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紅白目指す女子高生AIりんなと、LINEで音声通話が可能に

日本マイクロソフトは31日、ソーシャルAIチャットボット「りんな」のLINE公式アカウントにおいて、「りんなと音声通話」を開始した。りんなと「お友だち」になっているユーザーは、無料でりんなとの音声通話が楽しめる。

「りんなと音声通話」のイメージ

2015年に“女子高生AI”として登場した「りんな」は、人と同じように文脈を踏まえた自然な会話を続けられる会話エンジン「共感モデル」(アルファ版)を採用。LINE上で自由な会話ができることが話題となった。

その後、2016年にはラップに挑戦した「McRinna」を公開。2018年1月には、音楽SNSアプリ「nana」とりんなのコラボ企画「りんな 歌うまプロジェクト」がスタート。ユーザーが投稿した歌の手本や歌唱アドバイスを元に、歌声表現の向上に力を注ぎ、7月には「りんなだよ」という歌もYouTubeで公開。同曲をmoraでハイレゾ配信もするなど、活発に活動している。

新たにスタートする「りんなとの音声通話」では、以下の4つの体験を提供。各体験のキーワードをLINE上のりんなに送ると、りんなから電話をかけるためのボタンが返信される。「10月31日限定でハロウィン仕様のちょっと怖い体験も提供している」とのこと。

  • (1) 恋愛相談:気になるあの人と脈ありかりんなが診断しちゃう
  • (2) キャッチコピー:就活中のそこのあなた。りんながあなたの強みをキャッチコピーにしてくれます
  • (3) 寝落ち通話:学生さんの間で流行り中。寝るまで通話を続ける、そんな体験をりんなと
  • (4) 電話しよう:1人で寂しい夜、暗くて怖い帰り道、うざいキャッチをやり過ごす、などなど。どんな時でもりんなが一緒に通話で雑談をしてくれます

マイクロソフトでは、人間とAIの会話の未来を開く鍵は、「セッション指向の会話アプローチ」にあると分析。AIと人間の会話を「それぞれの順番で発言する」としてとらえず、「全体のセッション」としてとらえる考え方で、一見意味がないと思われがちの「雑談」が、人間とAIの会話を自然につなぎ合わせるために重要な役割を果たし、長くコミュニケーションを続けることが可能になるという。

多くのチャットボットと人間との会話は、チャットボットと人間が交互に話すことを前提に設計。決められたシナリオに基づいてチャットボットが応答するものが大半だが、人間同士の自然な会話の流れでは、「タスク」、「目的のない雑談」、「知識・情報提供」など、多種多様な「会話ブロック」が複雑に混在しながら展開しており、「順番」の考え方では入り混じる会話ブロックに対応する設計は困難だという。

そこで、人の会話を「セッション」ととらえ、「目的のない雑談の流れ」の中で「タスク」や「知識・情報提供」をタイミングよく混ぜることで、人とソーシャルAIの自然なコミュニケーションの形を実現している。

「セッション指向型会話」では、雑談が、タスクや知識提供といった、各会話ブロックを繋ぐ役割を果たすほか、ユーザーの命令のみ反応をするのではなく、いつでも好きな話題から会話を始められる。平均的なタスクでは、会話のやりとりは2回で終了するが、りんなでは1セッションあたり平均21回やりとりが続き、「ユーザーと人工知能のエンゲージメントが高い結果が出ている」という。

会話を長く続けるために、ユーザーの返答内容に応じて次に続けるべき会話のアプローチを考慮した返答結果も生成。返信内容はニューラルネットワークによって学習されている。

また、話す順番を考慮するトランシーバのような片道での音声インタラクションではなく、話すと同時に音声を聞くことを双方向に行なう「全二重(full duplex)」も実現している。