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イヤフォンで血流測定、エアコンも連動? 用途広がる小型センサー&デバイス
2018年10月16日 21:25
10月16日~19日まで開催中の「CEATEC JAPAN 2018」では、数多くのデバイスやセンサー関連製品が出展されている。IoTやウェアラブル機器の広がりに合わせて、様々な用途提案が行なわれており、その中から注目の展示を紹介する。
左右分離イヤフォンで血流測定。家電と連動も
京セラは、金属や水の上でも特性が低下しない小型アンテナ「Amcenna(アムセナ)」が、総務大臣賞を受賞。IoTやウェアラブル機器などへの活用が期待され、多くの来場者から注目されている。
これ以外にもユニークな展示として「血流量センサ搭載ヒアラブル機器」を展示。左右分離型イヤフォンに、3.2×1.6×0.9mmという超小型の「レーザードップラー式センサデバイス」を搭載。装着する人の血流量を測定して、健康管理を含む様々な機能を実現するという。
ワイヤレスイヤフォンとして音楽を聴きながら、血流量センサーで計測した情報をスマホアプリに表示。このセンサーは、血管にレーザーを照射した時の周波数の変化を元に計測する光ドップラー効果を利用して皮下組織内の血流量を測定するもので、既存の心拍測定付きイヤフォンとの違いとして、血液のサラサラ/ドロドロや、その人が暑い/寒いと感じていることまで分かるのが特徴。血流からストレスなども分かるという。なお、センサーなどで集計したデータを送信してAndroidスマホで閲覧できるファームウェアとAndroidアプリの開発は、ヒアラブルデバイス「Zeeny」を手掛けるネインが担当している。
今回の技術を応用して、装着している人が暑いと思った時にエアコンを連動させたり、ストレスを感じている時に照明の光り方を変えるなど、家電との連動も可能。京セラが手掛けるLEDとの連携なども視野に入れている。このセンサーデバイスはサンプル出荷中で、ワイヤレスイヤフォンを高付加価値化できる技術として提案している。
そのほか、圧電素子とデジタルアンプを組み合わせたオーディオ・振動アクチュエーターも展示。骨伝導ヘッドフォンや、ヘルスケア機器などへの搭載を見込んでいる。
圧電素子のサイズはカスタマイズ可能で、それに合わせてデジタルアンプを組み合わせ、最大10個のアンプで振動させることが可能。デモとしてメガネ型のウェアラブル機器に、骨伝導スピーカーを備えた試作機を用意。メガネのツルの部分にアクチュエーターを備え、骨伝導で音楽などを聴ける。ゲームなどの衝撃が実際に全身で体感できるスーツにも応用できるとのことで、映画「レディ・プレイヤー1」に登場したようなスーツの実現も夢ではなさそうだ。
椅子に座ると体調/ストレスを測定
パナソニックは、「見えないものの見える化」を目指したセンシングソリューションを紹介。車載機器などに搭載する「空間センシング」と、カメラなどで人の状態を分析する「ヒューマンセンシング」、人や物の位置を測定して動きを分析する「ロケーションセンシング」の3つのテーマで展示を行なっている。
ヒューマンセンシングのコーナーでは、感圧センサー、においセンサー、人状態推定技術の3つを使って分析するデモを用意。椅子に座るだけで、前方のカメラや各センサーで、その人のリラックス具合や集中度などが分かり、さりげない提案ができるという。
応用例としては、人が暑い/寒いと感じた時に動作するエアコンや、ドライバーが眠くならない空調や音量にする自動車、人が不快になる動作を学習して人を笑顔にするロボットなどを想定。エンタメ用途としては、映像などのコンテンツを見ている人の状態から、その作品を気に入っていたら似た他の作品をお勧めしたり、好きでなければ別の作品をお勧めする、といった機能も考えられるという。
ロケーションセンシングのコーナーでは、小型のセンサーをスタジアムに備え、人が持ったライトが連動した演出ができるというデモを紹介。不特定多数の人や物の位置とIDを無線でセンシングして推定し、制御することで実現するという。
イヤフォンのドライバユニットで知られるノウルズ・エレクトロニクス・ジャパン(Knowles)のブースでは、小型のイヤフォンなどに搭載されているバランスド・アーマチュア(BA)型ユニットのほか、最新のMEMSマイクデバイスなどを展示。DSPを内蔵した「スマートマイク」や、自動車向けのANC(アクティブノイズキャンセリング)向け、スマートスピーカー向けマイクなどを紹介している。