではなくパークそのもの、銀座のど真ん中に公園を作るのがソニーらしいと言ってもらえることが成功。商品やサービス、コンテンツが無くても、ソニーパークそのものに遊び心があると思ってもらえれば」とした。